| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ドラゴンクエストビルダーズ:アレフガルドを復活させられてます(新リュカ伝)

作者:あちゃ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第1章:メルキド編
  2:直ぐに壊れるのは武器。壊れにくいのは……

(メルキド)
リュカSIDE

何年ぶりだろう……
肉体が若返り、久しぶりの運動会だった。
ちょっとだけルビスに感謝しようかな。

俺の横で眠る美女を眺め、この何とも言えない脱力感を噛み締める。
ドアの隙間からは薄ぼやけた朝日が入り込み、新たな朝が来た事を教えてくれる。
今日も一日が始まるんだ。

まだ寝ているピリンを起こさない様に小屋から出て、薄曇りの空へ目掛けてノビをする。
昨晩は久しぶりに頑張ったので、結構汗をかいた。
顔も洗いたいし、何処かに水場はないものだろうか?

拠点内(希望の旗を中心としたルビスの加護の範囲)を水場を求めて彷徨うが、希望に添う物は無い。
仕方ないので拠点外へと足を伸ばして探してみる……
すると綺麗な小川が流れている事を発見。

だが拠点からは離れており、モンスターにも遭遇するので、安易に訪れられない。
俺は問題ないけど、ピリンには危険だろう。
如何すっかなぁ……拠点まで水を引き込むか?

そんな事を考えてると、
『昨晩はお楽しみでしたね』
と、女の冷めた声が聞こえてきた。

「覗きっすか……神のクセに趣味が悪い」
そう、声の主はルビス……
この世界の創造主で俺の母にクリソツな女神。だが胸は平らだ。
うん、ムネタイラさんに3000点。

()(この)んで覗いたわけじゃありません。リュカが何か困った事になった時、少しでも手助け出来ればと思い、常に見守っていたら昨晩のアレです! 良いですね、気楽で」
何だ何だ……結婚・王族・政務等々から解放されて、一人の男として頑張ったら嫌味言われんのか?

「このアレフガルドを復活させるビルダーとして、最大限に頑張ってる結果ですよ……アレは!」
『部屋を造り、明かりを造り、ベッドを作る辺りまではビルダーとして素晴らしかったんですけどね。役目に無い事までしてませんでしたか!?』

「してませんでしたよ、全てビルダーの役目通り。少しでもアレフガルドを復活させる為に、減少した人口を元に戻す努力をしてます」
『そんな役目を貴方に課した憶えはありません!』

「あぁそうですか……見解の相違と言う事で処理しましょう」
『そうですね。貴方に何を言っても無駄でしょうから……私としましても、アレフガルドの復興さえして戴ければ良いのですしね!』
どうやら意見が一致した……と、思う。語尾にトゲがあったが気にしない。

「……で、朝っぱらから何の用だよ?」
『別段用件はありません。ただ、昨日過ごしてみてビルダーとしての能力に慣れたかを聞きたかっただけです』

「まぁボチボチかな」
『“ボチボチ”ですか……まぁ良いでしょう。引き続き頼みますよ、伝説のビルダーさん』
ちっ、気楽なのはそっちだろ。“嫌だ”と言ってもやらせるクセに。

声が聞こえなくなった所で俺は小川に手を入れる。
冷たい水が俺の意識を切り替えてくれる。
そして、そのまま水を両手で掬い勢いよく顔に浴びせる。

多少すっきりした所で周囲に視線を向けると、ピンク色の果実が目に留まる。
小ぶりで少量だが、甘くて美味しそうな匂いを醸し出している。
そう言えば、復活させられてから何も食べてないなぁ……いや、ピリンを喰べたか(笑)

俺は彼女にも食べさせたくて、何個か檜の棒でもぎ取り、拠点へと持ち帰る事に……因みに木の実は“桃柿の実”と判明。
拠点へと帰り着くと、丁度ピリンも起きてきた様子。
グッドタイミングとはこの事だ。

「おはようピリン。拠点の外で桃柿の実を取ってきたんだ……一緒に食べよう」
「おはようリュカ。ありがとう、桃柿の実って量は少ないけど、美味しいのよね!」
よぉ~し、好感度上昇だぁ!

「リュカはビルダーなんでしょ? ビルだーって町とかを再建して、アレフガルドを昔みたいに復活させるのが仕事なんでしょ?」
「ん~、まぁそうらしいねぇ」
仕事って賃金が貰える物じゃないのかねぇ?

「でね、私考えたの! このメルキドを再建するには、もっと沢山の素材を集める必要があるって」
「……あぁそうか! めんどくせーなぁ」
そう言う深い事まで考えたなかったなぁ……

「だからね、素材を仕舞っておく収納箱が必要だと思うんだけど、何か思い付かないかな? ビルダーのリュカだったら造れるんじゃないかな?」
収納箱かぁ……先刻(さっき)水場へ往復した時、太い枝を大量にゲットしてきたから、それで何か造れないかなぁ?

「どう、出来そう?」
「うん。やってみるよ」
心配げなピリンにウィンクして、石の作業台に向かう俺。

そして造る。
頭に思い浮かぶまま、収納箱を10個程。
そしたらピリンが……

「うわぁ凄い! 直ぐに造れちゃうんだね」
と抱き付いて褒めてくれる。
ビアンカ程ではないが、柔らかい胸が心地よい!

「じゃぁさ……私、こんな部屋の図を書いたんだけど、造れるかな?」
そう言ってピリンは胸元から薄汚れた紙を取り出し俺に見せる。
そこには歪な線で描かれた部屋の図面が……

「私もねリュカのお手伝いがしたいから、石の作業台を設置した作業部屋があれば、沢山物を造れると思うのよ」
なる程、作業用の部屋かぁ……
野晒し状態で作業するよりも集中出来そうだし、良いアイデアだと思う。

「良いね。早速ピリンの図面通り、作業部屋を造ってみるよ。でも、その為に壁材として土ブロックが大量に必要だなぁ……」
まぁ土ブロックならそこら辺を掘り返せば手に入るのだし、問題は無いんだけども、どうせ手間をかけて土掘りするのなら、拠点内に水を引き込む作業と連動させた方が効率的だよね。

「ピリン……作業部屋なんだけど、少しばかり時間がかかるかもしれない」
「何で?」
「うん、ピリンも近くに水場があった方が良いと思うだろ?」
「そりゃまぁ……」

「でね、この拠点から離れた場所に、綺麗な小川が流れてるんだけども、そこから水を引き入れようと思うんだ」
「ステキな考えだと思うわ……でも、それと作業部屋の制作と、どんな関係が?」

「うん。水を引き込む為に掘り返す土ブロックで、作業部屋を造ろうと思うけども、どちらの作業も並行してやりたいから、時間かかると思うんだよね。しかも、この拠点って高い場所に存在するでしょ。だから拠点の一角を一旦掘り下げて、そこから小川への横穴を通そうと思ってるから」

「何だか大変そうね。でもリュカがそうしたいのなら私は構わないわ」
「そう言ってくれると助かるよ。じゃぁ早速作業に取りかかるね」
とても良い()なピリンの許しを得て、早速同時進行で作業を始める事に……





甘かったね。
俺ってば、甘い考えで行動しちゃってたね。

拠点の端っこ(小川に一番近い場所)に縦穴を掘り出したのがスタート。
ピリンの考えた作業部屋に必要な土ブロックは直ぐ集まる。
だから一旦穴掘り中止して、作業部屋建設にスイッチ。

取り敢えず作業部屋の外観は完成したので、また穴掘りに戻る。
程良い深さまで掘り進んだので、今度は横穴を掘ろうと檜の棒を振り下ろす。
そしたらボキって折れちゃった……

何これぇ? 土掘ってて折れちゃう棒って……何これぇ!?
仕方ないので、先に作業部屋作成に移る。
外観が完成した部屋の中に、石の作業台を持ち込み、光源となる焚き火と作業結果を保管しておく収納箱を設置。

ハッと気付くとドアが無い!
そんな時は造るのさ♪
なんせ僕はビルダーだから!

出来上がったのは丈夫な草と太い枝で造る、藁の扉の出来上がり☆
早速入り口に設置すれば、石の工房の出来上がりぃ!
直ぐにピリンに見せようと思ったけど、周囲は既に真夜中だった。

仕方ないので朝になったら自慢する事にしよう。
だから俺も寝ようかなと思ったんだけど……
土掘り用の道具を造らなきゃならないって事を思いだし、早速石の工房を使用します。

そして出来たのは棍棒だ!
檜の棒よりも攻撃力が高く、使い勝手も良さそうな棍棒。
これで明日の朝から土木工事を再開出来る……な~んて考えてたら、時すでに朝!

それでも少しは寝ようと思ったんだけど、起きてきたピリンが、
「うわぁ、私の設計図通りに作業部屋を造ってくれたのね!? ありがとうリュカ。これで私もいっぱい手伝えるね」
と抱き付いてこられまして……

「じゃぁ僕は、水を引き込む作業に戻るよ。完成すればピリンも水浴びが出来るでしょ」
と言ってしまし、寝ずの作業再開となりました。
まぁ良いんですよ。強制労働させられてた時代から慣れてますし、冒険者時代は徹夜などもしてましたし、王様時代は夜な夜な愛人のベッドをハシゴしておりましたからね。

武器は直ぐ壊れるけど、美女との熱い関係は壊したくない……
だから僕は頑張るのさ。
この棍棒を降り続けて……

リュカSIDE END



 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧