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揺るがぬ生き様

作者:刀の道
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Fate
  No.8

 深夜の山道、そこでは荒い運転で山道を走るベ○ツ300SL。
 それを運転するアイリスフィールとセイバーがいた。
「ね?ね?結構スピード出るもんでしょこれ?」
 それに苦笑いを浮かべながらセイバーが
「お、思いのほか達者な運転ですね・・・」

「でしょ?こう見えても猛特訓したんだから」
 笑顔を浮かべながら話すアイリスフィール、しかし後ろからコーナをドリフトしながら一台の車がやってくる。

「待ってください、アイリスフィール後ろから車がやってきています」
 やって来たのはランサーエボリューションIII。劔と雁夜が乗っている車だった。
 後ろからやってくるランエボに対しアイリスフィールは
「上等!コーナー二個もあれば引き離して見せるわ!」
「ちょ、ちょっとアイリスフィール?!」
 しかし後続車はまったく引き離せず二個目のコーナーで
「なんですって!外から来るなんて!させないわ」
 アイリスフィールの危なっかしい運転にセイバーは後続車の正体が何なのかを考える余裕がなくなっていた。
 二台が直線で並んだ時ランエボの窓が下がり劔の姿が露わになる。
 それを見て驚愕する二人だが劔の一言でアイリスフィールに火がついてしまう。
「そんな運転技術じゃダメだな、次のコーナーで一気に引き離してジ・エンドだ」

「貴方は一体何を「言ってくれるわね、この勝負私が勝つわ!」アイリスフィール?!」
 しかし凄まじい加速をしながらコーナーを曲がり、ドンドン引き離されてしまう。

「く・・・コーナーを曲がるたびに差が開いてしまう。追いつかなきゃいけないのに・・・」
 しかし健闘むなしく見えなくなってしまった。
 そのまま二人は帰宅したがアイリスフィールはスッキリとした表情をし逆にセイバーは疲れていた。

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 劔side

 雁夜を拾ったあと山道を走る二人を見つけ煽りに行きぶっちぎってきたので爽快な気分のまま帰宅したが
 雁夜が死人のような状態になってしまい遠坂ズとメディアに怒られてしまった。

「まったくマスター?あまり無茶をなさらないでください」

「クッ・・・!だが後悔はしていない!実に楽しかったぜ
 で、他のマスター達はどこ行った?」

「ランサーのマスターは冬木ハイアットホテルに拠点を持ちそこに戻ったようです。
 しかしセイバーのマスターが既に強襲しようとしています。
 その衛宮切嗣を追ってアサシンのマスターも付近で様子をみていますね。
 ライダーのマスターは民家に泊まっています」

「なるほど、メディア言峰綺礼に挨拶にいこう。それに子供には幸せになって欲しいからね」

「マスター?子供とは、どこにですか?」

「今は教会にいる。その子は厄介な体質を持っていてな、病弱な女が行きずりの男と関係を持った際に生まれた
 等と言われ周りから愛情を受けられず、しかも被虐霊媒体質という体質ゆえに
 早期に対策を施してあげないと肉体がボロボロになっちまうんだ」

「その子と言峰綺礼に何か関係があるのですか?」

「まぁついてくりゃわかるさ」

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 言峰綺礼side

「それにしても、建物諸共爆破するとは魔術師とは到底思えぬな
 いや・・・魔術師の裏を掻くことに長けているという事か」
 綺礼の足元には貫かれた銃があった。
「言峰・・・綺礼・・・」

「ほう・・・君とは初対面のはずだが・・・
 それとも、私を知るだけの理由があったのか・・・
 ならば君の素性にも予想はつく」
 女は舌打ちをする。しかし私にも用がある。
「私にばかり喋らせるな女、返答は一つだけでいい
 お前の代わりに来るはずだった男はどこにいる!」

「っ!!」
 銃声が二回なるが致命傷を与えられず尚且つ手を負傷してしまう。
「中々悪くない動きだ、相当に仕込まれているようだな」
 衛宮切嗣が来る事を願っていたが現れたのは違う人物だった。
「そうだな、二人とも中々いい動きだ」
 倉庫街に現れた怪物だった。
「まさか死神が来るとはな・・・」
 さっきまで自分が追い詰めていた女は奴の傍で気絶させられていた。
「ああ、別にこの場でやる気はない
 それと君のご執心の相手、衛宮切嗣とつながってるぜ、その無線は」
 そう言って奴は無線を投げてきた。一体何を考えているのかわからないが
 ありがたい警戒はするが。
「衛宮切嗣、貴様は何を求めて戦い、その果てに何を得たのだ」

「・・・・・・」
 衛宮切嗣はその問いに対し返答はせず、自分の部下を助ける事はできないと判断し
 無線を切りその場から離脱を開始した。

「切られたか・・・だがあの男を知れば・・・」

「くくく・・・まぁ奴ではお前の満足する物は得られないだろうよ」
 笑いながら告げてくる死神、名は劔 山陽 そうだこの者にも問いたかった。
 しかしさっき死神は私の望む答を得られないと言った。一体どういう意味だ。
「貴様は何を知っているのだ死神」

「まず、そうさなお前は自身の本質と空虚な心について悩んでいるだろう?」

「っ!何故その事を、それに私の答を知っているのか!」
 こいつは私が長年求めてきた答を知っているのか?
「俺が何年生きてると思ってんだ。それとだ答を知っているが教えるというより気づかせるだな。
 さて、質問をするからそれにお前は答えろ。
 ああ、対価は気にするな少し英雄王に届けてほしい物があるからそれを対価にしよう」

「言峰綺礼、お前は妻を愛していたか?」

「・・・否だ」

「では、妻が死にどう思った?」

「妻を自身の手で殺せなかった悔しさだ」

「では、何故悔しさを感じるんだ
 愛していないなら何も感じないだろう?」
 たしかにそうだ。だがそもそも悔しさ等という感情を抱く時点で愛していたとは言えないのではないか。
「・・・・・・」

「実に簡単だ、君は人を傷つけること喜びを見出すそんな人間なんだよ。
 何故悔しさを感じたのか、それはお前の独占欲とも言える愛ゆえ
 愛していたからこそ、その存在を傷つけていいのは自分だけにしたいし
 相手の死をも自分でやりたかったんだよ。
 そしてお前自身欲というものに抑圧されたせいで道徳はあるが自身の本質に悩んだ。
 だが、他人の不幸や傷に悦を見出す事はそもそも悪いことではない。
 君は超ド級のサディストなだけだ」

「だが、それは聖職者として間違っている!」

「お前は自分の父を尊敬するあまり自身もその様にあらねばならないと
 自分を戒めているのかも知れないがな、そもそもお前はお前にしかなれんよ
 逆にお前の父もお前にはなれん。それに何も悪いことではないと言っただろう。
 不逞の輩や悪党を傷つける事はいけないのか?そしてお前の感性は一般とは真逆に位置しているだけだ気に病むことでもない」
 それを聞いたとき、まるで最後のパズルのピースが埋まった様な感覚を私は覚えていた。
「・・・そうか、私は妻を愛していたのだな・・・」
 自身が妻を愛していた。妻の死は無価値ではなかったと教えられ救われたような気がした。
「感謝する死神。私は、漸く答えを得た。
 だが私に何故このような事を教えたのだ?」

「いやなに、自分のしたいことに必要だっただけだ
 それで、英雄王への届け物をすることへの対価としちゃどんなもんだ?」

「何故必要なのか聞きたいがあまり長くここにいてもあれだろう。
 対価としては些かこちらが貰いすぎな気もするが問題ない」

「そりゃよかった。それについては後日教えるさ楽しみは取っておきな、んじゃな」
 死神は右手をあげそのまま闇に紛れ消え去った。後には便箋だけ気絶していた女も一緒に連れ帰った様だ。
 奴が後日又どこかで尋ねるといっていた。今の私はそれが楽しみでならない、奴は次に私に何を与えてくれるのか・・・



 教会につき自室に戻るとそこには英雄王がいた。
「アーチャー?」

「数こそ少ないが時臣の部屋よりも一品が揃っている。
 けしからん弟子もいたものだ」

「一体何のようだ?」

「退屈を持て余しているものが我の他にもいる様子だったのでな」

「ほう、だが殊の外私は退屈ではない
 些か以上にも興味深い事を知れたのでな
 それとアーチャーお前に手紙が届いている」

「成程、己を理解したか死んだ魚のような目が今は水を得たかのようだ。
 それに手紙か・・・ふむ・・・くはははは!どうやら退屈も少しは紛れそうだ」

「綺礼、近日中にどうやらあの死神とやらがここ教会にくるそうだ」

「それは実に興味深い一体何をするのか楽しみでならんな」
 アーチャーに渡された手紙には
 桜の事を記し時臣がどういう人物か
 そして根源にはどう至るのかが記されていた。
 もはやアーチャーには時臣への興味を失っていた。


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 劔side

「成程、ああいう事でしたかマスター」

「そうだ行く前に話ていた子供のことは言峰の娘だ。
 だが自身を真に知らなければその事を教えても同じ失敗をするだけ
 そして早期に自身の性質をある程度の指向性をもって導かねば英雄王に歪められてしまうからな」

「ですが近日会うにしても一体どうやって」

「ライダーを誘って酒宴でも開くのさ、そして英雄王も連れていくために訪れる。
 手間などかからんよ」

「本当にマスターは面白い人ですね」

「人生楽しまなきゃ損だ、それにこういった日々も悪くないだろ?」
 笑みを浮かべるメディアに俺も笑みを返しながら帰った。

 
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