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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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279部分:第三十九話 炎の魔神達その二


第三十九話 炎の魔神達その二

「流石は黄金聖闘士というだけはある」
「しかしだ」
 彼等が感じたのはそれだけではなかったのだ。アルデバランから感じられるもう一つの気配だ。それもまた彼等を押し止めているのだった。
「何だ?これは」
「これ以上前に進めば。どうなるのだ?」
「いや、そんなことを言う必要はない」
 ディーンが仲間達に告げた。
「我等は狂闘士だ。ならば」
「そうだ。前に進むだけだ」
「退くことは有り得ない」
 無論彼等も黄金聖闘士だ。ならば答えは出ていた。彼等の誇りが彼等自身を進めようとしていた。そうしてそのうえでまだ進もうとするが。
「ならば」
「進む!」
 彼等は一斉に進みだした。そのうえでそれぞれの拳をアルデバランに放とうとする。しかしここで、であった。
 何かが煌いた。そうしてそれが狂闘士達を退けた。彼等は致命傷こそ受けなかったがそれでも大きく退くしかなかった。吹き飛ばされかろうじて空中で態勢を立て直し着地したのだった。
「な、何だというのだ!?」
「あの技は」
 驚愕と共に述べるのだった。
「見えなかった!?この我々が」
「しかしあの強さは」
 剛の技である、それはわかった。しかしわかったのはそれだけだった。
「あれがタウラスの拳だというのが」
「今のが」
「グレートホーンだ」
 アルデバランは腕を組んだまま彼等に告げた。
「これこそがこのアルデバランの技だ」
「あの巨体であそこまでの速さの拳を出すとは」
「流石はタウラス」
 デューテは無意識のうちにアルデバランを賞賛する言葉を出していた。
「これだけのものを瞬時にして放つとはな」
「だが」
 今度はグレイが言った。
「これで勝利を収めたとは思わないことだ」
「そうだ。我等はまだ技を出してはいない」
「その技で」
 彼等自身の技を今放とうとする。それにより彼等とアルデバランの決戦がはじまろうとしている。しかしここで。ドーマが出て来たのだった。
「待つがいい」
「なっ、ドーマ様!?」
「何故ですか!?」
 狂闘士達は前に出て来た彼を見て驚きの声をあげた。
「ここは我等が」
「ですからドーマ様はここは」
「タウラスの今の技見せてもらった」
 ドーマはそのアルデバランを見ながら話を続ける。
「だからこそだ」
「だからこそとは?」
「まさかドーマ様も」
「そうだ。戦いたくなった」
 アルデバランを見据えながら表情を消しての言葉だった。
「この男とな」
「それでは我々は」
「共に」
「いや、それはならん」
 だがドーマは彼等が己と共に戦おうという申し出は断るのだった。
「このドーマ、一人で戦う」
「御一人で、ですか」
「それでは」
「このドーマ、戦う時は常に一人」
 また言うのだった。
「だからだ。御前達は下がっていろ」
「はっ、それでは」
「そのように」
 そしてその言葉に静かに頷く彼等だった。
 
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