とある愚者の転生記
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第九話 閑話1 スクライア一族に転生したあるオリ主
前書き
作品本編で起きる事件の裏側の話しです。というか、レイジング・ハートを出すためだけに書いたのになんでこんなに時間をくったのやら
オレの名前はオリーシュ・スクライア。オリーシュと呼んでくれ。まぁ、オリ主でもいいがな!
この名前からわかるように、オレは『リリカルなのは』のスクライア一族に転生したオリ主だ。もっとも、気付いたのは五歳の時だったが。前世ではオタクだったオレだが、『リリカルなのは』は凄く好きな作品のひとつだった。当然、驚喜して喜んだが、とりあえず、現状を確認した。
スクライア一族というのは、一族で遺跡発掘を行っているせいで、家族という単位ではなく、一族という単位で生活している。なので、幼い頃は同年代全てで一緒に遊び、学び、寝るという生活を送っている。
で、現在八歳のオレの隣にいるのが、ユーノ・スクライア。オレの同じ歳の幼なじみで、原作で主人公の導き手であり、Stsに至るまで全作品に出演し、主人公の幼なじみポジに納まる少年である。まぁ、オレからしたら原作のこいつは「ヘタレ淫獣」でしかないが。
なので、オレは奴のポジションを一部いただくつもりだ。「闇の書」事件で無限図書の調査なんかは奴にやらせ、社会的に重要な無限図書の司書長なんかはちゃんと奴にあげるつもりだ。オレは「なのは達」と管理局に入局し、魔導師ランクなどを調整し、「機動六課」開設時には招集されるようにする。そして皆を原作以上に幸せにする。ユーノ? 別に誰かとくっつくわけでもないし、無限図書の司書長になれば充分幸せでしょ。
ちなみに一緒に生活してわかったのはこのユーノはマジぱねぇということだ。
転生して二度目の人生を送るオレと違和感なく話すことができるくらい精神的に大人であり、魔力運用から始まって、ロストロギアの知識、遺跡発掘の知識はもちろん、生活知識まで備える天然チートだ。
唯一欠点らしきモノは、真面目すぎて少し堅物過ぎるぐらいだ。
オリ主であるオレは、はっきり言って天才だが、それに勝るとも劣らないと言っても良い。もっとも世慣れた対応ができる分、大人達にはオレの方が受けが良い。最近では、「オレが将来のリーダー、それをサポートするのがユーノ」なんて感じで思われてるみたいだ。まぁ、オレは「なのは達」と管理局に入るし、ユーノは司書長にするんで両方とも一族から出て行くけどな。
今回の遺跡の探索で、ジュエル・シードをユーノが発見した。オレは隣で一緒に探索してたけどな!
ここで、まず、オレはジュエル・シードの届出の役をユーノから奪った。理由は、ユーノにジュエル・シード発見の調書を書かせる名誉を与えたからだ。実際、この発見はかなり重要なモノで、考古学的にも価値があるし、ジュエル・シード内の魔力を安全に運用できればその価値は計り知れない。当然優等生なユーノはオレに遠慮するような素振りを見せたが、そんなのは上手く言いくるめた。伊達に長年幼なじみはやっていない。
そんなこんなでついでにレイジング・ハートもぶんどって(いくら高性能でも使えないデバイス持っててもしょうがないだろ、という理由。やっぱりユーノは押しに弱いわ。幾らすると思ってんだこんな高性能なデバイス………。ちなみにオレは姉妹機のブレイブ・ハートを持っている。レイジングハートの待機状態が紅く小さな丸い宝石形に対し、ブレイブ・ハートは、蒼く小さな丸い宝石形)、運搬用に管理局から送られてきた次元航行船へ乗り込んだ。
さぁ、遂に原作が始まる………。
そして、予定通り事故に遭い、ジュエル・シードは地球へと転移していった。
「プレシア」からの次元跳躍攻撃がどうかはわからなかった。
次元航行船の中で運搬班の一族の人たちと話してる時に、警報が鳴り、ドカンと大きな音がしたかと思ったら、倉庫が破壊されたというアナウンスが流れたのだ。ちなみに次元航行船に乗る前に管理局に所有権等諸々の手続きは終了しているので、この時点で一族側から見るとジュエル・シードを探索するメリットなど何もないし、魔力封印が済んでいるジュエル・シードは危険がない(ことになっている)ので、急いで探索する理由もない。せいぜい手が足りない管理局から依頼を受ければ、探索に出かけるぐらいだ。こんな状況下でよく原作のユーノは探索に出たモンだ。というか、普通に管理外世界への無断転移で犯罪です。まぁ、後でアースラとも伝手ができてうやむやにできるとオレはわかっているけどね!
さて、なんだかんだで皆が混乱している間に、ブレイブ・ハートを使ってジュエル・シードの転移先をこっそり探索。
もちろん、普通に調べても時間がかかるので、次元航行船のホスト・コンピューターに潜り込んでデータを参照。
結果はやはり第九十七管理外世界、現地名称地球に転移。
まさに予定通り!
与えられた部屋に書き置きを残し、さっそく転移ポートから地球へと転移しよう。
後は原作通りに丸い奴に魔法をひと当てして、フェレットになってわざと助けを求めれば完璧だ。
ブレイブ・ハートとレイジング・ハートの二つを持って来ているんで、適当なところで魔力が回復したとか言ってユーノ以上のこのAAAという魔力を使って原作介入してけば、「なのは」もきっとオレに惚れるはず。
ユーノと違ってジュエル・シードにこだわりはないんで、最悪「フェイト」のために~、とか言ってプレシアにジュエル・シードを渡したって良い。まぁ、その時残されるであろう「フェイト」を慰めれば確実にオレに惚れるだろうしな。
さぁ、夢の始まりだ………。
おかしい………。
地球に落ちたはずのジュエル・シードが見つからない………。
もう一週間ぐらい探してるんたぜ………。
しかも、前にいた世界と魔力濃度が違うせいか、魔力回復が上手くいかねぇ………。
まぁ、魔力回復の方はもうちょっとすれば体が適応するだろ………。
そういや、なんか原作でも「ユーノ」があまりにもヘタレ魔導師だったのはこのせいか………。
ちっ、最初に気付かなかったせいか、無駄に魔力を使いすぎた………。
現地通貨も持ってねぇし、どうすっかなぁ。いい加減腹減ったわ………。
とりあえず、フェレットになって飢えをしのぐか。フェレットになると少量の木の実とかで空腹をしのげるんで重宝するわ。
「なのは」と会えば、食糧問題は改善するしな。原作の「ユーノ」ってそういやどうするつもりだったんかな? 魔法を使って盗みとかすれば犯罪だしなぁ。
まぁいい。ちょっと予定はずれたが「なのは」を呼ぶか!
いい加減風呂にも入りたいしな!
【助けて………】
よし、これで「なのは」が夢見れば、助けに来るはずだ。
魔力回復のため、フェレットになってと。
後は、ブレイブ・ハートに一時間ごとに念話の繰り返しと、ジュエル・シードモンスターへの警戒を頼み、ゆっくり寝よう。
【マスター、起きてください!】
【ブレイブ・ハート、ごめん、あと五分………】
【寝ぼけてないで、起きてください! 敵です!】
【はぁ?】
【このぼけマスターが! protection】
ガキンッ
「なんだぁー?」
どうやら朝になったらしいが、なんかでっかい鳥にイキナリ襲われてるぜ。
あぁ、今フェレットだからでっかく感じるのか。つーか、魔力は感じないんで普通に現地の鳥か。
「ブレイブ・ハート、フォトン・バレット、シュート」
「photon bullet shoot」
フェレットの小さな手から出た魔力の塊が弾丸となって鳥を撃ち抜く。
オレはユーノと違い、攻撃手段もちゃんと準備している。
ふぅ、無駄に魔力を使ったなぁ………。
ガサッ
ん? なんか音がしたか?
朝早いけど「なのは」が来たのか?
ガサガサッ
さてさて、第一印象は大事だからな。小動物らしく可愛く行くか。
「きゅぅぅぅぅ」
期待に胸を踊らせて小首をひねると、そこにはなにやら凶悪な様相をした犬がいた。
しかも、たくさん!
「なっ!」
驚きに絶句したオレは逃げる暇も無く、魔法を駆使して野犬と対峙する。
「なんだぁ! 「なのは」に会う前に1個は封印できるはずだろ」
野犬の数は多く、変身魔法を解除しようにもどうにも手が回らない。
実際、プロテクションで防ぐのが精一杯で、鳥の時のように魔法で撃ち落とすこともなかなかできない。
念話で助けは呼び続けてるが反応はない。
魔力も段々枯渇し始めてきた。
オレ、やばくねぇ?
【誰? 誰ですか?】
おっ、やっと返事が!
【このぼけマスター………】
念話の返事に喜んだ瞬間、背中に痛みが走り、最期に聞いたのはブレイブ・ハートの小さくなっていく声だった………。
………完………
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