ドラゴンクエストビルダーズ:アレフガルドを復活させられてます(新リュカ伝)
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第1章:メルキド編
22:誰にしようかな? 神様の言う通り♫
(メルキド)
リュカSIDE
「僕はこの町のリーダーに一番相応しくない存在だ」
「何故ですか。私は常々リュカさんこそが、メルキドの長に相応しいと考えてたんですよ!」
ケッパーよ……お前の考えなんて知るか! やりたくないんだよ。
「まぁまぁ聞きたまえ、皆の衆。僕は精霊神ルビスによって選ばれたビルダーだ。ビルダーとは、この世界……即ちアレフガルドを復活させることが役目の存在だ。このメルキドだけに構ってられないのだよ」
皆の表情に残念さが窺える。でも仕方ないじゃん。
「偶然メルキドが一番最初に手掛けることになったけど、この町が軌道に乗ったら僕は他の町の復興に尽力しなくてはならない」
「そ、そんなぁ……リュカさんが居ないと、僕等は直ぐモンスター等に滅ぼされてしまいます!」
だから守りも固めてるんだろうが!!
「現状で僕が居なくなれば、ショーターの言った様に直ぐモンスターに滅ぼされてしまうかもしれないけど、もう少し軌道に乗ってからだったら、僕が居なくてもメルキドを発展させることは出来るはずだ」
そうでないと困るのだよ、俺が!
「それに何度も言うが、僕はルビスから……精霊神ルビス様から命を受けて、アレフガルド全体を復活させているんだ。一つの町の長には収まってはいけないんだよ……そう言う指示が出てるんだよ」
『そんな指示を出した記憶はありませんよ、リュカ』
ちょっと黙ってろピーピング・ガッデス!
確かにお前は言ってないが、メルキドの長になって他の地域の復興が疎かになっては困るだろ?
そう言ってやりたいが、俺にしか奴の声は聞こえてないから、下手に反論する訳にいかない。また厄介なことになるからね。
「僕は本来、この世界の人間ではない。だが緊急事態の為、ルビスは僕に世界を復活させる切っ掛けを作らせようとしてるんだ。切っ掛けが出来、人々がその切っ掛けを掴み、互いに協力し合って生きていくことを選択すれば、世界は復活し誰もが幸せに暮らせる世界が戻ってくる」と思う。
ダメでも知らね。
「じゃぁリュカはメルキドが軌道に乗ったら、別の場所に行っちゃうの?」
「……多分そうなると思うよピリン」
『はい。そのつもりですよ』
だと思ったよ! つーか話しかけんなよ馬鹿。
「それはメルキドが、どんな状態になったらなんですか!?」
「さぁ……それは僕にも判らないよケッパー」
『メルキドを襲うゴーレムを倒したらです』
知ってたんなら早く言え! ってか、やっぱりゴーレムは敵なのね。
「それまでは僕達と共に、メルキドの復興を手伝ってくれるんですよね?」
「勿論だともショーター」
『その間は美女二人とお楽しみですか?』
うるさいな……そのくらいの役得があっても良いじゃんか! 苦労してるんだし、俺。
「じゃぁ大丈夫よ皆。今のメルキドを見れば解るけど、まだまだ復興の途中だし軌道に乗るなんて先の事! 時間さえあれば、私達はピリンを中心にステキなメルキドを復興させられるわ。リュカという心強い存在と共に!」
良いねぇプラス思考。
「そうさ皆。何が来ても大丈夫な様に、一致団結して安住の地を築き上げよう」
『残念ながら、そんなに時間はありませんよリュカ。人々が集まり、団結する心が強まったことで、休眠してたゴーレムが目を覚ましメルキドを再び壊滅させようと、こちらに向かってきてます』
「え、マジで!?」
『ええマジです』
「ど、どうしたのリュカ? 何が“マジ”なの?」
しまった……思わずルビスの声に反応してしまった。
「あ……いや……何でもない」
「本当? 何かルビス様に言われてるんじゃないの?」
ピリン……君は察しが良いねぇ。
「じ、実はそうなんだ。だからちょっと失礼するよ。心配性の女神様を安心させてくる……“僕は町長にはならないよ”ってね」
『別に、その点は心配してませんけど』
俺は不安げなピリン達の顔と、腹立つ貧乳女神の声を無視して拠点の外に出て行く。
「お前馬鹿なの? 俺がメルキドの町長になったら困るだろ!?」
『でもなりたくないのでしょ?』
「ああ、なりたくないよ。長とか王とか、前世で懲りたんだからね!」
『だから心配してませんでした』
「じゃぁ“町長になっちゃダメって指示は出してない”ってツッコミは要らなくね?」
『ツッコミではなく、私はそんな事を言ってないという主張です。面倒事を回避する理由に私を使おうとしてたから』
「良いじゃねーか、嘘も方便なんだから!」
『勝手に名前を使われる私の身にもなって下さい』
「その言葉、そのままお前に返すわ! 名前どころか死後も勝手に使われてるのは俺だぞ!」
『貴方がゾーマに光の玉を奪わせたからですぅ!』
「“ですぅ”じゃねーよ貧乳女神! それと情報が遅ーんだよ。ゴーレムが復活したことを、もっと早くに教えろよ! そもそもゴーレムを倒したら、次の場所に行くって決まってたのなら、最初に言っておけば良いだろ!」
『そんな事を先に言っておいたら、町造りを放置してゴーレム探しを優先させたんではないですか?』
「そんな事しねーよ!」
……いや、してたかもしれないね。
『それにゴーレムが何処に居るのかまでは、私にも判らなかったんです。しかし町を発展させ、人々の団結力を高めれば、それを感じ取って目覚め襲いに来ると思ったので、あえて黙っておりました』
「え、じゃぁなに……囮にしたってこと?」
『囮というのは所謂遊兵です。ゴーレムを誘き出す役目も、倒す役目も貴方が担うのですから、囮ではないでしょう』
「ちっ……お前の掌の上で踊らされてたって事か。不愉快だな」
こいつらは何時もそうだ。全てを教えず、泳がせて思い通りに操る。
「おい、他に隠してることは無いか? 今のうちに言わないと後悔させるぞ!」
『そうですねぇ……メルキドの次はリムルダールって事ですかね。彼の地のことは赴いてから教えますが、この地での隠し事はありませんよ』
「この地だけじゃねー! 俺がアレフガルドを復活させる事柄への隠し事は、もう何一つ存在しないのだろうな!?」
『隠し事と言うか……マスタードラゴンには内緒で貴方を召喚したので、バレると多分怒られます、私が』
「知るかよ、そんな事!」
『もしバレたら庇って下さいね。えへ♥』
“えへ♥”じゃねーよ! 全然可愛くねーよ!! つか、一度も姿を現してないから可愛いとか判んねーよ!!!
「ヒゲメガネと喋る機会があったら、大幅に被害を報告してやる! しこたま怒られろ馬鹿者」
『あぁん。女の子に優しくないですよリュカ』
“あぁん”とか、色っぽく言うな。ムラムラしちゃうだろ!
『あ、そうだ。もう一つ思い出したんですけど、ゴーレム対策を急いだ方が良いですよ。先程も言いましたが、人々の団結力に呼応して目覚めたので、その団結力に向かってやってきます。あと3日くらいですかねぇ……メルキド到着は』
「だから、そういう事は早く言えよ! まったり飯食ってる場合じゃないじゃんか!」
『その様ですね(笑) 皆が言ってたメルキドシールドと魔法の玉を早く作るのです。その二つがあればゴーレムにも勝てるでしょう……多分……きっと……そう思います』
何なんだ、あの女は!?
薄ら笑ってやがったぞ。
ゴーレムを倒せず俺が死ねば、アレフガルドの復活すら危うくなるのに、何で笑ってられるんだ!?
もう不幸すぎて頭イカレたか?
リュカSIDE END
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