とある科学の捻くれ者
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2話
ようやく学校が終わった。今日もぼんやりと空を眺めたり、授業を聞いていたりして終わった。あの胸囲教師に、風紀委員という名の地獄に入れられてから数日、風紀委員の仕事をやらされていた。落し物探して届けたら盗んだと勘違いされるわ。銀行強盗を解決したら犯人と勘違いされ電気纏った中学生におそわれるわ、と散々だったが。あれ?おれいい事してるのに勘違いされてばっかじゃね?泣いていいですか?
そして、俺は全く風紀委員をサボ...休まなかった。そろそろお休みを頂こう。うんそうしよう。なんか具合悪い気がするし、本当だよ?ハチマンウソツカナイ。さて、家に帰ってゲームでもやろう。と、そう思って校門を出て家に向かおうとしたら
「どこに行くじゃん?風紀委員はこっちじゃんよ」
...何でいるんだよ。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
で、黄泉川先生に連行され俺風紀委員の前なう。いや、強制労働させるとか何時代だよ。
「次帰ろうとしたら小萌先生に言いつけるじゃん?比企谷?」
「イエスマム!」
「いい返事じゃん」
鬼も逃げ出すぐらいに、笑顔がこわかったです。はい。つか、小萌先生に告げ口とかシャレになんねぇまじで。そうして、般若..もとい黄泉川先生は去って行った。
「あれ?比企谷じゃないか」
え?誰?俺の名前を知ってる猛者は、と思い後ろを振り向くと、見知った顔のツンツン頭が現れた。
「上条か。なんか用か?」
「いや、なんも用はないけどさ」
「おにーちゃん知り合い〜?」
ん?何だこの幼女確かこいつに妹はいない....。まさか
「お前...ついに誘拐を...」
「なんでそうなるんだよ!?普通に洋服店行きたいってこの子が言ってたからセブンスミストに連れて行くだけだからな!!てか、ついにってなんだ!!ついにって!!」
「そんなことなら風紀委員に頼めばいいだろ」
「いやいや、これぐらいわざわざ頼まなくてもいいだろ。ところで比企谷はこんなところで何してんだ?」
「あ、俺?いや、俺はその、あれだよいろいろだ。」
風紀委員になったとかは言いたくない。こいつの周りにいるあと二人のバカに嗅ぎつかれるからだ。
「ん?まぁなんかよくわからんが、俺らはそろそろ行くな」
「おう、じゃあな」
そう言って、俺は上条と別れた。
***
「うす」
「あら、比企谷くんこんにちは」
「比企谷さんこんにちはですの」
「おう」
と、まだここにきて数日だというのに、慣れたもので挨拶をし、カバンを置いて休む体制に入る。
「比企谷さん早速仕事をしてもらいますの。」
「嫌だと言ったら?」
「内臓に針をぶち込みますわよ?」
「やらせていただきます」
そう言い、白井はため息とともに書類を俺の前に置いた。
「全く...ただでさえ虚空爆破事件で仕事が立て込んでますのに...」
「なんだそれ?」
「あなた...ここ数日の話を聞いていませんでしたの?」
まぁ聞いていない。だって会話とか俺が参加してないとこで始まるし、参加する気もないし。あれか、たまに降ってきた話に「おう」とか「そうだな」
とかで、適当に返答してたから聞いてたものと思っているのか。
これは聞いてないとか言ったら針飛んでくるやつだな...だが、ここで聞いているとスルーして会話を振られるのはきつい。よって聞いてなくても相手が納得するような言い訳を言わなくてはならない。ていうか「おう」とか「そうだな」って便利だよね。
「いや、ほらあれだよ。俺一つのことにしか集中できない人だから」
「はぁ...次はありませんの...しっかり聞いて下さいな」
こうして虚空爆破事件の説明が始まった。
***
八幡への説明が終わり、白井はもう一度ため息をついた。
「おわかりいただけましたか?」
「あぁ...まぁな」
「この犯人の狙いはなんなのかしら?」
白井の比企谷に対する説明が終わったことを確認し、固法はぼやくように皆にそう問いかけた。
「動機も目的も一切不明。通り魔じみたことでもやりたいんじゃないんですの?」
と、それに返答するように、白井が自分の意見を口にした。たしかに犯行現場も犯行時刻もばらばらなのだ。それに固法も「そうなのかしらね...」と言い、うーんと2人が考え出したところで
「お前ら本気で言ってんのか?」
比企谷八幡が初めて意見を口にした。
「なんですの?そのそこはかとなくバカにしたような表情は?」
「ばかにしたようなじゃない。バカにしてんだよ」
すると、ムキーと白井が憤るがそれを全く見ずに、スルーし説明を始めた。
「こいつの狙いはそもそも風紀委員だ。」
「なぜそう思ったの?」
「この事件には、能力の他にある共通点があります。それは被害者の中に絶対に風紀委員がいることです。それに、風紀委員9人も怪我してるんでしょう?ならもう確定じゃないですか」
「た、確かにそうですわね...」
と、そう言い、白井は思案しようとしているが、それも中断されることになった。
「重力子の加速を確認!!」
「どこでですの!?」
「第七学区のセブンスミストよ!!」
「そういえば...」
二人はこんな時になんだみたいな目で、八幡を見る。
「初春どこ行った?まさか巻き込まれてるとかじゃねぇよな?」
まさか...と、思い白井は急いで電話をかける。
「初春ッ!!!今どこにいるんですの!!?」
どうやら初春が電話に出たらしく虚空爆破事件の続報について説明をする白井。
「何ですって!!?初春!!?...」
電話が切れ、なぜか白井は焦った様子になっている。
「で、どうだった?」
「初春は...今セブンスミストにいるらしいんですの...それで避難誘導をすると言って電話を切ってしまって...」
「セブンスミストか...なら大丈夫だな。」
「な、何を根拠にそんなことを...」
「いや、俺の同級生で、特異な能力を持つ奴が丁度そこにいてな。そいつはよくトラブルに巻き込まれるやつだから、今回も巻き込まれて、解決してくるだろうよ。それに、お前の大好きな御坂もそこにいるんじゃないのか?」
「そ、そういえばさっき御坂さんと聞こえましたわね...」
「なら、心配するだけ無駄だ。気楽にいこうぜ」
prrrrr prrrr
かかってきた電話を固法がとった。
「はいこちら風紀委員177支部です。...はい、はい...そうですかわかりました。ではこちらからも人員を派遣いたします。」
「続報ですの!?」
「ええ、初春さんは無事ですって。御坂さんが解決したそうよ。」
言った瞬間、白井の顔が心配から安心に変わり、やがて百合に変わった。百合ってなんだ百合って。
「よかったですわ...それにしてもさすがお姉様ですわ!!」
「な?大丈夫だったろ?」
「ええ、そうですわね。比企谷さん」
そう言って、八幡の肩を白井が掴んだ。ぐわしぃ って音がするような掴み方だった。
「何休もうとしてますの?ほら今から現場に行きますわよ?」
白井の笑顔が般若のようになっているのを見て、八幡は思った。
やはり俺が風紀委員なのは間違っている
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