英雄伝説~菫の軌跡~(零篇)
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第2話
~西クロスベル街道~
「あら?もしかしてあの魔獣じゃないかしら?」
「………はい。データベースの通りですから間違いないかと。」
手配魔獣らしき魔獣達を見つけたエリィの推測にティオは頷き
「よし、それじゃあ始めるぞ。」
「おう。課長があんだけ高評価していたんだから、期待しているぜ、小嬢。」
「?”小嬢”って、もしかしてレンの事かしら??」
ロイドの指示に頷いた後のランディに視線を向けられたレンは初めて聞く単語に首を傾げてランディに訊ねた。
「また、意味不明な渾名を思いついたものですね……」
「というか私の”お嬢”と微妙に被っているのだけど、それはどうしてなのかしら?」
ランディがレンに対して呼んだ単語がレンに対する渾名である事に気づいていたティオとエリィはジト目でランディを見つめて指摘し
「いや、自己紹介の時とかを含めたこのお嬢ちゃんの言動からして、どっかの金持ちのお嬢ちゃんって感じがするから。」
「意味不明です。」
(さ、さり気なく核心をついているな、ランディ……というかむしろレンの場合はその”金持ち”を超えるレベルなんだけどな……)
ランディの説明を聞いたティオが呆れている中、レンが世界中の資産家の中でも間違いなく一番の資産を持つと言われている”Ms.L”である事を知っていたロイドは苦笑しながらレンを見つめていた。
「うふふ、中々面白いお兄さんね。それじゃお礼にあの手配魔獣達はレンが撃破するから、お兄さん達は見学していていいわよ。」
一方小悪魔な笑みを浮かべたレンは”錫杖”の形をした魔導杖を構えた。
「ん?ティオすけの得物と微妙に似てねぇか?」
「もしかしてティオちゃんが使っている魔導杖の新しいタイプかしら?」
「い、いえ……わたしが知る限りあんな形状の魔導杖は開発されていません。」
レンの得物を見たランディは首を傾げ、エリィの疑問にティオは困惑の表情で答え
「ちょ、ちょっと待ってくれ、レン。確か君の得物は小太刀二刀流と双銃、後は籠手じゃなかったか……?その杖のような武器は一体何なんだ?」
レンの得物を知っていたロイドはレンを制止して訊ねた。
「うふふ、それについては後で説明してあげるわ♪手出しは無用だから、ロイドお兄さん達は見ているだけでいいわよ♪」
そしてロイドに手配魔獣達との戦闘に手出ししないように伝えたレンは手配魔獣達に向かって戦闘を仕掛けた!
「A(アンチ)ディフェクター発動……解析完了っと。なるほどね……ちょっと面倒なタイプね。だったら、その面倒な攻撃が来る前に撃破してあげるわ♪エニグマ並びにアークス駆動………」
魔導杖にインストールされている解析機能を使って、敵の情報を解析すると共に一時的に敵の様々な能力を減少させるクラフト―――Aディフェクターで手配魔獣を解析したレンは身につけている”二つの戦術オーブメント”を駆動させ始めた。
「気のせいかしら……?エニグマを駆動させている間に発生する光が2重に光っているような気がするのだけど……」
「………恐らく二つの戦術オーブメントを駆動させる事によって”ダブルアーツ”を放つつもりなのでしょう……しかしこの導力波は一体……?」
レンの様子を見て何かに気づいたエリィは不思議そうな表情をし、エリィの疑問に答えたティオは戸惑いの表情でレンを見つめていた。
「ハアッ!?”ダブルアーツ”って事は……まさかアーツを一度に2回も放つ気か!?」
「ティオ、戦術オーブメントは普通一人一つじゃなかったか?」
ティオの説明を聞いたランディは驚き、ロイドはティオに質問した。
「ええ、戦術オーブメントの配布の規定ではそうなっていますが別に戦術オーブメントを二つ以上所持する事の禁止はされていません。それよりも気になるのはレンさんからエニグマ以外の導力波が感じる事です。この導力波はエニグマでも旧式の戦術オーブメントでもありませんし……」
ロイドの質問に答えたティオは真剣な表情でレンを見つめていた。
「えいっ!ダブルファイアボルト!!」
するとその時アーツの駆動を終えたレンが二つの戦術オーブメントを同時に発動させてアーツによって発生した炎の球体を敵に命中させた後アーツを発動させた敵に一気に詰め寄って魔導杖でクラフトを放った。
「円月輪!六行六連!!」
踏み込ながら杖を回転させて敵に攻撃し、更に続けて魔導杖による連打を敵に命中させるとダメージに耐えきれなくなった敵は消滅した。
「うふふ、まずは一体ね♪―――っと!」
敵の撃破を確認したレンだったが残りの2体が放った花粉の攻撃に気づくと素早く後ろに跳躍して回避し
「燃え盛れ赤き猛威よ――――イラプション!!」
魔導杖にインストールされている対象の地面から溶岩を噴出させて攻撃する特殊魔法の一つ――――イラプションを発動し、弱点属性である火属性の攻撃を受けた手配魔獣達は怯んだ。
「二の型―――疾風!!」
その隙を逃さないかのようにレンは仕込み刀を隠している鞘を抜いて電光石火の速さで魔導杖の仕込み刃で斬撃を敵達に叩き込み
「クスクス、逃がさないわよ……!」
続けて自身を中心に光の渦を発生させて敵達を自分の元へと引き寄せ
「洸閃牙!!」
引き寄せた敵達に円状の斬撃を叩き込み、ダメージに耐えきれなくなった敵達は消滅した!
「ふふ、御機嫌よう♪」
「ハハ、さっきの宣言通り俺達の手出しは必要なかったな……」
手配魔獣達の撃破を確認して武器を納めたレンにロイドは苦笑しながら仲間達と共にレンに近づいた。
「まさかたった一人で3体の手配魔獣をあんな短時間で撃破するなんて、やっぱりあのアリオスさんと同じA級正遊撃士だけあって、幼いけど実力は私達よりも圧倒的に上ね……」
「うふふ、レンは”天才”だからこんなの、できて当たり前よ♪」
「普通、自分を”天才”って言いますか?それよりもレンさんにいくつか聞きたい事があるのですが……」
疲れた表情で自分を見つめるエリィの話に小悪魔な笑みを浮かべて答えたレンにジト目で指摘したティオは気を取り直してレンを見つめた。
「何かしら?」
「レンさんが持つ魔導杖らしきその杖……エプスタイン財団の魔導杖のテスト要員であるわたしも初めて見るタイプの魔導杖なのですが……一体どこでそれを?」
「しかもその杖でティオすけと違って、身体能力による戦技を使った事も驚いたが杖で”斬撃”による戦技も使ったよな?もしかしてその杖には”仕込み刃”が仕込まれているのか?」
「あら、ランディお兄さんは中々目聡いわね。ランディお兄さんの推測通り、この魔導杖には刃――――”仕込み刀”が仕込まているわ。―――こんな風にね。」
ティオの質問に続くようにしたランディの質問に目を丸くしたレンは魔導杖の鞘を抜いてロイド達に魔導杖に仕込まれている”仕込み刀”を見せた。
「これは東方の剣――――”刀”か………」
「ティオちゃんが使うクラフトでも魔導杖を剣に変形させるのがあったけど……あれとは違うのかしら?」
「いえ、あれは魔導杖を変形させて導力エネルギーを収束した刃を発生させるもので、この刃とは根本的に違います。この刃は”杖自身が刃になっています”から。―――それでレンさん。その魔導杖は一体どこで手に入れたのですか?」
レンが見せた”仕込み刀”をロイドは興味ありげな表情で見つめ、エリィの疑問にティオは静かな表情で答えた後真剣な表情でレンに訊ねた。
「うふふ、実は魔導杖の事を知って、魔導杖に興味を抱いたある人物の伝手によって完成したこの魔導杖の実戦運用をその人物に依頼されて使っているのよ。」
「え……じゃあレンちゃんもティオちゃんと同じ魔導杖のテスト要員なのかしら?」
「……少なくてもエプスタイン財団の魔導杖のテスト要員でレンさんはいません。……まさかレンさんは財団以外の他社が開発した魔導杖のテスト要員なのですか?ラインフォルトやヴェルヌ、ZCF(ツァイス中央工房)も独自の魔導杖の開発をしているとの話は聞いていますし。」
レンの説明を聞き、レンの事を推測したエリィの推測を否定したティオは真剣な表情でレンを見つめた。
「残念ながらレンはどこかの会社の魔導杖のテスト要員じゃないわ。この魔導杖はエプスタインどころかヴェルヌにラインフォルト、ZCF、それぞれの技術を元にして作られた特注の魔導杖だから、この世に一本しかないとっても珍しい魔導杖なのよ♪」
「ハアッ!?」
「ええっ!?エプスタインにヴェルヌ、ラインフォルトとZCFの技術をそれぞれ元にして作られた特注の魔導杖って………そんなの、どのメーカーにも顔が利く人物でないと用意できないわよ?」
「……先程レンさんはある人物の”依頼”によってその魔導杖を使っているとの事ですが……その人物とは一体誰なのですか?」
(ま、まさか……)
レンの説明を聞いたランディとエリィはそれぞれ驚き、ティオは戸惑いの表情で訊ね、ある事に気づいたロイドは表情を引き攣らせた。
「”Ms.L”っていうとっても優しいお姉さんよ♪」
「ええっ!?レンちゃんはあの”Ms.L”とお知り合いなの……!?」
「お嬢はその”Ms.L”ってやつを知っているのか?」
レンの答えを聞いて驚いている様子のエリィにランディは不思議そうな表情で訊ねた。
「え、ええ………。――――”Ms.L”。まるで神がかっているかのように彼女が手を出した相場や株は後にすべて上場し、それらによる配当金等で莫大な富を築いた彼女は株や相場で莫大な資産を増やしながら”ラインフォルトグループ”や”エプスタイン財団”のような世界的大企業の大株主の一人となり、彼女が会社経営に口を出せばその企業に莫大な利益をもたらすことから、”現代の福の神”として称えられ、彼女が大株主となった企業は彼女の発言権は無視できなくて、企業によっては彼女が持つ権限の方がその企業のトップよりも上で、彼女の総資産は二大国―――いえ、IBC(クロスベル国際銀行)を経営しているクロイス家をも上回るとも噂されているわ。」
「”Ms.L”………データベースにも載っています。唯一判明しているのは性別が女性である事だけで国籍、本名、年齢等すべてが謎に包まれているゼムリア大陸一の資産家で、エプスタイン財団の”大株主”でもあります。同時にエリィさんの話にあったように彼女はラインフォルトやヴェルヌを含めた数々の企業の”大株主”でもありますね。ちなみにエプスタイン財団では財団のトップである”会長”と同等の権限を持つ方ですね。」
「ハアッ!?じゃあ小嬢はそんな滅茶苦茶スゲェ金持ちと知り合いなのかよ!?」
(知り合いどころか”Ms.L本人”なんだけどな……)
エリィとティオの説明を聞いたランディが驚いている中ロイドは苦笑していた。
「うふふ、ある仕事でMs.Lと知り合ってね。その縁でこの魔導杖のテスト要員としてレンがMs.Lに選ばれたのよ。幸いレンは戦術オーブメントの適正も高いしね。」
「なるほど……その魔導杖は様々な大企業に伝手があるMs.L自身のオーダーによるものですから、知らなくて当然ですね。………と言う事はMs.Lはエプスタイン、ラインフォルト、ヴェルヌ、ZCFの技術を組み込んだその魔導杖を市場に出す予定があるのですか?」
「さあ?レンは”依頼”でこの魔導杖のテスト要員をしているだけだから、そこまではわからないわ。ちなみにレンが使っている”ENIGMA(エニグマ)”とは異なる戦術オーブメント―――”ARCUS(アークス)”の実戦運用もMs.Lの依頼の一つよ。」
ティオの質問に答えたレンはロイド達にロイド達が持っている戦術オーブメントとは異なる戦術オーブメント―――”ARCUS(アークス)”を見せた。
「あれ……俺達が持っている戦術オーブメントと何かが違うな……」
「なんだぁ?一個だけ他のクオーツとは明らかに違うクオーツがあるな……?」
「これはまさか…………”マスタークオーツ”ですか?」
レンが見せたアークスを見て何かに気づいたロイドとランディは眉を顰め、ティオは目を丸くしてレンに訊ねた。
「”マスタークオーツ”?それって何なのかしら?」
「―――”マスタークオーツ”。普通のクオーツとは異なり、身体能力の上昇に含めて様々な特殊な効果が付与されるクオーツで、他のクオーツとは異なりマスタークオーツは戦闘の経験によって”成長するクオーツ”で成長すれば成長に反映して身体能力の上昇率は当然として特殊効果も更に高まるというクオーツです。確かわたしが知る限りではまだ試験運用の段階なのですが………その”ARCUS(アークス)”という戦術オーブメントは何なのですか?財団ではそのような名称の戦術オーブメントは開発されていないのですが……」
エリィの質問に答えたティオは真剣な表情でレンを見つめた。
「”ARCUS(アークス)”は”ラインフォルトグループ”が独自に開発している戦術オーブメントだからエプスタイン財団出身のティオが知らないのも当然よ。」
「ええっ!?”ラインフォルトグループ”の!?」
「ラインフォルトっつったら、武器や兵器の最新メーカーとして知られているがまさか戦術オーブメントまで開発しているとは驚いたぜ……」
レンの説明を聞いたエリィは驚き、ランディは信じられない表情をした。
「うふふ、しかも”ARCUS(アークス)”は”ENIGMA(エニグマ)”と同等の機能に加えて”ENIGMA(エニグマ)”にはない機能―――”戦術リンク”という機能があるわ。」
「”戦術リンク”?何なんだそれは。」
「―――”戦術リンク”。戦術オーブメント同士をリンクで結ぶ事でどんな状況下でもお互いの行動を把握できて最大限に連携できる可能性を秘めている機能よ。」
「オイオイ……もしそんな事が実現したら戦場の”革命”になるじゃねぇか。」
「ラインフォルトグループがエプスタイン財団と提携して独自の戦術オーブメントを開発している話は聞いた事はありますが、そのような戦術オーブメントを開発していたとは……」
ロイドの質問に答えたレンの話を聞いたランディとティオはそれぞれ驚いていた。
「とは言っても”欠陥”もあるけどね。」
「”欠陥”?」
「Ms.Lの話によると”ARCUS(アークス)”は”ENIGMA(エニグマ)”と違って、個人の適性差が激しいそうよ。」
「個人の適性差………それはもしかして人によっては使えないという事かしら?」
疲れた表情で答えたレンの説明を聞いてある事に気づいたエリィは不思議そうな表情で訊ねた。
「ええ。加えて”ARCUS(アークス)”専用のクオーツも使わないとダメな上そのクオーツも”ENIGMA(エニグマ)”と違って、”アーツ専用のクオーツ”を付けないと魔法が使えないから結構不便なのよ?」
「”アーツ専用のクオーツ”………と言う事は例えば”攻撃1”のクオーツを付けても”ファイアボルト”のアーツは使用できず、”ファイアボルト”を使用する為には”ファイアボルト専用のクオーツ”を付けなければいけないという事ですか?」
「大正解♪そして肝心の”戦術リンク”も二人以上いないと機能しないから、正直どんな人でも使える上どんなクオーツを付けてもアーツが使用でき、クオーツの組み合わせによって使用できるアーツが増加する”ENIGMA(エニグマ)”の方が便利よ。」
自分の話を聞いてある事を推測したティオの推測に笑顔で答えたレンは疲れた表情で説明を続けた。
「う、う~ん……便利だか不便だか微妙な所だな……」
「そうよね……”ENIGMA(エニグマ)”は今までの戦術オーブメントと同じでクオーツの組み合わせによって使用できるアーツが増えるけど、”ARCUS(アークス)”はアーツ専用のクオーツを付けないとアーツが使えないものね……」
「しかも肝心の”戦術リンク”だったか?その機能も二人以上いないと使えないんだったら、意味ねぇんじゃねぇのか?」
レンの説明を聞いたロイドとエリィ、ランディはそれぞれ疲れた表情で呟いた。
「実は”戦術リンク”が使えない事がレンの悩みの種だったんだけど……そこでロイドお兄さん達に提案があるわ。」
「俺達に提案?一体何の提案なんだ?」
「うふふ、それは勿論レンの”ARCUS(アークス)”の実戦運用のお手伝いに決まっているじゃない♪」
「ええっ!?それってもしかして私達にもその”ARCUS(アークス)”という戦術オーブメントを配布してそれを実戦運用して欲しいって事!?」
ロイドの質問に小悪魔な笑みを浮かべて答えたレンの答えを聞いて驚いたエリィは信じられない表情でレンに訊ねた。
「ええ。ちなみにエリィお姉さんたち―――”特務支援課”のメンバー全員は”ARCUS(アークス)”に対して高い適性が示されたからエリィお姉さん達は問題なく”ARCUS(アークス)”を扱えるわよ。勿論”ENIGMA(エニグマ)”もそのまま使っていいから、実質エリィお姉さんたちは2種類の戦術オーブメントを使える事になるし、レンみたいに無料で貰った”ARCUS(アークス)”はそのまま自分の物にしていい事になっているわよ。どう?とってもお得な話でしょう?」
「う、う~ん………魅力的な話だけどそう言う事は上層部の人達が決める事だから、俺達だけの判断で決める訳にはいかないしな……」
「つーか、俺達にもその”ARCUS(アークス)”の適性を一体いつ、どうやって調べたんだ?」
レンの提案を聞いたロイドは困った表情で答え、ランディは不思議そうな表情でレンに訊ねた。
「うふふ、それは”乙女の秘密”よ♪」
そしてレンの答えを聞いたロイド達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ
「肝心な所を誤魔化さないでください。というかさっきから気になっていたのですがレンさんはMs.Lを”お姉さん”と言っていましたけど、もしかしてMs.Lは若い方なのですか?」
ティオはジト目で指摘した後気を取り直してレンに訊ねた。
「ええ、ホントは秘密だけどMs.Lは21歳のとっても綺麗でスタイル抜群なお姉さんよ♪」
「ええっ!?Ms.Lってそんなに若いの!?」
「タメのお金持ちお嬢様………しかもスタイル抜群ときたか………ストライクど真ん中で逆玉になれる可能性大!おーし、みなぎって来たぜぇ!いや~俺は幸せだなぁ!綺麗なお姉さんが知り合いの仲間達と巡り合うことが出来て!と言う訳で小嬢、俺はその”ARCUS(アークス)”っていう戦術オーブメントの実戦運用を手伝うから、紹介ヨロシクな♪」
「いやいや、勝手に決めたらダメだって言っているだろ!?(というか思いっきり嘘をついているし!)―――それよりも今の話を聞く限りレンは本来の戦い方を封じて魔導杖を使った戦い方で戦うという事になるのか?」
レンの話を聞いたエリィが驚いている中、真剣な表情で考え込んだ後嬉しそうな表情で声を上げてレンを見つめたランディにすぐに突っ込んだロイドは呆れた表情でレンを見つめたがすぐに気を取り直してレンに訊ねた。
「うふふ、心配しなくても”本来の戦い方”も勿論するから大丈夫よ。”ロイドお兄さん達の所は本物の仕事”なんだから社会人として手は抜けないし。今までの戦い方に魔導杖を使った戦い方が追加されたようなものよ。―――それじゃ聞きたい事も済んだ事でしょうし、ベルガード門に向かいましょう?確か警備隊の訓練の支援要請があったから、このままベルガード門に向かって警備隊の支援要請を請けた方が効率がいいと思うわ。」
「ハハ、さすがA級正遊撃士だけあって仕事の効率も考えているな………それじゃあベルガード門に向かおう。」
レンの提案に苦笑しながら答えたロイドは仲間達を促し、仲間達と共にその場から離れた。
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