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Blue Rose

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第三話 変わらない声その十一

「あらゆる事態を想定してですね」
「ことを進めていかないとね」
「本当にそうですね」
 そうした話をだ、優子は病院で話した。この時彼女はそれが自分自身のことではなく離れた場所のことだと考えていた。
 それでだ、家では普通に優花にこの日も飲みつつ言った。
「お酒もっとね」
「もっと飲みたいとか?」
「駄目かしら」
「姉さん今飲んでるの何?」
 自分の向かい側に座って白ワインを飲みながらだ、優花は姉に尋ねた。
「一体」
「ウイスキーよ」
「ウイスキーってアルコール何度?」
「これは四十度ね」 
 その高さだとだ、そのウイスキーのボトルのラベルを見てから答えた。ジョニ赤でそれをロックで呑んでいる。
「ウイスキーにしては高いわね」
「高いよ、だからね」
「この一本でっていうのね」
「止めないと」
「強いお酒だから」
「そう、本当にね」
 くれぐれもという言葉でだ、優花は姉に言った。
「飲み過ぎには注意だよ」
「お酒は百薬の長っていうけれど」
「お薬は毒にもなるってね」
「私言ってるわね」
「そう、どんなお薬も過ぎたり使い方を間違えれば」
 優花は姉が言っている言葉をその姉にそのまま返した。
「毒にもなるんでしょ」
「その通りよ」
「だったらね」
 それならというのだ。
「それ一本で終わりにしないと」
「今日のお酒は」
「そう、というかウイスキー一本を一日って」
「飲み過ぎかしら]
「そうだよ、幾ら好きでも」
 それでもというのだ。
「気をつけないと」
「厳しいわね」
「厳しいっていうかね」 
 それこそというのだ。
「常識でしょ」
「飲み過ぎないことは」
「そうだよ、常識だよ」
 その範疇でのことだというのだ。
「だから今日はもう駄目で」
「明日ね」
「むしろ最近連日飲んでるから」
 だからと言う優花だった。
「明日から二日位ね」
「飲むなってことね」
「休肝日も大事だよね」
「それはね」
 その通りとだ、優花も頷いて答えた。
「お酒は飲み過ぎると肝臓にもよくないから」
「だからだよ」
「それで、っていうのね」
「ウイスキー一本飲んだら」 
 今日のそれはいいというのは優花の優しさと譲歩だった。
「もうね」
「数日はなのね」
「飲まない方がいいかもね」
「わかったわ、じゃあ二日か三日はね」
 それ位はとだ、優子も妥協した。
「休むわね」
「それじゃあね」
「優花もなのね」
「僕もこの一本飲んだら」
 優花も呑んでいるワインのボトルを飲みつつ言った。 
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