暗闇を照らす白き日差し【影に身を委ねた一夏】
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更識姉妹
第8話 オープン・ユア・ハート Ⅱ
前書き
更識姉妹の仲直り、そして悪友の登場
簪SIDE
白夜が部屋から出て行ってお姉ちゃんと二人っきりになった私は不安になった。あのお姉ちゃんと二人っきりなんて小さい時以来だし、何より誰かと一緒じゃないと不安で仕方ない。
でも、私は白夜が言ってた通り、お姉ちゃんとの関係を戻したくてここに来たんだし、今更後戻りなんか出来ない。
楯無「ねぇ…簪ちゃん……」
簪「な…何……?」
最初に口を開いたのはお姉ちゃんだった。それはいつもの事、だけど今回はいつもと違って緊張しちゃう。
楯無「そ…その……いままでゴメンね。私のせいで簪ちゃんが色々…不幸にさせて……私、お姉ちゃんとして…失格ね……」
簪「!」
それを聞いて驚いちゃった。いつものお姉ちゃんなら落ち込む姿は一切見せないのに、今回は私の事でこんなに……
違う…違う……一番駄目なのは…私なのに……
簪「そんな…事はない……一番駄目なのは…私のほうなの……だから……ゴメンなさい……」≪グス……≫
いつもいつも私は、お姉ちゃんとは違って駄目だから…ずっとお姉ちゃんの足を引っ張って来た。だから……悪いのは…お姉ちゃんじゃなくて…私なのに……
そう思うと…うっ…涙が…グスッ……出て…グスッ……止まらなく…グスッ……なる……
楯無「そんなことはないわ」
簪「えっ?」
楯無「あなたはとても立派で強いのよ。そして、私の大切な妹なのよ」
簪「うっ…うっ……」
嬉しかった……いままで…ずっと、私に冷たいって思ってたお姉ちゃんが…私を大切にしてくれていて……そして、私を認めてくれていて……それだけで…嬉しかった……
そして、いままでの私は…何も知らなかったって気付かされた……こんなことなら……もっと前から向き合うべきだったんだ…お姉ちゃんと……
簪「うっ…うっ……お姉ちゃん…お姉…ちゃん……」
今だから言える、“いままでの私は全て間違っていた。”って。そして…今だから言える……私の大切なお姉ちゃん、そして…アニメにも出て来るダークヒーローのような…白夜……二人とも……
簪「大好き!」
その後私達は、姉妹としての絆を確かめて…互いに抱き合った……もう二度と、一人で悩みを背負わないことを誓って……
_______________
白夜SIDE
二人の話を邪魔しないようにと廊下に出て扉のすぐ隣に立ち、そして予め部屋に設置しておいた盗聴器で二人の話を聞いていた。どうやら話し合いは上手くいったみたいで、こっちとしてもやり甲斐があったと誰にでも誇れる。
千冬「やれやれ、やる事はやって後は他人に任せるとはな。殺し屋がやる事じゃないと思うがな」
そこにやって来たのは状況を見にやって来たのか織斑先生だった。
白夜「そう言うあなたこそ、厄介事を山田先生辺りに任せるところで人の事が言えないと思いますが?」
千冬「なかなかキツイことを言うな。まあ確かに、それは否定出来んしな」
だろうな……
千冬「それで、更識姉妹はどうなった?」
白夜「予め仕掛けておいた盗聴器で内容を聞いていますが、どうやら仲直り出来たみたいです」
千冬「そうか、それはそれで安心だな。更識の専用機も完成したしな」
簪の専用機が完成したことを知ってるなんて、一体どこまで知ってんだよ?
千冬「それはさておき、昨日お前から格納庫には誰も居ないと報告を受けたが、どうやら簪が居たらしく、しかも簪と作業してるのがカメラに映ってたが一体どういうつもりだ?」
そこかよ……てか、それはそっちもだと思うけど……
白夜「ならばこちらからも言わせて頂きましょう。
その件について後で簪から聞きましたが本人、“ちゃんと山田先生に話して許可をとった。”って言ってましたよ?それで念の為山田先生本人に問い合わせた結果、簪が格納庫の使用許可をとってたのは事実だったそうですが、それなのに格納庫に鼠が居るとか言うのはおかしくありませんか?それとも知らなかったのですか、その日簪が格納庫を使ってた事を?」
千冬「うっ…そ…それは……」
白夜「雇い主にこんなことを言うのはどうかと思いますが、知らなかったのに調べろとか……教師として失格だと思いますが、どうなのですか?もしそれを他の誰かが知ろうものなら、幾らあなたでも簡単には済まされませんよ?」
千冬「……、やも得ん。今回の件は不問にしよう……」
白夜「適切な判断ですね」
まあこれで織斑先生の弱味を握ったも同然だが、だからって本人をこれ以上追い詰める気はないし……今回の事は忘れっとすっか……
それから数分、出て来た会長と簪には笑顔が見てとれた。姉妹としての、家族としての絆を取り戻したみたいだ。
良かった良かった……
それから2人はその場を後にし、箒の部屋へ行ってたマドカを呼び戻してその日は終わった。
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白夜SIDE
翌朝の一年一組の教室。
「白夜くん聞いたよ。生徒会長と妹さんの仲直りに助力したって」
「それに妹さんの専用機の完成を手伝ったって」
本音「かんちゃんの専用機の完成には私も手伝ったよ〜」
白夜「ああそうだったな、その件はありがとな」
本音「エヘヘ〜、“ビャッキー”に褒めてもらった〜♪」
“ビャッキー”ってなんだよ……まあいいか…別に一夏で呼ばれてるんじゃないんだしさ……
話題になってたのは夕べの話だった。まあ手助けしたのは事実だし、その件は織斑先生に伝えた通りだから否定は出来ない。
ーーーー
「ところで白夜くん、転校生の話聞いた?」
白夜「転校生?いや、織斑先生から何も聞いてないけど……」
そこから話は所変わって転校生の話へと移り変わった。
「噂によると、中国の代表候補生なんだって」
中国の代表候補生?だとすると結構な数が出て来るが……特定は出来んな……
セシリア「白夜さん確か、ドイツとフランスとイギリス、そしてアメリカと中国と日本の代表候補生の名は頭に叩き込んであると仰ってましたが、白夜さんが知っていまして転校して来るような方は思い浮かびますか?」
白夜「居るには居る。けどあそこ(中国)の代表候補生は星の数ほどに居るからな。その中で一人を特定するのは不可能に近いな」
言った通りだが、これは嘘偽りのない事実だ……
マドカ「兄さんでも解らないとはな。けれど、どんな輩が来ようと兄さんに勝てる奴なんて居る筈がない」
箒「うむ、認めたくはないがその通りだ。セシリアを圧倒したのだからな、白夜が負けるとは到底思えん」
セシリア「そうですわね、不本意ながら認めざるを得ませんわ……」
まあセシリアの件は仕方なかったとはいえ、気の毒に思えるな……
「そうはともかく白夜くん、クラス対抗戦頑張ってね!」
「白夜くんが勝ったら、クラスのみんなが幸せになるんだから♪」
「今のところ一年で専用機を持ってるクラス代表って、ここ(一組)の白夜くんと四組の更識さんくらいだから、白夜くんなら絶対余裕だって」
「そうそう。もし白夜くんが勝てば、クラスのみんなが学食のデザートが半年間フリーパスだもんね〜♪」
やれやれ、持ち上げんのも大概にせんか……まあいい…簪は操縦の件でマドカ辺りから梃入れさせておくが…いざ本番となれば手加減する気なぞ__!
ーーーー
「その情報!もう古いわよ‼︎」
『⁉︎』
何っ、あの声は……⁉︎
「二組も専用機持ちがクラス代表になったのよ!だから、そう簡単に優勝はさせないからね‼︎」
チッ!中国の代表候補生とは聞いてたが、よりによってこいつがその転校生かよ!
セシリア「白夜さんどうなされましたか、そんなに驚いて?あの方は誰ですの?」
白夜「中国の国家代表候補生、凰 鈴音。パワータイプの第3世代ISを駆る奴だ」
鈴音「その通り!そんで今日は、一組のクラス代表に宣戦布告しに来たって訳よ‼︎」
たくここ(IS学園)に来てからついてねぇ〜……篠ノ之はまだ解るがこいつじゃ更に心臓に悪くなるわ……
後書き
こんなにも早く簪と会長の話を書くのはどうかと思いましたが、書いた以上は仕方ないのでこのまま行こうと思います。
今度は悪友と簪との食事。そして(以下略)……
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