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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第6話 イッセーVS堕天使!放て、必殺釘パンチ!

side:小猫


 皆さんお久しぶりです、小猫です。今日はお休みだったんですが急遽部長から集合するように言われたのでオカルト研究部に来ています。


「小猫ちゃん、急に説明口調になったけどどうしたの?」


 近くにいた祐斗先輩が何か心配そうな目で声をかけてきた…どうしてこんなことを言ったのかは分からないけど何故か言わなくちゃいけないって思って…疲れてるのかな。


「いえ、何でもありません。心配してくれてありがとうございます」


 祐斗先輩にお礼を言って視線を逸らす、すると部長と朱乃先輩が入ってきた。


「せっかくの休みに呼び出してごめんなさいね、祐斗、小猫」
「いえ、眷属として当然のことです」
「…何か異常でも起きたのですか?」


 私の言葉に部長は頷いた。


「ええ、実は以前から報告がされていた堕天使達が動きだしたようなの」
「堕天使が…」


 部長の言葉に祐斗先輩が反応する、実はこの数日前、堕天使達が部長が管理するこの街に不法侵入していた事が発覚しました。


 え?ならさっさと対処しろ?それはもっともですがそう簡単にはいかないんです。かつて戦争をしていた三大勢力は現在は休戦状態になっており互いに干渉することが難しくなりました。もしその堕天使達が堕天使上層部の指示で動いているならヘタに接触できません、最悪また戦争が再開されることになってしまったら大変です。


「部長、その話が出たと言うことはもしかして…」
「お兄様から堕天使上層部に確認したところ自分達は関与していないとのこと…つまりこの街にいる堕天使達は独断で動いてるってことになるわね」


 それならこちらから手を出しても問題にはなりませんね。


「堕天使側からは私達で対処してもいいと言われた、だから今夜堕天使達の討伐を実行するわ、皆気を引き締めていて頂戴」
「分かりました」
「うふふ、鴉達が泣き叫ぶのが楽しみですわ」


 部長の言葉に祐斗先輩は力強く答え、朱乃先輩は若干怖い笑みを浮かべている。私も頑張らないと…!




 そういえばイッセー先輩は何をしてるのかな?最近は忙しくて会いにいけなかったしコレが終わったら先輩に会いにいこっと。



side:イッセー


 よう皆、イッセーだ。もう辺りはすっかり暗くなっちまった、今俺は例の教会の傍に来てるんだ。感知されないギリギリの場所にな。


『また独り言か、気を引き締めろと言ってるのに…』


 悪いなドライグ、だがおふざけはここまでだ。俺は匂いを嗅ぎ教会の内部を探る。


「…けっこういるな、数は30ほど…後なんか人間じゃない匂いが4…」
『おそらく堕天使だろうな、はぐれ悪魔祓いも抱えていたのか』
「はぐれ?」
『何らかの原因で教会を追われた者達だ、大抵は堕天使側につく』


 アーシアと同じ…いやあんな奴らに従ってるんだ、一緒な訳がない。


『それでどうするんだ、隙でも付くか?』
「おいおいドライグ、俺の性格は知ってるんだろ?こういう時は…」


俺は一瞬で教会の壁に接近して…


「正面突破しかねえだろォ!!」


 拳を叩き込んだ。



side:レイナーレ


「全く…使えない連中ね」


 私は至高の堕天使レイナーレ。現在は中級だけどいずれはアザゼル様に愛される存在となるもの…ようやくその日が近づいているという時に肝心のアーシアを逃がすなんて無能ね。


「フリード、貴方は一体何をしていたの!」


 この失態を犯したはぐれ悪魔祓いのフリードに怒りを露わにする、強いって聞いたから部下にしてやったのにこんなカスだったなんて期待外れだわ。


「も、申し訳ありません。ですが姐さん大丈夫っすよ、今度は必ずあの野郎ぶち殺してアーシアちゃんを連れてきますから…」
「当り前よ!じゃなきゃお前など光の藻屑にしているところよ!さっさとアーシアを連れてきなさい!」
「イ、イエッサー!」


 そういってフリードはその場を離れた。


「ホントに人間って使えないっすね」
「全くね、一人の少女も連れてこれないとは…話にもならないわ」


 傍にいた私の仲間…ミッテルトとカラワーナがフリードに悪態をついた。彼らは私の部下でもう一人ドーナシークという堕天使がいるが今はアーシアの捜索に行かせている。


「本当に人間は役にも立たないわ、この私の期待に応えられないなんて…」


 私は人間が嫌いだ、弱いし惨めで所詮家畜以下の存在でしかない。ああ、奴らの失態がなければ今頃私はアザゼル様に愛して頂ける存在になっているはずなのに…


「レイナーレ様」


 私の部下であるドーナシークが戻ってきた。


「ドーナシーク、アーシアは見つかった?」
「アーシアを連れだした人間の住処を見つけました、おそらくそこに…」
「よくやったわ」


 ようやく見つけたわ、アーシア。もう逃がさない、貴方は至高なる私の生贄とならなきゃいけないんだから…


「聞いたかしら、今すぐその人間の元に行きアーシアを連れてきなさい。後その人間は殺してきなさい、いいわね?」


 私は待機していたはぐれ悪魔祓い達に指示を出した、ああ、ようやく私は至高の存在になれるのね、待っていてください、アザゼル様…


 ズガァァァァン!!!


 な、何がおきたの!いきなり壁が吹き飛んで…


「よっこいしょと、おじゃましまーす」


 吹き飛んだ壁から一人の人間が入ってきた、何なのアイツ…


「レイナーレ様。奴がアーシアを連れて行った例の…」
「アイツが…」


 まさかアーシアを連れて行った張本人が現れるなんてね…予想外だわ。


「うわ、うじゃうじゃいるな…えーと…」


人間の小僧は何かを探すようにキョロキョロとしている。


「お、アンタがレイナーレか?」


 あろうことか家畜以下の分際で私の名前を吐いた。


「…人間ごときが私の名前を吐くんじゃないわよ」
「へえ、堕天使って初めて会ったけど傲慢なんだな」
『全部がああじゃないと思うがな』


 人間は私の言葉を無視してヘラヘラと笑っている、それにかなりイラついたが私は奴がはいたある言葉に引っかかった。


「堕天使を知っている…貴方、唯の一般人じゃないわね」
「まあそれなりに裏の事は知ってるぜ」
「なら話が早いわ、私はレイナーレ。人間とは遥か別次元の存在である至高の堕天使…貴方が連れて行った子は私の大切な物なの…返してくれるかしら」
「勘違いするな、俺はお前にアーシアを返しにきたわけじゃねえよ」


 あら、てっきり命乞いでもしに来たのかと思ったけど…


「じゃあ貴方は何をしにここに来たのかしら?」
「アーシアは俺が引き取る、そのお願いに来た」


 ……一瞬この人間が何を言ったのか理解できなかった、お願い?至高の存在である私に人間がお願い…?


「…あはは、あははははははッ!!!」


 私はたまらず笑ってしまった、だってジョークにしては冗談がすぎるわよ!


「プッあはは!人間ってバカっすね~!」
「…呆れて物も言えないわ」
「愚かな…」


 ミッテルト達も笑っている、それもそうでしょうね。こんな面白いジョークで笑うなって言うほうが無理よ!


「あーあ……笑っちゃった…面白いジョークだったわ。それじゃさっさとアーシアを返して死になさい」
「悪いがジョークじゃない」
「…じゃあ本気なの?それこそ笑えないわ。下等な人間が堕天使に勝てるとでも?…もういいわ。こんなバカに時間は使いたくないし…貴方達、さっさとそいつを殺してア-シアを連れてきなさい」
「「「はッ!!」」」


 光の剣や銃で武装したはぐれ悪魔祓い達が人間を取り囲んでいく、可愛そうだけど貴方が悪いのよ。


「かかれッ!」


 一人の合図で全員が小僧に向かっていく、本当に馬鹿な奴だったわね、まああの世でアーシアと再会させてあげるからおとなしく死んでね。


「ほう、お前ら……俺と遊ぶか?」


 ギンッ!!


 !!ッな、何この感覚は…体に寒気が…よく見るとはぐれ悪魔払い達が硬直していた。


「な、何をやっている!早くその小僧を始末しなさい!!」


 私が指示を出してもはぐれ悪魔祓い達は動かない、仕舞には泡を吐きながら倒れてしまった。


「…ちょっとの殺意でこれか、大したことないな」


 奴の仕業…?はっ、もしかしたら神器使いか!?通りで妙に自信があるはずだ。


「レイナーレ様、ここは我々が…」


 ドーナシークとカロワーナ、そしてミッテルトが小僧の前に立つ。


「人間よ、ここに乗り込んできた度胸は認めよう。だが所詮は人間…」
「この光の槍で一突きっすよ~」
「勇気と無謀は違う物…それを理解しながら死んでいきなさい」


 ドーナシーク達は手から光の槍を生み出し人間を取り囲む、人間は特に慌てた様子もなく立っている。


「行くぞ、かかれ!!」


 ドーナシークの合図と共に三人が一斉に攻撃を開始した。


『相棒、俺は使うか?』
「いやいい、素で十分だ」


 人間は何かを呟くとまずドーナシークのほうに向かった。


「私に向かってくるとはナメられたものだなッ!」


 ドーナシークは人間の顔目がけて光の槍を真っ直ぐに放った、人間では到底反応できない速度…私はこれで終わると思った。


「へえ、そこそこ早いな」


 だが人間はヒョイッと首を動かしてドーナシークの攻撃をかわした。


「なッ!?」


 攻撃をしかけたドーナシークも驚きの表情を浮かべている、まさかかわされるとは思っていなかったのだろう。


「こんのォォ!!」


 ミッテルトが人間の背後から攻撃をしかける、だが人間はドーナシークの腕を掴んでミッテルトに向かって振り回した。


「ギャッ!?」
「ガァッ!」


 正面から激突した二人は一瞬動きを止める、その隙に人間は動きの止まったミッテルトを蹴り飛ばし、ドーナシークの顔を踏み潰した。ミッテルトは天井にめり込みドーナシークは床に陥没する。


「な、何が…ウッ」


 そして唖然としていたカロワーナの背後に回り込み首に手刀を打ち込み気絶させた。堕天使三人が僅か十数秒たらずで全滅!?一体なんなのよ、この人間は!?


「…何だ、本当に大した事がないぞ?」
『所詮コイツらは下級クラスだからな、捕獲レベルで言えば2か3くらいだろう』
「そんなに低いのか…さて後はお前だけだな」


 ヒッ…!不味い、人間がこっちに来る…誰かに助けを…ってもう味方がいないじゃないの!どうしましょう…いや待てよ、何も馬鹿正直に戦う必要はない、強いといっても所詮は人間…付け入る隙なんていくらでもあるはず…


「ま、待ちなさい!貴方アーシアが目的なんでしょう?あげる、あんな子いくらでもあげるから…だから、だから命だけは助けてッ!」


 私は涙を流してそう悲願した。この人間はアーシアにお熱と見た、つまりか弱い女に弱いはずよ。


「何だ、さっきまでとはえらく態度が違うじゃねえか」
「私が馬鹿だったわ!もうアーシアにはもう関わらないって約束する!だから見逃して!」
「…そうか、ならもういい。今後一切アーシアの前に現れるな、そいつら連れてさっさとこの街から出ていけ」


 人間はそういうと私に背を向けて教会から出て行こうとする…ふふッ、本当に人間ってバカね!


「死になさいッ!!」


 私は最大級の光の槍を生み出して人間に突撃する、気が付いた人間が振り返るがもう遅いッ!


 ドスッ!!!


 私の槍が人間の胸に突き刺さった、やったわ!やはり私は至高の存在なのよ!もうこれで私の邪魔をする奴はいない、私はアザゼル様に愛される存在になれる!






               私の勝ちだわ!!!!!
 

















 ガシッ!


 えっ…………?


 腕が掴まれた…?


「…こんな事だろうと思っていたぜ」


 えっ……そんな…まさか…嘘でしょ…?


「光の槍を心臓に刺されたはずの人間が…どうして生きてるの!?」
「刺した所をよく見てみろよ」
「何を言って…!?」


 こ、これは…


「槍が刺さりきってないッ!?」


 槍の先端が少し刺さっているだけでそれ以上槍が刺さらない、私の最大級の槍が…どうして!?


「槍が刺さりきらなくて驚いてるのか?こんなもん筋肉で締め付けてるだけの誰でもできる芸当だ」


 筋肉って…普通の人間がそんなことで私の槍を防げるはずが…


「さて、俺は一発もらったんだ。次はお前だな」


 こ、殺される…!?そう思った私は直にこの人間から離れようとするが何コイツ、ビクともしないじゃない!


「離せ、離しなさい!!」
「ドライグ、三段階で行くぞ」
『了解した』


 奴の左腕から赤い籠手が現れた、あれは『龍の手』…?


『Boost!Boost!Boost!』


 な、何が起きたの!目の前の人間の戦闘力が見る見る内に上昇していく!?力が何倍も……まさか!?


「そ、その籠手はまさか……」
『ようやく気が付いたか愚か者め』


 突然謎の声が聞こえてくる、それはあの赤い籠手から出ていた…間違いない、これは……


「赤龍帝の籠手!?どうして神滅具が!?」


 理解できない、神すら滅ぼす神滅具の一つがここにあるの!?なんでこのタイミングで!?なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!!?!?



「行くぜ、『釘パンチ』!!!」
『Explosion!』


 ガゴォォォッ!!!


 私の腹部に凄まじい衝撃が突き刺さる、息ができない…内臓が!?


 ガゴォォォォォォォォッ!!!!


 がふッ!?更に強い衝撃が……!?何…これ…死ぬ…


「釘パンチ、ドライグの倍加の力を直接相手に叩き込み衝撃を倍加させていく、まるで釘が突き刺さっていくように衝撃は突き進む。1…2…」


 人間が何か話しているがもう私には聞こえない、意識が朦朧として何も考えられない……


「…3…貫通だ」


 ガッゴォォォォォォォォォォォッ!!!!!


「ガボハァァァァァァァッ!!?!?」


 体が引き裂かれるような痛みと壁に叩き付けられた衝撃に私の意識はどんどん薄れていく。


「あ、これじゃ三発だな」


 最後に私が見た物は巨大な赤いドラゴンだった………










side:小猫


「何が起きたというの……」


 部長の驚きを隠せない、そんな感じの声が教会…いや廃墟に響き渡る。私達は作戦通り堕天使達に奇襲をしかけようとしたが堕天使のアジトである教会は半壊していた。これは一体……?


「部長!」


 そこに見回りに行っていた祐斗先輩と朱乃先輩が戻ってきた。


「二人とも、状況は?」
「はい、辺りには気絶した悪魔祓いが30人ほど、そして堕天使が4人。報告通りの数です」
「悪魔祓い達、堕天使の一人は傷もなく倒れていたのでおそらく何らかの力で気絶させたようです」


 祐斗先輩と朱乃先輩はそれぞれの情報を部長に話す、気絶していた?


「それで堕天使の様子は?」
「それが全員錯乱して話も出来ません。特に首謀者のレイナーレが酷くてずっと赤いドラゴンが……と呟いてるだけの状態になっていますわ」
「一体何があったのかしら……」


 部長達の話を聞いていてふと疑問に思った事がある、赤いドラゴン、それってまさか……


「イッセー先輩…?」


 まさか、ね……











sideイッセー



 ただいま~っと、ふう、堕天使達の件も終わったしこれでアーシアはもう安全だな。俺はスイーツハウスに戻りアーシアの様子を見に行く。


「あ、イッセーさん!」


 アーシアが眠っていた部屋に行くとアーシアが笑顔で迎えてくれた、どうやら起きて待っていてくれたようだな。


「ただいま、アーシア。起きたばかりで早速だけどアーシアの今後について話があるんだ」
「私の今後…ですか?」


 俺はレイナーレ達と話し合いアーシアを家で引き取ることになった事を彼女に話した。


「本当にレイナーレ様が?」
「おう、バッチリと話し合い(物理的)を済ませてきたぜ。アーシアはもう自由だ」
「でも本当にいいんですか?私なんかがいたら迷惑じゃ…」


 はぁ~…全くアーシアは…


「アーシア、迷惑なんて言うな。俺がそうしたいからそうしたんだ、それともアーシアは俺といるのは嫌か?」


 俺はアーシアの肩を掴み真剣な表情でそう訴える。おいドライグ、頭の中で『また口説くような言い方を……』とか呟くな、大事な時なんだぞ。


「…嫌じゃないです、私、イッセーさんのお傍にいたいです。もっと色んなことをイッセーさんと知っていきたいです」
「ならここにいてくれ。俺がどんな事でも教えてやる、俺がどんな奴からも守ってやる、そして幸せになってくれ」
「……はいッ!!」


 そういって眩しい笑みを浮かべたアーシアを見て俺は満腹感にも劣らない充実した気分になった。






 
 

 
後書き
 こんにちは小猫です…この小説のタイトル私の名前もあるのに実質アーシアさんがヒロインじゃないですか…
 と、とにかく次回はグルメ界のお話です、どうやら虹の実と呼ばれるものがターゲットらしいのですが一筋縄ではいかないようです。次回『イッセー、懐かしき庭へ!虹の実を捕獲せよ!前編』でお会いしましょう。 
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