Ｂｌｕｅ　Ｒｏｓｅ

「誰からも嫌われている」
「そうなんだね」
「振った女の人達もな」
「その人達も嫌われてるんだね」
「少なくとも俺は嫌いだ」
　その女達もというのだ。
「あの連中にもなりたくない」
「男の人達みたいにも女の人達にも」
「絶対にな」
「龍馬は絶対にならないよ」
　優花は微笑んで自分の横にいる龍馬に言った。
「そんな悪いものないから」
「だからか」
「そうした人嫌いだよね」
「今言ってる通りな」
「絶対になりたくないよね」
「そんな連中にはな」
　龍馬はここでも強い言葉でだ、優花に言った。
「何があってもだよ」
「そこまで思うのならね」
「大丈夫か」
「僕もそうした人は嫌いだよ」
　すぐに手の平を返し逆に攻撃する様な人間はというのだ。
「龍馬は僕以上にそう思うよね」
「それでか」
「そう思うよ」
「そうか、俺はか」
「うん、手の平返しとか絶対にしないから」
　それこそというのだ。
「安心していいよ」
「ああはなってはいけないと思うからか」
「ならないよ」
「だといいな」
「悪い人もね」
　具体的に言うとその先輩達の様な連中はというのだ。
「人の役に立つのかもね」
「ああはなるまいと思わせるからか」
「そうじゃないかな」
「皮肉な話だな」
「皮肉？」
「悪い奴だからそうなりたくないって思わせてな」
「人の役に立つから」
「皮肉だな」
　そのこと自体がというのだ。
「そうだとすると」
「そうだね、言われてみれば」
　優花は龍馬の言葉を聞いて頷いた。
「そうなるね」
「そうだろ、人間としてな」
「皮肉なことも世の中にはあるんだね」
「何かとな、そうなんだろうな」
「成程ね」
　こうしたことを話しながらだ、そして。
　二人は学校に入ってそこでいつも通りの学園生活を送った。二人はこうした日常がずっと続くものと思っていた。
　だが優子は勤務先の病院でだ、後輩の女性の医師に声をかけられた。
「あの、蓮見先生」
「どうしたの？」
「先日八条学園高等部の健康診断担当したんですが」
「貴女は参加してたのね」
「はい、それでなんですが」
　驚きを隠せない顔でだ、その医師は優子に言うのだった。
「信じられないことがありまして」
「信じられないこと？」
「ちょっと来てくれますか？」
　小声でだ、優子に言って来た。
「レントゲン室に」
「レントゲン写真？」
「はい、それを見てもらいたいんですが」
　こう優子に囁くのだった。
「そうしてね」
「わかったわ、それじゃあ」
「これから」
　こう話してだ、そしてだった。