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英雄伝説~光と闇の軌跡~(FC篇)

作者:sorano
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第110話

~王都グランセル・リベール通信社~



正午を示す鐘が鳴り響く中、新聞記者のナイアルとカメラマンのドロシーが急いで外に出る支度をして、鐘を聞きナイアルは舌打ちをしてドロシーを急がせた。

「ちっ………始まっちまったか!行くぞ、ドロシー!見晴らしのいい場所を確保するぞ!!」

「ま、待ってくださいよ~!すぐに感光クオーツをセットしちゃいますから~!」

慌てているドロシーは泣きごとを言いながらもカメラの準備をしていた。

「おいおい、どうしたのかね!?3日ぶりに顔を見せたと思ったら……」

ナイアル達がなぜ忙しそうにしているかわからない編集長が理由を尋ねた。

「スクープです!『リベール通信』始まって以来のどでかいスクープなんですよ!」



~グランセル城内・地下~



正午の鐘がなると同時に城の地下の壁が動き、そこから待機していたヨシュア達が姿を現した。

「城門の開閉装置は親衛隊の詰所にあります!南側の階段を登りましょう!」

「応!」

「はいっ!」

「フッ、行くとしようか!」

ヨシュア達は急いで親衛隊の詰所へ向かった。扉が開き、その音で気付いた特務兵達はヨシュア達の姿を見て驚いた。

「え……!」

「バカな、侵入者だと!?」

「侵入された方は必ずそう言うんだよね。」

オリビエは特務兵達の言葉を聞いて自分が聞くとは思わなかった言葉を聞いて、面白いと思った。

「ま、気持ちは判らんでもないが。」

「……行きます!はっ!!」

「グワッ!?」

「ヤアッ!」

「グッ!?ガッ!?……」

ヨシュアが先制攻撃代わりクラフト――絶影を放ち、さらにテトリがクラフト――2連射撃を放った!2人の不意打ちを受けた特務兵は何が起こったか理解もできずに気絶した。それを見たほかの特務兵は驚いた。

「なぁ!?」

「いつのまに!?」

「余所見をしている余裕はあるかな!……開け闇の扉!!……ホワイトヘゲナ!!」

「「グワァァァァ……!!!」」

驚いている特務兵にオリビエは強力な時のアーツを放った。無防備状態でアーツを受けた特務兵達は思わず叫び声を上げ膝をついた。

「怒れる大地よ、今ここに猛れっ!地響き!!」

「「グギャッ!?」」

そこにテトリが放った魔術が特務兵達に命中し、特務兵達の傷を増やした。



「せいっ!たあっ!」

「「グっ!ガハッ!」」

そして止めにジンが拳で殴り、殴られた兵達は壁にぶつかり完全に沈黙した。

「よし、一丁上がりだ。」

「やれやれ、あっけない。」

「はう~……緊張しました………」

「今から城門の開閉装置を操作します!敵が来たら撃退してください!」

ヨシュアが3人に頼みごとを言いながら城門の開閉装置を急いで操作し始めた。

「おお、任せとけ!『不動のジン』の名に賭けて誰一人として中には入れん!!」

ジンはいつもの余裕な顔を捨て、闘気を体全体に纏った後、敵がいつ来てもいいように攻撃態勢を取り

「フッ、今こそ天上の門が開く時……。第1章の最終楽章の始まりだ!」

オリビエは髪をかきあげた後、ジンの援護のために銃を懐から出し、敵が来る方向に銃口を向けた。

「元・神殺しの使い魔の実力……今ここでお見せしましょう!」

テトリは珍しく強気になり、敵が来る方向に弓矢を構えた。



~グランセル城・正門~



特務兵達が守っていた正門はヨシュア達によって開かれた。それがわからない見張りの特務兵の2人は扉が開いた事に不審に思った。

「な、なんだ……?」

「おかしいな……。完全封鎖と聞いていたのに。」

そして2人は念のために後ろを振り向いた時、自分達に向かって突撃してくるユリア率いる親衛隊と遊撃士の混合部隊に驚いた。

「なっ!?」

「馬鹿な!!」

(光よ、集え!光霞!!)

「「うわっ!?」」

驚いている特務兵達にパズモは特務兵達の目の前に魔術を放ち、特務兵達の目を眩ませた!

(燃えよっ!)

「「ウギャアアアッ!?あ、熱い!だ、誰か水を……!!」」

そこにサエラブが吐いた炎の玉が特務兵達に命中し、炎に包まれ、火傷した特務兵達はうろたえた。

「そんなに水が欲しければくれてやるよっ!クルツ!!」

「ああ!!」

そしてカルナとクルツはアーツの詠唱をして、放った!!

「「水流よ、吹きあがれ!……ブルーインパクト!!」」

「「うおっ!?」」

2人が放ったアーツによって特務兵達は空中に浮き上がった!そして落ちてくる瞬間にはなだれこむ親衛隊や遊撃士にぶつかって吹き飛ばされて堀に大きな水音を立てて落下した。

そして城内に入ると次々と特務兵達がさまざまな方向から現れた。

「よし、敵がどんどん来ている!……親衛隊の者達よ!今こそ、情報部の者共に我らに汚名を被せたことを後悔させてやるぞ!!」

「「「「「「「イエス、マム!!!!」」」」」」」

作戦が成功した事に口元に笑みを浮かべたユリアは親衛隊達の士気を高める号令をかけた!

「おっしゃあっ!!俺達遊撃士の底力、見せてやろうぜ!」

「ルーアンの借り……倍返しにして返してやるよっ!」

「八葉一刀流に伝わりし剣技………未熟者ですが、カシウスさんやアリオスさんに代わってお見せしましょう!」

ユリア達を見て、グラッツ達もそれぞれ士気を高めた!

「ああ!……方術、貫けぬこと鋼の如し!!みな、行くぞ!エステル君の仲間達や親衛隊の方達に遅れをとるな!!」

「「「了解!!」」」

(戦意よ、芽生えよ!!……戦意の祝福!!)

クルツが味方の防御能力を上げるのを見て、パズモもクルツやユリア達の身体能力を上げる援護魔術を使った。

(フン……誇り高き”炎狐”を敵に廻せばどれほど恐ろしいか……その身に刻ませてくれる!!)

そしてユリアやクルツ達は特務兵の集団と戦闘を開始した!


~エルベ離宮・前庭~



「これより王族を騙ったテロリスト集団の鎮圧を行う!」

「「「「「「「イエス、サー!!」」」」」」」

一方エルベ離宮の正門の前に逸早く着いた正規軍の一部がエルベ離宮に突入しようとした。

「突撃!」

「ハッ!」

そして兵士達の隊長は命令をした!隊長の命令を聞いた兵士達は銃剣を構えてエルベ離宮に突入しようとしたが

「ゆけいっ!」

「「「「「「グワアッ!?」」」」」」

突如兵士達の頭上から魔力の弾が降り注ぎ、兵士達は怯んだ。

「なっ!?」

突然の奇襲に驚いた隊長は辺りを見回すと、なんと建物の屋根にリフィアが杖を構えていた。

「!!奴がテロリストだ!攻撃開始!!」

「「「「「「ハッ!!」」」」」」

隊長の命令に答えた兵士達は銃をリフィアに向けて攻撃しようとしたが

「はい、どかーん。」

「「「「「「ギャアァァァッ!?」」」」」」

空中で待機していたエヴリーヌが手加減して放った魔術――審判の豪雷を受けて、悲鳴を上げた後気絶した。

「なっ!?」

部下が全員やられた事に隊長は信じられない様子で驚いた。



「ハアッ!!」

「!?しまった!グッ!!」

そこに茂みに隠れていたツーヤがクラフト――溜め突きを放ち、ツーヤの奇襲に驚いた隊長は持っている武器でなんとか防御した。

「フッ!!」

「グハッ!!………」

さらにプリネがツーヤが現れた逆方向の茂みから現れて、レイピアで攻撃し、プリネの攻撃によって隊長は崩れ落ちた。そしてそこに魔力の弾が命中した!

「グワアアッ!?………………」

魔力の弾が命中した隊長は気絶から覚めた後、悲鳴をあげて、また気絶した。

「リフィアお姉様!今のはやりすぎですよ!」

プリネは魔力の弾を放った主――リフィアを見て大声で非難した。

「真実の敵を見極められない愚かな兵にはこれぐらいの報いは必要であろう!!」

「もう、お姉様ったら…………」

リフィアの返事を聞いたプリネは溜息を吐いた。

「あの、ご主人様。のびている兵士の方達はどうしましょう?」

そこにツーヤが遠慮気味にプリネに話しかけた。



「そうね。ちょっと気の毒だけど、ロープか何かで拘束しておきましょう。……エヴリーヌお姉様、手伝ってもらっていいですか!」

「はいはい。」

プリネの呼びかけに答えたエヴリーヌはプリネやツーヤと協力して兵士達を縛った。

「ご主人様、ペルルさん達は大丈夫でしょうか?」

作業を終えたツーヤはプリネに別働隊で動いているペルル達の事を尋ねた。

「大丈夫でしょう。みな、それぞれ歴史に残る戦いを生き抜いて来た猛者なのですから。」

ツーヤに答えたプリネは空を見上げた。

(頑張って下さい。エステルさん、ヨシュアさん…………)



~エルベ周遊道~



「先行部隊の連絡が途絶えた……!テロリストは強大な敵だ。総員、気を引き締めて行くぞ!」

「「「「「「「イエス、サー!!」」」」」」」

プリネ達の戦闘が終了して少しした頃、別働隊の正規軍がエルベ離宮に向かおうとした。

「荒ぶる水よ………溺水!!」

「「「「「「「グワッ!!」」」」」」」

「ガハッ!?」

しかしそこに突如、大量の水が滝のように落ちて来て、隊長や兵士達を地面に叩きつけた!

「行きますわよ………!大放電!!」

「「「「「「「ギャアァァァッ!?」」」」」」」

そこに雷が襲い、隊長達は感電した後気絶した。

「うふふふふ!精霊王女たるこの(わたくし)の力、思い知ったかしら?」

気絶した隊長達に木の枝に止まって雷を放った主――フィニリィが飛んで近付いて来て、胸を張った。

「あの………拘束をした方がよろしいのでは………?」

胸を張っているフィニリィに茂みに隠れて魔術を放ったマーリオンが近付いて来て、指摘した。

「必要ありませんわ。魔力が高いこの私の雷をまともに受ければ、半日は動けませんわ。しかも貴女の魔術で水も被りましたから、

効果は倍増でしてよ。」

「はい………………」

フィニリィの説明を聞いたマーリオンは納得した。

「2人とも~!次は南の方から援軍が来るよ~!!」

そこに周辺の様子を空を飛んで周辺の様子を窺っていたペルルが降りて来て、援軍が来る事を忠告した。

「もう来ましたの。……まあいいですわ。今度は私が貴女の代わりをしてあげますわ。」

「うん、わかった!」

そしてフィニリィはペルルの役目を交代して、ペルルと同じように空を飛んで他に援軍がないか調べ始めた。

「じゃあ、ボク達も行こう!少しでもプリネ達の負担を減らさないとね!」

「はい……!」

そしてペルルとマーリオンは援軍の兵士達を迎え撃つために、行動を始めた。



~グランセル城・空中庭園~



「くっ、何たる失態……。閣下が戻られる前に何としても撃退せねば……」

カノーネは侵入してきた親衛隊や遊撃士の撃退方法を焦りながら必死に考えていた。

「た、大尉どの!」

「と、特務飛行艇が!」

カノーネの傍に控えていた2人が上空から近づいてきた飛行艇に気付いた。

「しまった!そちらが本命か!?」

カノーネは近づいてくる飛行艇が相手の作戦の本命だと気付き、まんまと騙されたことに悔しさを感じながら、女王宮への侵入を止めるため

いつでも戦えるようにした。そして着陸した飛行艇から出て来たエステル達を見て驚いた。

「エ、エステル・ブライト!?それに……クロ―ディア殿下!?」

「カノーネ大尉!またお邪魔するわよ!」

「おばさん達の企みもここまでだよ!」

「お祖母さまを……解放していただきます!」

「お、おば……!な、舐めるなァ、小娘ども!」

エステルとミント、クロ―ゼの言葉にカノーネは怒鳴った。

「フフ……私を忘れてもらっては困るわね。」

「あら。能天使であるニルの存在も忘れてもらっては困るわ。」

そこにカーリアンとニルが不敵な笑みを浮かべて、飛行艇から出てカノーネ達の前に姿を現した。

「バ、バカな……!貴様は”戦妃”!!何故貴様が遊撃士どもといる!?メンフィルは静観しているはずなのに………!」

カーリアンを見たカノーネはうろたえた後、怒鳴った。

「フフ……戦場に言葉はいらないわ!奥義!桜花乱舞!!」

「光よ、降り注げ!……爆裂光弾!!」

そしてカーリアンやニルはうろたえているカノーネや特務兵達にSクラフトや魔術を放った!

「キャアアアッ!?……………」

「「グワアアアアッ!?………………」」

2人の攻撃にカノーネや特務兵達は悲鳴を上げた後、気絶して地面に倒れた。



「え、えげつな~…………」

「あ、あはは……でもカーリアン様が味方でいて、本当に心強いですね。」

エステルの呟きにクロ―ゼは苦笑しながら答えた。

「ふわあ~……カーリアンお姉さん、凄いね!!ニルさんも凄いよ!!」

一方ミントはカーリアンやニルを尊敬の眼差しで見ていた。

「鬼気迫るというか……。妙におっかない女だったわね。いったい何者なの?」

気絶したカノーネを見て、シェラザードはエステルに尋ねた。

「リシャール大佐の副官よ。典型的な雌ギツネって感じ。」

尋ねられたエステルは嫌そうな顔をして答えた。

「なるほど、そんな感じだわ。さてと……目指すは女王宮ね!」

「はい、急ぎましょう!」

そしてエステル達は女王宮へ向かった……………… 
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