英雄伝説~光と闇の軌跡~(FC篇)
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第112話
ロランスと戦闘を開始したエステル達だったが予想以上に苦戦した。
~女王宮・テラス~
「はっ!」
「フッ……」
エステルの棒は剣で受け流され
「しっ!」
「………」
シェラザードの鞭は回避され
「やっ!」
「えいっ!」
「………まだまだだ!」
「キャッ!?」
「やん!?」
クロ―ゼとミントの同時攻撃は両方ともロランスの剣と打ち合いになってしまい、打ち負けた2人は吹っ飛ばされてその衝撃に悲鳴をあげた。
「クッ………私の剣ではみなさんの足手まといかもしれません。なら………!……水流よ吹きあがれ……」
接近戦ではかなわないと思ったクロ―ゼはオーブメントを発動し、アーツを放とうとしたが
「甘いっ!」
ロランスはクロ―ゼに向かってクラフト――零ストームを放った。
それを見たクロ―ゼはオーブメント発動をやめて驚き硬直してしまい、動けなかった所
「危ない、クロ―ゼ!!」
間一髪でエステルが飛び込みクロ―ゼを抱きかかえて衝撃波から逃れ、その勢いで倒れた。
「いたた……大丈夫、クロ―ゼ?」
「はい、ありがとうございます、エステルさん。……それにしてもかなりの強敵ですね……アーツを撃つ隙も中々ありませんね……」
「そうね。あれじゃあ、魔術の詠唱もあんまりしない方がいいかもしれないわね……」
エステルにお礼を言ったクロ―ゼはアーツも撃たす隙もみせないロランスの強さを感じた。また、エステルもクロ―ゼの言葉に頷いた。
「燃えちゃえ~!ファイアーシュート!!」
その時ミントが炎の魔術をロランスに向けて放った!
「フン!!」
しかしロランスは自分に迫りくる炎の玉を剣で真っ二つにした!
「そんな!?」
ロランスの行動を見たミントは驚いた。
「戦意よ、芽生えよ!!……戦意の祝福!!」
そこにミントの魔術にロランスが気を取られている隙を狙って、シェラザードは援護魔術を自分達にかけた。
「これで少しはあの少尉の動きについていけると思うわ。」
「シェラ姉、ありがとう!」
「大地の力よ、我の盾となれ…………アースガード改!!」
エステルがシェラザードにお礼を言ったその時、ロランスは絶対防御のアーツを自分にかけた。
「げっ。そういえば武術大会でプリネと戦った時、アースガードを使っていた事を忘れていたわ。」
ロランスの行動を見たエステルは顔を顰めた。
「ったく、そういう事は早くいいなさい。……ん?あの少尉、プリネさんと戦ったですって!?」
エステルの言葉に呆れたシェラザードはロランスがプリネと戦った事に驚いた。
「うん。ちなみにその試合、特務兵達の相手はペルル達がしてプリネがあの少尉と一騎打ちをして、勝ったよ。」
「さすが、”覇王”達に鍛えられているだけはあるわね……」
「……でもプリネ、かなり苦戦したみたい。あの少尉、プリネに一撃を入れたもん。その後、プリネが”力”を解放してなんとか勝ったけど……」
「なんですって!?」
プリネの実力を知っていたシェラザードはプリネが一撃を受けた事や人間を相手にプリネが”力”を解放した事に驚いた。
「フッ……呑気に話をしていていいのか?………そこだっ!」
そこに口元に笑みを浮かべたロランスがクラフト――零ストームを放った!
「わっ!」
「チッ!」
「ハッ!」
「えい!」
ロランスの攻撃に気付いたエステル達は回避に成功した。
「とにかく、数の差はこっちが圧倒的に勝っているんだから物量で押すわよ!」
「了解!」
「はい!」
「うん!」
シェラザードの号令にエステル達は力強く頷き、それぞれロランスに攻撃を仕掛けた!
「とりゃっ!」
「せい!」
「ほう……少し動きがよくなったな……」
魔術によって身体能力が上がり、素早く攻撃して来たエステルとクロ―ゼにロランスは感心した。
「だが、まだまだだ。……むん!」
「くっ!?」
「キャッ!?」
そしてエステルとクロ―ゼの攻撃をそれぞれ捌いたロランスは反撃をして、エステル達を吹っ飛ばした!
「雷よ、落ちよっ!……落雷!!」
「落っちろ~!……サンダーボルト!!」
そこにシェラザードとミントの詠唱が終わり、魔術が発動した!2種類の雷はロランスの頭上で発生して、落ちて来た!
「フッ………」
しかしロランスは2つの雷を余裕の笑みを浮かべて回避した!そして回避しながら発動を始めていたアーツを放った!
「銀の楔よ………我が敵を滅せよ!………シルバーソーン!!」
ロランスが放ったアーツは纏まっているエステル達を閉じ込めるかのように次々と上空から宝石のついた銀色の楔が降って来た!
「やばっ!……ミント!!」
「クッ………!」
武術大会でロランスのアーツを見ていたエステルは次がどうなるかわかっていたので、少しでも被害を減らすためにミントを楔の外へ突き飛ばした!また、シェラザードも本能的に不味いと思って、クロ―ゼを突き飛ばした!
「ママ!?」
「シェラザードさん!?」
突き飛ばされたミントとクロ―ゼは驚いた。そして宝石部分が光り2人に向かって怪しい紫色の光を放たれた!
「「キャァァァァ………!!」」
光に当てられた2人は思わず悲鳴をあげ膝をついた。
「ママ!シェラお姉さん!」
「大丈夫ですか!?」
攻撃を受けた2人を心配して、ミントとクロ―ゼは慌てて駆け寄った。
「いたた………2人は怪我はない?」
エステルは身体中に伝わる痛みに顔を顰めながら、立ち上がった。
「うん!」
「お二人が私達を突き飛ばしてくれたお陰で、先ほどのアーツによる攻撃は受けませんでした。」
「そっか。シェラ姉、大丈……」
2人の言葉に安心したエステルはシェラザードを見たその時、シェラザードが無表情でエステル達に攻撃して来た!
「わっ!?」
「キャッ!?」
「やん!?」
予想外のシェラザードの攻撃にエステル達は回避できず、受けてしまい、シェラザードから下がった。
「シェラ姉!?どうしたの!あたし達は味方だよ!?」
シェラザードの突然の行動に驚いたエステルはシェラザードに呼びかけた。
「まさか……今の攻撃で”混乱”になったのではないですか!?」
一方クロ―ゼはシェラザードの焦点の合っていない瞳を見て、冷静に推測した。
「ええええ~!?」
「あ、あんですって~!?攻撃と同時に混乱させるようなアーツ、知らないわよ!?」
クロ―ゼの推測を聞いたミントとエステルは驚いた。
「とにかく何とか、シェラザードさんの混乱を直さないと………」
「…………あたしがロランス少尉の相手はするわ!クロ―ゼはシェラ姉の治療をお願い!ミントはクロ―ゼの手伝いをお願い!」
戦闘の判断がつかないクロ―ゼを見て、エステルは即座に考えた案をクロ―ゼとミントに指示した。
「うん!」
「わかりました!エステルさんも気を付けて下さい!」
そして3人はそれぞれの行動に移った。
「さっきのアーツといい、あんた何者よ!?」
再びロランスに攻撃を仕掛けたエステルはロランスと鍔迫り合いをしながら、尋ねた。
「フ………お前達の情報通りの男のはずだが?」
「ふざけた事を言ってんじゃないわよ!行くわよ……!」
ロランスの挑発にも聞こえる言葉に怒ったエステルは棒に雷を宿らせた!
「来い……!」
「ハァァァァァァァ!!雷波!無双撃!!」
「……………………」
雷を宿した武器と打ち合う訳にもいかなかったロランスはエステルの連続攻撃を次々と回避していた。
「とぉりゃぁぁぁぁぁっ!」
回避をされても気にせず攻撃を続けていたエステルは最後の一撃に特大の雷を込めて、ロランスに放とうとしたが
「せいっ!」
「なっ!?キャアッ!?」
ロランスが剣で地面を叩き、それによってできた衝撃波がエステルを襲い、エステルは攻撃が中断されて、吹っ飛ばされた。
「くっ………これも駄目か………」
吹っ飛ばされながらも体制を整え、受け身を取ったエステルはどうやってロランスを倒すか必死に考えた。
「ママ!」
そこに正気になったシェラザードを連れたミント達がエステルに近付いた。
「ミント、クロ―ゼ!シェラ姉、混乱が治ったみたいね!よかったわ……」
「手間をかけさせたわね………」
エステル達にシェラザードは自分のせいで足を引っ張った事を謝った。
「シェラ姉が無事ならいいよ!」
シェラザードの顔を見たエステルは笑顔で慰めた。
「エステルさん!」
「へっ!?」
その時、ロランスの行動に気付いたクロ―ゼはエステルに警告した。しかし警告は遅く、ロランスはエステル達の目の前で剣を叩きつけた!
「むん!」
「あうっ!?」
「やん!?」
「クッ!?」
「キャアッ!?」
ロランスの攻撃を受けたエステル達はダメージを受けるとともに吹っ飛ばされ、受け身を取った後、なんとか立ち上がった。
「むん!受けてみろっ!荒ぶる炎の渦を!!」
そこをすかさず、ロランスがSクラフトの構えをした!
「鬼炎斬!!」
「!!」
ロランスが放った炎を纏ったような衝撃波を見て、エステルが驚いた時
「奥義!桜花乱舞!!」
エステル達の後方から強大な衝撃波が飛んで来て、ロランスの衝撃波を呑みこみ、ロランスを襲った!
「何!?」
自分の攻撃が消された上、さらに自分を襲って来た衝撃波にロランスは驚きながら回避した。
「光よ、傷ついた者達に癒しを!………癒しの風!!」
さらにエステル達を光が包み、エステル達の傷を治療した。
「大丈夫、みんな?」
「フフ………中々楽しめそうなのと戦っているじゃない♪」
そしてニルとカーリアンがエステル達の後方から姿を現した。
「ニル!カーリアン!!」
2人を見たエステルは明るい顔をした。
「援軍の特務兵達は全員峰打ちしておいたわ。ここからは私達も加わるわね♪」
「助かります。相手はかなり手強くて、情けない事に一人相手に苦戦していたんです。」
自分達にとって切り札であるカーリアンの参戦にシェラザードは安堵の溜息を吐いた。
「………………………………何故、貴女がここにいる。”戦妃”殿。メンフィルは静観するはずではなかったのか?」
一方ロランスはカーリアン達の登場に目を見開いて驚いた後、尋ねた。
「フフ……国同士の事情にこの私が気を使うとでも思っているの?」
「………………………」
口元に笑みを浮かべて答えるカーリアンを見て、ロランスは黙っていた。
「後、昨日プリネがリウイに報告した時、向こうで起こった出来事をプリネから聞いたけど、私にとっても見過ごせない事を貴方達はしたようだからね………」
笑みを浮かべていたカーリアンだったが、目を細めてロランスを睨んだ。
「………何の事でしょうか?」
カーリアンの言葉を聞いたロランスは顔には出さなかったが、困惑した。
「貴方の部下がメンフィル大使館で働いているプリネ専属になる予定の見習いメイドを攫おうとしたそうね?」
「バカな………それだけは絶対にしないよう、厳命したはずなのに…………」
カーリアンの説明を聞いたロランスは信じられない表情で呟いた。
「手柄を欲して、功を焦った馬鹿がいたんでしょうね。ま、そいつらはもちろん”殲滅”されたそうよ?」
「………………………」
カーリアンの言葉をロランスは無表情で黙って聞いていた。
「そういう事だから手伝い程度の予定だったけど、私も貴方達と戦う理由が出来ちゃったって訳。武術大会ではプリネに”力”を解放させたようだし、ちょっと本気を出させてもらうわよ?」
「フフ、能天使であるニルの事も忘れてもらっては困るよ?」
双剣を構えるカーリアンに続くようにニルも連接剣を構えた。
「よ~し、反撃開始よ!!」
そしてカーリアン、ニルを加えたエステル達は再びロランスに戦闘を仕掛けた!
「それ、それ、それぇっ!!」
「クッ…………」
カーリアンのクラフト――3段斬りをロランスは必死で捌いている所を
「剛震突き!!」
「!!」
突進と共に相手を攻撃するニルの突撃クラフト――剛震突きをその身に受け、ロランスを覆っていた絶対防壁の一枚がなくなった。
「あら?」
攻撃を受けたにも関わらず、無傷のロランスに気付いたニルはロランスの反撃を受けないよう空へ飛んだ。
「「風よ、切り裂け!………旋刃!!」」
さらにエステルとシェラザードが放った魔術がロランスの周囲で風の刃がいくつも発生した。
「!!チッ………」
2人が放った魔術を回避しようとしたロランスだったが、2人はそれぞれ別の場所に放っていたので、回避できず、残っていた絶対防壁が破られた。
「あっち行け~!」
「グッ…………」
そこにミントの魔力を籠らせた蹴りのクラフト――バーストショットがロランスに命中し、ロランスは吹っ飛ばされた!吹っ飛ばされたロランスは空中で受け身を取って、着地したが
「水流よ、吹きあがれ……!ブルーインパクト!!」
「クッ………!」
着地した瞬間、クロ―ゼのアーツが命中してしまい、足元から噴き出た水流に打ち上げられた。
「ハァッ!」
そして打ち上げられているロランスに空を飛んでいるニルが連接剣で強襲した!
「せいっ!」
しかしロランスは空中で態勢を整えて、ニルの攻撃を捌いた。
「そこだっ!」
さらにロランスはクラフト――零ストームを空から落ちながらエステル達に放った!
「それぇっ!」
しかしカーリアンが放った衝撃波に相殺された。
「………”戦妃”をどうにかしないと、防戦一方……か。本気を出さなければ、やられるのはこちらだな。10年をかけて磨いた修羅の剣、どこまで通用するか試させてもらうぞ!」
着地したロランスはカーリアンを見て、呟いた。そして残像を残すほどのスピードで、カーリアンに強襲した!
「むん!」
「フフ………」
常人では回避ができない攻撃をカーリアンは余裕の表情で双剣で捌いた。
「ハァァァァァァァ!!」
そしてロランスは激しい攻撃を何度もカーリアンに仕掛けた!
「フフ………私が睨んだ通り、結構やるじゃない♪」
一方カーリアンは楽しそうな表情でロランスの攻撃を捌いていた。
「”傭兵王”や”闘神”、”戦鬼”を……越えていると言われている貴女に……そんな言葉を……聞けるとは光栄……です!」
ロランスは激しい攻撃をしながら途切れ途切れに答えた。
「フフ、機会があったらその人達とも戦ってみたいわ♪それより、私にばっかり構っていていいのかしら?」
カーリアンは好戦的な笑みを浮かべて答え、尋ねた。
「!!」
カーリアンの言葉に込められている意味に気付いたロランスは自分の失策を悟って、攻撃をやめて一端後退しようとしたが遅かった。
「大地の力よ!我が仇名す者の力を我の元に……!地脈の吸収!!」
「!!」
いつの間にか詠唱を終えていたエステルの魔術が発動し、魔術によって地面から木の根が生えて来てロランスを拘束した。
「みんな、今よ!」
ロランスの動きを止めたエステルは仲間達に総攻撃の号令をかけた!そしてニルが最初に魔術を放った!
「光よ、集え!光霞!!」
「グッ!?」
ニルの魔術をまともに受けてしまったロランスは呻いた。
「ミントのとっておき、見せて上げる!ソードファング!!」
「えい!やあ!はあっ!」
「ガハッ!?」
そしてニルの魔術が命中した後、ロランスを挟み撃ちにしたミントとクロ―ゼはSクラフトやクラフトを放って、ロランスの傷をさらに増やした!そして2人の攻撃が終わると鞭に雷を宿らせたシェラザードが攻撃を仕掛けた!
「行くわよ……サンダ-ビュート!!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はぁっ!」
「グアアアアッ!?」
魔術の力によって鞭に雷を宿らせて脅威の連打を行うシェラザードの新Sクラフト――サンダ-ビュートを受けたロランスは身体中の到る所に鞭による痣を作り、そして雷を宿した攻撃を受けていたので、感電して悲鳴を上げた。そしてシェラザードの攻撃が終わると同時に、今度はロランスを捕えていた木の根全体が光った!
「ガアアアアッ!?くっ……動きを止める魔術だけではなかったのか。……!?」
木の根に体力を吸われたロランスは一瞬地面に手をつきかけたが、なんとか持ち直して呻きながら呟いた後、カーリアンの構えを見て表情が強張った。そしてカーリアンは止めを刺すかのようにSクラフトを放った!
「激しいの、行くわよ♪……白露の桜吹雪!!」
「ガッ!?見事だ…………」
カーリアンのSクラフトによって吹っ飛ばされ、さらに傷ついたロランスは受け身を取った後崩れ落ちるようについに地面に手をついた!
「はあ、はあ……なんとか勝った~!」
「やった~!ミント達の勝ちだ!」
「勝利は我にあり!ですわ!」
戦闘不能になったロランスを見たエステルは息を切らせながら、安堵の溜息を吐き、ミントは勝利にはしゃぎ、ニルは胸を張って答えた。
「私達はカーリアン様達の力を借りてようやく勝てたに、プリネさんはこんな化物相手によく一人で勝ったわね………」
「さすがは”剣皇”と謳われるリウイ皇帝陛下の血をひいているだけはありますね………」
シェラザードは疲弊しながらプリネが一人で勝った事に驚き、クロ―ゼも同じように疲弊しながらプリネの強さに感心した。
「やはり”戦妃”がいる以上、敵わなかったか…………エステル・ブライト……。侮っていたことは詫びよう。お前ならあるいは……父親の域まで達するかもしれん。」
「え……」
ロランスの言葉を聞いたエステルは驚いて、ロランスを見た。するとロランスは平気な表情で立ち上がった。
「嘘!?」
「へ~………あれを喰らってまだ動けるか。見た目によらず、結構タフね♪」
ロランスが立ち上がったのを見たエステルは驚き、カーリアンは感心した。
「フフ……そうは言いますが、かなりいい一撃をもらいましたよ?」
カーリアンの言葉を聞いたロランスは口元に笑みを浮かべて答えた。
「あら♪その様子だと、まだ戦う気かしら?」
ロランスの様子を見たカーリアンは好戦的な笑みを浮かべた。
「もうやめて下さい……今なら、まだ間に合います……!」
まだ戦いを続けそうなロランスを哀れに思った女王がロランスに言った。
「……………………………」
女王の言葉に反応したロランスは女王を見た。
「………………………………。その瞳……なんて深い色をしているのかしら。まだ若いのに……たいそう苦労してきたようですね。」
「………………………………。女王よ、あなたに俺を哀れむ資格などない。『ハーメル』の名を知っているあなたには……」
「!?」
(ん~?何か、聞き覚えのある名前ね?)
ロランスの口から出たある言葉を聞いた女王は信じられない様子で驚き、カーリアンは聞き覚えのある言葉に首を傾げた。
「さてと、そろそろ時間だ。お望み通り、女王陛下は返してやろう。」
「へ……!?」
ロランスの口から出た予想外の言葉にエステルは驚いた。
「大佐を止めたければ地下に急いだ方がよかろう。もはや手遅れだろうが……。無用な被害が広がるのを食い止められるかもしれん。」
「地下に……まさか、あの場所から地下に降りたという事ですか?」
ロランスの警告を聞いた女王は信じられない様子で尋ねた。
「フ……今のあなたならばその意味が嫌というほど判るはず。彼らを導いてやるといいだろう。……それでは、さらばだ。」
女王に答えたロランスは高度のあるテラスから飛び降りた!
「な!?」
「しょ、正気!?」
「チッ!逃がしちゃったわね~。」
ロランスの行動にエステルやシェラザードは驚き、カーリアンは舌打ちをして溜息を吐いた。
「闇に呑まれよ!……ティルワンの闇界!!」
「!?ガアアアッ!!」
その時誰かの声が聞こえた後、ロランスの悲鳴が聞こえ、下にある池から何かが落ちた音がした……………
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