渦巻く滄海 紅き空 【上】
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百五 白の双璧
前書き
今回場面がころころ変わりますので、わかりにくいかもしれません!また、捏造多数です。
ご注意ください!!
動物や虫の声が夜の静寂に溶け込んでいる。
それらは耳を澄ませば自然と聞こえてくるものだが、ある場所だけ妙に大人しい。
雑然と生い茂る森の一角は、完全なる沈黙に覆われており、虫も動物も息を殺して身を潜めている。
部外者たる人間が立ち寄っているからだろうか。
気配を絶つ事に優れている忍びだけならともかく、忍びとは無縁の二人の人間の存在を、人の気配に敏感な動物達は察したのだろうか。
否、其処が現在動物も虫も寄り付かない理由は、険悪な空気が色濃く漂っているからである。
その原因たる二人の少年は、水を打ったような静けさをよそに、全身から刺々しい無言の応酬を一晩中相手に向かって吐いていた。
口にこそ出していないものの、お互い嫌悪感を抱いているのは明らかで、彼らの間に護衛対象さえ眠っていなければ、すぐにでも掴みかかりそうな勢いだ。
現に、二人の険悪な雰囲気にあてられたのか、護衛対象たる紫苑も魘されているようだった。
遠くに国境の山々を臨む場所。
寂然とした森の中、紫苑を間に挟んで背中合わせで座していた白と君麻呂は、双方とも顔を外へ向けて、お互いの顔を見ないように努めていた。
「…―――僕は貴様が嫌いだ」
「珍しく意見が合いましたね」
ぽつりと沈黙を破った君麻呂の小さな独り言に、白が同意を返した。そこからはもう、堰を切ったように激しく言い争う。
「似たような境遇というのも不愉快だ!」
「僕だって君と似たくなどありませんよ」
稀有な血継限界の一族の生き残り。
白く儚いイメージが強い容姿。
似通った点が多い彼ら二人の心には、いつだって一人の少年の存在が占めている。
心の底から敬愛し、傾倒し、執心しているその存在。
「この任務、僕一人で十分だ。貴様は手を引け」
「今回含め、未来永劫それは無理ですねっ!」
声量こそ抑えているが、今までの静寂が嘘のように、いつもの冷静さをかなぐり捨てて言い合う二人。同時に立ち上がり、射殺すような強い眼光で互いを睨み合う。
「ナルト様をお守りするのは僕だ!」
「ナルトくんの力になるのは僕だ!」
売り言葉に買い言葉と化したその場で、己こそがナルトの右腕だと主張する少年二人は、その時完全に頭に血が上っていた。
いつかこいつに自分の立ち位置をとられるのではないか。
やっと手に入れた自身の居場所を奪われるのではないか。
常に己の存在意義を追い求める彼らは思考まで酷似しており、そういった懸念と焦燥が諍いに拍車をかける。
「ふざけるなっ!ナルト様をお守りするのはこの僕だ!!」
「君がナルトくんの力になれるとは到底思えませんね!!」
「貴様より僕のほうが断然強い!!」
「そんなのやってみないと解らないじゃないですか!第一、君は―――」
両者共に同族嫌悪だと頭の中では理解している。それでも彼ら二人は決して相容れない。絶対に譲れないものが其処にはあった。
だからこそ、白の一言は君麻呂の心を抉るのに十分な殺傷力を秘めていた。
「――ナルトくんを殺そうとしていたくせに…ッ!!」
その一言を言い終えるや否や、ハッと我に返る。完全に失言だった。
視線の先、寸前とは打って変わって真顔になっている君麻呂を見て後悔する。
今のは確実に自分の不用意な発言だった。気まずげに言葉を選んでいる白の耳に、澄んだ声が朗々と響き渡る。
「はい、そこまで」
いつの間に来たのだろうか。
音も気配も無く、口論していた二人の間に自然と割って入ったナルトは、東の空を背に微苦笑を口許に湛えていた。
「夜明けだ。出発しよう」
警護する身でありながら諍いを起こしていた二人をナルトは咎めなかった。しかしながら彼の穏やかな物腰こそが逆に白と君麻呂の頭を急速に冷やしてゆく。
見上げると空は順調に白々と明るんできている。口論に夢中で、朝の訪れに気づかなかった己を恥じ、気まずげに口を閉ざした彼らに、ナルトは何も問わず、ただ出発の準備を促した。
足穂と会話を終えてすぐ、ナルトは白と君麻呂の許へ向かった。夜が明けたので呼びかけようとしたのと、やけに静かな虫と動物に疑問を生じた上での行動だった。
面倒事が起こっていなければ良いが、と微かな期待を抱いていたのだが、その期待はあっさり裏切られる。
もっともナルトが耳にしたのは白の最後の言葉だけだ。しかしながら、君麻呂が常々悔やんでいる過去を回想させる内容に、彼は秘かに眉根を軽く寄せた。ただしその際、ナルトが心の内で抱いたのは、仕方ないなぁ、といった軽い感想だったが。
よってすぐさま素知らぬ顔で白と君麻呂の間に割って入ったのだ。
「……過去は変えられない。でも、」
紫苑を起こしていた君麻呂の耳元で、ナルトは誰にも聞こえぬよう静かに囁く。
弾かれたように顔を上げた君麻呂の視線の先では、ナルトは既に背中を向けて足穂と白の許へ向かっていた。
「過去から学ぶ事で人は成長出来るんだよ」
薄明の空の下、肩越しに振り返って自身を待っているナルトの姿は、君麻呂の眼には太陽以上に輝いて見えた。
(―――――良くも、悪くもね……)
内心自嘲気味に呟かれたナルトの声は誰の耳にも届かない。
辺り一面に立ち上る白い霧。
細かに飛び散る水滴が顔面にかかるのを避けながら、峡谷の合間をナルト達一行は突き進んでいた。轟々と唸る水音に雑じって紫苑の悲痛な叫びが響く。
「や、やめろ!落ちる…っ、降ろせ!降ろせぇえ―――!!」
背中で暴れる紫苑が何度もそう主張するので、ナルトは少しばかり安定している足場に飛び乗った。
途端、振りほどくように背中から降りた紫苑は、ナルト達と距離を取って大声で喚き散らす。
「本当に私を守る気があるのか!?さっきから危なっかしい所ばっかり通りおって!!」
ぜえぜえと肩で息をし、裏返った声で叫んだ紫苑が周囲を指差す。彼女の指し示す光景は、確かに普通の人間にはとても通れない険しい道程だ。
高低差の激しい絶壁。谷間に流れ込む川は急斜面で、もはや滝だ。足場と言えば、水中から直立する石柱ぐらいで、その柱と柱の間も数メートルは離れている。
忍びであるナルト達だからこそ跳躍して進める、かなり複雑な地形の峡谷が紫苑の眼前に広がっていた。
「もっと他に安全な道があるであろう!わざわざ、こんな…っ」
「…――敵の連係は火遁を中心にして組まれています。ですから、水源が豊富な道程を選びました」
聊かうんざりとした眼差しで、白が淡々と答える。
「これだけの水があれば反撃もしやすい…。多少、起伏に富んだ地形である事は否めませんが」
「多少!?これが多少か!!」
猶も声を荒げる紫苑を前に、眉間を指で押さえて君麻呂が軽く溜息をつく。
前回巫女の館に襲撃してきた敵――黄泉配下のクスナ・セツナ・ギタイ・シズク。
彼らの連係術で一度痛い目に遭った白と君麻呂は、二の舞になるのを防ぐ為に、この峡谷のルートを選んだのだ。
その選択にナルトは一切口を出していない。彼はあくまでも白と君麻呂の意向に添って行動している。
ナルト自身、複雑な地形の道程を進む事に抵抗も無いし、このような険しい行程ならば、足穂も到底追い駆けてこないだろうと見越しての事である。
足穂とはあの朝陽を迎えた時に別れた。
紫苑の命令に渋々従って別れたようだったが、あのぶんではおそらく別ルートで追って来ているに違いない。暫く行動を共にして理解したのだが、足穂は真面目な上にかなり頑固な性格だ。
何れにせよ、足穂が別の道で沼の国の祠に向かっているのは確かである。紫苑に命じられ鬼の国へ引き返そうとするように見せかけて、屋敷へ続く道とは別の道へ足を踏み入れていく足穂を、ナルトの眼は秘かに捉えていた。
「此処を越えれば沼の国。封印の祠まであと僅かです――今暫くのご辛抱を」
紫苑の言動に苛立つ白と君麻呂に代わって、ナルトがやわらかく諭す。ぷいっと顔を背けて拗ねる紫苑に苦笑を零して、ナルトは白と君麻呂に念を押した。
「…そろそろ襲撃してくる頃合だろう。守備に徹し、独断専行は慎め」
「「御意」」
白と君麻呂が恭しく頭を下げる。それに顔を上げるよう言いながら、ナルトはこちらを窺う気配を敏感にも感じ取って口許に弧を描いた。
ナルトが既に勘付いているとは露知らず、峡谷の陰に潜んでいた黄泉配下の四人衆は紫苑の姿を目にして、渇いた唇を舌で舐めた。
唾を呑み込んで、気を引き締めるクスナだけが紫苑ではなく、ナルトを注視していた。
「兄さん、早く頼むでありんす!」
チャクラ蟲の危うさを理解していないのか、催促するギタイを呆れた眼で見遣りながら、クスナは己の体内に仕込まれた異物に意識を向ける。
黄泉から手渡されたチャクラ蟲がクスナの身体から飛び出して、そのおぞましい姿を露わにさせた。
ぬらぬら揺れていた三匹の蟲達は、おもむろに前方に立つ三人の青年達の首筋に食いつくと、その身をずぶずぶと体内へ潜り込ませる。
「キタ――――ッ!!でありんす!」
ギタイとセツナの顔が歓喜に歪み、奇声を上げる。クスナのみ、嫌そうに身を捩っていたが、やはり蟲の影響か、額に玉の汗を掻きながらもやがて全身を震わせる。
瞳孔が開き、まるで漆黒の穴の如く、真っ黒に染まる双眸。刺青のような模様が身体全体を覆ったかと思うと、体形の節々が変形してゆく。
両肩が盛り上がったギタイの腕は棍棒以上に太く巨大化し、逆立ったセツナの髪は鬼の角のように尖っている。
細身の体形こそ変わっていないシズクでさえも、その肘からは刃の如き鋭い突起物が生えていた。
異形の姿に成り果てた三人の同志を、クスナは複雑な想いで眺めていた。
本当ならばこのような手段、使いたくは無かった。だが主である黄泉、否、【魍魎】の命令に背く行為を仕出かすほど、クスナは強くない。
それに、チャクラ蟲の力を用いるくらいの事をしなければ、あのナルトという少年には到底太刀打ち出来ないだろう。
対面したのは一度だけだったが、あの一瞬の邂逅だけでクスナはあの少年に畏怖を覚えた。同時に、認めたくはないが、畏敬の念を抱いたのも確かだった。
けれども、自分の主は黄泉なのだ。
もう黄泉への忠誠心が薄れているのを実感しつつも、クスナは己にそう言い聞かせる。
たとえ【魍魎】に身体を乗っ取られていようとも、黄泉自身既に他界していたとしても。
峡谷の遥か先のほうで、大きな水煙が立った。
激しい水飛沫を上げながら次第に迫り来るソレは、龍を象った大量の水。
【水遁・水龍弾の術】の龍以上の大きさを誇るソレが巨大な口を開けて、ナルト達目掛けて押し寄せてくる。周囲の岩を粉砕しながら突き進んでくる水の龍に、紫苑が白を非難した。
「火ではなく水で攻めてきているではないかっ!大外れじゃ」
ピキリと顔を引き攣らせる白と君麻呂を宥めながら、ナルトが冷静に「高台へ上がれ」と指示する。
岩を打ち砕きながら峡谷の合間を縫うように追い駆けてくる水龍を尻目に、彼は周囲に眼を走らせた。
案の定、やや離れた崖の上で水龍を操っているシズクとギタイの姿を視界の端で捉える。
同時に、こちらの動向を窺っているらしいクスナとセツナの姿をも別の崖の上に認め、ナルトは思考を巡らせた。
「君麻呂」
呼びかけ一つで把握した君麻呂が、水龍の術者たるシズクに向かって疾走する。
その間に、ナルトは敵の目的である紫苑に顔を向けた。訝しげに見返した彼女の額を、とん、と軽く指先で触れる。
次の瞬間、ガクンと意識を失った紫苑をナルトは素早く抱きかかえた。何が起こったのかも解らぬまま寝入った彼女を、ナルトは白の背に乗せる。
「任せたよ」
「承知致しました」
ナルトの意を汲んで、紫苑を背負った白が地を蹴る。
怪我の功名か、水龍に追われる内に峡谷を抜け出たようだ。沼の国に続く森の中へ入って行く白を見送りながら、ナルトは素早く印を結ぶ。
その背後から迫り来る水の龍。
鎌首をもたげ、カッと口を開いて今にも呑み込もうとする龍を、ナルトは平然と仰いだ。
瞬間、龍を象った水が弾ける。
術者であるシズクの集中を君麻呂が途切れさせたのだ。術が解け、水龍は形を失い、ただの水に戻る。龍の名残の水飛沫が、雨の如くナルトに降り注いだ。
「…さて、」
白の後を追う影二つ。君麻呂の前に立ちはだかる影二つ。
標的の紫苑を背に駆ける白を狙うクスナとセツナ。君麻呂と対峙しているシズクとギタイ。
「一人は君麻呂に任せるとして、残りは……」
頭から被った水が顎を伝って地に落ちる。それを拭いながら、ナルトは不敵な笑みを浮かべた。
「…—――俺が相手をするか」
「来たでありんす」
「……の、ようだな」
近づいて来る君麻呂の姿を真正面から見据え、ギタイとシズクは手筈の再確認をした。
「わかってるね?ウチらの役目は―――」
「奴ら全員、あちきがやってもいいんでありんすよ?」
シズクの言葉を遮って、ニヤニヤと嗤うギタイの視界を五つの白いモノが横切った。
それは殺傷力を伴う白い弾丸—――君麻呂の【十指穿弾】。
飛ばされた指の骨飛礫がシズクの足場である岩場に打ち込まれる。ギョッとしたシズクが慌てて後方へ飛び退いた。
集中力が途切れ、水龍が弾けて水に戻る様を遠目で確認し、チッと舌打ちする。
だが体勢を整える前に、ひゅっと何か弦のようなモノがシズクとギタイ目掛け、襲い来る。
反射的に身を屈めたシズクの頭上を通り過ぎたソレは、ギタイの巨体を弾いた。
チャクラ蟲により巨大化しているにもかかわらず、ギタイの身体を吹き飛ばしたソレは、骨で形成された鞭。
背中から引きずり出した脊柱を手に、一瞬で間合いを詰めた君麻呂がシズクに向かって鞭を薙ぐ。
「ぐ…っ」
背を仰け反らせて脊柱の鞭を辛うじてかわす。寸前まで己が立っていた岩場が砕かれて濛々と土煙を上げた。
君麻呂の速過ぎる攻撃にシズクは冷や汗を掻く。吹き飛ばされたギタイがようやくこちらへ来る気配を感じ取って、シズクは油断なく身構えた。脊柱の鞭がしなり、君麻呂が再び攻撃を仕掛けてくるのを警戒する。
しかしながら、シズクの警戒態勢をよそに、鞭は振るわれる事なく君麻呂の手の内に戻ってゆく。
怪訝な顔をするシズクの背後で、澄んだ声が唐突に響いた。
「君麻呂。お前は、もう一人の男のほうを頼む」
「はっ」
言葉少なに会話を終わらせた敵側の人間が、己のすぐ後ろにいる事実にシズクは一気に血の気を失った。
ハッと我に返って飛び退くと、何時の間にか背後で立っていた人物がにこりと微笑む。
愕然と立ち竦むシズクの背中を、先刻君麻呂と対峙した際とは比べ物にならないほどの量の冷や汗が伝っていった。
「…ボクちゃんは、一体、何者なのかな…?」
自然と震える全身を叱咤し、精一杯の虚勢を張ってシズクは問うた。
ボクちゃん、という聞き慣れない呼ばれ方をされた当の本人は、きょとんと眼を瞬かせる。
己の指示通り、ギタイと対峙している君麻呂をちらりと見遣ってから、ナルトは青い双眸をゆるゆると細めた。
「決まっている」
その瞳の奥ではシズクを始め、クスナとセツナ二人の姿をもしっかと捉えていた。
「君達の邪魔者だよ」
沼の国の祠を目指して、白はただ一人森の中を突き進んでいた。
なんとか峡谷を抜けた彼は周囲を警戒しつつも先を急ぐ。木から木へ飛び移りながら全速力で駆け抜けていた白は、不意に聞こえてきた妙な音に気付いて肩越しに後ろを見遣った。
鋭い風切り音と共に、飛来してくる大振りの手裏剣。
敵が放ったのであろう五つの手裏剣がこちら目掛けて飛んでくる。白は紫苑を背負ったまま、後方に向き直ろうとした。迎撃の構えを取ろうとする。
「振り返るな」
瞬間、一つ残らず弾かれる手裏剣。
白が後ろを向こうとした寸前に聞こえてきた声は、彼が心底傾倒する存在のものだった。
「ナルトくんっ!」
「行け」
ナルトの言葉通り、白は振り返らなかった。それだけの信頼と安心感がナルトにはあった。
そのまま走り去る白を視界の端に捉えながら、ナルトは手裏剣が飛んできた方向を探る。木陰に身を潜めている人物がくいっと指を動かすのが見て取れた。
すると、先ほど弾き飛ばした手裏剣が再び飛来する。今度は不規則な動きであらぬ方向から飛んできたそれらに、ナルトは眼を眇めた。
「風遁か…」
「ご名答」
風遁のチャクラを込めた手裏剣をくるくる回しながら、セツナが嘲笑する。
セツナと並行して走るクスナがにやりとこちらを見て同じように嗤った。
君麻呂の足元の岩場が大きく盛り上がる。微塵も動揺せずに飛び退いた彼は、岩を迫り上げた張本人を冷静に見上げた。
先ほど脊柱の鞭で弾いたギタイが額に青筋を立てて、岩壁の上から見下ろしている。
「やってくれるでありんすね~…」
無表情でこちらを見据える君麻呂を、ギタイはじとりと眺めた。
脊柱で吹き飛ばされた事がそれほど不快だったのか、それとも館を襲撃した際に傷を負わせられた事を根に持っているのか。
どちらにせよ、彼の眼にはもはや君麻呂しか映っていない。何時の間にか現れていたナルトの存在にすらギタイは気づいていなかった。
「あんたの骨はどんだけ硬い物に耐えられるでありんすか?」
ナルトとの間を裂くように立ちはだかる岩壁とギタイを仰ぎ見ながら、君麻呂は鞭を眼前に掲げた。
「―――万物に」
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