ソードアート・オンライン ~story of Liebe~
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第4話
「はぁ……はぁ……」
蒼空は戦っていた。難しい問題……ではなく、夏の暑さ……とかでもない。
「うおっ、はやっ!」
目の前にいる戦ったことのない狼と戦っていた。
「これ、リアル過ぎやしないか!?」
この話の始まりは少し前に遡る。
七月を迎えるころ、蒼空は東京に行くための準備をしていた。次の日に「ソードアート・オンライン(SAO)」と呼ばれる世界初のVRMMORPGのβテストが行われる。その会場に向かうため朝方から準備している。
「なんで朝から準備しないといけないんだよ……」
これにはわけがある。木綿季に東京でβテストがあると言ったら「観光しようよ!お買い物しようよ!」と言ってきたため早めに準備している。
あ?なんで断らなかったのかって?いや、めんどくさいし嫌ではないからな。べ、別に楽しみにしてたわけじゃないからね!?
「まぁ、いいとして。そろそろ迎えに行くか」
そろそろ昼頃になるため木綿季を迎えに行こうとしたとき
「蒼空ー!迎えに来たよー!」
元気な声が玄関から聞こえた。声の元に向かうと木綿季とその姉の藍子がいた。
「ったく、インターホンくらい鳴らせよ」
「いやーごめんごめん」
と笑いながら謝ってくる。隣の藍子は呆れた顔をしている。
「ごめんね蒼空くん、この子のことお願いね?」
「あれ、藍子さんも一緒に行かないの?」
「私は色々事情があってね、いけないの」
「そっか、残念だな」
木綿季の面倒見てもらおうと思ったのに残念だ。
「なぁに?ボクじゃ不満なわけ~?」
「そんなこと誰も言ってないだろ!?」
「まぁ、いいや。行くよ蒼空!」
「あいあいさ~」
荷物を持って外に出る。そして、近くの駅に向かう。
え?飛行機とかじゃないのかって?いやだってそんなに遠くないし新幹線に乗らなくても一時間ぐらいかければいけるさ。
「蒼空はさ、東京行くのは何回目?」
「んー、これで三回目かな?木綿季は初めてだっけ?」
「うん、色々あったから東京に近くてもいけなかったんだ」
木綿季の色々あったとは恐らく両親が亡くなったことや家のこと、学校のこと等だろう。これだけ大きな問題があったため遊びに行くことも難しかっただろう。
「でも、今は東京に行けるから嬉しいよ!ありがと蒼空!」
昔に比べて笑うことが増えたよな。良いことだ。
「ああ、どういたしまして」
一時間半くらいかけてβテストの会場に着いた。そこには多くの人が集まっていた。恐らくすでに数百人集まっているだろう。βテストの参加人数は約千人ぐらいと言われている。
「これ全部βテスターかよ!結構いるなおい」
「なんか、みんな凄そうだね」
確かに独り言喋っているやつとか、ゲームの話をしている眼鏡グループとか、凄いTシャツ着ているやつとか、なんかもう色々とすごいよ……
「そろそろ始めますので皆さん中に入ってください。入る際には名前とチケットの提示をお願いいたします」
と関係者らしき方がメガホンで案内をする。
「木綿季、前にも言ったけどこれは長期間によるテストだからすぐには帰れないぞ?止めるなら今のうちだ」
「大丈夫!心配ないよ!ボクワクワクしてるから」
「まぁ、宿は出るし毎日参加しなくてもいいらしい。息抜きとかもできるから問題ないか」
「むしろありがたいよね~。でも、やるからにはとことんやるよ!目指せ一番!」
「声がでけーよ!アホ!」
周り全員敵にしてどうすんだよこいつは……
会話をしているうちに順番がまわってきた。
「では、名前とチケットの提示をお願いします」
「篠崎蒼空です」
そしてチケットを渡す。すると関係者がその場から立ち、奥に消えてった。
なんで立ち去った?そして顔つきが一瞬変わったような……。
「すみませんお待たせしました。こちらの番号の部屋の移動お願いします」
「?ありがとうございます」
なんか怪しいが立ち止まるわけにもいかないか
とりあえずその場を後にした。
会場に入って木綿季が来るのを待つ。木綿季もなにかパッとしない表情でやってきた。
「蒼空、なんか受付の人おかしくなかった?」
「お前もか?なんか怪しいな……。けど、思い当たることもない」
「ないならどうしようもないね。とりあえずテスト受けてみよう」
「そうだな」
テストの内容はこれから2か月近くの間、SAOをやること。ただし毎日参加する必要はない。外に出たければ出ることもできる。ただし、戻ってくる時には外に出るときに渡されるプレートを返さなければならない。いつログインしてもいいし、ログアウトしてもいい。寝室は渡された番号の部屋にあり、食事もそこに運ばれる。
まぁ、ほとんど牢獄に近いな。しかも結構大掛かりだし。
「それにしてもお前と部屋が一緒になるとは思わなかったな」
「ボクも思わなかったよ」
まさか木綿季と一緒になるとは……せめて個室が隣同士とかにしとけよ
「とりあえず始めますか」
「そだね、じゃあ、向こうで会おうね」
そして、SAOの世界に踏み込んだ
という流れで今は初めての狩りをしている。狼相手に戦ったことなど一度もないため、かなり苦戦をしている。
「思った以上に難しいなこれっ……せいっ!」
やっと一匹を倒した。これは慣れるまで時間がかかりそうだ
「いやー、難しいねこれ!三匹倒すのにこんなに時間がかかるなんて」
「これはむずかし……は?三匹?」
え、こいつもう三匹狩ってるの?早くね?
「蒼空は……まだ一匹しか倒せてないみたいだね!ボクの方が上だね」
よく見るとユウキの体力ゲージがかなり減っていた。
「お前、体力ゲージ減りすぎじゃね?俺なんてほぼ無傷だぞ」
「うっ……けど、ボクの方が倒した数多いから上手いんだよ!」
「何言ってんだ!無傷で倒した俺の方が上に決まってるだろ!」
いがみ合っていると向こうの方から走ってくるような音が聞こえた。その音はどんどん近づいていき次第にその音の正体も明らかになってきた。
「おい、何か近づいてくるぞ……?」
「あれってなんだろうね?イノシシ?」
「いやいや、それにしてもかなり……大きいような……?」
それは近づくにつれて大きくなり人の大きさを優に超え始めた。
「お、おい!この距離で俺らよりでかいのはシャレにならんぞ!?」
「さ、流石にやばいよね!?」
「逃げるぞユウk……ってはやっ!?もう逃げてるじゃねーかあいつ!!」
逃げ足スキルもうカンストしちゃったわけ!?ヤバい死ぬ死ぬ死ぬ!
「はぁはぁ……なんとか逃げ切れた……」
今のイノシシはなんなの?普通のフィールドに普通あんなの出すか?
「おつかれソラ「おい!」ど、どしたのそんなに怒って……?」
「そりゃ死ぬかもしれない状況で勝手に置いて行かれたら怒りますけど?」
「……寂しかった?(笑)」
「んなわけあるか!」
「いった~!!痛いよソラ!!」
「天罰だ天罰!何か言うことは?」
「ごめんなさい……」
「よろしい」
それにしても第一層目でこんなに苦労するとは思わなかった。それにあの大きなイノシシもいる。慣れていないというのもあるかもしれないがかなり時間がかかりそうだ。
「まぁ、さっきのことは水に流してやる。これからレベル上げてこの層のボス狩りに行くぞ」
「おぉ~!!」
そして、この第一層を突破するのに一週間以上かかり期間内で第六層までしか行けなかった。
そしてβテスト最終日。日時的には八月の終わりごろだ。
俺はユウキと穏やかな平原にいた。
「もう、終わりかぁ。なんか寂しいね」
「そうだな。こういった景色も販売までお預けだしな」
心地よい風が吹き付ける。まるで現実世界にいるかのように肌に風が触れる。
座っていると後ろの方で他のテスター達が会話していた。
「聞いたか?ここ最近ログアウトボタンが消えるっていうバグが起きてるらしいぜ?」
「まじかよ!もう終わるのにログアウトできないとか止めてほしいよな」
「だよな~。ま、このままいるのもアリかもな」
「おいおい、冗談きついぜ」
全くだ、冗談きついぜ。そんなことされたらたまったもんじゃない。そう思いログアウトボタンがあるか確認してみる。
「よかったあるな……」
「ボクもあるよ~」
「なんだよ聞いてたのか」
「いや~ついちゃっかり」
それからしばらくすると終了のアナウンスが流れてきた。
『只今をもってβテストを終了いたします。ゲーム内にいるプレイヤーはログアウトしてください』
少し離れたところにいるユウキに話しかける。
「ユウキ~、終了だぞ。ログアウトして帰ろう……ぜ?どうした?」
振りむいたユウキの表情がなにかおかしい……。
「そ、ソラ……ろ、ログアウトボタンが……」
「は?何言ってんだ?」
「ログアウトボタンがない!!」
それはあまりにも衝撃的なことだった。
俺は恐る恐るメニューを開いて見てみる。
「お、俺にも……ない!?どういうことだ!?」
すると空間が真っ赤になり、【warning】の文字が埋め尽くすかのように映し出された。そして、赤い液体が滴りはじめて人の形になり始める。
「おいおい、なんのイベントだこりゃ……」
「なんか嫌な雰囲気だね……」
フードの被ったような人の形の物体はこちらを見ているように見える。
『プレイヤー名、ソラ、ユウキ。ようこそ私の世界へ。君たちは選ばれた』
「は?どういうことだ!?」
『既に君たちにはログアウトボタンが消えているはずだ。これはバグではない』
おいおい、状況を飲み込めないぞ……ユウキに至っては顔真っ青だし
『これから君たちには数か月早くこのSAOのクリアに挑んでもらう。このゲームの脱出方法はただ一つ、アインクラッド最上部の第百層をクリアすることのみ』
「おいおい、千人近い人が一斉に挑んでやっと六層だぜ?それも二か月もかかっているんだぞ!?どんだけムリゲーなんだよ……」
『そしてもう一つ警告することがある。このゲームでヒットポイントゼロになった瞬間に君たちのナーヴギアの機能が作動し、この世界と向こうの世界から永久追放される』
「なっ……」
「嘘でしょ……?嘘だよね……?」
『これは嘘ではない。そしてこの世界はゲームであって遊びではない。君たちの体はこちらで管理してあるため心配はいらない。存分に攻略に励んでほしい』
そんなこと言われても無理がある……。まず、二人での攻略はほぼ無謀と言える。できても死線をさまようことになるだろう。
「そして一番気になるのはお前の存在。お前は何者だ?」
『私の名前は茅場晶彦。この世界を作り出した者だ』
茅場ー晶彦だと!?おいおい、超有名人じゃんかよ……
『では諸君、健闘を祈る』
と言って消えていった。残ったのは静けさと違和感だけだった。
「……ヤバいことになったな」
これはホントにヤバいぞ……それに、数か月後にはこのゲームは販売される。つまり数万人以上がこのデスゲームに参加することになる。申し訳ないがそれを待ってクリアできる人材を集めるしか方法はなさそうだ。
それよりもユウキの状態が気になる。あんなことを言われたんだ、戦意喪失していてもおかしくはない。
「おい、ユウキ。大丈夫か?」
「ソラ……ボクは屈しないよ」
「え?」
「ボクは絶対あの男には屈しない!このアインクラッドをクリアして脱出してみせる!そして絶対帰るんだ、姉ちゃんのところに!」
これは思った以上に大丈夫だったな。むしろ侮辱していたようなもんだな。
「そうか、それはすまなかった。これ以上藍子さんを心配させるわけにはいかないもんな」
「うん!こんなところで絶望しててもだめだよ。少しでも希望を探そう」
やっぱりお前は凄いよユウキ。俺も負けてられないな。
そして二人だけが一足早めにデスゲームに参加することになった。
誰よりも早く終わり、そして始まった。
後書き
アインクラッド編始まりました!
自分で書いていても下手なのが分かってしまうのが辛い(笑)
でも、頑張っていきます!
ご意見などよろしければお願いします。
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