IS―インフィニット・ストラトス 最強に魅せられた少女
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第9話 私、自主練します。
「ハアアアア!!!」
気合いと共に血染紅葉を一閃。ターゲットドローンを真っ二つにする。その爆発の中を突っ切って次のドローンが機銃をこちらに向ける。
「フッ!」
足に斥力バリアを纏わせ、蹴り上げる。呆気なく四散したドローンを尻目に次の獲物を見定める。
「………そこッ!!」
瞬時に展開した弓張月で周囲を飛び回るドローンを狙い射つ。一つ、二つ、三つ!
「堕ちろォォォ!!」
拡散モードの秋雨で一気に薙ぎ払う。一度の砲撃で十機余りのドローンを呑み込む。
「まだまだァ!!」
なおも雲霞のごとく現れるドローンにむけて、玉鋼を突進させた。
「ふぅ、こんなものかしらね。」
二十分後。着地した私は玉鋼を解除してアリーナの隅に座り込んだ。予め用意してあったスポーツドリンクを口に含みつつ部分展開してさっきの訓練の映像を確認する。
「うーん。やっぱり弓張月は扱いが難しいわね。もう少し練習が必要か………。」
他の武器と比べてやはり弓張月は取り回しが悪い。けれど、収束モードの秋雨を除けば、そこそこの連射が効いて尚且つ打撃力のある弓張月はこの玉鋼最大の武器だ。
……最も、単純な威力だけなら天叢雲剣の方があるしかくし球もあるけどね?
それでも弓張月の汎用性を考えるともっと使いこなせる様になっておきたい。なにせAP弾や榴弾、散弾といった色んな弾が射てるからね。
「ま、その辺は練習あるのみかな。」
そう言って、部分展開を解除しようとした時だった。
『警告!ISの展開を確認、高エネルギー反応を探知!』
「っ!?」
反射的に玉鋼を全身に纏う。と、同時にアリーナに轟く衝撃音。どうやら狙われたわけではないようだ。
取るも取り敢えず、音の聞こえたアリーナのゲート付近に向かうのだった。
「………なんの騒ぎ?」
ゲートには唖然としている織斑とそれをどこか非難がましい眼で見るセシリア。状況が飲み込めてない様子の篠ノ之さん。そして、壁に右拳を向け、荒い呼吸をしている鈴がいた。その腕には赤い装甲を纏っている。
「………何があったか知らないけど、戦うなら中でやってね?」
「……ふん!いいわ。一夏、覚悟しときなさい!!」
そう言ってアリーナを出ていく鈴。拳を突き出していた壁には、直径30cm程の凹みが出来ていた。
………アリーナの壁って確か特殊合金よね?
「………で?一体何がどうしてこんなことになった訳?」
私の問いに、二人の少女の視線が織斑に集中するのだった。
「はぁ……………。」
織斑から事の顛末を聞き出した時、私の口から漏れたのは溜息だった。だって、ねぇ?言うに事欠いて貧乳って言ったんだよコイツ?しかも気にしてる相手に。私なんかは全く気にしてないからいいけどさ。
それにしても………コイツ馬鹿なの?普通あれだけ押しに押されれば分かるモノだと思うけど。………まあ、それで分からないから唐変木なんだろうな。取り敢えず私が言えるのはただ一つ。
「自業自得ね。」
「うっ!?」
流石に悪い事を言った自覚はあるのか渋い顔をする織斑。だけど知ったことか。
「まあ、本人の言ってた通り試合当日は覚悟することね。」
……さて、一応向こうのフォローもしといた方がいいかな?なかなか名勝負の予感がするからね。出来れば両者共に全力でやってもらいたい。
「ま、頑張んなさい。私はちょっと用事出来たしこの辺で。」
それだけ言い残して、鈴を探すべくアリーナを後にした。
鈴を探すこと自体は然程難しくなかった。ISの位置検索機能に鈴のIS、甲龍を登録していたおかげだろつ。
IS学園校舎の屋上。そこに鈴はいた。ただし、負のオーラ全開で。
「まさか飛び降りはしないでしょうねぇ?」
「楓………。」
今の鈴には、最初に会ったときの元気娘の印象は一切感じられない。余程堪えたのだろう。
「正直恋愛なんか全然分からないけどさ?似合わない顔してまでする意味あるの?」
「似合わない顔、かぁ~~。でも………これは惚れた方の負けって奴よ。」
「…………そーゆーモノ?」
「そーゆーモノよ。」
しばらくの沈黙が降りる。正直理解はできない。と、言うよりも自分より弱い男といても何も感じない。
まあ私だけかもしれないけど。
「ま、いいわ。憂さ晴らしならいつでも付き合うわよ?どっちが強いかそろそろはっきりさせときたいし……ね?」
「ふふん、望むところよ!って言いたいところだけど……一夏との試合まではお預けね。」
「あら?やる気出たみたいね。」
「とーぜん!アイツに後悔させてやるんだから!!」
「おおー!やれやれー!!」
そんな感じで両者を煽りつつ、時間はあっという間に過ぎた。
そして、試合当日―――――
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