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魔法少女リリカルなのは innocent ~海鳴に住む鬼~

作者:88打
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鬼、結成する

 
前書き
なんか知らない内に主人公の御近所関係がすごいことに…… 

 
~菓家 リビング~

店の奥にある我が家のリビングには俺とお袋、親父の三人と先程俺のベットで寝ていた少女が集まっていた

「いや~驚いたわ~まさか人の姿になれるなんて」

「…………ん」

「……ごめんなさい……アタイ、寝てるときは上手く姿を保てなくて……」

俺の隣に座っているこのウサ耳少女こそがお袋達の引き取った兎で間違いないらしい

「言葉を理解したり話したりする動物は知ってるけど……人に変身するのは始めて見たな……」

「えっと……そんなに見られると…………恥ずかしい……」

おっと……ついまじまじと見てしまった。外でやってたらもれなくお巡りさんが飛んできそうだ

「それで………なんで俺の部屋に?」

「いや……なんか、落ち着くから……」  

「落ち着くのならしょうがないわね~」

お袋、チョット黙ってて……

「でも、家にはもう空きの部屋は無いし……幹太の部屋は広いから問題ないでしょ?」

「問題おおありだよ……」

なんで年頃の高校生が小さい女の子と同じ部屋で過ごさなきゃならんのだ…………ん?待てよ……

「お前…起きてる時は兎の姿を保ってられるんだよな?」

「うん……寝てる時はたまに間違って変身しちゃうけど、起きてる時は大丈夫……」

う~ん…………なら大丈夫……か?

「はいはい!この話はおしまい!お夕飯にしましょう」

「ちょ!おい!」

お袋はそそくさと台所へと消えて行った

「……まぁ、いいや」

年の離れた妹みたいなもんだと思えばいいか……

「えっと……これから……よろしくね」

「おう、よろしく」

その後、四人?で楽しく夕食を囲んだ、あずきは山盛りのサラダをモシャモシャと食べていた




~幹太の部屋~

夕飯を食べ風呂から上がった俺は、寝巻きに着替えて部屋の椅子に腰を下ろし机の上のパソコンでブレイブデュエルのファンサイトを開いていた。このファンサイトでは公式からのニュースや注目の対戦やプレーヤーについてなど色々な事が載っている

「……今週末は色々あったな……」

久し振りのブレイブデュエル、新しい出会いなど……盛りだくさんな週末だった……

「……寝るか」

俺がベットに入ろうとシーツを捲ると

「……」

兎の姿をしたあずきがそこにいた

「……なにやってんだよ」

「ここが気に入ったから……」

俺のベットなんだが……

「…………その姿ままで寝ろよ」

「うん!」

嬉しそうに返事をするあずき……そんなに気に入ったのか?

「……お休み」

「お休みなさい……」

…………そして、朝を迎えた

「……………………」

「…………ふみゅう」

目を覚ますと、人の姿になったあずきが幸せそうに寝ていた。服が所々はだけている

「…………布団出すか」





~菓家 リビング~

部屋からリビングに降り、俺とあずきは朝食を食べていた

「……いただきます」

「いただきます!」

あずきの前にはやはり山盛りのサラダが……兎ってやっぱりベジタリアンなんだな……

「あら、幹太。どしたの?その顔?」

「……いや、なんでも」

実はあの後、起きたあずきに平手打ちをくらい俺の左頬は赤くなっていた

「あれ?叔父さんは?」

「親父なら朝の配達に行ってる」

基本的には平日は親父が休日は俺が配達することになっている

「幹太、今日から子供のお客さんが増えると思うから、早く帰ってきてね」

「わかった……」

「あずきちゃんにはお店のお手伝いしてもらうからね~」

「は~い」

いきなりやらせて大丈夫なのだろうか……

「ごっそさん……そんじゃ行ってきます」

「は~い、行ってらっしゃい」

「行ってらっしゃーい」

二人に見送られて俺は家を後にする。いつも通りの通学路を通り学校を目指す。道中、二軒の家の前を通り過ぎる

「今日も騒がしいな……」

ご近所に住んでいる中島さんとスカなんとか……もとい、スカリエッティさん一家。大きめの木造住宅が中島さん。昔の特撮番組に出てきそうな秘密基地みたいな家がスカリエッティさん。どちらも大家族なのでこの時間に通ると賑やかな声が聞こえてくる

「おぉ、赤子庵とこの坊主じゃねぇか……」

「あっ……中島さん」

後ろから声をかけてきたのは中島家のお父さん。中島ゲンヤさん…たまに家で菓子を買いに来て、たまにこうやって朝にばったり会う時がある

「毎朝賑やかなですね……」

「まぁな……毎日退屈しねぇよ」

苦笑いをしながらどこかで嬉しそうな中島さん

「今日、帰りに水羊羹買いに行くから家の家族分と隣の分…残してといてくれないか?こし餡のやつ」

「そうなると……8つと6つですね、後でお袋に電話しときます」

「悪いな……家の連中も隣の連中も彼処の水羊羹が好きでな……」

「いつもありがとうございます……よろしければ家まで届けましょうか?」

「いいよ、ついでに煎餅も買いたいしな。ここんとこシュークリームだなんだと甘いもん続きでな。たまにはしょっぱい物も食いたくなる……」

「年寄くさいですよ……」

「実際、いい歳だからな……最近は娘たちの相手がきつくなってきた」

「それはなんとも……お疲れ様です」

そんな会話をしながら俺と中島は足を進める。やがて俺の通う学校の近くまできた

「それじゃ、俺はこれで」

「おう、短い高校生活……満喫してこい」

中島さんと別れて、学校の門を潜る。ここは"私立明星高校"、中高一貫の私立高校だ。この学校の特色は高等部になると幾つもの専門学科があり。生徒はその中から1つだけ入る学科を選べる。学科は"スポーツ科、料理科、進学科、デザイン科、音楽科、機械科、電子情報科"など沢山の学科が存在する。ちなみに俺の入っているのは料理科だ。また、校風も変わっており……高等部からは私服での登校が許される。でもまぁ……殆どの生徒は面倒くさがって制服で来る。制服で来ないのはデザイン科の連中か、ジャージで来るスポーツ科の連中くらいだ。あと俺も私服で来てる……目立つけどまぁ……気にする程じゃない

「オース、くるみんおはよう」

「幹ちゃんおはよう、今日も人相悪いね~」

下駄箱の所でクラスメイトに会った

「だから……その呼び方やめろって……」

先程の呼び方は俺の愛称のようなもので、くるみんだの幹ちゃんなどと呼んでくる。愛称があるのはいいことなのだろうが、個人的にはその呼び方はやめていただきたい

「……ん?」

俺の下駄箱の中に何かが入っている……

「……手紙?」

これは……俗に言うラブレターと言うものか……

「いやいやいやいやいや……ないない」

身に覚えが微塵もない、そもそも俺は男子と話すことはあっても女子と話はしない

「えーと、今日の放課後に中庭のベンチで待ってる……か」

まぁ……行ってみれば分かるだろ







~明星高校 中庭~

「…………」

さて……放課後になって中庭に来た俺は只今、絶賛驚愕中だ…………原因は俺の前にいる三人の男女……

「お前ら…………ここの生徒だったのか……」

目の前にいる三人……俺が昨日一緒にデュエルをした……賢斗、桜馬、宗輝の三人だった

「はい、私達三人…全員ここの中等部に在学しています。三人とも三年生です」

「じゃあ……あの手紙は?」

「あれは僕が……実は幹太さんのことは、名前は知らなくても。この学校にいることは知ってたんです」

まぁこんな格好してたら普通分かるか……

「それで?わざわざ呼び出して何の様だ?」

「はい……幹太さん、もしよろしければ私達と一緒にチームを組みませんか?」

「…………すまん、話が見えない。順を追って説明してくれ」

宗輝の言葉がいまいち理解できなかった俺は詳しく説明する様に言った

「解りました。実は、私と桜馬はあの勝負に負けた後……賢斗さんに会いに行ったんです」

「実際に会って、謝りたかったからのぉ……同じ学校なのは知っとったから。担任に頼んで住所を教えて貰ったんじゃ……」

「それで……二人が家にわざわざ謝罪に来て、僕の方ももう気にしてなかったので無事に話がついたんですが……」

何やら勿体ぶった喋り方をする三人

「実はその後、皆してブレイブデュエルの話で盛り上っちゃって……」

「私達三人でチームを組むことになりました……けど」

「ワシも宗輝もロケテストのランキング戦では中間辺りの順位での……賢斗もまだまだあのスキルカードを使いこなせておらんのじゃ……」

三人の表情が少し暗くなる……

「それで?戦力アップの為に俺をチームに誘ってるのか?」

「まぁ……それゆうことになりますね……」

う~ん……チームか……

「…………家の手伝いがあるから、あんまり時間は割けないと思うぞ……」

腕を組み、少し考えた後……俺はそう答えた

「えーと……つまり……」

「OKってことで…………」

「いいんですか?」

桜馬、宗輝、賢斗の三人が少し不安の残る顔で確認をとる

「あぁ……俺なんかでよければ……」

「「ヤッター!!」」

「ありがとうございます!」

桜馬と賢斗はばんざいをしています喜んでいる。宗輝は頭を下げて礼を言ってきた

「それで?当面の目標とかはあるのか?」

チームを組むのなら何かしらの目標も掲げるべきだろう……

「そうですね……まずは私達三人が通り名を貰えるレベルまで成長しなくては……」

「通り名ねぇ…………お前らの実力なら近いうちに取れるかもな……」

コイツらの個々の実力は目を見張るものがある。努力次第ですぐに取れるかもしれない……

「そういえば……近いうちにイベントがあるんですよね………」

「イベント……たしか、ブレイブグランプリ……だったか?」

賢斗の言葉で俺は、今から一ヶ月半くらい先にブレイブグランプリと言う大会が行われるのを思い出した

「……確か、競技はチーム戦のみで詳しい内容はまだ分かっていないとか……」

「まぁ基本的には総当たり戦になると思うけどな…………しかし」

宗輝の発言で、俺は改めてこの四人のチーム構成を考える……

「近距離突発型の俺と桜馬……中・近距離遊撃型の賢斗……遠距離射撃型の宗輝……う~ん」

「どうかしましたか?」

考えにふけってる折れに賢斗が呼び掛ける

「なんつーか……この組合せだと……もう一人欲しくなるんだよなぁ……できれば回復とか支援特化の奴」

「確かに……このチームではいざという時に態勢を立て直せるか怪しいですよね……」

俺の考えに対し宗輝は同じような意見を述べた

「そんなこと言うても、そんな都合よく居るわけやないしのぉ」

桜馬の言う通り、そんな人材がそう都合よくいるはずがない

「あ、あの~……」

賢斗がおずおずと手を挙げた

「どうした?」

「僕の友達に一人、ブレイブデュエルをやってる子がいて……その子のアバターのタイプが確か"クレリック"だったはずなんですけど……」

「クレリック……ちょうど回復と支援特化のアバターだな、その子をチームに誘うのか?」

「はい……たぶん大丈夫だと思います。あの子、こういうの大好きなんで……」

「それじゃ……明日にでも、その子をふまえて全員で今後の方針とか考えるか……」

「そうですね……それでは、明日の放課後にまたこの場所でで落ち合いましょうか……桜馬も賢斗さんもそれでよろしいですか?」

「……うん」

「問題ないよ」

四人で明日の予定を決め、今日はこれで解散することになった。





~赤子庵~

今朝と同じ通学路を通って家に着いた。道中、中島家とスカリエッティ家の前を通ったが今朝とはまた違った賑やかさが漂っていた。裏口の玄関から家に入る

「ただいま~」

「おかえりなさい幹太、早速で悪いんだけど…着替えて店の手伝いお願い」

「あいよ~」

自分の部屋に鞄を投げ、いつも通りに店の名前が入ったエプロンを服の上から着て、一階に向かう

「……ウワォ」

店の中には学校帰りの小中学生たちで溢れていた。順番待ちの子供たちは皆、水羊羹やかき氷を食べながら順番を待っている

「正月とかお盆のとき並の混み様だな……」

目の前の人の群れに少し呆気にとられてしまった

「幹太…お父さんの方はいいから、あずきちゃんの方を手伝ってあげて」

「あいよ~」

俺は早速、あずきの元へと向かった……

「うわー!耳ながーい!」

「尻尾モフモフだ!」

「はわわわわわ……」

見事に小学生のおもちゃにされている……此では仕事にならない。取り合えずあずきを助けた俺は、出来上がった菓子をお客に配ったり、会計を済ませたりしていた。途中、小さい女の子に何度か泣かれそうになったが、なんともなかった。そして、二時間程経過すると先程よりも客入りが落ち着いて来た。そんな時……

「オーイ、水羊羹とっといてくれたか?」

中島さんが店にやって来た

「いらっしゃいませ。水羊羹ならちゃんと残しておきましたよ」

「おう、いつも悪いな……にしても、すげぇ人だな」

中島さんが店内の子供たちを見て唖然とする

「さっきまでもっと沢山居たんですよ……」

「ほぉ~~、最近のゲームの影響力ってのは恐ろしいな……」

「そうですね……あ、これ……水羊羹です。8個入りと6個入り……合わせて14個で1960円になります」

「おう、どうも……それと醤油煎餅も幾つか買ってくか……」

「ありがとうございます」

中島さんは14個の水羊羹と醤油煎餅を二袋、買っていかれた

「幹太~今日はもういいから、部屋で宿題でもやってなさい」

「わかった、そうするよ」

俺はエプロンを脱ぎ、部屋に戻った。学校の宿題をささっと終わらせ、パソコンでブレイブデュエルに関するニュースを見ていた

「……特には何もなさそうだな……ん?」

サイトの注意欄に1つ、気になる事が書いてあった……

「小中学生を狙った高校生や大人による悪質なプレイが見受けられます。見つけた方は直ちに運営までご報告ください…………か」

なんか…………あんまり穏やかじゃなさそうだな………… 
 

 
後書き
~赤子庵 メニュー~

・水羊羹:店主が素材から拘った一品。つぶ餡、こし餡、こし餡抹茶の三種がある

・醤油煎餅:女将が一枚一枚丁寧に焼いた一品。二度漬けされた醤油のしょっぱさが癖になる(一袋15枚入り)

・かき氷:知り合いの氷屋から取り寄せた特別な氷で作った一品。口の中でスッと熔けていく優しい味わいが特長(各種シロップ付きと宇治金時) 
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