魔女に乾杯!
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126部分:第百二十五話
第百二十五話
第百二十五話 負けてから
「ねえ」
美奈子は使い魔達に声をかけてきた。
「私、負けたよね」
「はい」
タミーノとフィガロはそれに答える。
「けれどね、悔しくはないわ」
「悔しくないのですか?」
「ええ、全然」
見ればその顔は実に晴れやかなものであった。
「何か、清々しいわ」
「そうなのですか」
「それでね」
彼女は言う。
「今考えているのだけれど」
「何でしょうか」
「いい?」
彼女は二匹に話しはじめた。自分の考えを。それから姿を消した。だが姿を消した魔女はこれまでの紫の魔女ではなくなっていた。
魔女との戦いから数日経った。華奈子達は今日も塾で魔法を習っていた。
授業はまだはじまっていない。五人はその前におしゃべりに興じていた。
「この前はやったわね」
「そうね」
話題は紫の魔女との戦いのことであった。
「魔女も。これで当分懲りたでしょうね」
「そうよね、あれだけ痛めつけてやったんだから」
華奈子が言った。
「今度出て来たらもっと酷い目に遭わせてやるんだから」
「強気ね、華奈子ちゃんは」
「当たり前でしょ、そのつもりじゃないとあいつには勝てないから」
「それもそうね」
「そういうこと、またギッタンギッタンにしてやるんだから」
「皆さん」
そう言ったところで今田先生が教室に入って来た。
「授業がはじまりますよ」
「あっ、いけない」
「早く席に着いて下さい」
「はあい」
「わかりました」
五人はそれを受けて席に着く。
そして先生に挨拶をした。先生もそれに返す。それが終わってから先生はゆっくりと口を開いた。
「今日は皆さんにお話することがあります」
「お話?」
「何ですか?」
「はい」
先生は華奈子達に応えた。暫く間を置いてからまた口を開く。
「新しい御友達です」
「御友達って」
「誰ですか?それは」
「はい、それは」
入り口に顔を向ける。そして言った。
「どうぞ」
「はい」
「えっ!?」
五人は教室に入って来た。女の子を見て声をあげた。彼女は一体誰なのか。
第百二十五話 完
2006・6・20
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