世界をめぐる、銀白の翼
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
なのは ~男の戦いなの?~
蒔風があらかたの説明を終えた。
ユーノが口を開く。
「じゃあ、君がいたのはどこの管理外世界なんだ?」
「違う違う。そういうのも引っくるめて違う世界からきたんだ」
「どういうことなの?」
「いいか?つまりだな」
蒔風が紙を取り出して二つの丸を書く。
「こっちの右の方がオレがいた世界。で、こっちの左の方がなのはっちの世界」
「うんうん」
「オレはこの間を飛び越えて来たわけだけど・・・」
蒔風がなのはの世界の方の円の中にさらに幾つかの丸を書き足していく。
「こんな感じなんだよ。幾つもの世界が内包されている世界。それがこの世界。で、オレはそれよりも高い次元で世界を越えてきたんだ」
「そんなことが・・・・」
「僕たちが行き来する世界よりも高次元の・・・・」
「私と同い年なのにすごーい」
「いやいや、オレは年上だぞ」
「・・・・え?」
「オレはもっと年上なんだよ。ただ「奴」が狙ってくる以上、オレはなのはと接触しなければならない。でも、大きな男の人が小学三年生に近づいていくのは無理がありすぎる」
「そ・・・そんなこと」
「いきなり知らない人に「君は狙われてるんだ。お兄さんが助けてあげよう」って言ったらどうするよ」
「ディバインバスター」
「だろ?」
「なのは!?」
「ち、違うよユーノ君。例えばだよ、例えば」
「だからこんななりだがオレは同級生じゃなくてお兄さんなんだよ」
「えー?でもそんな感じしないし・・・」
「おい・・・」
「同級生だと思ってるよ?私は」
「はあ・・・・ま、いっか」
「それで、なのはが狙われてるって?世界を喰らうって」
「そうなんだよ。「奴」はなのはを狙ってくるだろうね」
「じゃあ今も危ないんじゃ!?」
「いやぁ、かなり先まで大丈夫だと思うよ?」
「なんで?」
「いったろ?この世界は多重世界だ。で、世界を解析するのにも当然時間がかかる」
「だから当分は大丈夫?」
「そゆことだよ。だから今は当面の問題に集中しよっか」
「ジュエルシードの回収・・・」
「それからあの子・・・・名前・・・聞けなかったな・・・」
「ジュエルシードを追ってりゃまた会えるさ」
「そう、だね」
蒔風との話が終わり、なのはは自室に戻りベッドに入る。
眠気はすぐにやってきた。
-----------------------------------------------------
「温泉街・・・・・ですか?」
「そうそう。行くからね」
次の日の朝。朝食をとっている時のこと。
高町家の家長・高町士朗に、今度の連休は温泉街へと家族旅行に行く旨を伝えられた。
高町家の経営する喫茶「翠屋」は年中無休なのだが、連休の時には店員さんに任せて家族旅行に行くのが定番らしい。
「そうですか。では留守は任せてください!!」
まあ、「奴」も動かないだろう。
この家の安全は私が守ろう!!と、蒔風が意気込んで胸を叩くと
「なに言ってるんだい?君も来るんだよ?」
「・・・今何と?」
「だから、舜君も来るんだってば」
「まてなのは。なんだそれは。舜君ってのやめてくれ。くすぐったくなる」
なのはは朝起きた時からオレのことを「舜君」と呼ぶ。
まあ小学生なら普通かも知れんが・・・・
「えーー?だってお友達でしょう?」
ぐっ!!
蒔風が恥ずかしそうに俯く。
今更な話だが、やはり主要人物たちは名前で呼び合うのが普通みたいになってるようだ。
慣れようとも思うが・・・いまいちうまくいかない。
親しくなればあっという間なのだが、親しくなるまでの第一歩に時間がかかる。
ここら辺は、まだまだヘタレな蒔風だった。
「君は今はこの家に住んでいる。仮にも今は家族なんだから」
「行くんですか?というか、行ってもいいんですか?」
「なにを遠慮するんだい?」
「いやまあ、行ってもいいと言われれば行きますけど・・・」
「じゃあ決まりだ。」
「あ・・はい。分かりました・・・・」
決まってしまった。
そして学校に向かう。
私立聖祥大附属小学校3年生
それがこの世界における、蒔風の肩書だ。
しかし小学校の授業なんかまともに受ける気もしない。
なにせ、見た目は子供、中身は大人を地で行っているのだから、小学校の授業など退屈のほかない。
とはいえ、今は高町家に居候の身。
ここで蒔風が授業フケたりしたら確実に士朗へと連絡が行く。
流石にそんな迷惑はかけられないので、蒔風は授業中はずっと別のこと考えたり、ノートに落書き、借りた力の残り時間の算出などをして時間をつぶした。
世界の構築を解くのも楽しそうでやってみたが、すぐに飽きてしまって―――
そうして昼休みである。
「えーーーーー!!??こいつもくんの!?」
と叫ぶのは右隣のアリサ・バニングス。
ちなみに正面に月村すずか、左にはなのはがいる。
机を二つ並べて四人で昼飯を食っていた。
最初は屋上に行こうかとも思ったの蒔風だが、なのはに引きずられてきてしまったのだ。
(ちくしょう、弁当人質にするのは卑怯だ。こいつオレが実はもっとお兄さんだって完全に忘れてんな?)
そうして食べながら話していると、連休の話になった、というわけだ。
どうやらすずかと、そのメイドさん、それとアリサ・バニングスも旅行に来るらしい。
「な・ん・で!!こいつもくんのよ!!」
「お父さんが連れていくって」
「はぁ?ちょっとなのは。いつ決まったのよ」
「今日の朝だよ?」
「今日の朝って・・・まさかあんた!!」
「バッ、なのは」
「舜君はウチに住んでるの」
「止められなかった・・・・」
「そんな!!あんた!!なんでくんのよ!!ってかいんのよ!!」
「俺だって遠慮したさ。だけど士朗さんが「今は家族だからね」って言ってくれたんだから、いやだというのは失礼になる」
「~~~~~ッ!!蒔風舜!!あんた旅行先で変なことして台無しにしたらただじゃおかないからね!!」
「心配するなアリサ・バニングス。そういうのを盛り上げるのは得意中の得意だ」
「蒔風くん、そういうの好きなんだ~」
「任せてくださいよ月村さん。楽しく行きましょう!!いえ~~い!!」
「すずかでいいよ?うん、いえ~~い!!」
「ほら、なのはも、いえ~~い!!」
「い、いえ~~い!?」
「あーーーもーーーー!!!!」
そうして当日
向かう先は海鳴温泉。
そこで二泊三日の温泉旅行だ。
大体いつもの定番らしい。
『わーーーーー!!!』
温泉街につくと女性陣が声をあげる。
古今東西津々浦々、どんな世界でも、旅行先に到着した時の感動というのは相変わらず素晴らしいものである。
「早速行こうよ!!」
「まずあれに入りたい!」
「うんうん!!」
女性陣は早速入るらしい。
さて、と腰を上げ、蒔風も入ってこようかと立ちあがる。
すると、なのはがユーノを連れて行こうとする。
さも当然そうに。
「なのさんや。動物は入れてもいいのか?」
「ん?大丈夫みたいだよ?」
なるほど。ペット同伴オーケーというわけか。
じゃあオレも入っt・・・・ピキューーーン!!!
『ユーノ!!』
『え!?な、なに舜?』
ユーノに念話で話しかける。
これは・・・まずいかもしれない!!
『おまえ、温泉って何か知ってるのか!?』
『え?よく聞かされてないけど・・・』
『いいか・・・温泉というのはな、巨大浴場なんだ。このままではお前、女湯に連れ込まれるぞ』
『え!?で、でも僕は男なんだよ!?』
『バカ野郎!!なのはにとってお前はただの人の言葉を話す動物さんぐらいの認識だ!!ってかお前人なんだ?』
『ああ・・・僕は人間だよ。今はなのはをサポートするためにこの姿だけどね』
『・・・・この野郎・・・』
『は?』
「てめえ女湯覗く気かぁーーー!!!!」
「キュッ!?」
「舜くん!?」
しまった念話が切れてしまったか。
ええい、だが今はそんなことどうでもいい。
「なのは!!ユーノを渡すんだ!!」
「え?でもユーノくんは今から一緒に・・・・」
「だめです。貸しなさい。そいつは男なんだぞ!」
「でもフェレットだし・・・・」
この子・・・そ、そうか!!しまった。なのはは天然さんだった!!!
「ユーノ!!お前それでいいのか!?」
「キュ?」
「女湯に連れ込まれ、目の前に恥ずかしい光景が広がるんだぞ!?」
「ちょっと!!フェレット相手に何熱くなってんのよ!!」
黙っててくれアリサ・バニングス。
これは戦いなんだ。
オレの紳士魂をかけた戦いなんだよ!!
「こっちへ来い、ユーノ」
「だめ!ユーノくんは一緒にお風呂入るの!!」
チィ!!なのはやアリサ・バニングスの裸体になど興味はないが(正直妹みたいなもんだからな)なのはの姉、高町美由希さんやすずかの姉、忍さんの裸体を貴様一人に見させてたまるかぁ!!!
「ちょっと・・・凄いことになってるわよ・・・・」
「血の涙流し始めたし・・・・」
「わ、わかったよ。ユーノくんは舜君に預けるよ・・・・」
「よっし!!ばっちり洗ってやっからなぁ!!ユゥ~ノくんよォ!!」
『ひぃ!?』
そうしてユーノを連れて男湯に向かう。
やはり男同士はいいよなぁ!!
・・・・・コッチってわけじゃねぇからな。
「ふぅーーーー」
『はぁーーーー』
カポーーーン
「よく考えなよ。あっち行ってみろ。お前いたたまれなくなるぞ」
『うん・・・冷静に考えたらそうだよね・・・ありがとう』
「いいさ」
『いい湯だねぇ』
「あ”ぁ~~~癒される・・・・・」
カポポーーーーーーン
・・・・・・・・・・・・・・・
え?オチ?女湯シーン?
ねぇよそんなの
to be continued
後書き
・温泉旅行
高町家が毎年この時期に行くイベント。
家族ぐるみの付き合いである、月村家とバニングス家も同行する。
・女湯に~
いわゆる一つのラッキースケベ。
ユーノが変態などという謂れを受けることになる原因。
だが冷静に考えろ。
ユーノがこういったことをしなければ、我々の目の前に女湯シーンはなかったんだぞ!!?
・オチ無し
女湯シーンは書けません。
というか書こうとすると自分が抑えられなくなってR-18になっちゃうから。
しかし勘違いしないでいただきたい。
武闘鬼人は変態ではない。紳士なのだ。
アリス
「夜、魔法少女の戦いが始まる」
ではまた次回
全力全開!!
ページ上へ戻る