ドラゴンクエストビルダーズ:アレフガルドを復活させられてます(新リュカ伝)
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第1章:メルキド編
5:住人らしき人が増える。新たな土地らしき場所に行ける。
(メルキド)
リュカSIDE
合計七日間の徹夜。そう、僕(等)の七日間戦争だ。
巧くない。全然巧くない!
もう格好つけない。眠らなくても良い存在だと思われたくない。
俺は迫り来るモンスター軍団を一人で退け、新たなる朝と共に眠りについた。
新しいベッドを作るのも億劫……ロロンドの残り香のベッドで寝るのも嫌悪……
残るベッドはピリンの寝ているベッドだったが、未だ眠っていた為起こせず、ドラゴン討伐で手に入れたソファーを使っての仮眠。
本当はくつろぎソファーを使って、オシャレなリビングでも作りたかったのだが、それすら断念して野晒し仮眠。
勿論、朝が来れば他の住人達は働き出す。
憶えたての物作りで、町の復興をお手伝い。
拠点のド真ん中で、ソファー仮眠する俺を横目に……
そんな環境で深い眠りにつけるわけも無く、渋々ながら身体を起こすと見慣れぬ人物が、希望の旗の側で立っている。
あれ……希望の旗が少し立派になった気がするぞ?
誰か手を加えたのかな? ……まぁ良いか。
「よう、よくそんな所で寝てられるな」
「お前誰だ?」
「……俺の名はロッシ。旅をしてたら妙な光を発見したから、やって来た」
「あぁそう。僕はリュカ。この町を復興させてるビルダーだ」
「町を復興? また無意味な事を……」
「随分な言い様だな、物作りの何たるかも知らない若造が」
「若造ってのこそ随分な言い様だな。俺と大して変わらねーだろうに」
「何だ? お前は何歳だ? 100を越えてるのか? 僕は合計すると越えてるんだよ!」
十分に眠れてない俺は機嫌が悪い。
でも俺に機嫌は簡単に直る。
それはね……
「あ、リュカ。起きたんだね、おはよう」
「おはようピリン☆」
美女から笑顔で話しかけられると、簡単に機嫌が直っちゃうんだよ。
「おおリュカよ起きたか!」
「うっせーヒゲだな」
折角美女を見て目の保養してたのに、むさいヒゲ親父が割り込んできた。
「その男は誰だ? 見ない顔だな」
「俺はロッシ。各地を旅してきたけど、疲れたから暫くの間この町で厄介になるぜ。まぁ他人との共同生活ってのは俺に向いてないから、長居するつもり無いから安心しな」
「何だと……貴様「よろしくねロッシ。私はピリン。こっちのお髭が立派なオジサンはロロンド」
ロッシの不躾な物言いに切れかけるロロンド。
だがピリンの愛らしい自己紹介に掻き消され、自分も大人しく挨拶する。
互いに仲良くなれないと悟ったのか、二人とも(ロロンドとロッシ)言葉を交わさず俺の前から居なくなる。
やれやれと思いながらも、寝直そうと考え、ソファーに座り直す……すると、俺の隣にピリンがチョコンと座り、話しかけてきた。
「リュカ、昨日の晩にモンスターの軍勢を撃退したんだってね」
「ん、まぁ……成り行きで……」
「私眠ってたから知らなかったけど、ありがとう」
「ピリンと一緒に町造りを始めたからね……壊されるわけにはいかないよ」
「えへへ……嬉しい」
ピリンは可愛く笑いながら俺の腕に抱き付いた。
昼間だけど良いよね? 拠点のド真ん中だけど構わないよね? ロロンドもロッシも見てるかもしれないけど、大丈夫だよね!?
彼女の可愛さに眠気も吹っ飛んだ俺は、優しくキスをする様に顔を近づける……が、
「そうだリュカ。昨晩倒したモンスター達が色んなアイテムを落としていったよ」
と思いだし、立ち上がる。
勿論キスは空振り。その先の運動会なんて、遙か彼方に遠退いた。
「それでね、そのアイテムの中にこんな物が混ざってたんだよ」
そう言って俺に見せたのは、二つに割れた材質不明の板。
その板を俺に渡す(押し付ける)と、ピリンは可愛く教えてくれる。
「ロロンドが手持ちの本で調べたらね、これは旅の扉だろうって言うの。旅の扉って言うのはね、使用者の必要としている物事が有る場所に、連れて行ってくれる装置らしいのよ。だからねリュカ……壊れちゃってるけど、それを直して町造りに活用出来ないかな?」
なる程……ビルダーとしてこの旅の扉を直せば、ピリンの好感度も更に上昇だな。
よし、取り敢えず作業部屋へ行って、この壊れた旅の扉を直しちゃおう。
如何直せば良いのか全然解らないけど、きっと大丈夫。
だって俺はビルダーだもの! 神に能力を貰った伝説のビルダーだもの!
うん。本当に直せた。
壊れた旅の扉を持って作業台の前に立ったら、勝手に身体が動いて直しちゃった。
何かヤダ。自分の意思が存在しないみたいでヤダ。
「すご~いリュカ! 本当に直しちゃえるんだね♥ 」
でもまぁ良いか。
満面の笑みのピリンに抱き付かれ、気分は最高だし……直すに至る経緯なんて気にしないで良いよね。
何時までもピリンに抱き付かれデレデレ状態で居るわけにもいかず、直した旅の扉を設置しに拠点内を散策する。
何処に設置しようかなぁ……?
う~ん。色々考えたんだけど、希望の旗の側が良い気がして、取り敢えずそこに設置。
すると何処で見ていたのか、突然ロロンドが俺に近付いてきた。
「リュカよ、旅の扉を設置したのだな! ではこれから、この旅の扉を“旅の扉・青”と呼ぼう」
設置した旅の扉が青色だったから、ロロンドは安易に名前を付けた。
「それで良いんじゃね?」
反対する理由もないし、面倒臭いし……
そのネーミングで妥協するよ。
「うむ。では早速その旅の扉・青で旅立ち、向かった先で“大木槌”の作り方を取得してきてくれ!」
「はぁ? 何でだよ……」
相変わらずの上から目線に苛つく。
「おヌシは檜の棒や棍棒を使って色んな素材を入手して居るが、木材や土中に有る鉱物等は、その武器では入手出来まい。しかし我が輩のメルキド録には、大木槌を手に入れれば更に多様な素材を入手出来ると書いてある。これは町の発展の為に必要不可欠だと思うのだが……そうは思わんか?」
「……そう思う」
不本意では有るが、ロロンドの言い分は尤もであり、檜の棒も棍棒も武器としての性能が低すぎて使い勝手が悪い事は事実だ。
「そうだな……更なる発展の為に、大木槌を作れる様にした方がいいなぁ」
「その通りだリュカよ。流石ビルダー……解って居るな!」
何でこのオッサンは一々上から目線なんだよ!?
正直相手にしてられないので、そそくさと旅の扉・青に入る俺。
途端、世界が歪みだし見えてる景色を様変わりさせる。
そして気付く。もう移動完了したと言う事を……
(おおきづちの里周辺)
目の前に広がる光景は、先程まで居た拠点を中心として草原地帯とは違い、かなり起伏が激しく岩々が連なる山岳地帯だった。
そこには拠点周辺に居たモンスターとは違い、スライムベスやおおきづち等が徘徊していた。
今回の目的は大木槌入手なので、近くに居たモンスターのおおきづちを倒し、持っていた大木槌を奪おう事にした。
でもね……連中にとっては大木槌だけど、人間サイズで考えると小槌としか呼べない代物。
これだったら檜の棒の方が使い勝手が良い。
やっぱり何とかして作り方を学ばないとダメみたいだなぁ……
でも如何すれば良いんだろうか?
途方に暮れながらも、襲い来るモンスター達を撃退し、落としたアイテムを収拾してると、目の前に土で出来た祠の様な建物が……
入り口付近の立て看板には、
【おおきづちの里案内所】
と書いてある。
観光地か!?
そんなツッコミを心に、俺は慎重に中へ入ってみる。
そこには1匹のおおきづちが……
倒そうと思ったけど、コイツには殺気が存在せず、俺も臨戦態勢を解く。
「おおニンゲンがこんなところにくるなんてめずらしいな。いったいなんのヨウだ?」
「うん。大木槌を作りたくて、この辺を彷徨ってるんだ」
何か友好的っぽいし、尋ねたら教えてくれそうだな。
「お、おおきづちをつくりたい!? なんてやらしいことをいうイニンゲンだ!」
「何がやらしいんだよ!?」
「だっておおきづちをつくりたいってことは、われらのメスとコウビして……」
「違ーよ馬鹿! 何で俺がおおきづちと交尾しなきゃならねーんだ!」
アブねー思考回路だなコイツ。
「ん……ちがうの?」
「違うよ! お前等が持ってる武器の事だよ」
俺にしたら小槌でしかない、おおきづちの持っている大木槌を指差す。
「なんだ、コレがほしいのか? でもオレのはアゲナいぞ」
「そのサイズじゃダメなんだよ。だから作り方を教えてよ」
「オレはしらん。でも、このさきにすんでるチョウロウならつくりかたしってるとおもう」
「この先?」
どちらかと言えば友好的なおおきづちが、長老の家が有る方向を指差して教えてくれた。
俺は確認する為に一旦案内所から出て、おおきづちの指差した方向を眺めてみる。
すると、その方向には一際高い土の祠があり、分かりやすく屋上に篝火が灯っている。
「あれか……教えてくれてありがとう」
「まてニンゲン」
礼を言って立ち去ろうとしたが、案内所のおおきづちが俺呼び止める。
「おまえニンゲンなのに、オレをみてもコウゲキしなかった。ニンゲンにしてはイイやつ。コレやるから、なにかにやくだてろ」
そう言って渡してきたのは、何も書いてない立て看板だ。
如何やって役立てるのは分からないが、貰える物は笑顔で貰うのが礼儀。
「ありがとう」
そう言って俺は案内所を後にする。
さて、今度は大木槌の作り方を教えて貰えると良いなぁ……
リュカSIDE END
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