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人生至るところに青山あり

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3部分:第三章


第三章

「だから。声優は舞台とかグラビアもあるから」
「水着もですか?」
「まさかと思いますけれど」
「そうなる娘もいるけれどね」
 社長の方もそれを否定しない。グラビアの仕事の中でだ。
「まあ高校生の制服はデフォね」
「ってコスプレか」
「それもあるんですか」
「この娘には水着の仕事はさせないから」
 社長はそのことはしないと答えた。
「ただね。それでもね」
「コスプレはするんですか」
「それは」
「この娘も好きだから」
 そうしただ。コスプレもだというのだ。
「だからね」
「ううん、何ていいますか」
「凄い世界ですね」
「声優の世界はアニメにゲームに」
 そしてだった。
「ナレーションとかもあるしね」
「それとグラビアですか」
「そっちもですよね」
「あとうちは裏のお仕事もしてるから」
 社長はしれっと、しかも妹の隣で二人に言った。
「それもあるからね」
「裏!?裏っていうと」
「やばい仕事ですか?」
「ボーイズラブのCDとかゲームとか」
 そうしたものが最初に挙げられてだった。
「後はあれよ。成人ゲーム」
「成人ゲームっていうとまさか」
「所謂エロゲですか」
「そう。そっちの世界の仕事もやってるから」
 これは事務所によるがこのエイトビジョンはしているというのだ。
「この娘も希望したらさせるし」
「あの、何か声優のマネージャーというのは」
 どうかとだ。伊藤が話す。少し呆然としながら。
「色々やることあるんですね」
「っていうか普通の芸能人のマネージャーとは全然違うんですね」
 鰐淵もだ。こう言う。
「何ていいますか」
「そうよ。けれどお願いね」
 社長はまた二人に告げる。
「この娘を貴方達に任せるから」
「お願いします」 
 ここで英梨もぺこりと頭を下げる。こうしてだった。
 二人の声優マネージャー稼業がはじまった。その英梨はというと。
 社長の妹で八条家の人間だがそのことを伏せて活動しようというだけあってだ。実力は確かだった。
 オーディションに出れば大抵役を取る。しかも色々な役をだ。
「おいおい、この役に通ったか」
「ヒロインにか」
 まずはヒロインだった。
「新人だってのにいきなりヒロインか」
「レギュラー決定か」
 実力でそれを取った英梨にだ。二人はオーディションの会場でびっくりしていた。
「今のところ端役ばかりだったのにな」
「それでも結構あったのにな」
「新人って端役手に入れるのも苦労なのにな」
 それでもだ。英梨は主役を勝ち取ったのだ。そしてその役でもだ。
 彼女は見事に演じてだ。忽ち声優ファンに知られる様になった。しかもだった。
 歌、役のキャラソンを歌ってもいけた。歌唱力も確かだった。
 色々な役を演じられ歌唱力があり尚且つ可愛い。人気が出ない筈がなかった。レギュラーのアニメ番組を複数抱えラジオ番組のパーソナリティーにもなった。しかしである。
 その英梨自身はというと。これがだった。
「今日もよかったですね」
「ううん、ちょっとやり過ぎだよ」
「あれはね」
 困った顔でだ。二人は彼女に言う。鰐淵が運転する車の中でだ。こう彼女に言ったのである。
「確かにサービスも大事だけれど」
「顔芸まではしなくてもいいよ」
「そうだよ。折角可愛いのに」
「どうかって思われるよ」
 運転する鰐淵も助手席にいる伊藤も言う。後部座席にいる英梨にだ。彼女は席の端に礼儀正しく座ってだ。笑顔でそこにいる。
 
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