| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者

作者:niko_25p
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三話 昇格試験 ゴール、そして……

油断から怪我をしてしまったティアナ。

でも誰も諦めていなかった。最終関門に向けて、三人が力を合わせる。



魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者、始まります。





outside

上空のヘリから、はやてとフェイトが様子を伺っていた。

少し前に、アスカが一人で飛び出して大型オートスフィアの攻撃を受けていたのだ。

「さっきのは、先行で様子を見にきただけやろな?」

「うん、サーチャーが壊れたのが気になるけど……あ、出てきた」

モニターに、アスカとティアナが映し出される。

「そろそろ落としにかからんと、時間切れになってまうで?どう攻めるんやろなぁ」

そのノンビリとした口調とは裏腹に、はやての目はキラリと光っていた。





アスカside

「デュアルプロテクション!」

オレは自分とティアナにバリアを張り巡らせた。

ラスボスの射撃がガンガン当たるが、とりあえずは持ちこたえてみせる。

しかし、どういうつもりだ?このまま攻撃を引きつけながら接近しろって?

作戦の詳しい内容は教えてくれなかったから、言われた通りにティアナを守りながら最終関門のビル目指して駆けている。

「っと!」

さっきの攻撃でも分かっていたけど、ラスボスの正確な射撃がオレ達を狙ってくる。

ティアナの分のバリアも強度調整をする。

「そろそろか……行くぞ!」

オレが指示を受けたのは、一定の時間までティアナを守る事。そして、時間が来たら速やかに離れる事だった。

「エリアル・ダッシュ!」

一気に加速してオレはティアナから離れた。

すると、ラスボスの攻撃がティアナに集中する。

オレの張ったバリアが破壊されて、ラスボスの射撃がティアナを直撃した。






outside

「あっ!?直撃?」

はやてが思わず声を上げた。

(こんなあっさり脱落?)

予想外の事に驚くはやて。

「いや、あのティアナは囮だね。本物じゃない」

フェイトがモニターを凝視して呟いた。

その言葉を裏付けるように、高架橋からティアナが一人、また一人とモニターに表示される。

「幻術か!やるなぁ!」

はやては感嘆の声をあげる。

「完全に騙されたね。まさか幻術のティアナをバリアで守るなんて」

常識にとらわれない戦略にフェイトも感心した。

「敵の注意を引きつけるには充分な時間を稼いだ、ってとこやな」





その頃、アスカは大型オートスフィアの待つビルに突入する寸前だった。

だが、最上階近くから爆音がしてビルが揺れたので、思わず立ち止まっていた。

見ると、ビルの後ろの方で煙りが立ち上っているように見える。

「いや、煙じゃない。埃……ビルの壁をブチ抜いた埃か!」

ギリッと唇を噛むアスカ。

「反則に危険行為だろ?何やってんだ!」

アスカはビルの階段を一気に駆け上がり、最終フロアへ飛び込む。

そこで目にしたのは、スバルが大型相手に苦戦している所だった。

「スバル、下がれ!」

バリアを展開しながらアスカはスバルに向かって叫んだ。

「イヤ!ここで決める!」

大型のバリアで阻まれている右拳を、何とか通そうと魔力を込めるスバル。

だが、動きの止まったスバルに大型の銃口が向けられた。

「バカ野郎!」

アスカはスバルの首根っこを掴むと、力まかせにスフィアがら引き剥がした。

次の瞬間、それまでスバルのいた場所にオートスフィアの魔力弾が打ち込まれる。

間一髪のところだった。

「スクエアシールド、展開!」

自分とスバルを取り囲む正方形の魔法障壁を作り出すアスカ。

スフィアまでの距離はかなり近い。手を伸ばせば届きそうな距離だ。

その至近距離から、魔力弾をガンガン打ち込まれる。

「くっ……まったく、無茶しやがって」

シールドを破壊されないように注意しながら、アスカはスバルに目を向けた。

「でも……でも、もうこれしか方法が……」

「別に責めちゃいないよ。怪我をしたティアナの為だろ?」

アスカの言葉に、スバルがコクリと頷く。

「だったらさ、オレもまぜろよ!仲間外れはイヤなんだよ」

「え?でも反則ギリギリだし、アスカは三回目なんだから……」

「関係ねぇよ!たとえ臨時で組んだとしても、チームメイトが怪我して諦めますって言えるかよ。それに……」

アスカが笑う。

「それに受かるのも落ちるのも、一緒ってのがチームだろ」

ムチャクチャな言い分だったが、アスカにつられるようにスバルも笑みをこぼす。

「時間がない。ラスボスのバリアはオレが一瞬だけ無効化する。一撃で決められるか?」

「バリアがなければ大丈夫!」

アスカに即答するスバル。

「よし、準備開始!」

アスカの合図に、スバルが魔力をリボルバーナックルに集結させる。

魔法陣がスバルの足下に浮かび上がる。

(何だ?この凄い魔力は?)

スバルが練り上げる魔力に驚くアスカ。

近接戦の打撃のみと思っていたスバルが、強力な砲撃魔法を使おうとしているのだ。

「な、なんて魔力だ……行けるか、スバル!」

「いつでもどうぞ!」

スバルの返事を聞き、アスカは自分のシールド魔法をスフィアのバリアにぶつけた。

シールドとバリアが激しく干渉し、バリバリと耳障りな音が響く。

「破れろおぉぉぉ!」

雄叫びと共にシールド出力を上げるアスカ。

スパークするように魔力が飛び散り、シールドとバリアが対消滅した。

「今だ!」

アスカが伏せるのと同時に、尋常じゃなく魔力を高めたスバルが切り札を出した。

「一撃必倒!デバインバスタアァァァァァァ!」

気合一閃、スバルは必殺のデバインバスターを放った。

オートスフィアを貫通する魔力光。

リボルバーナックルから撃ち出された光が、オートスフィアを文字通り一撃で破壊した。

「デバイン…バスター……だと?」

信じられない物を目の当たりにしたアスカは、唖然としてスバルを見る。

「さあ、ティアの所に行こう!」

「あ?あぁ……」

とにかく驚くのは後。

そう判断したアスカは、スバルが作り出したウイングロードの上をエリアルダッシュで駆け抜けた。

ティアナと合流してスバルは、彼女を背負う。

「時間は?」

「あと一分ちょっと、急いで!」

アスカの問いかけにティアナが答える。

三人は頷き、ゴール目がけて走りだした。





最後の直線の先にあるゴール地点で、リインは三人を待っていた。

「あっ!きたですね!」

遠くから土煙が二つ近づいてきている。

一つはティアナを背負ったスバル。

もう一つは、スバルと併走してエリアル・ダッシュをしているアスカだ。

本来、エリアル・ダッシュは短距離の移動魔法であるが、それを連続で行使する事によってスバルのスピードについて行っているのだ。

「見えて来たぞ!」

アスカがゴール近くのターゲットを発見する。

「あと何秒?」

「16秒、まだ間に合う!」

スバルの問いかけに即答したティアナが、ターゲットを撃ち抜く。

リインはそれを確認した。

「はぁい!ターゲット、オールクリアです!」

これで全ての障害物はなくなった。後はゴールするだけ。

「魔力、全開ィィィィィィ!」

スバルは残り全ての魔力をローラーブーツに注ぎ込み、超加速した。

「はやっ!」

置いて行かれないようにアスカも加速し、何とかついて行く。

(は、速すぎないか、これ!)

アスカがそう思ったとき、振り解かれないようにスバルにしがみついていたティアナが叫んだ。

「ちょっ!スバル!止まる時の事、考えてるんでしょうね!」

「えぇ??」

完全に忘れていた、とその顔が言っている。

「マジかぁぁぁぁぁ!」

思わずツッコミを入れるアスカ。

アスカもかなりのスピードを出しているが、最終的には衝撃を吸収するバリアで止まれば良いと思っていたのだ。

まさかこの二人がノープランだとは思ってもみなかった。

「あ?何かちょいヤバです」

リインが異変に気づく。

「「わあぁぁぁぁぁ!!!」」

絶叫を上げながらゴールラインを通過するスバルとティアナ。

その後ろを必死に追うアスカ。

少し先にはバリケードが立ち塞がっている。

このまま激突したら、怪我では済まない。

(バリケードまで約100メートル、間に合え!)

二人を止める為に、アスカは自分の持つ最速の移動魔法を発動させた。

「フラッシュムーブ!」

瞬時にアスカはスバルの前に回り込み、胴体タックルを仕掛けるように彼女の身体を受け止めようとした。

が、その程度でスバルが止まる筈もなく、アスカは両足を引きずりながら押されて行く。

「くっそ!緩衝撃結界!」

二人を包み込むバリアを張ろうとしたアスカだったが…

「がぁっ!」

弾き飛ばされてしまった!スバルも全く減速しない。

「「「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」」

三人の叫び声が、周囲に響きわたった。






アスカside

………あれ?生きてる。

オレは逆さまな風景を見てそう思った。

確か、スバルを止める為に前に回り込んで、体当たりを弾かれてバリケードに……

いや、待て。落ち着け、オレ。生きてるって事は助かったって事だ。

風景が逆さまなのが気になるが。

とりあえず、落ち着いて自分の置かれた状況を確認しよう。

まず、なぜ風景が逆さまなのか?

それはオレが逆さまにぶら下がっているからだ。何にぶら下がっている?

オレは首を回して周囲を見回す。

どうやら、アクティブガードと呼ばれる白いニョキッとしたクッション魔法に引っかかっているようだ。

隣を見ると、同じようにアクティブガードに腹這いに引っかかったティアナがいる。

そのまま地面に目を向けると、そこにはフォールディングネットと呼ばれれているガード魔法が張り巡らされていて、スバルはそこにひっくり返っていた。

おい、その筋○バスター喰らったみたいな態勢なんとかしろよ、スバル。

ふと、後ろを振り返ると……バリケードまであと30センチの距離。

「怖えー」

うん、思いっきり血の気が引いたよ。もうちょっとでスプラッタだった。

「もう!三人とも!危険行為で減点です!」

オレが状況確認をしていた時に、リインフォース・ツヴァイ空曹長がカワイイ声で怒って………なんだありゃ?

声の方を見てそう思ったオレは悪くない筈だ。

そこには、身長30センチ程の小さい女の子……リイン曹長が頬を膨らませて怒っていたからだ。

え?なに?ユニゾン・デバイスってやつか?初めて見た!

「ちっさ……」

隣から小さく呟く声が聞こえる。おい、一応階級上だぞティアナ。

「頑張るのはいい事ですが、怪我をしては元も子もないですよ!こんなんじゃ魔導師としてはダメダメです!まったくもう!」

ちっちゃい試験官がプンプン怒って説教をしてくるが、如何(いかん)せん、その容姿が可愛すぎるせいでまったく響いてこない。

あー、ちっちゃいのに頑張ってるんだなぁ、和む。

「あはは、まあまあ」

ちっちゃい試験官が更にお説教をしようとした時に、それを止める女性の声がした。

ああ、来ていたんだ。一ヶ月前に会った、あの女性(ひと)が。






outside

白いバリアジャケットを纏った女性が空から降りてきた。

「ちょっとビックリしたけど、無事でよかった」

静かに笑って、受験者三人を見る。

「とりあえず試験は終了ね。お疲れさま」

そう言って魔法を発動させる女性。

アスカとティアナの身体がフワリと浮き上がり、優しく地面に下ろされる。

アスカはそのまま立ち上がったが、ティアナは捻挫の為に地べたに座り込む。

「リインもお疲れさま。ちゃんと試験官できてたよ」

「わあい!ありがとうございます!なのはさん!!」

さっきまで怒っていたリインが、一瞬で笑顔になる。

なのはと呼ばれた女性は、バリアジャケットを解除して三人に向き直った。

「まあ、細かい事は後回しにして、ランスター二等陸士」

「あ、はい!」

突然名前を呼ばれて緊張するティアナ。

「怪我は足だね。治療するからブーツ脱いで」

なにはが近づこうとした。

「ああ!治療なら私がやるですよ」

リインがなのはを止めて、ティアナの足まで飛んで行く。

「あ……えと…すみません」

ティアナは、アスカが巻いてくれたバンダナを解いてブーツを脱ぐ。

そんなやりとりをしている隣で、スバルが呆然と立ち尽くしていた。

「なのは…さん……?」

名前を呼ばれ、なのははニコリと微笑んだ。

「うん」

嬉しそうになのはが応える。

ハッとして、スバルは慌てて姿勢を正した。

「あぁ……いえ…あの!高町教導官……一等空尉!」

「なのはさんでいいよ。みんなそう呼ぶから」

慌てふためくスバルに、優しく語りかけるなのは。そして、スバルに歩み寄る。

「四年ぶりかな?背、伸びたね、スバル」

ピクン!

なのはの言葉に身体を震わせるスバル。

「!!えぇっと…あの…あの!」

目に涙を溜め、何とか言葉を出そうとするが上手くいかない。

「うん、また会えて嬉しいよ」

はにかんだ笑みを浮かべ、なのははスバルの頭を撫でた。

「う…えっく…ひぅ…」

あとは言葉にならなかった。

憧れの人が目の前にいる。きっかけになった日の事を覚えていてくれた。

何の繋がりもない、ただ自分の一方的な気持ちだと思っていた。

(でも、なのはさんはあの時の事を覚えていてくれた!)

何もできなかった自分を助けてくれて、優しく微笑んでくれた人。

様々な思いがスバルの胸をいっぱいにした。

(なのはさんに憧れて管理局に入りました…あの時助けてくれてありがとうございました…いっぱい、いっぱい話たい事があるのに……)

ポロポロと涙を流すスバル。

そのスバルを、なのはは抱き寄せて優しく頭を撫でていた。





その様子を、アスカは遠目で見ていた。

「お二人はなのはさんの事をご存じですか?」

ティアナに治癒魔法をかけていたリインが聞いてくる。

「あ、はい、知ってます。本局武装隊のエースオブエース」

ティアナが答え、アスカもそれに続ける。

「というか、管理局員で知らないヤツはいないでしょう。モグリでも高町一尉の名前は知っていますよ」

そう答えたアスカが、ティアナ目を向ける。

「それより、スバルと高町一尉って知り合いだったのか?」

その問いかけに、ティアナは少し考え込む。

「……知り合いというか、スバルの一方的な憧れだったんだけどね。アタシが言う事じゃないし、後でスバルに聞いて」

「ふーん……」

ティアナの答えに、アスカはそれ以上聞くことはしなかった。

「はい、終わりですよ」

リインの治療が終わり、ティアナがブーツを履いて立ち上がる。

「ありがとうございました、リインフォース・ツヴァイ空曹長」

敬礼するティアナ。リインもはい、と敬礼する。

(人形みたいで可愛いな)

そんな事を考えていたアスカに、落ち着きを取り戻したスバルと、なのはが近づいてきた。

「ご無沙汰しています、高町一尉!」

「うん、一ヶ月ぶりだね、アスカ君」

アスカが敬礼すると、なのはも返礼する。

「「えぇぇ!なのはさんとアスカって知り合いだったの!?」」

二人のやりとりを見ていたスバルとティアナの声がきれいにハモった。

「あ……知り合いと言うか、高町一尉が一ヶ月前に099部隊に立ち寄られて、その時に一時間だけ訓練をつけてくれたんだ」

この二人、本当に息ピッタリだなと思いつつアスカが答える。

「あの時はビックリしたな。まさかデバインバスターを(しの)がれるとは思ってもみなかったから」

うん、と可愛く笑ってサラリとんでもない事を口にするなのは。

「デ、デバインバスターを……」「凌しのいだ……」

スバルとティアナがアングリと口を開けて驚く。

(って言うか、一時間の訓練でデバインバスター撃っちゃったんだ、この人……)

ヒヤリと冷たい物がティアナの背を駆け抜けた。

「じゃあ、そろそろ戻ろうか。試験の採点をするから、三人は事前に指定のあった場所で待機。いいね?」

「「「はい!」」」

なのはの言葉に、アスカ達三人が敬礼をして答えた。

試験は終了した。あとは、結果を待つばかりである
 
 

 
後書き
連休最終日で何とか更新です。これでちょっと間が開きます。

最近は東方の小説を書きたいなーなんて考えてます
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧