真田十勇士
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巻ノ四十 加賀の道その四
「ならばな」
「源四郎殿にですな」
「相当な方を用意される」
「そしてその方とですな」
「夫婦にされますな」
「そうなる」
間違いなくというのだ。
「あの方ならばそうされる」
「関白様なら」
「必ず」
「そうなるな」
こう言うのだった。
「大坂で」
「奥方となる方をですか」
「既に用意されているかも知れない」
「そしてですか」
「源四郎殿も」
「どうやらこの度の上洛は相当なことになるな」
直感的にだ、兼続はこのことを察していた。
「特に大坂では」
「都はともかく」
「あの地で」
「そうなるやも知れぬ」
兼続はこうしたことも話していた、そしてだった。
上杉家の者達は都及び大坂に向かって北陸道を進んでいた。幸村もその中にいて十勇士達と共に上洛していた。
そこでだ、こんなことも言った幸村だった。その北陸の道を見つつ。
「確かに今は楽に進めているが」
「これが雪が降れば」
「まさにすぐにですな」
「雪に覆われ」
「それで、ですな」
十勇士達も言う。
「あっという間にです」
「進めなくなりますな」
「この様に楽にはです」
「それが出来なくなりますな」
「雪は辛い」
進むにあたってというのだ。
「戦の時は守りになってくれる場合もあるが」
「行き交いにはですな」
「どうしても辛い」
「そうした状況にしますな」
「そうじゃ、実にな」
幸村は難しい顔で言っていく。
「そこが問題じゃ、しかしそれが北陸じゃ」
「この辺りですか」
「越後も含めて」
「そうなのですな」
「うむ、仕方ないと言えばな」
こうしたことも言った。
「そうなるな」
「ですか、それもまた」
「ありますか」
「その地のことですか」
「そうなるな、刺身の時に御主達に言われたが」
あらためてこのことも言った。
「その地のことがある、それを頭に入れて政なり戦なりすべきじゃな」
「ですな、上田でもそうですし」
「この北陸も然り」
「その地のことがある」
「それは頭に入れておくべきですな」
「さもないと何も出来ぬ」
それこそというのだ。
「政も戦もな」
「国や民を治められず」
「戦にも勝つことが出来ぬ」
「そうなるのですな」
「そうじゃ、御主達の話でそのこともわかった」
まさにというのだ。
「わしもいいことを教えてもらった」
「北陸では北陸の戦の仕方がありますか」
「その雪が多い国でも」
「雪を使った戦もある」
「そうなりますか」
「例えば六郎の水の術で氷を使うなりしてじゃ」
その海野を見ての言葉だ。
「清海の土の術で雪崩を起こすなり雪に隠れて戦うなりある」
「そうしてですか」
「雪を逆に利用して戦うのですか」
「寒さから氷を使ったりですか」
「崩したり隠れたり」
「色々あるのですな」
「うむ、ただし凍えてはならぬな」
雪のその冷たさでというのだ。
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