ロックマンゼロ~救世主達~
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第67話 転送回線
前書き
ランダム・バンダム撃破、そして次のミッション。
ランダム・バンダムを破壊した直後に真上のシャッターが抉じ開けられ、ルインが降りてきた。
「何こいつ?」
「ネオ・アルカディアのセキュリティシステムの一種さ。四つのコンピュータと連動していて、部屋全体が防衛システムとなっていたんだ」
エックスの説明にルインは納得すると、ルージュから通信が入る。
『転送座標の入力を開始…入力完了しました。』
『これでいつでもラグナロクへ転送出来るわ。みんな、一旦戻ってきて…』
転送の光に包まれたゼロ達は、一度トレーラーの転送室に戻ることになった。
「転送完了まで…2…1…転送!!お疲れ様でした」
トランスサーバーに出現したゼロ達に労いの言葉をかけるルージュ。
「ゼロ達のおかげで転送回線を確保することが出来たわ、後はラグナロクのプロテクトを外さないといけないのだけれど…。私とアリアさんに考えがあるの、準備が出来たら次のミッションをお願いね」
「シエル、アリアさん。考えって?」
「ん?準備しなくてもいいの?休憩は?」
「そんなにヤワじゃない。説明してくれ」
「OK、ネオ・アルカディアの大型転送基地を利用することで、ゼロ君達をラグナロクに転送することが可能になったんだけどね。回線を確保をしただけだから…ラグナロク側のプロテクト・プログラムをどうにかしないといけない必要があるわけさ」
「えっと…それじゃあどうすればいいんですか?」
「私達が協力がするの、いつもゼロ達を転送装置で転送する時は…ゼロ達をプログラムデータに変換して転送回線へと送っているの。そこで、私達が転送装置のプログラムを改造して…ゼロ達が転送回線の中でも自由に動けるようにしてあげるわ」
「僕がサイバーエルフの時にサイバー空間を介して、ネオ・アルカディアのコンピュータに侵入してデータを持っていったのと似たようなやり方だね」
「エックス君、何てご立派なハッキングを…ネオ・アルカディアの元統治者さんが…まあ、似たようなもんだね。転送回線内のプログラムを、ゼロ君達にも見えるよう視覚化することで、転送装置とラグナロクの間をサイバー空間のようなもので繋ぐことが出来るわけさ。そして、ゼロ君達には転送回線を奥へ進んでもらって、直接ラグナロク側のプロテクト・プログラムを破壊してもらいたいんだ。プロテクト・プログラムさえ破壊してくれれば、通常の転送が可能になるんだ。やってくれるかな?」
「それしか方法がないというのならやるしかないだろう。」
「少なくても、スペースコロニー・ユーラシア事件の時のエニグマ作戦やシャトル作戦のように失敗する確率の方が高い訳じゃないんだ。寧ろ成功する可能性の方が僅かに高い」
遥か昔に起きた、スペースコロニー・ユーラシア事件の時に実行した作戦に比べれば遥かに安全だ。
「それじゃあ、お願いします」
トランスサーバーに乗り込むゼロ達を確認し、ルージュが転送準備を始めた。
「了解…転送準備完了…転送!!」
転送の光に包まれたゼロ達は、転送回線に向かった。
「みんな…帰って…きてね…」
「ファイトだよ三人共」
転送回線に転送されたゼロ達は辺りを見回す。
「ここが転送回線の中…か、確かにサイバー空間と似ているな…」
「あれ?ゼロってサイバー空間に行ったことあったっけ?」
「ミッション外で入ったことがある」
ルインの疑問にゼロは簡潔に答えた。
『皆さん!聞こえますか?その回線の奥がラグナロクに通じています。敵も転送回線に部隊を送り込んできたようです。敵を撃破しつつ、先へと進みプロテクト・プログラムを破壊して下さい』
「了解!!」
奥の方を見遣ると、確かにメカニロイドがこちらに向かってきた。
「行こう!!」
「ああ」
三人はメカニロイドを迎撃しながら、プロテクト・プログラムのある場所を目指して突き進む。
「それにしても、転送回線って、こんな風になってたんだ。知らなかったなあ」
「そう言えば、ルインはサイバーダイブもしたことがないんだったね」
「うん、サイバーダイブ系のミッションなんてしたことないし」
「僕は最近までサイバーエルフだったから初めてという感じはしないけどね」
「作戦行動中だ。私語を慎め」
ゼロに注意されたエックスとルインは会話を止め、すぐに戦いに集中する。
電撃を発するメカニロイドに注意を払いながら前進する。
「それっ!!」
HXアーマーに換装してエアダッシュで飛翔すると、虫のようなメカニロイドをダブルセイバーで両断していく。
エックスはランプシールドを構えて、電撃を防ぎながら確実に前進し、ゼロはメットールなどのメカニロイドを片づけていく。
そしてシャッターを抉じ開けて潜り抜けると、奥の動き回るリフトに飛び移る。
「エックス、落ちるなよ。お前は飛行能力を持っていないからな」
「分かっているよ」
サイバーエルフのシャリテのサポート、ダブルジャンプがあるゼロと飛行能力を持つルインと違って、空中移動能力を持たないエックスは落ちたら一巻の終わりである。
「大丈夫、いざとなったら私が引き上げるから!!」
「はは…頼りにしてるよルイン…。」
張り切るルインに微笑むエックス。
タイミングを見計らいながら、次のリフトに跳び移り、次の電撃が迸る足場を見て、ルインが表情を顰めた。
「危ないな…エックス、気をつけてね」
「君もね」
まず最初の足場に跳び移り、乗っている足場の電撃をジャンプで回避しつつ、次の足場の電撃の挙動を伺う。
そして次の足場に跳び移るを繰り返して、床に着地した。
「そろそろ、プロテクト・プログラムがある場所に着くはずだが…」
「あれじゃないのかい?」
エックスが指差したのは、メカニロイドに守られているシャッター。
立ちはだかるメカニロイドを斬り捨てながら先に進み、シャッターを抉じ開けて潜り抜けると、サイバーエルフのような光球があった。
「こいつが…プロテクト・プログラムか…」
「(サイボール…サイバーエルフを応用した技術が用いられているプロテクト・プログラム…。レーザー発生装置を用いた攻撃を使う。無属性だから弱点無しか…)」
エネミーアナライジングでの解析結果をゼロとエックスに送ると、二人はリーチの問題でバスターショットとXバスターを構えた。
『ピッ…ピピッ…らぐなろくヘノ転送回線ニ強制割り込みヲ確認…。ぷろてくと、作動開始…。侵入シタぷろぐらむヲ排除シマス…』
プロテクト・プログラム、サイボールがこちらに向かってきた。
ゼロ達は武器を構えて身構えるのだった。
そして一方、ラグナロクの主砲の直撃を受けた地上のネオ・アルカディア跡地ではレジスタンス達が救出作業を続けた。
「メナート!そっちはどうだい!?」
「駄目だコルボー!こっちに生き残りはいねえ…」
ラグナロクの主砲の被害を受けた中心部付近に生き残りがいないかを確かめに来たのだが、やはり砲撃の影響をかなり受けているため、生き残りはほとんどいない。
「生き残りがいたよ!!」
「本当かい!?」
イブーが救い出したのは、パンテオンに庇われていた人間の子供であった。
下敷きになって機能停止してしまったパンテオンの瓦礫の近くで子供が泣いていた。
自分を助けてくれたパンテオンのために、幼い子供は泣いていた。
「イブー、今すぐその子を安全な場所に連れて行くんだ」
「分かってるよコルボー、君も気をつけなよ。いつ建物が倒れるか分からないからさ」
「ああ」
コルボーはイブーに背負われて、ネオ・アルカディア跡地の外に連れて行かれる泣きじゃくる子供を見ていた。
あの子供を生かしたパンテオンの優しさがとても尊く、あの子供の流した涙がとても悲しいと思えたからだ。
パンテオンの残骸に敬礼すると、コルボーは次の場所に向かおうとしたが…。
「きゃああああああっ!?」
叫び声が聞こえてそちらに振り向くと、レジスタンスの女兵士と老人が建物の下敷きになりかけていた。
間に合わないと思った瞬間、緑、青、赤の影が通り過ぎた。
「はああああああっ!!!」
突如現れたハルピュイアがソニックブレードを振るい、巨大なソニックブームを繰り出して建物を両断し、次にファーブニルがマルチプルランチャーのソドムとゴモラを構えて火炎弾を乱射する。
「オラッ!!オラッ!!オラアアアアアッ!!!」
ソドムとゴモラの銃口から勢い良く放たれた火炎弾が、少々大きめの残骸を破壊していく。
「出ておいで!!」
そして最後にレヴィアタンがフロストジャベリンを振るうと、氷龍が出現して小さな瓦礫からレジスタンス兵達を守った。
「ネオ・アルカディア四天王達も来ていたのか…。」
「何をしている!早く救出作業を続けろ!!」
立ち止まっているコルボーを叱責するハルピュイアにハッとなり、コルボーはハルピュイアに頭を下げると、作業を再開した。
ハルピュイアは老人がレジスタンスの女兵士に連れて行かれるのを見て、かつて殺そうとしたレプリロイド達を救うことになるとはと、苦笑を浮かべた。
そしてハルピュイアは静かに空を見上げる。
正確にはラグナロクのある宇宙を…。
一方で転送回線ではゼロ達が既にサイボールを破壊していた。
スピードはかなりの物だったが、攻撃力は大したことがなかったので早くカタが着いた。
サイボールの反応が無くなった瞬間、ルージュからの通信が入る。
『プロテクトの消滅を確認…これでいつでもラグナロクへと転送が出来ます!!皆さん、一度司令室に戻って下さい。』
「了解、ルージュさんお願いね」
転送の光に包まれたルイン達はトレーラーへと転送された。
トレーラーではルージュが端末を操作しながら、口を開いた。
「転送完了まで…2…1…転送!!お疲れ様でした」
トランスサーバーに出現したゼロ達にルージュは労いの言葉をかけ、シエルが三人の元に歩み寄る。
「ついにここまで来たわね…次のミッションでラグナロクを止められなければ、エリア・ゼロの…この地上の僅かな自然を全て失ってしまう…。ゼロ、ルイン、エックス…失敗はしないようしっかり準備をして…そして…生きて帰ってきて…」
「まだ少しは時間があるからさ。休憩しなよ。私は拠点からアルエットちゃん連れてくるからさ~」
今まで色々なことがありすぎて、アルエットのことをすっかり忘れていたゼロは口を開いた。
「そう言えば、アルエットはアリア達の拠点にいるんだったな…」
「うわあ、ゼロ君。今までアルエットちゃんのこと忘れてたね?ひっど~い」
「「まあ、ゼロだし」」
アリアの言葉に即答するエックスとルイン。
他人に無関心なところがあり、時々名前すら覚えていない時があったために、戦闘型ですらないアルエットを完全に忘れ去っていなかったことが二人にとって凄いと思えた。
こうして会話をしていると、シエルは無意識に体に入っていた緊張が解れていくの感じていた。
「はは…それにしても、いよいよ…ラグナロクの中心部だねぇ…」
「ゼロさん達をラグナロクの中心部へと転送します。ラグナロクが再び動きだした原因を調べ、ラグナロクの動力…ラグナロク・コアを停止させて下さい。ただし…くれぐれもラグナロク・コアを破壊しないようにしてください。ラグナロク・コアが破壊された場合…ラグナロクそのものが崩壊してしまう危険性があります。」
「一体…バイルもクラフトもいない今…誰がラグナロクを動かしているのかしら…ゼロ、ルイン、エックス。私…嫌な予感がするの…気をつけてね…」
「…ああ」
「このミッションを選択しますか?」
「お願いしますルージュさん」
それだけ言うと、ルイン、ゼロ、エックスの三人がトランスサーバーに乗り込んだ。
それを確認したルージュが端末を操作する。
「了解…転送準備完了…転送!!」
転送の光に包まれた三人はラグナロクの中心部に転送された。
「ゼロ――――――っ!!!」
ゼロの名を叫ぶシエル。
ゼロの無事を、生きて自分のところに帰ってくる事を願って…。
「エックス君…ルインちゃんも帰ってくるんだよ…ラグナロクが落ちてきても誰も君達を責めたりなんかしない。どんな形でもいい。無事に帰ってくるんだよ…。この、地上に」
ラグナロクの中心部に転送されたゼロ達。
しかし、大気圏に突入し始めたのか、少しずつラグナロク内部の温度が上がっていることに気付く。
『みんな…!大変よ!!ラグナロクが…更に加速し始めたの…!!今ならコアを止めれば、軌道修正も間に合うわ!!みんな…急いで…!!』
「分かった。……行くぞ、エックス、ルイン。」
「ああ、急ごう」
「ラグナロクを地上に落とさせたりしない…絶対に」
決意を胸に三人はラグナロク・コアのある場所を目指して突き進むのであった。
後書き
サイボールって体力だけある雑魚敵だから飛ばしました。
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