リリカルなのは~優しき狂王~
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第四話~記憶~
前書き
ええと…今回やっちまった感があります。(ーー;)
でも後悔はしていません!
頭に靄がかかる中、ライは目の前の光景を見続けていた。
それは忘れもしないダモクレス攻略戦の終盤、ナナリーからダモクレスの鍵を受け取る間際の情景。
ナナリー『…このダモクレスの鍵が目的ですか?ブリタニア皇帝…いえ、狂王、ライ・ズィ・ブリタニア。』
ライ『それが分かっているのなら、それをこちらに渡してもらおう。それは貴方には必要のない物だ。』
ライ「……」
光を取り戻したナナリーの瞳は冷たい瞳を宿した皇帝としてのライを写す。かつての自分を見るナナリーの敵意の宿る表情に胸が痛むライ。そんな中、目の前の光景は進んでいく。
ナナリー『あなたはこの世界をどのように導くおつもりですか?』
ライ『それは貴方の考えている予想通りだろう……』
ナナリー『なら、貴方は他人を利用し世界を縛るおつもりですか?…お兄様やスザクさんのように。』
ライ「……ろ…」
かつての自分の道のりを目の当たりにし、ライは言葉を口にするがナナリーは言葉を続ける。
ナナリー『私はお兄様やスザクさん達と平和に暮らせれば、それで幸せでした。しかし、お兄様がゼロとして立ち上がり、戦いを起こしてしまいました。そしてそのまま戦い続けていれば、今この場にいたのは貴方ではなくお兄様でしたでしょう。』
ライ『なにが言いたい?』
ナナリー『貴方はお兄様と同じくギアスを持っているのではないですか?』
ライ『……』
ナナリー『そして、その力でお兄様達を欺き、今の地位を手に入れた。』
ライ『そうだとしたら?』
ナナリー『私は貴方を許すことができない。その行為は卑劣なのです。人の心を捻じ曲げ、尊厳を踏みにじるギアスは。』
ライ『ならその力を行使したルルーシュはどうなる?』
ナナリー『お兄様の罪は私が背負います。』
ライ『……』
ナナリー『そして、このダモクレスを憎しみの象徴とするのです。』
ナナリーの決意の言葉を受け止めるライ。
ナナリー『憎しみをここに集めるのです。皆で明日を迎えるために。』
その言葉を聞き、ライは迷いを捨てた。
ライ『ライ・ズィ・ブリタニアが命じる。ダモクレスの鍵を渡せ!』
そして、ライはダモクレスの鍵を手にする。ナナリーからの侮蔑と憎しみを含めて。
ナナリー『貴方は!世界と人を狂わし!全てを壊そうとする!その先に、何も残らないということも分からずに!』
立ち去ろうとするライにナナリーは罵倒を浴びせ続ける。
ライ「…もう……やめてくれ…」
その光景を、ライは悲しみにくれながらも見つめ続けた。
機動六課・医務室
砲撃の後、ライを回収し自分の所属する部隊、機動六課に帰還したなのははその翌日の朝、医務室にいた。いつもなら、自分の部下であるフォワード陣の訓練をするのだが、今朝は相方のヴィータに頼みライの様子を伺いに来たのだ。
しかし、ライの周りにいるのはなのはだけではなかった。その数はなのはを含め四人。一人はこの部隊の部隊長を務める八神はやて。そしてもう一人がなのはと同じく分隊の隊長を務めるフェイト・T・ハラオウン。そして最後がこの部屋の主である八神シャマルであった。
はやて「それで?この子がなのはちゃんの砲撃に生身で突っ込んできた子?」
はやてはライのことを興味深そうに眺めながらなのはに質問する。
なのは「うん…」
はやて「根性のある子やねー。執務官の中にもそんなんできる人、そうそうおらんのとちゃう?」
フェイト「はやて…。そういう問題じゃないと思うよ?」
少し意地の悪い笑みを浮かべながら話すはやてに、フェイトは苦笑いしながらも答えた。
はやて「それでシャマル。この子の容体は?」
シャマル「う~~ん。なのはちゃんの砲撃は非殺傷設定で、外傷はほとんど付かないのはもちろん、意識の回復まで遅くなることは無いはずだから、そろそろ起きると思うんだけど…」
シャマルからの言葉を聞き、三人は再びライを見るが…
ライ「……」
全く反応を示さず、眠り続ける彼がいた。
はやて「…起きんね。当たり所が悪かったんちゃう?」
フェイト「なのは、いつも全力だから……」
なのは「もう二人して怖いこと言わないでよ~~~。」
二人からの言葉に若干涙目になりながら答えるなのは。そしてなのはが声を上げた後、はやては何かを思いつたような顔をして、笑顔でなのはに話しかけ始めた。
余談だが、このはやての笑顔をライは後日に見ることになる。その時に彼はこう思った。「あれはミレイ会長と同じ笑いだ。」と。
はやて「なのはちゃん、もしかしたら彼を起こす方法があるかもしれんで?」
なのは「えっ!それってどんな方法?」
なのはは取り敢えず、ライに目覚めて欲しかったのではやての言葉に食いついた。
はやて「それはな……ごにょごにょ」
いきなりなのはの耳に手を添え、なのはにしか聞こえないように話し出すはやて。するとはやての言葉を聞くうちに、なのはの顔がみるみる赤くなっていく。はやての言葉を聞き終えたなのはは顔を赤くしたまま、何故かライの顔を見つめ慌てだした。それを眺めていたフェイトははやてに尋ねた。
フェイト「はやて、なのはに何言ったの?」
はやて「ん?なのはちゃんが出来んのやったらフェイトちゃんがするか?」
フェイト「?」
はやて「彼、イケメンやろ?」
フェイト「うん。」
はやて「王子様みたいやろ?」
フェイト「うん。」
フェイトはライの容姿を見ながら答えた。ライの外見は元々整っており、街を歩けば女性の九割以上が振り向くであろうものであった。
はやて「なら、彼にキスして。」
フェイト「う……ん?」
はやて「名づけて『逆・白雪姫作戦』!」
とてもイキイキした顔で語るはやて。はやての言葉を聞き、数秒固まっていたフェイトだった。しかし、なのはと同じようにライの顔を見ると顔を赤くし慌てだした。
なのは「かかかか彼と、キキキキキキスなんててて……にゃぁぁ~~~~~!!!」
フェイト「そそそんな、彼は意識がなくて確認もせずにキスするなんて!まず彼に確認を取らないと!でも彼は意識が無くて、意識を戻すためにキスを?あれ?あれ?」
ライを中心に混乱する二人。それを遠巻きからとてもいい笑顔で眺めているはやてとシャマル。その日の朝、機動六課の医務室はとても平和だった。
後書き
前半シリアスなのに後半をギャグみたいにしたのはこの物語を暗いものではなく、明るい内容にするためです。
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