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魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者

作者:niko_25p
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第十二話 ファーストアラート 2

突如発生したガジェットによる山岳リニアレールジャック。

初任務にして難関の事件にアスカ達は挑むが……





魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者、始まります。





outside

ヴァイス・グランセニック陸曹が操縦するヘリに乗り込んだフォワードメンバー。

「スバル、ティアナ。新デバイスでぶっつけ本番になっちゃったけど、練習通りで大丈夫だからね」

スターズメンバーを前にして、なのはが落ち着けるように言う。

「はい」「大丈夫です!」

ティアナ、スバルは良い意味で緊張している。やる気が満ち溢れていた。

「エリオ、キャロも、それにフリードもしっかりですよ!」

リインも、エリオとキャロに声をかける。

「「は、はい!」」

緊張気味に答えるエリオとキャロ。

(マズイな……エリオはまだいいとして、キャロが緊張し過ぎてる)

身体を固くしているキャロを見て、どうしたものかと考えるアスカ。

「ん?」

その時、アスカは自分の名前が呼ばれていない事に気づいた。

「それと、アスカ君は今回はお留守番。ヘリで待機の事」

バンッ!!

大きくコケるアスカ。顔面床ダイブで突っ伏せる。

だが、すぐにバッと起き上がり、なのはに詰め寄った。

「な、何でですか!……オレの場合、デバイスの大幅変更してから訓練をしてないからですね?」

「うん、正解」

キッチリ自分で答えを出したアスカにそうだと答えるなのは。

アスカはガクッと肩を落とす。

「辛いだろうけど、今回はみんなに任せてね?」

言い聞かせるように、なのはが言う。

ティアナやスバルのように、それまで使用していたデバイスのバージョンアップ版なら出撃させたのだが、アスカの場合はストレージデバイスからアームドデバイスへの変更である。

何の訓練も行わないうちに出撃させる事はできない。

それがなのはの考えである。

「……まあ、しょうがない!と言う訳で、エリオ、キャロ、頼んだぞ!」

どこかおどけたように、グリグリと二人の頭を撫でるアスカ。

『無理してるね。きっと心配でしょうがないんだろうね』

その様子を見て、スバルが念話でティアナに話しかける。

『そうね。アタシ達がなるべく二人のフォローをすれば、アスカも安心するでしょう』

ティアナもアスカの様子を伺う。

ただの出撃ではない。機動六課に来てから初めての出撃なのだ。

悔しいに違いない。

だがアスカはそんな感じを微塵も見せずに、エリオとキャロに頑張れよと声をかけている。

(強いわね。アタシなら、不機嫌丸出しになっちゃいそうよ)

いつもと変わらないアスカに、ティアナはそう思った。

「危ない時は、私やフェイト隊長、リインがちゃんとフォローするから、おっかなびっくりじゃなくて思いっきりやってみよう!」

なのはがアスカを除いたフォワード4人にそう声をかける。

「「「「はい!」」」」

スバル達が声を揃える。

「……」

表面上はいつも通りを装っていたアスカだが、その光景を歯がゆい思いで見ていた。





現地に到着するまでの僅かな時間、それぞれが思い思いに精神集中をしている。

「……」

特にやる事のない筈のアスカが、深刻そうな顔をしてキャロを見ていた。

キャロはアスカの視線に気づかず、固く拳を握ったまま口を一文字に結んでいる。

「キャロ」

極度に緊張しているキャロの前まできたアスカは、ギュッと握られている拳を両手で包み込むように優しく触れた。

「は、はい!」

全然気づかなかったキャロはビックリして声を上げる。

そして、アスカが自分の手に触れているのを見て顔を赤くする。

「こんなにギュッて握ってたら痛くなっちゃうぞ。ゆっくり、力を抜いてみて」

アスカは優しく語りかける。

その言葉に従うように、キャロは拳を緩めた。

「大丈夫、うまく行くよ。練習であれだけうまくできたじゃないか。エリオだって助けてくれる。な!」

隣に座りエリオを見るアスカ。

「うん、キャロはボクが守ってあげるから」

その言葉に少しは緊張が解けたのか、キャロはうんと頷き返した。

「それでもキャロが危険な目にあったら、オレが助けに行く。絶対だ。命令違反をしてでも駆けつける」

力強くアスカが言う。

「アスカ君だけ、後で追加訓練になるけどね」

「えぇ~!そりゃないでしょう、隊長!」

さっきまでカッコいいセリフを言っていたアスカが急に情けない声を出す。

思わず笑い出すメンバー。キャロも可笑しそうに笑っている。

(よし、少しは緊張が解けたかな?)

ポン、とキャロを撫でるアスカ。

(ちゃんと、お兄さんしてるね)

アスカの様子を見て、なのははそう思った。

正直な所、出撃を外された時点で腐ってしまうのではないかと心配していたのだ。

初陣はどの部隊にとっても大切な思い出になるのに、それを外されては嫌な気持ちになって当然である。

だが、アスカは出撃を外されても腐る事なく、仲間を思いやっていた。





アスカがキャロに張り付いて色々話して緊張を解している時だった。

「ロングアーチより入電。敵航空戦力接近中!その数50!、マズイですぜ、なのは隊長!」

ヴァイスがロングアーチからの情報を報告する。

「ヴァイス君、私も出るよ。フェイト隊長と二人で空を抑える」

なのはが立ち上がり、出撃準備に入った。

「ウッス、なのはさん。お願いします!」

ヴァイスがヘリの後部ハッチを開ける。外の空気がヘリの中に流れ込み、その風が緊張感を際だたせる。

「じゃあ、チョット出てくるけど、みんなもガンバって、ズバッとやっつけちゃおう!」

「「「はい!」」」「…はい!」

キャロの返事がワンテンポ遅れた。

(まだ緊張がとれないか?)

心配そうにキャロを見るアスカ。そのキャロに、なのはが近づく。

「キャロ、大丈夫。そんなに緊張しなくても」

優しく言い、なのははキャロの頬を両手で包み込む。

「あ……」

「離れていても、通信で繋がっている。一人じゃないから。ピンチの時は助け合えるし、キャロの魔法はみんなを守ってあげられる優しくて強い力なんだから。ね?」

「は、はい!」

キャロが、今度は元気よく答えた。

「うん、いいお返事」

ニコッと笑ってなのはが離れる。そして、開け放たれた後部ハッチまで歩いた。

(……みんなを守れる優しい力…)

なのはの言葉を、アスカは心の中で繰り返した。そして、自分が思い違いをしていた事に気づく。

(そういう事か…)

一人納得してアスカは、ハッチの近くまで歩み寄る。

「隊長、お気をつけて」

アスカが敬礼してなのはを見送る。それに続くように、スバル達も敬礼をした。

なのはは一度うなづき、そしてヘリから空中に身を踊らせた。

「レイジングハート、セットアップ!」





なのはが変身を終え、今度はフォワードメンバーが出撃を待つことになる。

ヘリに残ったリインが任務内容の説明を始めた。

「任務は二つ。ガジェットを逃走させずに全機破壊する事。そして、レリックを安全に確保する事。
ですから、スターズ分隊とライトニング分隊、二人ずつのコンビでガジェットを破壊しながら、車両前後から中央向かうです。
レリックはここ、7両目の重要貨物室。スターズかライトニング、先に到達した方がレリックを確保するですよ?」

「「「「はい!」」」」

声が揃う。キャロに戸惑いは無いようだ。

(さすが隊長だ。オレより上手くキャロの緊張を解いてくれた)

出撃しないアスカは注意深くキャロを見ていたが、もう大丈夫のようだ。

「そして」

リインが空中でクルリと一回転し、騎士甲冑姿にセットアップする。

「私も現場に降りて管制を担当するです!」

出撃前には似つかわしくない、愛らしい笑顔を浮かべた。

(曹長なりに緊張を解いてくれてるんだろうな…)

存在自体が微笑ましいリインを見てアスカはそう思う。

だが、その笑顔の効果があったのはスバルだけだった。

「曹長、カワイイ♡」

「大丈夫なのか?本当に?」





アスカside

オレ達は今、ハラオウン隊長と合流した高町隊長の戦闘をモニター越しに見ていた。

すげぇ……空戦型ガジェットを次々と落としていく。マジで強いわ。

「あんなガジェット、物の数に入んねえな、ありゃ」

油断はしてないだろうけど、余裕を感じる空戦だね。

あんな人に教導つけてもらってるんだから、ありがたい事で。

「さて、新人ども。隊長さん達が空を抑えてくれるおかげで、安全無事に降下ポイントにと到着だ。準備はいいか!」

気合いを入れるように、ヴァイス陸曹が声を上げる。

「「「「はい!」」」」

スバル達の返事に迷いはない。

うん、大丈夫だ。

出撃できないのは悔しいが、今はコイツらを送り出す事に専念しないと。

「行ってこい!」

陸曹がピタリとヘリを安定させる。

この人、何気にすげえな。安定というか、ヘリが空中に固定されたみたいだ。

「スターズ3、スバル・ナカジマ!」

「スターズ4、ティアナ・ランスター!」

「「行きます!」」

高町隊長がやったように、スバルとティアナも空中でセットアップを完了させる。

それを確認した陸曹が、今度はエリオとキャロに声を掛けた。

「次、ライトニング!チビ共、気ぃつけてな!」

「「はい!」」

陸曹の声を受けて、エリオとキャロがハッチに向かう。

その背中を見送る事しかできない…

二人が飛び出したら、もうオレにできる事は無くなっちまう。

「ちょっと待って、エリオ、キャロ」

気づけば、オレは二人を呼び止めていた。

「はい?」「何ですか、アスカさん…あ」

振り返ったエリオとキャロを、オレは抱きしめていた。

「すまない、一緒に行けなくて」

本当なら、オレは最前線に立って二人の壁にならなきゃいけないのに。

そういう気持ちがオレの中で膨らんでいく。

でも、エリオとキャロを不安がらせてはダメだ。ちゃんと見送ろう。

「お前達は二人で一人だ。力を合わせて、乗り切ってくれ。オレはここで待っている」

二人の手を繋がせる。

くそ、言いたい事の半分も言えてねえ。

でも、エリオとキャロは分かってくれたのか、力強く答えてくれた。

「必ず帰ってきます!」

「わ、私も、絶対に!」

本当、十歳なのに強いな。そんな風に答えられたら、もう離れるしかないじゃないか。

「うん、行ってこい!」

「はい!ライトニング3、エリオ・モンディアル!」

「ライトニング4、キャロ・ル・ルシエとフリードリヒ!」

オレが見守る中、エリオとキャロは手を繋いだまま、空中に駆け出す。

「「行きます!」」

ちゃんと、無事に帰ってこいよ、エリオ、キャロ!
 
 

 
後書き
長くなりそうなので、ここで一旦切ります。

えーと、主人公、初陣でお留守番です。

これは意外だったでしょう。はい、自分でも意外でした (゚o゚;;

なのはの性格からして、デバイス変更してからすぐには出撃させないだろうなーと考えてたらこうなりました。

また活躍しないのか…いつ活躍するの?まだでしょ!

普通、ファーストアラートで不安定ながらも活躍するのが主人公じゃないでしょうか!
もしかして、アスカって主人公じゃないのかな?

最近少し不安になります。

次回、なんとか活躍できますように…

毎回、こんな拙い文を読んでくれてありがとうございます。
これからも頑張って続きを書いていきます!
ほんと、読んでくれるだけで感謝感激です!(TдT) アリガトウ!
 
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