世界をめぐる、銀白の翼
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
とある魔術の禁書目録 ~とある病室の珍客騒動~
学園都市 第七学区の病院の病室
この世界の最主要人物・上条当麻はここのベッドにいた。
その脇では、インデックスと呼ばれる少女が椅子に座り、頭をベッドに乗せ寝ている。
先程までは先の事件で世話になった少女と、天使のような何かのコスプレ?をしたとある女教皇(プリエステス)もいたのだが、今はいない。
「あー。さっきのはなんだったんだ?神裂もどうしちまって。これ以上なんか起こったらさすがにこの上条さん、久々にあのワードをぼやくぞ・・・」
上条当麻は、自他ともに認める不幸な少年である。
故に、そんなワードをよくつぶやくのだが・・・・
そんな彼の願いもむなしく、上条当麻は“これ以上”に遭遇してしまうことになる。
Gate Open---・・・・・
そんな声がどこからかしてきた。
と、おもった矢先に光のゲートが開くと、そこから一人の男が出てきたのだ。
我々には見慣れた光景。
だが彼にとっては人生初体験だ。
ここは科学的に超能力を開発する街、「学園都市」
故にとんでもない現象は数え切れないほど起こっているが、いきなり現れたら驚くのは当然であって。
「なんだなんですなんなんですかぁ!?」
「ふえ?どうしたのとうま!魔術師!?」
上条が大声を出し、インデックスが目覚める。
彼の口癖、「不幸だーー!!」という言葉も出なかった。
出てきた男は
「やった!元の大きさ!やっぱりこっちがしっくりくるな!」
とか言っていて、上条たちが目に入ってない。
「とうま、あの人だれ?」
「オレだってしらねぇよ。魔術関係じゃないのか?」
「あんな光の門なんか知らないんだよ。少なくとも、10万3000冊の中にはないよ。科学方面じゃないの?」
「いや、瞬間移動とも違うしなぁ。よくわからないからはっきりとは断言できないけど。小萌先生にでも聞くか?」
上条とインデックスが小声で話し合っていると、男が二人に気付いたようで、じっと見つめてきていた。
「・・・・見ました?」
「・・・大体は・・・」
「不幸だーーーー!」
「それオレの台詞!!」
「待つんだよとうま!それどころじゃないと思うんだけど!?」
ギャーギャー三人で騒いでいると、病室の扉がバン!と開かれた。
「えぇい!せっかくキチンと着替えてお礼を言い直そうとしていたのに、なんですかこの騒ぎは!!」
「にゃー。そのまま逃げるように帰るつもりだったのに、騒ぎを聞き付けるとなんの躊躇もなく突撃できるねーちんは流石だにゃー」
扉を開いてやって来たのは一組の男女だ。
といっても恰好には一貫性がないが。
日本刀を下げた妙にエロい女の方は神裂火織。
にゃーにゃー言ってる男は土御門元春。
ちなみに先ほどのセリフのあと、土御門は神裂に殴り飛ばされていた。
神裂が中の現状を見るに
一、まずいろいろと借りのある恩人たる少年がいて。
二、『あの子』が少年を庇おうとギャーギャー騒ぎ。
三、その前には見知らぬ男がワタワタとして立っていた。
なにが元凶かは一目瞭然だ。
「そこから離れなさい!!」
神裂が男に愛刀「七天七刀」で切り掛かる。
「ぬあ!?」
「なに!?」
驚く神裂。
男がどこから取り出したのか、トンファー型の剣を握り、それを受け止めていたのだ。
「お願いします!話を!話を聞いてーー!!」
その男・・・蒔風舜が涙目で懇願してきた。
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なんやかんやがあったが、とりあえず蒔風が今までどおりに一通りの説明を終え
「じゃあお前は魔術師でも超能力者でもないっていうのか?」
「そ、オレの力はそういったものとは別もんなのだー」
蒔風は説明すると同時に、この世界についての話を聞いていた。
ここは人口230万人のうち、八割が学生という、学校の街、学園都市。
ここでは超能力が科学的に解明され、生徒たちは能力開発を受けている超能力者だ。
といってもすべての生徒が超能力に目覚めているわけではない。
その強さはレベル0、1、2、3、4、5の六段階に別れている。
順に無能力者、低能力者、異能力者、強能力者、大能力者、超能力者とされる。
なかでも超能力者(レベル5)は学園都市には7人しかいないそうだ。
さらにそれに対をなす魔術師。
彼らは自らの宗教に則った術式を使うものだ。
彼らは自ら魔力を練り上げ、それを法則に従い組み上げ魔術を使用する。
魔術と科学、オカルトとサイエンスは敵対している。
しかし、魔術サイドにもいろいろあるらしく、イギリス清教の必要悪の教会は、学園都市側についている――――というよりは、今は協力しているらしい。
現在は科学サイドのトップ、学園都市と魔術サイドのトップ、ローマ正教が戦争を起こしている。
昨日も第二十二学区で、ローマ正教の「神の右席」に所属する魔術師、「後方のアックア」が攻めてきて、これを退けたばかりだ。
「しかし、世界云々はともかく、カミやんが狙われるって話は信じておくにゃー」
土御門が蒔風に自分の心境を語る。
「世界とか崩壊とかそういうのは大体はわかったけど、いまひとつ納得いかんのよ。でも、とにかく「奴」って野郎がカミやんの命を狙ってるなら、防ぐだけだ」
「私は上の方に連絡してきます」
神裂が病室を出ていく。
携帯を使用するためだろう。
「ま、もともとカミやんは狙われてるから、防衛線張るのは難しくはない」
「もともと狙われてる?」
「そうそう。カミやん、いろんなことに首つっこみまくっちって、ローマ正教の邪魔物になっちまってるんですたい」
「全く。とうまはとにかくなにかしてないと死んじゃう病気にでもかかってるんじゃないかと思うんだよ?」
「ちげぇよ!オレはいつもいつも巻き込まれてんだ!オレからなんて・・・インデックスさん?なんですかその目つき!?わたくし間違ったこと言いましたかね!?」
上条の右手、正確には右手首から先。
そこには幻想殺しと呼ばれる能力がある。
それは世界の意志だろうが神の奇跡だろうが、それが異能の力ならば、問答無用で消し去る力だ。
上条は今までこの力ひとつで様々な敵に立ち向かってきた。
「まあ、とにかく上条の命が狙われてるんだけど・・・」
「?どうしたんだよ。何かあんのか?」
「いや、その後方のアックアってのが気になってな。そいつ、昨日戦ったんだよな?」
「そうだけど」
「めちゃくちゃ強いんだよな?何だっけ?神の・・・ローマ正教四天王だろ?つまり」
「そうにゃ~」
「いいのかよそんな説明で!!」
「じゃあ・・・はぁ~~あ、利用されるよなぁ、そりゃあ、よお!!」
蒔風が上条の右手を掴み、病院の窓に向かって突き出させた。
直後、そこに突如として飛来したのは黒い巨大な棍棒だった。
放っておけば病室に突っ込み、中の人間をミンチにできるその物体を、上条は触れただけで撃ち消してしまった。
「おお~~。これが幻想殺しか」
蒔風が感心しているが、当の上条としては心臓バクバクである。
「なにすんだ!!ってか、あれはなんだ!?」
「「奴」だよ。正確には、「奴」の能力で作られたアックアってやつのレプリカだ。とりあえずボコしておこうってわけらしいな」
説明しながらも、蒔風の視線は病院の外に向いていた。
じっ――とめをこらしていると、結構遠くの、同じくらいの高さのビルの屋上に、黒い影が立っているのがみえた。
「あれがアックア?あのシルエットであってる?」
「まあ・・・な・・・遠いけど」
「あんな魔術、私知らないよ?」
「知らなくて当然だっての」
あーあチキショー
まるでそういった雰囲気を放ちながら、ゴキゴキと蒔風が拳を鳴らし窓の縁に足をかける。
「おい・・どこ行くつもりだ」
上条が蒔風に聞いた。
「あれを止める。なに大丈夫いつものこと。お前はここにいろ。インデックス、上条を見張っててくれ」
「あ、うん・・・とうま!!なに立ち上がろうとしてるの!?」
インデックスが上条の方を見ると、昨日の傷も癒えてないのに、ベットから立ち上がろうとしていた。
「ほっとけるわけねぇだろ!!あれもなんか知らないけど、異能の力でできてんなら、この右手で触れば一発じゃねぇか!!」
「じゃあ、オレはお前の右手掴んで飛びまわればいいのかい?」
「え゛?」
「だって、そうしないとついてこれないし。気づいたらお前の右手だけ握ってたとかいやだぜ俺。まあ、任せてくれよ。ほれ」
蒔風がバン、とテレビをたたくと、そこに蒔風が映りこんだ。
「ヤッホー、マイクテステス。よし。ま、これでも見てなさい。オレの活躍をな!!!」
バッ!!
蒔風が飛び出す。
そうして、「奴」によって再現されたアックア・レプリカに向かう。
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学園都市内、とある学区の窓も扉もないビルの中。
赤い液体に満たされた巨大な円筒器に逆さまで浸かっている「人間」
男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える「人間」
学園都市統括理事長、アレイスター=クロウリーは怪訝そうな顔をした。
目の前に移るモニターには、蒔風とアックア・レプリカが映っていた。
(プランが狂う可能性がある。しかし幻想殺しが狙われるのならあの男、利用すべきか・・・)
彼の頭の中で、「プラン」に支障が出ないよう、どう利用するかが算出されていく。
学園都市
近未来的な表面だけでない、何かが渦巻く都市で、モニター先の蒔風は戦いを始めた。
to be continued
後書き
アリス
「とある魔術の禁書目録の世界に来ましたね」
時期としては、作中でも言っている通り、後方のアックア戦の次の日ですね。
アリス
「そういえばインデックスの前で土御門が普通に魔術師として話してますが・・・」
気にするな!!!
アリス
「次回、学園都市でのバトルバトル!!!」
ではまた次回
おなかいっぱいご飯食べさせてくれたら、うれしいな
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