英雄伝説~菫の軌跡~(零篇)
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第81話
~太陽の砦~
「はぁああ……………うおおおぉぉぉっ!!」
「スゥゥゥゥ………ハアッ!!」
「みんな、行くわよっ!!」
戦闘開始時、ロイドとレンはそれぞれ自分自身の様々な身体能力を強化するクラフト―――ブレイブハートと軽功で自分達を強化し、エステルは掛け声をかけて仲間達の闘志を高めて攻撃力を上昇させた。
「エニグマ駆動……!」
「ダブルドライブ開始………!」
エリィとティオがそれぞれアーツを放つ為に戦術オーブメントを駆動させ始めたその時
「「――――――――!!」」
翼竜達は”魔”の衝撃波の風を発生させて攻撃と共に敵の行動を妨害するクラフト―――魔塊烈風でロイド達を攻撃し、敵の攻撃によって二人の戦術オーブメントの駆動は止められた。
「シャアッ!!」
そこにアーネストがロイド達目がけて飛びかかり
「させるかよ!」
飛びかかって来たアーネストの剣をランディがスタンハルバードで受け止めた。
「おぉぉぉっ!!」
「何ッ!?」
ランディとつばぜり合いをしていたアーネストだったがヨシュアの魔眼によって自身の動きが僅かに封じ込められてしまい
「ライオットバスター!!」
「ハァァァァァ……せいっ!!」
「吹き飛べぇっ!!」
「ガッ!?」
その隙を逃さないランディとランディが攻撃を受け止めている間にアーネストに近づいたエステルはそれぞれ力を溜め込んだ後武器をを思い切り振りあげて強烈な一撃を叩き込み、二人の攻撃が命中すると二人に続くようにアーネストに接近したレオニダスが全身を回転させて周囲の敵にマシンガントレットで攻撃するクラフト―――マキシマムスピンで追撃すると共にアーネストをふっ飛ばした。
「ダブルドライブ開始………!」
「「―――――」」
アーネストがふっ飛ばされたその時ティオは再び戦術オーブメントを駆動させ、ティオの行動に気づいた翼竜達は再びオーブメントの駆動を妨害する為に”魔”の衝撃波の風を発生させようと翼に”魔”の気を溜め込んで衝撃波を放とうとしたが
「おっと、させへんで?」
「無駄よ!!」
「「!?」」
ゼノが狙撃で一体の翼竜の行動を妨害し、ルフィナが法剣の刃を伸ばして叩き付けるクラフト―――アークフェンサーでもう一体の翼竜の行動を妨害した。
「エリィお姉さん、しっかりついてきてね♪」
「レンちゃんこそ、遅れないでね!」
「「バレットワルツ!!」」
「ガアッ!?」
そこにレンとエリィが息もつかせぬ怒涛の銃撃をアーネストも巻き込んで翼竜達に叩き込んだ後止めに大爆発を起こす特殊な弾丸を同時に放って大爆発を起こして追撃し
「やあっ!ラストディザスター!!エクスクルセイド!!」
「グアアアアアア――――ッ!?」
「「―――――――!!??」」
仲間達が攻撃している間にオーブメントの駆動を終えたティオが二つの高火力アーツを発動し、アーネストと共に襲い掛かる二種類の空属性の衝撃波をその身に受けた翼竜達はダメージに耐えきれず、悲鳴を上げながら消滅した。
「貴様ラ……!オォォォォォ――――ッ!フンッ!ソノ魂魄、喰ライ尽クス……!怨!!」
ロイド達との戦闘によってかなりのダメージを受けたアーネストは魔剣を地面に突き刺した。すると暗黒の魔方陣がアーネストを中心に発生し、魔方陣が戦場全体に広がってロイド達の体力を奪い、奪った体力の一部をアーネストに還元してアーネストの傷を回復させた。
「みんな、今回復するわ!女神の御加護を――――セイクリッドブレス!!」
「リカバーモード起動……これでもう大丈夫です。」
アーネストのSクラフト――――闇神楽によるダメージを回復する為にルフィナとティオはそれぞれ回復のクラフトで自分や仲間達のダメージを回復し
「オォォォォォ………!」
「行くわよ……!ヤアッ!!」
「させるかいな!!」
力を溜め始めたアーネストの行動に気づいたエリィとゼノはそれぞれ敵の行動を妨害するクラフト―――ワイルドスワン、スタンショットで妨害しようとしたが魔人と化したアーネストには無数の銃弾を受けて傷は負っても怯まなかった。
「怨!!」
そして力を溜め終えたアーネストは炎を宿した拳でレンに襲い掛かり
「うふふ、どこを見ているのかしら?ニャン戦吼!!」
「ヌウッ!?」
対するレンは武器を収めて無手の構えでアーネストの攻撃を身体を横にずらして回避した後アーネストの背後に猫の姿をした闘気の塊を叩き込み
「鳳凰天駆!!」
「グッ!?」
続けて全身に鳳凰のオーラを纏って突撃してアーネストにダメージを与えると共にアーネストから距離を取った。
「たぁっ!」
「せいっ!」
「小癪ナッ!」
レンと入れ替わるように左右から攻撃を仕掛けて来たエステルとヨシュアの攻撃をアーネストは魔剣を振るって弾き
「えいっ!」
「喰らえやっ!」
「無駄ダ!」
「「!!」」
それぞれ銃撃で追撃してきたエリィとゼノの攻撃を側面に跳躍して回避した後拳から魔の雷を解き放つクラフト―――紫電掌を放ち、襲い掛かる魔の雷を見た二人は咄嗟に側面に跳躍して回避した。
「アークス駆動―――グランシュトローム!!」
「ヌッ!?」
その時オーブメントの駆動を終えたティオが戦場全体に水の竜巻を発生させてアーネストにダメージを与えると共にアーネストの全身を水で濡らし
「そこだっ!ハアッ!!」
「ガアアアアアアア――――ッ!?」
水にぬれた状態なら電撃をよく通す事を理解していたロイドが電撃を流し込んだトンファーでアーネストを攻撃してアーネストを感電させて怯ませた。
「良い連携だ!ダイナマイトスパイク!!」
「ガアッ!?」
レオニダスはティオとロイドの連携に感心しつつ、感電で怯んだ事によってできたアーネストの隙を逃さないかのようにアーネストにマシンガントレットを突き刺して爆発を起こして追撃を叩き込むと共にアーネストをふっ飛ばして壁に叩き付けた。
「「アークス駆動―――エクスクルセイド!!」」
「オオオオオオオオ――――ッ!?」
アーネストが壁に叩き付けられるとレンとルフィナが発動したアーツによってアーネストの足元から空属性の衝撃波が発生してアーネストを襲い、”魔人”と化した事で”光”を意味する空属性が弱点であるアーネストは二人が放った空属性の上位アーツによって大ダメージを受けると共に怯んだ。
「赤き夜の死神よ、戦場を駆け、兵どもを貫け………! はあああっ! デススコルピオン!!」
そこに膨大な闘気と殺気を纏ったランディが荒々しい突進攻撃をアーネストに叩き込んだ!
「ギャアアアアアアア―――――ッ!?バ、馬鹿ナ………ッ!?」
ランディが放った猟兵時代のランディの切り札であるSクラフト―――”ベルゼルガー”をスタンハルバード用にしたSクラフト―――デススコルピオンによる大ダメージを受けた事によって今まで蓄積していたダメージが限界に来たアーネストは魔人と化した自分がロイド達に敗北した事に信じられない思いを抱きながら戦闘不能になり、戦闘不能になったアーネストは元の人間の姿に戻って地面に倒れて気絶した!
「はあはあ………」
「と、とんでもない強さだったわね………同じ秘書でも誰かさんとはえらい違いだわ………」
「うふふ、その”誰かさん”は強さに関してはこっちの秘書さんを見習うべきよね♪」
アーネストの戦闘不能を確認したロイドは戦闘による疲労と安堵で息を切らせ、疲れた表情で溜息を吐いたエステルの意見にレンは小悪魔な笑みを浮かべて同意した。
「まあ、こちらの彼は元々武闘派みたいだし………しかし”グノーシス”……どこまで常識外れなんだ……?」
「…………………………」
ヨシュアが考え込んでいる中エリィは複雑そうな表情で黙り込んだ後アーネストに近づいてアーネストの脈を計った。
「……生きているか?」
「ええ………何とか。かなり消耗したみたいだからしばらく動けないでしょうね。」
「そうか……」
「まあ、ここに放っておくしかありませんね。」
「ああ………とっとと先に進もうぜ。」
「そうだな……エリィ、行こう。」
ティオとランディの意見に頷いたロイドはエリィに先に進むよう促し
「ええ…………(………さようなら。アーネスト先生。)」
促されたエリィは頷いた後、心の中でアーネストと決別した。その後奥へと進み続けたロイド達は砦らしき場所の入口で待ち構えているガルシアを見つけ、それぞれ武器を構えてガルシアに走って近づいた。
「ガルシア・ロッシ………!」
「フン…………ここに居たのかよ。」
ガルシアに近づいたロイドは声を上げ、ランディは目を細めてガルシアを睨んだ。
「………………………」
一方ガルシアは何も語らず虚ろな目でロイド達を見つめていた。
「やっぱり………」
「マフィア達の話を聞き、予想はしていたが………」
「どうやら他のマフィアと同様操られてしまったみたいですね………」
「チッ、元とはいえ”西風”の部隊長を務めていた奴があんな小物如きの傀儡になっているなんて、あの世で団長が嘆いているで!?」
ガルシアが”グノーシス”を投与されてヨアヒムに操られている事を悟ったエリィは表情を引き締め、レオニダスとティオは考え込みながら呟き、ゼノは舌打ちをしてガルシアを睨んで声を上げた。
「………ジンさん並に大きな人ね。なんかやたらと手強そうだけど……」
「元”西風の旅団”部隊長にして”ルバーチェ商会”の若頭………戦闘力は折り紙つきだろう。」
「ま、こっちには”現役”の”西風の旅団”の隊長クラスが二人もいるから楽勝よ♪」
「もう、レンちゃんったら……油断は禁物よ?」
ガルシアの事を知らないエステルにヨシュアは自身の知る情報を教え、ガルシアを嘗めている様子のレンにルフィナは呆れた表情で指摘した。
「………………」
ロイド達と対峙したガルシアは何も語らず全身に凄まじい瘴気を纏った。
「どうやら魔人化する気配はなさそうだけど………手の抜ける相手じゃなさそうだ。」
「おい――――キリングベア。聞こえてねぇかもしれねえがあんたのお望み通り全力で行かせてもらう……悪名高き”闘神の息子”の力、その目に焼き付けておきな………!」
ロイドがガルシアの様子を警戒している中ランディは不敵な笑みを浮かべてゼノから借りているブレードライフルを構えてガルシアを睨んだ。
そしてロイド達はガルシアとの戦闘を開始した―――――!
ページ上へ戻る