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インフィニット・ストラトス~黒衣の創造神~

作者:黒鐡
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第5巻
  IS学園祭の練習&本番

学園祭が始まる前に、我ら一組は蒼い翼公認メイド喫茶をする事となったので、本番前の打ち合わせと生徒全員の内接客班・調理班・雑務全般班に分かれた。接客班はメイド服と執事服が似合う者らを中心となって動き、調理班で俺らの補佐をする者らは皿洗いやケーキを切って運んだりする。

今回蒼い翼公認メイド喫茶である@クルーズから来てもらった。一般解放はしてないが、IS学園に関係する奴らが来るので接客訓練と一通りの挨拶をする為に@クルーズから派遣された店長とフロアリーダーの二人が来た。

「と言う事で、今回放課後を使ってメイド喫茶のイロハを教えようと思って俺ら蒼い翼公認店の一つである@クルーズから来てくれた者らだ」

「初めましてIS学園の生徒さん、私は@クルーズの店長をしている者です。今回こちらにいらっしゃる織斑様にお呼ばれされたので、今回はメイド喫茶全体について一から教えるのでよろしくね」

「同じくフロアリーダーですけど、本来だと派遣されませんが織斑様の為となれば話は別です。メイド喫茶に関して教えますので、学園祭本番までみっちり教えますからね」

『はい!よろしくお願いします!』

「と言う事で、厨房は主に俺ら調理班がやるので一組生徒は交代制でメイドをやってもらいたい。裏方もそうだが、メニューに関してはこちら持ちで俺らが作るのでな」

俺の服装は厨房にいるコックさんだが、蒼い翼のシンボルマークが入っていて一流パティシエのようなオーラを出している。で、メイドと執事に関しては店長らに任せて一通りの動きをする為にカウンターで客役とメイド役を一組生徒と店長がする事となった。厨房には@クルーズでも出しているケーキやコーヒーを出すが、一から作っているので多少時間が掛かる。

「いらっしゃいませ、お嬢様。こちらがメニューになりますが、何かお決めになられましたでしょうか?」

「では紅茶とこちらのケーキをお願いします」

「紅茶一つにイチゴケーキ一つですね、しばらくお待ち下さいませお嬢様」

ちなみに客役はシャルなので、お嬢様と言われても動じずにいたらしい。まあ練習と言えども本番のような感じでやっているので、注文が入ってから俺らの部下が動き出すけどな。

ケーキは事前に作っていたので、ホールに一人前をカットと紅茶をカップに入れてからカウンターにて注文と客が座っている数字をトレーに乗せる。なお本番では部下と調理班補佐として、生徒がやってくれるようにしてもらった。全てこちら持ちだと何の為の学園祭なのか分からんからな。

「3番テーブルにて、紅茶とイチゴケーキを」

「了解」

カウンターから受け取った店長は、シャルがいる席まで辿り着くと砂糖とミルクを入れるか質問すると両方とも入れるように注文する。コーヒーと紅茶についてはサービスとして砂糖とミルクをメイドが入れる事となっている。

「お嬢様、紅茶とイチゴケーキをお持ち致しました。お砂糖とミルクはお入れになりますか?お嬢様」

「両方ともお願いします」

「畏まりました。それでは失礼致します」

「(ねえねえ、シャルロットさんが真顔でやっているけど慣れているのかな~?)」

「(分からないけど、慣れている事だけは理解出来てるかな)」

と何か言っていた生徒らだが、砂糖とミルクを入れて静かにスプーンで混ぜ終えてから一礼してから戻っていく。これが今回やる事であるが、全員がメイドではあるが人数が多すぎるので俺からの発案で分ける事にした。調理班に関しては俺と補佐をする女子生徒達にして、接客班と雑務全般で分かれる事となった。

「これを一通りマスターしてくれれば、あとは織斑様の指示通りに動いてもらえれば助かります」

「一通りやってくれれば俺が助かる。調理は注文が入ってから作るが、これでも素早く出来るんでそこら辺は安心しろ。俺の手料理満載のメニューをIS学園限定セットとして売り出す事にしたが、蒼い翼公認なので俺が許される事があれば何でも言ってくれ。ただし、俺が執事としてやるのだけは無しだからな」

と言う訳で一通りの作法をやった所で、あとは本番までの間はメイド服と執事服を生徒全員に着れるように仕立てをした。調理班では俺を筆頭に蒼い翼公認レストランやパティシエを部下のように扱い、手足のように動かす為に調理長は俺で副調理長の二人で動かして見せた。繰り返しの練習をしてからあっという間に本番となってしまい、学園祭当日。

「さて諸君、調理班として俺の手足となって動く事を期待するが補佐役である者らも頑張れば休憩時間にケーキや飲み物が飲食出来るので頑張ってくれたまえ」

「我々は勿論の事、補佐役である一組の生徒さんと連携を練習してきたので大丈夫かと思います」

「織斑さんの手腕を間近で見てきた私達にしか出来ない事をやってやります」

「皿やカップもちゃんとしたブツだが、例え落としたとしても割れないようにしてあるので一組生徒諸君は緊張しないまま自然とやっていればいい。行くぞ!」

『おおー!』

朝ミーティングを終えてから各持場についたが、俺は基本的に調理班としているけど一般開放しないで開始の花火は上がっていない。しかし生徒らの弾けっぷりに関しては、非常にテンションが高めとなっていた。

「嘘!?一組であの織斑さんの料理が食べられるの!?」

「織斑さんは調理だけど、他の子らは蒼い翼公認『@クルーズ』のメイド服や執事の燕尾服を着てるそうだよー!」

「それだけじゃなくてゲームもあるらしいけど、勝てば写真を撮ってくれるんだって!忙しい織斑さんが休憩時間の間にツーショットなのよ、ツーショット!これは行かないと色々と損するわよ!」

一年一組の『蒼い翼公認メイド&執事喫茶』はとても盛況で朝から大忙しだったが、具体的には俺特製のケーキを一人前に切って飾り付けを一組女子に任せてパフェやパンケーキを一から作っていた。普通では考えられないくらいの速さで完成させるので摩訶不思議と思っていたが、俺らの部下は知っているので不思議がっていない。

『IS学園限定スペシャルパフェ一つと紅茶ですね、少々お待ち下さいませお嬢様』

「織斑料理長、スペシャル一つ入りましたー」

「了解した。即効作るから、紅茶の方はそちらに任せる」

「了解です」

俺がスペシャルパフェを即効作ってると紅茶の準備が出来たので、キッチンテーブルに紅茶とパフェを置いてから接客班に渡す。なお注文(オーダー)を調理班に通す必要ないが、復唱する際にリボン型マイクから音声で通じているようにしている。その方が時間が掛からないし、一から作っていても俺の手でやるとすぐ出来上がるからだ。

「いらっしゃいませ♪こちらへどうぞ、お嬢様」

「うわぁ~執事服を着てる人ってホントに一組女子生徒なの?」

「その通りでございますお嬢様、我々はお嬢様の喜ぶ姿を見るだけで幸せでございます。ご注文はどうされますか?」

「え、えーと・・・・こちらのスペシャルパフェってのは何かしら?」

「こちらは織斑料理長直伝のパフェとなっておりまして、何でも蒼い翼公認の限定パフェとされております」

「じゃあこのスペシャルパフェ一つと紅茶一つでお願いします」

「復唱させて頂きますが、IS学園限定スペシャルパフェ一つと紅茶ですね。少々お待ち下さいませ、お嬢様」

朝からこんな感じで接客班は笑顔を一番として、接待していたがIS学園限定スペシャルパフェにはトレーにツーショット写真が出来る景品としてある。当たりか外れに関してはそれで分かるようになってるし、外れたとしても清算時のレシートにて当たりと書かれたら後程お手製の料理を食事会として招く事となっている。

カップから皿まで蒼い翼のシンボルマークが入ってるけど、紙製のコップや皿ではないのでメイド&執事と客も高価なブツとして認識している。

「織斑料理長、そろそろ紅茶とコーヒーが切れるようです」

「なら作るか。ドリンクバーの機械に出来立てのを入れる為だ」

「お湯を沸かしましたので、お任せしますが出来るだけ早めにお願いします」

「もう出来るから客を待たせないで行けるぞ」

そう言いながらドリンクバーの器に詰め替えてから、食材の補給とテーブル整理で忙しくしているようだがこちらは緊張感を持ってやってもらってる。アイスならドリンクバー的な機械に入れるだけだが、ホットだとティーポットに湯とティーバッグを入れてしばらくしてから各カップに入れるようにしている。一番大変な仕事だと廊下の長蛇の列を整理するスタッフ。

「はーい、こちら一時間待ちでーす」

「ええ、大丈夫です。学園祭が終わるまで開店してますから」

各種クレームは待ち時間の苦情ぐらいだが、それさえも対応しているのでかなり忙しそうだ。俺はと言うとパフェ以外だとパンケーキやパスタ等を一から作ってるが、クロックアップ並みに素早く作っているからなのか。

休憩時間がある補佐役に対して、調理班である俺や部下らの休憩は今の所無いに等しい。ずっとフライパンを握る事もあれば、チョコレートパフェやスペシャルパフェを作るのが俺の仕事である。

「織斑料理長、ずっとフライパンを握ってますが大丈夫ですか?」

「今の所はな。それより朝よりも忙しくなっているが、俺らの部下は慣れているから問題ない」

「私達としてはずっと動いていて疲れないんですか?」

「私や織斑料理長はずっと鍋を振り続ける事もあれば、一流パティシエとしてやってますからね」

「天と地の差だとは思ってたけど、ここまでとはね」

ちなみにゲームはジャンケンや神経衰弱とダーツであり、苦手な人の為に選択出来るようなっている。調理班には画面があるので、ここから客の流れが見えるので女子生徒らの休憩を俺からの指示で各自休憩している。一年生教室前を埋め尽くす人の山、大人数に対応しているクラスメイトだが捌いている部下も一緒なので大丈夫だ。と外のカメラに鈴の姿を発見したので、即シャルが対応していた。

「いらっしゃいませ、お嬢様・・・・何だ鈴か。その格好は何?」

「ウチは中華喫茶やってんのよ、あたしがウェイトレスやってんのに隣のクラスの所為で全然客が来ないじゃない!」

「しょうがないと思うよ、織斑料理長=一夏の手作り料理を出した喫茶だからだと思うよ」

「あーそうなのね。一夏の手料理は女のプライドをズタズタにする程の威力だしね~」

聞こえてるぞ、と言いたいが生憎映像を見ながら料理を作っていた。チャイナドレスの鈴、一枚布のスカートタイプで大胆にスリットが入っている。真っ赤な生地に龍のあしらいで、金色ラインとかなり凝った服装だな。鈴の髪型も違うようだが、シニョンと言う丸いボンボンを乗せているが相変わらず似合う。中国人の嗜みかもしれんが、隣は飲茶(ヤムチャ)などを出す喫茶店だろうと予想出来た。

「とりあえず席に案内してくれるかしら?」

「はいはい。・・・・それではお嬢様、こちらへどうぞ」

女子同士なのか『お嬢様』と呼ばれても驚く様子もないので、空いている席を案内させる。内装に関しては全てこちら持ちなので、学園祭とは思えないレベルの品が置かれていて特にテーブルと椅子のワンセットだけで高級レストラン並みとされている。一発本番させてないので、カップや皿を震えながらと言うのはなかったので問題ない。

「それで、ご注文は何になさいますか?お嬢様」

「そ、そうねぇ・・・・」

調度品の高級感が落ち着かないのか、鈴は二回程身をよじりながら座り直していた。メニューを凝視しているが、客=お嬢様に持たせる訳にはいかないのでメイド&執事が手に持って見せている。

「このケーキセットって何種類でも選べる訳なの?」

「はい、当店では一流と言われた織斑料理長が一から作ったケーキをIS学園限定として何種類でも選べるのでございます」

「へぇー・・・・一夏のケーキを何種類か食べてみたいわね。イチゴとチーズと紅茶を貰おうかしら」

「畏まりました、ケーキセットにてイチゴケーキとチーズケーキを一つずつと紅茶一つですね。少々お待ち下さいませ、お嬢様」

鈴が注文した事で厨房ではイチゴケーキとチーズケーキを切って皿に盛っていたが、俺はフライパンを振り続けているので休憩はもう少しかな~?ちなみに普段ならケーキセットだけで千円取られるが、IS学園限定となっているので値段を抑えて五百円に設定した。店なら赤字だがここはIS学園なので問題ないが、売上は学園の方に寄付となるのでな。

「シャル、鈴の所にケーキセットお待ち」

「ありがとう一夏・・・・織斑料理長」

カウンターにケーキセットを渡したが、今だけそう呼ばれるのは規則だからしょうがない。が、教室から出れば問題ないし休憩時間になればやっと自由になれる。ケーキセットを運ぶシャルは笑みのままチャイナドレス・ガールが待つテーブルへ向かう。

「お待たせしました、お嬢様」

「随分早いわね、もしかして注文と同時に作ってるのかしら?」

「そうでございます・・・・イチゴケーキとチーズケーキに紅茶となります。何かありましたらすぐにお呼び下さいませ、お嬢様」

そう言って離れるシャルだったが、鈴はケーキと紅茶を飲食した瞬間何やら落ち込む鈴。その後、楯無がメイド姿で現れた事で俺は少し休憩を入れて手を洗ってから向う俺だった。

「何してんだ、楯無」

「あら、一夏じゃないの。へぇー流石料理長だけの事はあるわね~コックコート似合ってるだけの事はあるわ」

「どうもー、新聞部でーす。話題の織斑料理長を取材に来ましたー」

俺と楯無が喋ってると新聞部のエースである黛 薫子である。最初は俺の写真を撮りに来ていたが、ドウター関連となると一切ノーコメントだったんで来るのは久し振りだなと思った。すると他の客らも気付いてこっちを向くと目を輝かせて見ていたが、後程ツーショットする予定なのでな。

「あ、薫子ちゃんだ。やっほー」

「わお!たっちゃんじゃん!メイド服似合うわねー。あ、どうせなら織斑さんとツーショット頂戴」

「特別に許可するからな、とっとと撮りな」

そう言いながらシャッター切り始めたが、俺も楯無も『イエ~イ♪』とピースしてるので色々と撮影していた。鈴はと言うと既に食べ終わっていて、隣のクラスで接待するからとな。俺は後程そちらに行くかもしれんと伝えると、客ならもてなすと告げた。

「うーん、やっぱり女の子も写らないとダメねー」

「私写ってるわよ?」

「たっちゃんはオーラ有り過ぎてダメだよー。あ、どうせなら他の子達にも来てもらおうかな。織斑料理長、許可出してくれますか?」

「いいだろう、特別に許可するがコックコートのままだと不味いから着替えてくる」

その間楯無も手伝うと言う事なので、コックコートからIS学園の制服に着替えてから写真撮影が始まった。一人目と二人目はセシリアとシャルだったが、あくまで護衛としているのか笑顔半分真顔半分と言う感じだった。全員分のメイド&執事のツーショット写真が終わった事だが、俺は黛先輩と一緒にデジカメのプレビューを見てチェック。

「・・・・うむ。これなら大丈夫だな」

「や~。一組の子は写真映えしていいわ。撮る側としても楽しいけど、織斑さんからの厳しいチェックをクリアーした事で良しとしますか」

「薫子ちゃん、後程でいいから生徒会の方もよろしくね」

「もっちろん!この黛 薫子にお任せあれ!」

ドンっと胸を叩いて答えた黛先輩だが、文化系の部活動なのに体育会系みたいなノリでもある。部下からの報告によるとIS学園内で張っていた網に掛かったと言っていたので、俺は校内を色々と見て回る事になった。スペシャルパフェは完売したし、紅茶やコーヒーの作り方も部下と補佐役で何とかなるからだ。制服姿のまま教室外に出ると長蛇の列だが、楯無が手伝っているのか先程より回転が速い。

「あ、織斑さんだ!」

「ねー、どこ行くのー?休憩?」

「まあな。ずっとフライパンやスペシャルパフェを作り続けたから、部下から休憩して良いとな」

無論俺一人で行く訳でもなく、護衛として桜花がいて更にスーツ姿の者が数名遠くから見ていたので気にしないで行こうとするとマークしていた人物から声が掛かった。

「ちょっといいですか?」

「うん?何か用か?」

名刺を取り出して渡して来るが、IS装備開発企業『御剣(みつるぎ)』渉外担当・巻紙礼子と書かれていた。すぐに確認するが、それは架空だと知らされた事で桜花をすぐに動かした。

「織斑様に何用でしょうか?」

「織斑さんにぜひ我が社の装備を使って頂きたいと思いまして」

「残念ながら装備提供を名乗り上げてくる企業が後を絶たないが、俺が使うISに他の装備を使う訳にはいかないので断らせてもらおう」

世界で唯一ISを使える男性である俺の黒鐵改は他の装備を使うとしても、基本的にストフリモードとしたハイマットフルバーストを使う広範囲殲滅型。その前に軍属なので広告効果が高い事は知っていても、他社の装備を使う訳にもいかず俺は全ての企業に断りを入れている。後付装備を開発している事に関して、蒼い翼とブラック・シャーク隊の研究者らと俺が開発したりする。

「すぐに撒いたようだけど、後程来るだろうな。『亡国機業(ファントム・タスク)』のオータムだろうな」

「でしょうねぇ~網に掛かったと思えば近付いて来るとは、切れ者なのかバカなのか分かりません」

「一応警戒レベルを上げて、俺はアイツと一緒に回るから桜花も何かあれば呼んでくれ。それに離れたとしても、近くに男性隊員がいるからな」

「了解しました。では私は別行動を取らせてもらいますが、何かあればいつでも呼んで下さい。織斑隊長」

そう言う事で俺と桜花は別れたが、ここにオータムが来た事を知ったセシリアとシャルに更識姉妹も警戒レベルを上げた事で少しピリピリとしていた。俺は弾と合流する為に正面ゲートへ向かう。 
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