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孤立無援

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2部分:第二章


第二章

「ここに何時までいてもな」
「仕方ないっていうんだな」
「ああ、レーションは今はあるけれどな」
 それはある。しかしだというのだ。
「それもなくなるだろ」
「だからか」
「そうだよ。食いものがなくなればな」
 どうなるか。このことは言うまでもなかった。
「餓え死にだぜ。山の生き物とかを狩って食うんなら別だけれどな」
「そうするか?」
 ジョーンズは半分以上本気でバルボンに応えた。
「それじゃあな」
「いや、だからそれはな」
「けれどよ。この山はあれだぜ」
 ジョーンズはそのバーグマンを見ながらだ。バルボンに話したのである。
「本当にベトコンのいる場所だからな」
「何があるかわからないっていうんだな」
「ベトコンは特別だよ」
 アメリカ軍にとってだ。まさにそうした敵になっていたのだ。
「何時何を仕掛けてくるか、何を置いているかな」
 わからないというのだ。
「そんな相手だからな」
「この洞穴から下手に出られないっていうんだな」
「ああ、俺はそう思うぜ」
 ジョーンズは真面目な顔でバルボンに答えた。
「まあ確かに食い物は心配だがな」
「それに銃弾もだな」
 マニエルが言うのはこれのことだった。
「それも何時までもつかだな」
「今はまだ結構持ってるけれどな」
 ジョーンズはマニエルに続く形に言った。
「それでも。敵が来ればな」
「俺達は今部隊とはぐれてるんだぞ」
 マニエルはこの現実を話した。
「何の補給を得られないんだ」
「じゃあ御前はあれか」
「ここから出るべきだっていうんだな」
「ああ、そう思う」
 マニエルはこうバーグマンとジョーンズに話した。
「さもないと本当に餓え死にだぜ」
「ったくよ。真っ二つかよ」
 バルボンは仲間達の話を聞いたうえでぼやいた。肩を竦めさせながらの言葉だった。
「余計にややこしいことになったな」
「そうだな。本当にどうしたものかな」
「一体な」
「救援は来るかね」
 バーグマンは希望を口にした。
「それはどうだろうな」
「さあな。一応連絡はしたけれどな」
 トランシーバーを出してだ。ジョーンズが話した。
「この山にいるってな。だから運がよかったらな」
「来てくれるんだな」
「運がよかったらな」
 あくまでだ。その場合はだというのだ。
「まあ少し待つべきかな」
「その前に餓え死にするかベトコンが来ないことを祈るか?」
「救援が来るまで」
 ジョーンズの言葉を聞いてだ。バーグマンとマニエルはこう言った。
 そしてだ。バルボンも言ったのだった。
「まあ。話はこれ位にしようぜ。今はな」
「とりあえず休むか」
「ああ、そうするか」
 四人はとりあえず休んだ。そしてだ。
 その場に寝て姿を休めた。しかしだった。
 朝になるとだ。山の仲が騒がしくなったのを感じた。それでだ。
 お互いに顔を見合わせてだ。こう話したのだった。
「おい」
「ああ、何か違うな」
「山が騒がしいぜ」
「何かあったのかよ」
 四人で顔を見合わせながら話す。そしてだ。
 ジョーンズがだ。こんなことを言った。
「味方だったらいいけれどな」
「だよな。アメリカ軍なり南ベトナム軍なりな」
「確か近くに韓国軍も展開していたな」
「来ていないのはオーストラリア軍位だったな」
「あの国の軍隊は後ろの方にいたな」
 まずは友軍のことが確認された。しかしだ。
 
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