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リアルバウトハイスクールD×D

作者:空風雷人
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第一話『左腕に籠手を持つ男』

 
前書き
あまり深く考えないように。

※本文を見直そうとしたら、一度間違って消しちまったぜ。
「削除」が誤爆しやすい場所にありやがる。 

 
 俺の名は──『兵藤一誠』。
 年齢十七歳。愛称は『イッセー』。
 共学(元・女子高。女子生徒率九割)の私立高校〈駒王学園〉の二年生。
 そして──〝仙術気功闘法〟〈神威の拳〉の使い手にして、左腕に〝神器〟〈赤龍帝の籠手〉を宿す男だ。

 俺が〈神威の拳〉を覚えたのは、俺が小学生の時に公園で出会ったやたら美形な飲んだくれのオッサンに教わっての事。
 〈神威の拳〉とは、特殊な呼吸法によって肉体を活性化させて身体能力を上昇させると同時に、中国の道教思想になぞらえて〈天・月・雷・火・風・水・山・地〉の八つの属性の内、基本的に一人につき一つの属性の力を引き出して操る技術。

 〈神器〉とは〝天使・堕天使・悪魔〟の三陣営を一括りにした〝三大勢力〟──というか十字教の主神『聖書の神』が生前(・・)に作成したもので、基本的に〝人間〟の血を引く者に宿るらしい。
 俺の持つ〈赤龍帝の籠手〉は、そんな総数不明な〈神器〉の中でも上位にランク付けされる〝神をも殺せる〟可能性を秘めた〈神滅具〉と呼ばれる世に十三種類各一個しかない代物の一つで、この中には先の〝三大勢力〟となんやかんやあって〝聖書の神〟に封印された〝ウェールズの赤き龍〟こと『ドライグ』の魂が宿っている。

 俺が自分の中に居るドライグの存在を知覚したのは、〈神威の拳〉の修業の一環である瞑想で最高ダーイブ!……じゃなくて〝精神世界潜行(サイコ・ダイブ)〟を行い、赤い龍の姿をしたドライグと出会っての事。
 それを毎日繰り返してドライグと会話を続けている内にお互いに〝相棒〟として認め合い、俺は〝神器〟を発現する事が出来たんだ。
 気をつけねばならないのは、〝神器所有者〟は〝神器〟を体から他者に抜き取られるなりして失うと命を落とすという──言わば、俺とドライグは一心同体筋肉少女隊だ。

『いや相棒、筋肉も少女隊も要らんだろう』

 今の声の主こそがドライグだ。
 因みに、〈赤龍帝の籠手〉の所有者を人は〈赤龍帝〉と呼ぶ。
 それと、俺の〈神威の拳〉の属性は〈火〉で、ドライグの性質も〈火〉の属性だ。
 ──俺とドライグ、一つ一つは小さな〈火〉だが、二つ合わされば〈炎〉となる! 〈炎〉となった〈赤龍帝〉は無敵だ!

 ……ちょっと言ってみたかったんだ。

「──死んでくれないかな?」

 厳しいツッコミ──ではない。
 俺は、最近出来た彼女──ストレートの黒髪ロングヘアーの美少女『天野夕麻』ちゃんとのデートの終わりに、夜の公園内で彼女から笑顔で〝死〟を突きつけられていた。

「……もう一度言ってくれるかな?」

「死んでくれないかな?」

 一応訊き返してみたけど、やっぱり訊き間違いじゃなかったよ。にょろ~ん。
 まあ、俺もドライグも初対面で告白された時から彼女が人間じゃない(・・・・・・)って事は気付いてはいたが……。

「やれやれ、穏やかじゃないなぁ。どんな理由か、あれば教えて欲しいな」

「あら、意外と冷静なのね? 良いわ、教えてあげる──」

 そう言うと、夕麻ちゃんの背中に鴉のような一対二枚の翼が現出し、服装も何処かの金魚のうんち並みにやたら露出度の高い物に変わる。
 ──正直たまらんです!

≪相棒、そろそろ真面目にやったらどうだ≫

 善処する。

「──あなたが私達にとって危険因子だからよ。恨むなら、あなたに〈神器〉を宿させた〝神〟を恨んで頂戴」

「〝神〟ねぇ……」

 もう死んでるじゃん。
 そう言や、死ねば皆〝仏〟と言うけど〝神〟でもそうなのか?

「何かしら?」

「いや別に。それはそうと──夕麻ちゃんて、実は〝あややー〟だったんだな」

「私は文々○新聞なんて作ってないわよ!?」

 伏せ字になってない気がする。

「夕麻ちゃん、その翼は……!」

 俺は驚愕の表情を浮かべた。

≪強引に話を引き戻したな相棒≫

「わざとらしいわね!? 私は〝堕天使〟のレイナーレ! 『天野夕麻』は偽名よ!」

 天野夕麻改め──レイナーレは右手に〝光で編まれた槍〟を生み出して握る。

「ヒュウゥゥゥゥ──」

 俺は〈神威の拳〉の独特な呼吸法による甲高い息吹の音を響かせながら、全身に満ちた〝精気〟と〝霊気〟を束ね、それに攻撃的意識──〝闘魂〟を吹き込む事によって〈龍気〉を練り上げる。

「──死になさい!」

 レイナーレが〈光の槍〉を俺目掛けて投擲した。

「──〈波動拳〉!」

 俺は、大好きな漫画『ドラグ・ソボール』の主人公・空孫悟の必殺技〈ドラゴン波〉のような動作で赤い光球を撃ち放ち、〈光の槍〉を中空で相殺した。

「私の槍が!?」

 レイナーレは目を見開いて驚いていた。
 この〈波動拳〉は、ドライグとは別に〈赤龍帝の籠手〉に宿る〝歴代・赤龍帝の怨念〟の一体で、嘗て〈ストリートファイター〉だった男──『ケン=マスターズ』から伝授された技の一つだ。まあ、彼は怨念とは思えないくらい明朗なんだが。
 後、他にも〝ブリテンの騎士王〟や〝漢王朝初代皇帝〟や〝闘法の現人神〟とかが居るぞ。

≪相棒、俺を使うか? 〝湖の貴婦人〟から賜った〈聖剣〉を使うか、〝母方の先祖伝来〟の〈宝剣〉を使うか、それとも〝日本神話勢〟から受け取った〈神剣〉を使うか?≫

 そりゃオーバーキルだろうドライグ。
 ──ドライグが言うように、俺は神武の超鋼の剣を三振り所持している。

 因みに〈聖剣〉を手に入れた経緯は、武者修行の途中でドライグ()に現在の故郷を見せてやろうとウェールズに渡り、真冬に湖に寄った時に偶々溺れていた三歳の少年を救助した際、〝貴婦人〟が俺の中に居る存在に反応して姿を現し、ちょっとした問答の後に受け渡された。

 〈宝剣〉は紀元二世紀末、漢王室の血を引く娘が単身大陸に渡ったらしい(伝説では流星に乗ってやって来たという)日本人の青年と共に乱世を収め、その青年と添い遂げて現在の〝中華三大国〟の一つ〈大蜀〉を作り上げた(後二つは〈大魏〉〈大呉〉)。その直系の子孫である俺の母親から継承した。俺の名前に入っている漢数字の『一』も直系男子の通字(女子の場合は『桃』)だ。

 〈神剣〉は以前〝異世界〟の日本に召喚されて、〝創造神〟が闇堕ちして妖魔が蔓延り『国生み』からの神々や『日露戦争』辺りまでの歴史上の人物達(性別・武将・文化人問わず)までもが入り乱れる混沌とした状況を解決して、帰還後に此方の世界の日本神話勢から受け取った報酬の一部だ。
 これが何らかの創作物の世界なら設定の盛り込みすぎとか言われそうだ。

「い、今のはまぐれに決まっているわ!」

 そう叫んで、レイナーレは新たに〈光の槍〉を生み出して、立て続けに三本投擲してきた。
 俺は前転で地面を転がって飛来する槍の下を潜り抜けながらレイナーレの足元に接近し、水面蹴りを繰り出す。

「チィッ!」

 レイナーレは舌打ちしながらとっさに跳躍して避け、そのまま数メートル上昇して空中に止まり、地上の俺と対峙する。

「ふつくしい……」

 思わず俺は呟いた。
 月を背景に、背中に漆黒の翼を広げて空中に佇むレイナーレの姿はなかなか幻想的だ(服装は兎も角)。

「い……いきなり何を言っているのかしら!?」

 とレイナーレが慌てているその時──地上に〝魔法陣〟らしきものが紅く輝き、その中から一人の人物が現れる。

「──あなた達、ここで何をしているのかしら?」

 いきなり現れてそう曰ったのは、赤い髪の巨乳美女。俺の通う〈駒王学園〉の三年生で、校内で男女問わず絶大な人気を博す〝二大お姉様〟の片割れ、そして〝爵位級〟に届くであろう力を持つと感じる〈悪魔〉──リアス=グレモリー。

「グレモリー家か!」

 そう叫んだレイナーレを、腕を組んで地上から見上げるグレモリー先輩。

「御機嫌よう、〝堕ちた天使〟さん。私の管理している土地で好き勝手させないわ」

 睨み合う二人。
 ……そう言いますがグレモリー先輩、あなたの管理、割と杜撰ですよ。俺、結構町に入り込んだ〝はぐれ悪魔〟を退治してるんだぜ。

「……今日はこの辺にしておいてあげるわ」

 そう捨て台詞を吐いてレイナーレはこの場から飛び去った。めだか師匠?
 後に残ったのは俺とグレモリー先輩。

「──それで、あなたは何者かしら?」

 と此方に振り向いて尋ねる先輩。

「人に名を尋ねる時は自分から名乗るもんだが、知っているから別に良いや。私はシャア=アズナブル、御覧の通り軍人さ」

「絶対に違うわよね!?」

 と俺の答えにツッコミを入れる先輩。こいつは良いツッコミ役になりそうだ(ニヤリ)。

「(悪寒が……!?)しょ、正直に答えなさい。〈駒王学園〉二年、兵藤一誠君」

「知っとるやないかい」

「訊きたいのは名前とか表面的なものじゃなくて。あなた人間よね? さっきの〈堕天使〉と争っていたみたいだけど……」

「生憎、今の俺はふられ気分でロックンロールですんで ≪単に面倒くさいだけだろう≫ ≪うるさいよ≫、明日にしてください」

「そう……良いわ。じゃあ明日、使いを出すわね」

「らじゃ。グレモリー先輩、さいならっきょ」

 兵藤一誠はクールに去るぜ。 
 

 
後書き
タイトルを『龍炎使いのハイスクール』と迷った。 
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