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魔法少女リリカルなのは innocent ~海鳴に住む鬼~

作者:88打
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鬼、鍛練を積む

 
前書き
ペルソナに夢中になってました……スンマセン


注意:今回の話は作者の独自解釈が含まれます。その点に注意してご覧になって下さい

 

 
~ボビーショップT&H~

今日は土曜日、前々から言ってた通り今日はチーム練習の日だ。なので俺は今T&Hの前で後輩達を待っているんだが……

「………………遅い」

約束の時間を越えても一向に来ない。アイツらは皆、家が近いから四人で合流してから来ると言っていた

「幹ちゃん先輩ーーー!」

すると、向こうから静が手を振りながらやってきた後ろには宗輝達もいる

「遅かったな?何かあったのか?」
 
「ごめーん!賢ちゃんの準備に手間取っちゃって……」

「賢斗の準備?」

静の後ろを見ると、私服姿の桜馬の後ろで賢斗が顔だけを出している

「何やってんだ?」
 
「もぉー賢ちゃん!隠れたらダメでしょ!」

「うぁ!ちょっ!引っ張らないで!」

静が賢斗の手を持ち強引に引きずり出す

「おぉ……これは……」

賢斗の服装は以前会った時のようなボーイッシュなものではなく青のスカートにフリルの付いたノースリーブのシャツ、つばの広い白い帽子を被っている

「可愛いでしょ~、賢ちゃん可愛いのにぜんぜん女の子らしい格好しないんだもん」

「うぅ……だって……恥ずかしい……」

賢斗は若干涙目だ

「ホラホラ!先輩、感想は?」

「あぁ……えっと似合ってるぞ……」

「あ、ありがとうございます……」

賢斗は帽子のつばを持って俯いてしまった……なんだこの空気……

「あの……そろそろ行きませんか?」

「お、おう!そうだな!」

なんだか微妙な空気のまま、俺達は店内に向かった





~T&H ゲームコーナー~

ゲームコーナーについた俺達は近くのエンタークンに陣取った

「んじゃ、訓練の前に各自のカードやステータスを確認するか」

俺達はまずそれぞれのステータスの確認を行う。実はブレイブデュエルではたとえ同じアバターでもステータスに多少の違いがある。さらにカスタマイズをすることでさらに特長的なアバターになる

「その前に……先輩……あの」

「ん?どした?賢斗?」

「その……おでこ赤いですけど……どうしたんですか?」

「……気にするな、何時ものことだ」

実はここに来る前の配達で、またあのチビ共にしてやられた。まさか足掛けのロープを透明なワイヤーに替えてくるとは……
 
「さて……それではステータスの確認に移る。まずは賢斗から……」

「はい……これです」

賢斗がカードをエンタークンに置くとアバターの外見とステータスが表示された

「相変わらずの黒づくめだな……」

「フェンサーと言うか……アサシンって感じですよね……」

アバタージャケットはフード付きの黒いコートで全身を覆い、その上から肩や胸などに同色の軽防具が着いている。武器は刃渡り十数㎝の小太刀を二本、両手に持っている

「他のフェンサーに比べると、火力は無いけど機動力はあるって感じか……」

「そうですね……概ねそんな感じです」

俺の考察を賢斗は肯定する

「てか……いつの間にRランクになったんだよ?」

賢斗のアバターカードは初めて会った時のN+ではなくRにランクが上がっていた

「一昨日になったばかりです。まだカードの性能に慣れなくて……」

「まぁそれはおいおい…………」

慣れるのにそこまで時間はかからないと思う

「そういや仮面は?」

「それは後で皆一斉に御披露目します」

「そうか……んじゃ次、宗輝」

「はい、これが私のアバターです」

カードを置くと宗輝のアバターが投影される。黄色の鎧は急所部分のみを重点的に守るっており、アークビショップらしい軽防具を身に付けている。手には白に金色の蔦の装飾を施した弓を持っている

「魔力量多いな……これなら火力も十分そうだ……」

「でも私、砲撃とかは苦手でして……魔力を一点に集中させた誘導弾とかは得意ですよ?」

ロケラン撃つよりスナイパーライフル撃つ方がいいみたいなもんか……

「まぁ相手の防御抜ければなんでもいいよ、けど砲撃も覚えろよ」

「頑張ります」

「次、桜馬……」

「これがワシのアバターじゃ」

次に桜馬のアバターが投影される。全身を纏う緑色の分厚い重防具に両手持ちの両刃の大斧を持っている、刃の部分以外は鎧同様鮮やかな緑色だ

「俺と同じアーマーナイトでもお前のは随分と固いなぁ……」

本来、アーマーナイトタイプは近接火力と防御力の両方に重きをおいている。その防御力はどちらかと言えば魔法攻撃に対する防御力。つまりは砲撃や射撃に強いアバターなのだ

「エクスキューショナーみたいな防御力だな……」

「固さには自信があるぞ!」

エクスキューショナーとは物理防御力の高いアバターのことだ。ベルカスタイルのプレーヤーは基本的に苦戦するアバターで、桜馬のアバターはアーマーナイトタイプでありながらエクスキューショナーに匹敵する物理防御力を持っている

「これは防衛要員確定かな……」

「守りなら任せとけ!」

ちなみに、前回の戦いで賢斗の一撃で何故こんなに固い桜馬を倒せたかというと、まず賢斗のスキルカード……バックスアタックは相手の防御力を無視して大ダメージを与えるスキルだからであり、その前に俺がある程度体力を削っておいたのも理由だ

「次に静……」

「ハイハーイ!」

静が元気よくカードを置くとアバターが投影される

「またなんとも奇抜な格好だな……これカスタマイズか?」
 
「ハイ!実は前からコツコツとカスタマイズしてました!」

静のアバターは紫を基調としたまるでアイドルの衣装のようなフリルやリボンが沢山着いた可愛らしいジャケットだ。肩や腕は露出しており胸までしか隠せていない……たしか、ベアトップとか言ったっけ?こういう服……

「それで?その手に持ってるのは何だ?」

「何って……マイクですよ?」

「いや見りゃわかるよ……それがお前のデバイス?」

「いぐざくとり~」

「知らん言葉を無理に使うな……」

静のアバターが持っているのは奇抜な見た目のマイクだ。持ち手部分は衣装と同じく紫色で、先端部は金色だ……さらにマイク全体に星だの羽だの色々な装飾品が着いている

「もしかして、歌で支援するのか?」

「そだよー、私の支援魔法は歌いながらやるんだー」

こりゃまたなんとも奇天烈な……

「見た目はともかくステータスは特に問題無し……静も結構な魔力量だな……」

これなら安定した支援が期待出来そうだ

「へっへ~ん」

フン!と静は胸を張って得意げだ……

「んじゃ、最後に俺な……」

俺は自分のカードをエンタークンに置いた。灰色の着物に鬼の面が特長的な自分のアバターが写し出された

「でも……俺のアバターって元々のステータスをそのまま上げた感じだから、たいした特長は無いと思うぞ?」

俺はRPGとかで自分のキャラのステータスはまんべんなく上げるタイプの人間だ

「それでもこの火力は凄いですよ……」

「……そうか?」

賢斗の言葉に首を傾げる

「まぁ、それはそれとして……そろそろ本格的に練習始めるか!」

『ハイ!』

こうして俺達はグランプリに向けて訓練を始めた




~平原ステージ 昼~

一面に広がる青い草原、建造物どころか木の一本も生えていない。今回はこのステージでうちのチームが小細工無しでどれだけ戦えるかを確認しようと思う。グランプリの時のステージが街のような騙し討ちや奇襲をかけやすいステージとは限らない。時として相手と真っ向からぶつからなくてはいけない事があるので今日はその辺を勉強しよう

「よーし、訓練始めんぞー!」

「幹ちゃん先輩~ちょっとタイム~」

「なんだ?」

静が急にタイムを要求してきた

「訓練の前に~皆の仮面御披露目タ~イム。イエーイ!」

「い、いえ~い」

静がテンション高めにこぶしを上げると、賢斗も恥ずかしそうにこぶしを上げた

「そんなわけで、幹ちゃん先輩はちょっと後ろ向いてて~」

「お、おう……」

言われるがまま後ろを向いてから数十秒後……

「オッケー!もうこっち向いていいよー」

言われた通り皆の方を向くとそこには……

「…………おぅ」

四人が各々個性的な仮面を被っていた……取り合えず一人づつふれていこう

「え~と……まず、桜馬……」

「おう!どうじゃ先輩!ワシの仮面は!」

「まぁ……うん」

なんと言うか……

「世紀末にいそうだな……」

「イカスじゃろう!」

桜馬の仮面は鎧と同色の鉄仮面だった……

「何故それにした?」

「単なる好みじゃ!」

アッハイそうですか……

「次に宗輝……」

「どうでしょうか……」

「これは……鷹か?」

宗輝の仮面は鷹の頭部をモチーフにした金色の仮面だった。元々コイツのジャケットは黄色の鎧だが、光沢があるため黄色と言うか金色に近い……よって今では全身金ぴかの非常に目にやさしくない見た目だ

「随分と派手なやつにしたな……」

「私の役割は後衛から相手を倒すこと……上空から獲物を仕留める鷹に似てると思いましたのでこの仮面にしました」

成る程……それなりの理由はあったのか……

「次は賢斗…………」

「はい…………」

俺は賢斗の仮面を見て少し言葉につまる

「なぁ……賢斗?それは……」

「ガスマスクです……」

うん、見ればわかる……

「なんでガスマスク?」

「このくらい隠れてれば、大会で人前に出ても平気です」

そうだ……コイツ大勢の人の前に出るの苦手だったんだ……

「まぁ……その……戦闘に支障が無ければいい……」

「はい……すみません……」

流石にこれは突っ込めない……

「最後に静……」

「むっふっふ……どやぁ」

うん……まぁ……なんと言うか……うん……

「え~と…………蝶か?それ」

静の仮面はジャケットと同色の紫の蝶をモチーフにした仮面だった

「どやぁ……」

「二度言わんでいい……なんで蝶にしたんだ?」

「可愛いから!!」

コイツも桜馬と同じタイプか……

「まぁ……全員出揃ったし、訓練始めんぞー」

「「「「おーー!」」」」

俺も頭に掛けていた仮面を被り。遂にチームでの初訓練が始まった





~T&H フードコート~

といっても……他にもお客さんはいるわけで……俺達だけがずっと練習出来る訳がなく、俺達は次の順番までフードコートで時間をつぶすことにした

「さて……小一時間訓練してみたんだが……これから反省会を始める」

「「「「はーい」」」」

先程の訓練で見受けられた改善点は以下の通り

・賢斗は不意討ちの出来ない状況での一騎討ちに弱い

・宗輝は砲撃などの広範囲攻撃が苦手

・桜馬は防御力はあるけど攻め方が大振りなので相手に当たらずじり貧になる

・俺はそもそもコイツらとの連携に馴れていない

以外なことに静は全く問題なく、支援中も自分への攻撃をうまくかわし安定した支援を続けて見せた

「まぁこの点については数をこなすしかないんだけどな……」

何か他にいい方法は……

「……そういえば、お前らモードチェンジは使えんのか?」

モードチェンジするとプレーヤーのデバイスが変形し長所をさらに伸ばしたり、今までと全く違う戦闘方法が出来たりする。例を挙げるとするならロケテスト第2位の"フェイト・テスタロッサ"なんかは自分のデバイスを杖・鎌・大剣の三つに変形させることが出来る

「一応……私と桜馬の二人は使えますが……実戦で試したことはありません」

「僕は使えません……」

「私も~」

「そう言う先輩は使えるのか?」

「あぁ、一応な……つっても金棒で事足りてるからめったに使わないけどな」

ウチのチームでモードチェンジを使えるのは俺と宗輝、桜馬の三人か……

「参考までに、どんなモードチェンジか教えてくれないか」

もしかしたら、今の問題点を改善する事が出来るやもしれん

「宗輝のモードチェンジはどんな感じだ?」

「私のモードチェンジは大弓ですね……字の如く自分の身長と同じ位の大きな弓です。見た目はこんな感じです」

宗輝はモードチェンジしたアバターカードを見せた。身の丈程の白い大弓を持っている……弓のデザインも変わっており、弓の反り返っている部分……リムという所が翼を広げているようなデザインになっている。また、翼に添うような形で金色の装飾が施されている

「この形態だと、砲撃などは撃ちやすくなるのですが……その分身動きがとれなくなります」

移動小銃から固定砲台になったわけだ……

「うまく使い分ければ、宗輝の問題点は解決しそうだな……」

問題はその使い分けをどうするかだが……

「桜馬はどんな感じだ?」

「ワシのモードチェンジは斧がデッカイ盾になるの……見た目はこんな感じじゃ……」

桜馬のアバターカードを見ると、斧の左右の刃の部分が大きくなり。一つに合わさって大きな盾に変貌しているようだ。さっきの宗輝のモードチェンジと違って、桜馬のモードチェンジは短所を克服するものではなく。長所を伸ばすもののようだ

「攻撃スキルは使えんが、その分大抵の攻撃には耐えられると思う」

「これなら……本格的に防衛担当に向いているかもな……」

「幹ちゃん先輩のモードチェンジってどんなの~?」

「ん?俺か?俺はな……」

俺はテーブルの上に"二枚"のカードを置いた

「先輩ってモードチェンジが二つあるんですか?」

「まぁな……どっちもあんま使わねぇけど……」

俺のモードチェンジは二つ。"棘付鉄球"と"拳鍔"だ……解りやすく言うと、ガン○ムハンマーとメリケンサックだ。

「なんでくるみん先輩の武器って、こんな色物しか無いんですか……」

「知るか俺が聞きてぇわ……」

俺だって剣とか銃とか使ってみたいよ……

「よし!そんじゃ今やってる訓練が慣れたら。次はモードチェンジ込みでやってみるか」

その後も俺達は訓練と休憩を繰り返し外はすっかりと日が落ちてしまった

「今日はこんくらいにしとくか……お前ら、気をつけて帰れよ~」

「はい、それじゃ先輩。また明日もここでの訓練頑張りましょう」

「先輩!明日もよろしくのぉ!」

「幹ちゃん先輩!明日も賢ちゃんに可愛い服着せて来るからね~」

「えぇ!明日も!静ちゃんやめようよ~」

後輩たちはそれぞれ帰路についた

「さて……俺も帰るか……」
 
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