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『最低な女』

作者:零那
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『はじまり』



未桜と蒼が付き合いだしたのは、きっかけがあった。

この頃の未桜は、安定剤を飲んでいてリストカットもしていた。
過呼吸もクセみたいな感じで、しょっちゅう起こしていた。

友達とトラブった時、助けてくれたのが蒼だった。
チョット面倒な事になっていた妻帯者の彼氏と別れられたのも、蒼のおかげだった。

蒼とは相変わらず会話そのものは少ない。
でも、気付けば隣に居たり、困ってるときに助けてくれたり、何かと変わらず傍にいた。
其れが凄くくすぐったくて、でも、同時に『なくてはならない存在』になってることが怖くなった。

なくてはならない...
けれど、其の存在の保証など誰もしてくれない。
大事なモノほど失ってきた未桜...。
怖かった。
失わない確約が欲しかった。
そんなこと無理だと解ってても。

こんな気持ち、きっと誰にも解らないんだろう...。
未桜が重いだけなんだろう...。
現実なんてそんなもんだろう...。

蒼と付き合いだしても何も変わらなかった。
今迄と何も変わらず皆とワイワイしてるだけ。
少し一緒の時間が増えただけって感じ。
それでも未桜は嬉しかった。

蒼が相当シャイな性格だと解ったから素直に許せた。
蒼の傍が温かい。
蒼が安定剤代わりになった。


 
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