| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

Blue Rose

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七話 姉としての責任その四

「ウイスキーやブランデーも飲むけれど」
「そうしたお酒も飲むからね」
「そうしてるの」
 こう言うのだった。
「鍋料理の時は」
「けれど今はその焼酎も」
「飲まないわ」
 今は、というのだ。
「まだね」
「わかったよ、じゃあ今は飲まないで」
「おうどん食べてエクレアも食べて」
「あったかいままお風呂に入って」
「寝るわ」
 ここまでだ、優子は弟に笑みを浮かべて話した。
「そうするわ」
「それじゃあね」
「優花もお風呂入るでしょ」
「勿論だよ」
 すぐにだった、姉に可愛らしい少女の様な笑みで答えた。
「そうするよ」
「そうね、じゃあすぐにあがるわね」
「いや、ゆっくり入らないと」
「あったまるべきっていうのね」
「お風呂でもね」
 鍋を食べることだけでなくというのだ。
「あったまってね」
「だからなのね」
「うん、お風呂はゆっくりとね」
 入ってくれと言うのだった。
「そうしてね」
「それじゃあそうするわ」
「そういうことでね」
「何処に行くかは」
 不意にだ、優子は急にクールな目になって言った。
「これからね」
「決めるんだね」
「何時行くのかも」
 そうしたこともというのだ。
「もう少ししたら答え出すから」
「それじゃあね」
「待っていてね」
「わかったよ」
 優花は姉のその言葉にも頷いて返した。
「楽しみに待たせてもらうね」
「そうしてね」
 優子は今はすっきりとした顔だった、その声も。
 そしてその声のままだ、勤務でもだった。
 手際よく診察をしていた、その彼女を見てだった。若い女の看護士達が明るい声で優子自身に言ったのだった。
「先生何か最近明るいですね」
「ちょっと前まで暗かったですけれど」
「特に朝は疲れた感じで」
「お酒も随分飲んでましたよね」
「ええ、今はね」
 優子も彼女達に明るく返す。
「この通りよ」
「普段の先生ですね」
「その先生に戻ったんですね」
「そうよ、この通りね」
 やはり明るく言う優子だった。
「今は吹っ切れたわ」
「そうですね、ただ」
「本当に前の先生おかしかったですよ」
「悩んでて」
「普段の明るさなかったですよ」
「私も悩む時があるから」
 何に悩んでいたかをだ、優子は話さなかった。
 しかしだ、それでもと言うのだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧