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まずいジュース

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4部分:第四章


第四章

 凛がだ。オレンジジュースを飲みながら皆美に話した。
「あのジュースだけれどね」
「ああ、あの無茶苦茶まずいジュース」
「ブログで反響が凄いのよ」
 こう話すのだった。
「それもかなりね」
「そんなになの」
「もう凄いのよ」
 今は笑顔で話す凛だった。二人共OLの膝までの黒いスカートに赤いベスト、白いブラウスという制服を着ている。そのうえで休憩室で話しているのだ。
「滅茶苦茶ね」
「皆あのジュース知ってたの」
「知ってる人はね」
 そうだったというのである。
「それでそういう人達が言うのよ」
「知ってるっていうのね」
「そういうこと。知る人ぞってやつだったみたい」
「ううん、そんなジュースだったのね」
「それでね」
 ここでさらに言ってきた凛だった。
「私がブログで書いてね」
「皆がそれを見てなのね」
「結構話題になってるみたい」
 ネットでは時としてそうなる。情報がすぐに広まるのだ。マスメディア以上にだ。実は凛のブログはそれなりに見ている人間もいるのだ。
「だからね。今やそのジュースが」
「話題なんだ」
「そうみたい。それで向こうじゃ売れてるみたい」
「信じられない話ね」
 皆美は呆れながら言った。
「それって」
「そうね。それはね」
 凛も皆美のその言葉に頷く。
「世の中って何が人気になるのかわからないわね」
「そうね。あんなまずいジュースでもね」
「まずいからこそなのかしら」
 ここでこう言った凛だった。
「それでなのかしら」
「まず過ぎるとかえってなのね」
「そういうものかしらね」
「結局インパクトってことかしら」
 こんなことを話す二人だった。二人は今はインスタントコーヒーを飲んでいる。それは確かに美味い。しかしあのジュースの様なインパクトは全くなかった。それは確かだった。


まずいジュース   完


                2011・1・23
 
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