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困った王子様

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第六章

「そこに観光客を呼ぶのだ」
「保養地にされますか」
「その様にされますか」
「温泉は」
「そうされますか」
「そうしていく、観光地にも力を注ぐ」
 国家として、というのだ。
「わかったな」
「よく塩山や温泉の位置がわかりましたね」
 家臣の一人が太子に問うた。
「それが」
「聞いていたからな」
「どなたから」
「南の水の都にかつて各地を旅した学者がいてな」
「その学者から聞いたのですか」
「彼の書に書いてあった、我が国のそれぞれの場所にだ」
 まさにというのだ。
「塩山、そしてな」
「温泉もですか」
「ありそうだと書いてあったので人をやって調べるとだ」
 まさにだったというのだ。
「あった、だからな」
「これよりですか」
「掘り出す、わかったな」
「それでは」
「その様にしていく」
 こうしてだった、新王は今度はだった。
 塩山と温泉を掘り出しそれぞれ特産品それに観光地とした。国は田畑も街も潤ってきて借金は瞬く間になくなり。
 豊かになりそこからだった、軍制も整い。
 国は見違えるまでに見事になった、その状況を見てだ。
 民も家臣達も他国の者達もだ、驚いて言った。
「どういうことだ」
「国が一変したぞ」
「驚くまでによくなった」
「国は豊かになり軍隊も見事になった」
「これまでは普通の国だったが」
「帝国領で最も凄い国になった」
「先の戦争でも主力になった」
 この国の軍がというのだ。
「新型の大砲と鉄砲で規律正しい精兵達が戦ってだ」
「そして勝利に貢献した」
「強かったな、あの国の軍は」
「傭兵よりも遥かにな」
「帝国、いや列国でも最強の軍だ
「もうそう言ってもいい」
「あそこまでなるとはな」
 まさにというのだ。
「予想外だった」
「全くだ」
「それに国も豊かだ」
「まさかあの王があそこまでなるとはな」
「想像出来なかった」
「間違いなく愚王になると思っていたが」
「これはどういうことだ」
 その予想が外れたとだ、誰もが言うのだった。
「あの奇矯な王子が名君だと」
「廃嫡しろとまで言われていたというのに」
「自信だけありおかしなことばかりしている王子がか」
「国をあそこまで変えたか」
「塩山から塩を出し温泉地を観光地にしている」
「各国の王侯の保養地にさえなっている」
 そこからも収入があるのは言うまでもない。
「まさかな」
「あそこまでなるとは」
「信じられない話だ」
「こうなるとは」
 誰もが驚いていた、だが。
 先王は皇帝の下に参上してだ、こう皇帝に言った。
「この通りです」
「見事なものだな」
「はい、私も他の子達もわかっていました」
「あの者はだな」
「確かに奇矯ですが」
「それでもだな」
「わかっていたのです」
 既にというのだ。 
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