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千年の答え合わせ

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出逢い
本因坊
  01

「ありがとうございました」
ヒカルは呆然とする相手に頭を下げた。
「進藤ヒカル本因坊、タイトル奪還おめでとうございます!!」
幽玄の間を出たところで、ヒカルは大勢のマスコミに囲まれた。
「最年少で奪還されましたが、今のお気持ちは!?」
「桑原名人はどうでしたか?」
「なにかファンに向けてメッセージを!」
それらすべてにヒカルは一人一人対応していく。対局のあと疲れているのだが、マスコミに対応するのも仕事の1つだと考えているヒカルは、笑顔を作り無理にインタビューに応じていた。そんなヒカルを救ったのは、
「進藤!」
紛れもない塔矢アキラだった。
「あ、塔矢」
「こっちだ!」
アキラはヒカルをぐいぐいと引っ張っていく。その力にヒカルは負けてアキラのされるがままだった。
「ふう、ここまでは追ってこないな」
非常階段の踊り場で2人は安堵のため息をつく。
「ありがと、塔矢」
「ありがとうじゃない!君も疲れているんだから、マスコミなどに対応する必要はないんだ」
「だよな」
ヒカルはにへら、と笑う。
「言うのが遅れたが、本因坊奪還おめでとう。君ならしてくれると思ったよ」
「へへ」
ヒカルはニヤニヤと頬をかく。アキラがヒカルを褒めるのは初めてだったので、とてつもなく嬉しい。
「このあと授賞式があるだろ?マスコミも来ているだろうし、行ってこい」
「うん!」
ヒカルは扇子を開き、顔を隠しながら颯爽と歩いていく。その姿を見て、またアキラは笑いそうになったが、ぐっとこらえた。

『進藤、おめでとう』
『お前ならやってくれると思ったぜ』
『和谷なんか、対局中に何回もトイレに行ってたのよ!進藤よりも緊張してたわ』
『あっ、こら!言うなよそれ!』
授賞式のあと、ヒカルは院生時代の仲間と打ち上げをしていた。まだ18なのに、ビールの缶が何本も空いている。いざとなったら伊角さんのせいにすればいい、というのが和谷の言い分だ。だが、伊角はあいにく烏龍茶を飲んでおり、言い訳にしか聞こえない。
打ち上げが終わり、べらぼうに酔ったヒカルは、迎えにきたアキラに背負われて夜道を帰っていた。
「まったく、酒はあまり飲むなと言っただろう」
「だって皆が飲め飲めって言うんだもん」
「この後打つか?」
「えー、オレ酔ってるから負けるじゃん」
「僕もこの後飲むよ、それでどう?」
「マジか。いいぜ」
月は2人を優しく照らしている。今夜は満月だった。
「月が綺麗だな」
「ん?あー、本当」
ヒカルは思い首を上げて月を見上げる。妖しく光っているように見えた。 
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