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Blue Rose

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第二十七話 新しい学校その二

「それで充実していたらしいわ」
「療養所の中でも」
「本も読んで絵も描いて学校の勉強もして」
「また学校に行く時に備えてもいたんですね」
「そうみたいよ、だからね」
「あいつ凄くいい生活していたんですね」
「療養所の中でもね」
 白いその世界の中でもというのだ。
「そうだったみたいよ」
「それで退所ですね」
「今日ね、そしてね」
「それで、ですね」
「長崎での生活がはじまるわ」
 女の子としてのそれがというのだ。
「いよいよね」
「長崎ですか」
「いい街よ、あそこは」
 暖かい、優しい笑顔でだった。優子は龍馬に話した。
「景色が奇麗で空気もいいわ」
「観光名所も多いですし」
「あんないい街は滅多にないわ」
「そうですよね、海もあって」
「歴史もあってね、食べものも美味しくて」
 そうした素晴らしい要素を多く持っている街だというのだ、優子だけでなく龍馬も知っているからこそ話すのだった。
「あんないい街はそうはないわ」
「そうですよね」
「あの娘はその長崎に高校を出るまでいるわ」
「それで高校を出たらですね」
「八条大学を受験するそうだから」
「戻ってきますか」
「その時は私の従妹ということになってね」
 そうした立場になるというのだ。
「この辺りはちょっと難しいお話になるけれど」
「戸籍とかのですか」
「そうなの、まあ何かとね」
「弟にはですね」
「もうなれないから」
 性別が変わったからというのだ。
「優花は外国に行ったことになるわ」
「それで優子さんの従妹としてですか」
「戻って来るわ、お母さんの妹の子供としてね」
「優子さん達の」
「そうなの、養子ということでね」
 優子の叔母にあたる彼女の、というのだ。
「それでまた一緒に住むのよ」
「そうですか」
「そう、叔母さん夫婦も事情を納得してくれたわ」
「お話したんですね」
「叔母さん夫婦にはね」
 優花のそのことをというのだ。
「信頼出来る人達だから」
「お話をしてですか」
「それで叔母さん達が養子にするって言ってくれたの」
「そうなんですね」
「里親みたいにね、孤児院から引き取ったことになったわ」
 この辺りはかなり難しい事情だった、表で言われていることと真実は違う。世の中ではままにしてあることだ。
「身寄りのない女の子をね」
「あいつそういうことになるんですか」
「幸いというか叔母さん夫婦には子供はいないし」
「じゃああいつは」
「そう、養子になってね」
 その叔母夫婦のだ。
「そのお家を継ぐことにもなるわね」
「そうもなるんですね」
「苗字は変わるわ」
 優花のそれはというのだ。
「今は蓮見だけれど」
「それが別の苗字になるんですね」
「私の従妹としてね、ただ」
「それでもですね」
「姉妹のままよ」
 表では従姉妹同士ということになっていてもというのだ。 
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