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英雄伝説~光と闇の軌跡~(FC篇)

作者:sorano
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~武術大会・決勝戦~前篇

~グランアリーナ~



「みんな、行くわよ!」

戦闘開始、エステルは掛け声をかけて、全員の闘志を高め

「ぬあぁぁぁぁぁぁ、てやぁ!」

「「風の守りよ………シルフェンガード!!」

ジンは気功によって自らの身体能力を上げるクラフト――龍神功を使い、全身に闘気を纏った。また、ヨシュアとオリビエはアーツを使って、エステルとジンの回避能力を高めた。

「ふ~ん、最初に身体能力を上げて来たか。ま、悪くない判断ね♪」

エステル達の行動を見て、カーリアンは口元に笑みを浮かべた。そしてエステルとジンが攻撃を仕掛けて来た!

「たあっ!」

「っと!」

ジンの攻撃をカーリアンは回避した。

「お返しよ!そ…」

「せいっ!」

「!!」

ジンに反撃をしようしたカーリアンだったが、エステルの攻撃に気付き、反撃するのをやめて、防御した。

「水流よ、吹きあがれ!………ブル―インパクト!」

「きゃっ!?」

そこにオリビエが発動したアーツがカーリアンに命中した!

「さらなる時の加護を!………クロックアップ改!!」

そしてヨシュアが放ったアーツはエステルの素早さを一時的に上げた。

「せぇぇぇい!」

「はぁぁ、せいっ!」

そしてジンはクラフト――月華掌で攻撃を仕掛け、アーツのお陰で身体能力が上がったエステルはクラフト――金剛撃で達人クラスの動きをするジンについて行けたので、ジンと同時に攻撃を仕掛けた!

「させないわよ!」

「!!」

「嘘!?」

しかし、2人の攻撃はカーリアンの双剣にそれぞれ阻まれた。



「やってくれるじゃない………どーりゃーっ!!」

「おあっ!」

「うっ!」

そしてカーリアンが放った複数攻撃を放つ剣技――乱舞を回避しきれず、受けてしまい、エステルとジンは呻いた。

「これで終わりじゃないわよ!?それ……」

「させない!……絶影!!」

「!ちっ!」

さらに追撃をかけようとしたカーリアンだったが、一瞬で迫って来たヨシュアの攻撃に対処して、追撃はできなかった。

「んっふふ~、愛と真心を君たちに!それっ!」

そしてオリビエはクラフト――ハッピートリガーでエステルとジンの傷を回復した。

「ふ~ん……2人は私の相手をして、その隙に残りの2人が後方からアーツの攻撃でダメージを削り、前衛がピンチになれば回復や補助して、アーツで怯んだ私を前衛が止めを刺す戦法か………プリネあたりが考えた作戦かしら?」

「!!嘘!?見破られちゃった!!」

「その上、この作戦を考えた人まで見破るなんて………!」

自分達の作戦が見破られた事にエステルは驚き、ヨシュアは作戦を考えた人物まで言い当てた事に驚いた。

「あなた達は絶対に優勝しないと駄目な理由があったのを知っていたから、最大の障害である私相手に無策で来るとは思わなかったからね~。となると私の事をよく知っているリフィア達に対策を聞くぐらいだけど、リフィアは考えるにしても私の予想の斜め上の事を考えそうだし、エヴリーヌは論外。となると、残りはプリネって訳よ♪」

「………僕達の考えはお見通しと言う訳ですか………」

カーリアンの推測した事と早々に作戦が判明した事にヨシュアは苦い顔をして、答えた。

「ま、作戦自体は悪くないわよ。………でもその作戦の欠点に気付いているかしら?」

「え?」

カーリアンの言葉がわからず、エステルは首を傾げた。

「フフ………今、それを証明してあげるわ。………魔術発動♪」

そしてカーリアンはエステル達を魔力が籠った眼で見た。

「!!」

「くっ………」

カーリアンに見られたエステルとヨシュアは驚いたが、何も起こらなかった。

「おい、兄ちゃん!こっちは味方だぜ!?」

その時ジンの驚きの声が聞こえて来た。エステル達がジンの方を見ると、オリビエがジンに攻撃をしていて、ジンは必死で回避していた。

「オリビエ!?何やってんのよ、アイツは~!!」

「エステル………多分、オリビエさんは今、カーリアンさんの眼を見たせいで混乱したんだと思う。」

「あ、あんですって~!?」

ヨシュアの説明に驚いたエステルはカーリアンを見た。



「フフ………今の魔術は”淫魔の魅惑”って言う魔術で、性魔術でできる魔術の一つよ♪」

「性魔術?何ソレ??リフィアからはそんな魔術、聞いた事がなかったけど。」

カーリアンの説明を聞き、エステルは首を傾げた。

「お嬢ちゃんが知るにはまだ早いわよ♪」

「ちょ、ちょっと~!!子供扱いしないでよ!」

からかうように言うカーリアンの言葉にエステルは怒った。

「フフ………私と会話をしていていいのかしら?」

「あ!呑気に会話をしている暇なんてなかった!………水の力よ…」

カーリアンに気付かされたエステルはオリビエの混乱を治すためにアーツを発動させようとしたが

「させないわよ!」

「あう!?」

カーリアンが一瞬でエステルに詰め寄り、放ったクラフト――双葉崩しでアーツの発動が妨害された。

「エステル!!……おぼ……」

「甘いっての!」

「ぐ!…………くはっ!?」

「ヨシュア!?」

エステルの危機にヨシュアはカーリアン背後に一瞬で移動してクラフトを放とうとしたが、カーリアンが振り向いて反撃をし、何とか防御したヨシュアだったが、双剣に伝わるカーリアンの攻撃の威力は相殺できず、アリーナの壁まで吹っ飛ばされて壁にぶつかって、呻いた。

「人の心配をしている場合かしら?」

「くっ!!行くわよ……!はっ!やあっ!」

「フフ………」

エステルは連続で攻撃を仕掛けたが、カーリアンは余裕の表情で回避していた。

「これで決める!はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

そしてエステルはSクラフト――烈波無双撃をカーリアンに放った!

「それ、それ、それ、それっ!!」

しかしカーリアンはエステルの連続攻撃を双剣で全て捌いていた。

「とぉりゃぁぁぁ!」

攻撃が捌かれてもエステルは気にせず、最後の一撃で勝負をかけた!

「そこよ!激しいの、行くわよ♪………白露の桜吹雪!!」

「なっ…………キャァァァァァ!?」

しかし最後の一撃はカーリアンに回避され、逆にカーリアンのSクラフトを咄嗟に棒で防御したが真正面から喰らってしまったため、体中に傷を作り、吹っ飛ばされた!

「あうっ!?………………」

そしてドロシー達が陣取っている観客席側の壁にぶつかり、ぶつかった衝撃に呻いて気絶して、倒れてそのまま起き上がらなくなった。

「ママ!?しっかりして!」

「起きて下さい、エステルさん!まだ試合は終わっていません!!」

気絶したエステルを見て、ミントとツーヤは大声でエステルを呼んだ。



「エステル!!」

一方ヨシュアは気絶し、起き上がらなくなったエステルを見て、叫んだ。

「ヨシュア!気持ちはわかるが、今はこっちを手伝ってくれ!」

「くっ!(ごめん、エステル。後で必ず治療するから!)」

今にもエステルの所にかけだしそうだったヨシュアだったが、ジンの言葉に我に返り、双剣を構えてカーリアンを睨んだ。

「フフ………次は貴方が相手をしてくれるのかしら?」

自分を睨むヨシュアにカーリアンは好戦的な笑みを浮かべて、言った。

「………………………」

(あら♪あの年齢の割には一般兵でも出せない一人前な殺気を出せるじゃない♪フフ、姉弟揃って楽しませてもらえそうね♪)

ヨシュアは冷たい瞳で膨大な闘気を出した。一方カーリアンはヨシュアの闘気に混じった殺気に感心し、口元に笑みを浮かべた。

「これで終わりだ……はっ!」

そしてヨシュアは一瞬でカーリアンに攻撃を仕掛けた!

「っと!!」

ヨシュアのSクラフト――漆黒の牙をカーリアンは武器で防御した。

「絶影!朧!双連撃!!」

Sクラフトが防御されてもヨシュアは気にせず、次々と常人離れした速さでさまざまな方向からカーリアンに攻撃を仕掛けて行った。

「それ、それ、それ、それっ!!」

ヨシュアの激しい攻撃をカーリアンは楽しそうな表情で捌いていた。



「エアストライク!!」

「月華掌!!」

そこにアーツによって発生した風の刃が、突進と共に拳がカーリアンを襲った!

「ちょっ!?」

ヨシュアの攻撃に捌いていたカーリアンは回避や防御もできず、アーツと拳がカーリアンに命中した!

「え………」

自分以外の攻撃が命中した事にヨシュアは驚いて手を止めた後、一端下がった。

「フッ………またせたね、ヨシュア君♪」

「ふう………こっちの苦労も知らずによくそんな事が言えるな………」

ヨシュアが一端下がると、そこにはいつもの調子のオリビエと、呆れている様子のジンがいた。

「オリビエさん!混乱から回復したんですね。………それにしても、どうやっ………?あの状況下じゃ、アーツは使えないと思うんですが……」

混乱から回復しているオリビエに驚いたヨシュアはジンに尋ねた。

「”養命功”という気功でな。傷を含め、さまざまな状態異常も回復してくれる気功を銃弾を掻い潜って、この兄ちゃんに使ったのさ。」

「なるほど………」

ジンの説明にヨシュアは納得した。

「それぇっ!!」

「!!散開しろっ!」

「はい!」

「おおっと!?」

そこにカーリアンが放った衝撃波がヨシュア達を襲った。衝撃波にいち早く気付いたジンは警告を出し、ヨシュア達は回避に成功した。

「フフ……やってくれるじゃない♪今年の大会は一撃をもらうか無傷で終わると思ったけど、まさか3撃ももらうとは思わなかったわ♪」

カーリアンは好戦的な笑みを浮かべて、ヨシュア達に言った。

「………ヨシュア、悪いがエステルを治療する事は後廻しにして、今は目の前の敵に集中しろ。」

「………はい。」

「フッ……では、行こうか!」

そしてジン達はカーリアンとの戦闘を再び始めた!


~???~



(ヨシュア達、頑張っているけど苦戦している………あたし達、ここで負けるの……?)

一方ヨシュア達とカーリアンが激しい戦闘を行っている中、気絶しているエステルは謎の空間に浮かんでいて、カーリアンに苦戦しているヨシュア達を見て、悔しさに唇をかみしめた。

(そんなの駄目!博士やユリアさんの依頼が達成できない!依頼が達成できないなんて、遊撃士失格よ!)

(………だったら、カーリアン殿に頼めばいいのではないですか?)

(……スお姉様の言う通りだ。今のお前達では奴には勝てない。)

依頼が達成できないかもしれない事にエステルが悔しがっている時、どこからか2人の女性の声がエステルの頭に響いて来た。

(だ………れ………?(何……?初めて聞く声なのに、どうして聞き覚えがあるんだろう……?))

初めて聞く念話の声に関わらず、聞き覚えのある声にエステルは声の主に問いかけた。

(今は私達の事より、貴女の事よ。それで先ほどの私の質問に答えて頂いても、いい?)

(そんな人任せな事はできない!ずっと聖女様達に近付くために一杯頑張ったのに、こんな所で諦められない!)

((………………))

エステルの決意を聞き、2人の女性の声はしばらく黙っていたがやがてまた、エステルの頭に声が聞こえて来た。

(フフ………本当に負けず嫌いな娘ね。貴女にそっくりね…ン。)

(ラ……お姉様にそう言って頂けるなんて光栄です。それを言うなら、どんな種族とも仲よくなるこの娘の性格は…ピ…お姉様の性格譲りですよ。)

(フフ……それはこの娘の元々の性格だと思うわよ?)

(え、えっと?一体何を話しているの?貴女達は誰?)

2人の会話に訳がわからなかったエステルは戸惑った声で尋ねた。



(フフ……いつか、わかる時が来るわ。それよりカーリアン殿に勝ちたいのでしょう?)

(どうしても奴に勝ちたいのなら、私達の力を少しの間だけお前に貸してもいいぞ。……私達の力を使えば、勝てるかもしれないぞ?)

(本当!?だったらお願い!力を貸して!!)

2つの声の提案にエステルは驚き、嘆願した。

(その前にお前に一つだけ尋ねる。私達が力を貸せば、お前をお前として見なくなる者も現れるぞ。それでもいいのか?)

(その中にはペテレーネやリウイ皇帝陛下も含まれるかもしれないわ。それでもいいの?)

(それって、貴女達が関係して来るの?)

2人の忠告にエステルは逆に聞き返した。

(………ええ。それよりどうするの?)

(………力を貸して!)

(……私と……スお姉様の忠告を聞いていなかったのか?)

考える様子もなく、答えたエステルに声の一つは呆れている様子の声で尋ねた。

(もちろん、聞いていたわよ!でも、あたしは聖女様やリウイがそんな風にあたしを見る人じゃないって、わかるもん!それにその様子だと、貴女達の方があたしよリウイ達の事を知っているんでしょ?だったら、そんな事を言ったら駄目よ!!)

(どうして、そう言いきれる?)

(あたしが聖女様達の事を信じているからよ!後は女の勘よ!)

((………………))

エステルの言葉を聞いた2人はまた黙った。

((フフ………))

そして突然、笑いを抑えた声が聞こえて来た。

(ちょっと!笑う事はないでしょ!?)

2つの笑い声にエステルは怒った。



(フフ………ごめんなさい。でも、そうね。あの方達の事を貴女より、よく知っている私達がそんな事を言ってはいかないわね。)

(では、ラ……お姉様。)

(ええ。最初は私が戦うから、貴女は私の後をお願い。)

(はい!カーリアンを驚かせてやりましょう!)

(え?え?)

2人の会話に再び訳がわからなくなったエステルは戸惑った。

(では、百数十年ぶりの戦友に挨拶に行きましょうか。………リン。)

(はい!ラピスお姉様!………我等の戦いをよく見て、自分の物にしてみろ…………我等の魂を継ぐ少女よ。)

そして美しい黒髪と翡翠の瞳を持つ女性と輝く金髪と紫紺の瞳を持つ女性の顔が一瞬見えた後、エステルの意識は途切れた。



~グランアリーナ~



一方カーリアンと激しい戦いをしていたヨシュア達はアーツやクラフトを駆使して、自分達の身体能力を上げたり、カーリアンの身体能力を下げて最初はなんとか互角に戦えていたが、カーリアンがそれぞれの攻撃に対処し始めると、どんどん劣勢になっていった。

「喰らっときなさいよ!!」

「くはっ!?」

「ぬぐっ!?」

「ぐっ!?」

複数の敵を一瞬で攻撃する剣技――乱舞を喰らってしまったヨシュア達は痛みに呻いた。

「フフ………結構粘るじゃない♪でも、さすがにそろそろ限界かしら?」

余裕の表情でカーリアンはボロボロになっていても、いまだに立っているヨシュア達を見て感心した。

「くっ………ここまでの強さとは………」

「正直、勝てる気がしないよ……」

「3人がかりで攻撃しても、有効打を未だに入れられないとはな……さすが、カシウスの旦那を破っただけはあるな……」

カーリアンの強さにヨシュアは呻き、オリビエは泣き言を言い、ジンはカーリアンの強さに納得した。

「さあて、そろそろ終わりにしようかしら?」

「くっ!?」

「さすがに今回は不味いかな……?」

「万事休すか……!」

双剣を構え、闘気を最大限に出しているカーリアンを見て、ヨシュア達は試合を諦めかけようとしたその時!



「水よ……!連続水弾!!」

「!!」

双剣を構えているカーリアンに魔術でできた水の弾が襲った。自分に向かってくる水の弾に気付いたカーリアンは構えを解き、回避した。

「魔術!?という事は………!」

カーリアンを襲ったのが魔術とわかったヨシュアは期待した表情でエステルが倒れていた方に振り向いた。

「…………………」

そこには異様な姿のエステルが静かに棒を槍を構えているかのような構えをしていた。

「エ……ス……テル……?」

「エステル君?いつの間に髪と瞳の色を変えたんだい?」

(……本当にエステルか?余りにも気配が違いすぎる……)

母譲りの栗色の髪は美しい黒髪に変わり、父譲りの紅い瞳は澄んだ翡翠の瞳をしているエステルの姿にヨシュアは戸惑い、オリビエは驚き、ジンはエステルから漂う気配が普段のエステルと余りにも違いすぎる事に首を傾げた。

「水よ、我が刃となれ……」

黒髪のエステルが静かにそう呟くと、カーリアンに向けている棒の先端に水が宿り、ある武器に変わった。

斧槍(ハルバード)!?」

ヨシュアはエステルが持っている武器の形態を見て、驚いた。

「いくわ……剛進突破槍 !!」

そしてカーリアン目掛けて、普段のエステルとは思えない達人クラスの動きで突進した!

「っと!?いたっ!?」

エステルの動きに驚いたカーリアンだったが、双剣で防御した。しかし、水の刃と同時に衝撃波も襲って来たため、それは回避できず、ダメージを受けた痛みに顔を顰めた。

「貴女、何者?エステルじゃないわね?」

「………………」

鍔迫り合いをしながらカーリアンは黒髪のエステルに尋ねたが、尋ねられた本人は黙っていた。

「だんまりか。じゃあ、力づくでもしゃべってもらうわよ!どーりゃー!3段斬り!!」

カーリアンは常人では回避できない速さで攻撃を仕掛けた!

「――3段突き。」

自分に襲いかかって来る連撃を黒髪のエステルはカーリアンの動きに着いていくかのようにクラフトを放って、カーリアンの攻撃を相殺した。

「嘘!?今のは結構本気で攻撃したのに………!」

攻撃が相殺された事と自分の動きに着いて行けた事にカーリアンは驚いた。そして黒髪のエステルはその隙を狙って、大技を放った!



「我が奥義、受けなさい!………我に眠りし命の守護よ……ここに来たれ!! 」

黒髪のエステルが叫ぶと、水の刃がついた棒全体を水が覆い、水柱と化した!そして黒髪のエステルはそれをまるで踊りを舞うかのような動きでカーリアンに放った!

「蒼流……演舞槍!!」

「なっ!?」

黒髪のエステルが放った見覚えのある技を見ると同時に聞き覚えのある技名を聞いたカーリアンは驚いた。

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」

黒髪のエステルは叫びながら、舞いながら水柱を連続でカーリアンに攻撃した。

「くっ………!やってくれるじゃない!!」

驚いたせいで防御が遅れたカーリアンは黒髪のエステルが放った大技の何発かを喰らい、痛みに顔を顰めた後、黒髪のエステルを睨んだ。

「黒髪に翡翠の瞳………槍術に水の魔術。それに今の奥義はあの娘しかできないはず………まさか!貴女…………ラピス!?」

黒髪のエステルの正体を、信じられない表情で言い当てた。

「百数十年ぶりですね、カーリアン殿。」

正体を言い当てられた黒髪のエステル――ラピスは微笑みながら答えた。



今ここに”幻燐戦争”の英雄の一人であり、森をこよなく愛した”森の守護者”が異世界に降臨した………! 
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