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姉の結婚

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第五章

 ブーケトスも終わってだ、静はウェディングドレスのままで良のところに来た。そうしてこう彼に言って来た。
「喜んでくれてるのね」
「うん、おめでとう」
 良は心から姉に祝福の言葉を送った。
「幸せになってくれよ」
「絶対になるわ、それでね」
「それで?」
「今度は貴方よ」
 こう良に言うのだった。
「貴方がね」
「幸せになれっていうんだ」
「そうよ」
 その通りだというのだ。
「いいわね」
「うん、じゃあ」
 確かな声でだ、良は応えた。
「俺もね」
「そうなってね」
「わかったよ、そうするよ」
 良も約束した、その彼に。
 静は今度はだ、こう言ったのだった。
「幸せは皆がなるものだから」
「姉ちゃんだけじゃなくて」
「そう、貴方もね」
「だからなんだね」
「幸せになってね」
「わかったよ」
 笑みを浮かべてだ、良は応えてだった。
 姉に約束した、そして後日。
 結婚を決めてだ、電話で姉に言った。
「式出てくれるかな」
「勿論よ」
 これが姉の返事だった。
「そうさせてもらうわ」
「それじゃあね、ただね」
「ただ?」
「泣かないでね」
 こう姉に言うのだった。
「笑っていてね」
「お祝いの場だからね」
「うん、そうしてね」
「ええ、わかったわ」
 声を微笑まさせてだ、静は良に答えた。
「その時はね」
「それじゃね」
 自分の結婚式の時のことも言うのだった、そうした話をしてだった。
 良は自分の結婚式でも笑顔だった、そして静も笑顔でいた。そうして今度もお互いを心から祝うのだった。


姉の結婚   完


                     2015・10・23 
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