ロックマンゼロ~救世主達~
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第50話 雪原
前書き
終盤ミッションの続き
メンテナンスを受け、トレーニングルームに訪れた二人はゼロの新技開発をしていた。
「それじゃあ、ゼロ。準備はいい?」
マンネリ化防止のためにセルヴォが気を利かせて用意してくれたトレーニングルームの仮想エネミーを出現させる装置の前に立つルイン。
「ああ、頼む」
ゼロが言うと、ルインはパネルを操作して仮想エネミーのパンテオンやメカニロイドを出現し、こちらに攻撃を仕掛けてきた。
どうやら装置は正常に作動しているようだ。
「ふっ!!」
咄嗟の見切りでその弾道を見極めてダブルジャンプで回避すると、ゼロはエネルギーチャージを終えておいたバスターショットの銃口を向ける。
「リフレクトレーザー!!」
前方のパンテオン達に向けてリフレクトレーザーを放つ。
放たれたレーザーは仮想エネミーのパンテオン達を次々と粉砕していき、奥の壁を反射して周囲の敵を巻き込んでいく。
次はホルスターからZセイバーを引き抜き、メカニロイドを両断していく。
「流石はゼロだね。敵の動きや反応を予測した上で、的確なタイミングで攻撃を繰り出している。射撃能力も私が知っていた頃よりも上がっているね…さてと…そろそろいいかな?ゼロ、ボスを出現させるけど、大丈夫?」
「」ああ」
パネルを操作し、仮想エネミーのパープル・ヘケロットを出現させる。
かつてベビーエルフに狂わされたエルピスにより、無惨な最期を遂げたが、ネオ・アルカディアの中での実力はかなりのものらしい。
「元・斬影軍団、パープル・ヘケロットの回収したデータを基に再現したけどいくらか弱体化してるの。それでもかなりの強敵だから気をつけて」
「了解…」
ヘケロットがいくらかジャンプした後、いきなり舌を伸ばしてきた。
「遅い!!」
しかし反応出来ないわけではなく、ゼロはダブルジャンプでかわし、ヘケロットの背後に回り込むとセイバーによる三連撃を繰り出す。
三連撃を喰らったヘケロットが大きく後退する。
「バーストショット!!」
駄目押しとばかりに火炎弾を放つが、ヘケロットを大きくジャンプすることでかわし、天井に張り付くと両足を伸ばしてきた。
ゼロはダッシュでヘケロットの真下に移動すると、エネルギーチャージを終えたリコイルロッドを真上に構えた。
「ソウルランチャー!!」
リコイルロッドから真上に向かってエネルギー弾が放たれ、それを受けたヘケロットは床に落下した。
ゼロは落下したヘケロットに向かってダッシュし、セイバーを構えながら突撃した。
トレテスタ・ケルベリアンのDNAデータを解析し、かつての旋牙突をベースに編み出した技。
「烈風撃!!」
旋牙突とは比較にならない威力の強烈な突きが炸裂し、烈風撃を受けたヘケロットが両断された。
いくら優秀な技術者であるセルヴォによって殆ど現実のレプリロイド並みの臨機応変な反応を見せても、やはり人手でプログラミングされたパターン思考には限界がある。
今回は新技開発のための物だから構わないのだが。
「うーん、もう少しパターンが増やせないかセルヴォに相談してみないとね」
ゼロ達はトレーニングルームを後にして、司令室に向かう。
司令室に入ると、既に転送先が決まっており、オメガとバイルがいた宇宙船のある雪原に設定されてた。
「宇宙船が落ちてきたあの雪原に…恐らく、宇宙船に積まれていたのだろうと思われるコンテナが散らばっています。もしかしたらオメガやバイルに関するデータが残っている可能性があります。偵察部隊を派遣していますが…ネオ・アルカディアの抵抗が強く…中々先に進めません。仲間を援護し、データを回収して頂きたいのですが…。」
「お願い出来ますか…」
「了解…」
「了解、任せて」
二人は中央のトランスサーバーに乗り込んだ。
「ミッション発令…各員、転送準備にかかれ」
ジョーヌの指示で、司令室に警報が鳴り響き、転送準備が始まる。
「転送準備完了…」
「「転送!!」」
二人の声が司令室に響いたのと同時にゼロとルインの二人が宇宙船が落ちてきた雪原へと転送された。
「無理しないでね…二人共。」
雪原に転送され、転送場所近くにいた調査隊のレジスタンス兵がこちらに気付いた。
「あ!ゼロさん!ルインさん!この先に敵が待ち伏せしていて…私達では、とても突破出来そうにありません…。ゼロさん達が突破口を開いてくだされば我々も後に続きます。」
「うん、分かった。任せて」
ゼロとルインがそれぞれ武器を構えながら先に進む。
地面に潜むメカニロイドなどに気をつけながら、二人は宇宙船に向かうが、途中で大型のスノーボードに乗ったパンテオンが向かってきた。
あまりのスピードに驚いたが、突進をかわした直後にルインがZXバスターを構えてチャージショットを放って破壊した。
「あー、びっくりした…」
「驚いている暇はない。先を進むぞ」
「分かってる」
今度はあのパンテオンの急襲に対応出来るように警戒しながら先に進む。
ゼロがメカニロイドをセイバーのチャージセイバーで両断した直後、再びスノーボードに乗ったパンテオンが急襲してくる。
「はあっ!!」
ZXセイバーのチャージセイバーでパンテオンを粉砕すると、乗り手を失ったスノーボードがゼロとルインの前で停止した。
「止まった?」
首を傾げながら、いきなり停止したスノーボードを調べるルイン。
動力は落ちてないのを見ると、これは乗り手がないと動かないらしい。
「使えそうだな」
ゼロがスノーボードに乗ると、スノーボードはかなりのスピードで前進していく。
「え!?ちょっと待って!!」
それを見て急いでルインも前進するスノーボードに乗り込み、ゼロの後ろに立つ。
「はあ…間に合った…」
スノーボードのスピードは徐々に上がっていき、目の前に立ち塞がるメカニロイドを薙ぎ倒していく。
「このスピードなら宇宙船まであまり時間はかからんだろう」
流石に背後から迫ってくる同じスノーボードに乗ったパンテオンは迎撃せざるを得ないが。
「喰らえ!!」
FXアーマーに換装すると、こちらに迫ってくるパンテオンにナックルバスターを構えてショットを連射した。
ショットをまともに喰らったパンテオンは爆散し、しばらく乗ったまま突き進むと岩壁に近付いたためにスノーボードから飛び降りる。
スノーボードは勢い良く岩壁にぶつかり、そのまま別方向に吹き飛んでいく。
「ここから先は徒歩か…」
少しガッカリしたように呟くルインだが、岩壁を蹴り上がり、メカニロイドが妨害してくるが、セイバーで斬り捨てながら宇宙船に向かう。
しばらく進むと地響きが起こり、地中から砂漠で見た大型メカニロイドと同系統の敵が現れた。
「HXアーマー、エネミーアナライジング!!」
HXアーマーに換装してメカニロイドの弱点を探ると、弱点は炎属性のようだ。
攻撃は砂漠で見た物と同じように口が弱いらしい。
ゼロに解析結果を送ると、ゼロはフレイムのボディチップを起動させ、バスターを構えた。
ルインはFXアーマーに換装し、二丁のナックルバスターを構える。
メカニロイドの口がこちらに向いた瞬間にバスターとナックルバスターの銃口が向けられた。
「バーストショット!!」
「オーバードライブ!からの…メガトンクラッシュ!!」
バスターとナックルバスターから同時に火炎弾が同時に放たれ、メカニロイドに炸裂した。
メカニロイドの全体が燃え盛り、そのまま地中に逃げようとしたが、ゼロはメカニロイドが完全に地中に潜る前にダッシュで距離を詰めた。
「烈風撃!!」
強烈な突きがメカニロイドに炸裂し、ダメージを受けすぎたメカニロイドは爆散する。
「お見事」
「余計な時間を食った。先に進むぞ」
坂を駆け抜け、先に進むと再びスノーボードに乗ったパンテオンが迫ってくる。
搭乗者を破壊し、再びスノーボードに乗り込むとスノーボードは加速して前方を突き進む。
前方のメカニロイドはスノーボードが粉砕してくれるのでゼロとルインは後方と上空にのみ警戒をすれば充分。
しばらくして宇宙船に辿り着く。
「思ってたよりも早かったね」
前回はスノーボードなど無かったからかなり時間がかかったが、前回より遥かに短時間で宇宙船に辿り着いた。
少し錆び付いたシャッターを開くと大量のコンテナがある部屋に入った。
「これだね。このコンテナの中にもしかしたらバイルかオメガのデータが…ん?」
コンテナに近付こうとした瞬間、恰幅がいいレプリロイドが現れた。
「んんーっ。このコンテナはオメガの船に積んであった…謂わば我々の物であーる。伝説の英雄も、泥棒に成り下がったであるか?嘆かわしいことであーる…雪原の王たるこの儂がお前の罪を裁いてやるのであーる」
レプリロイドの全身が光に包まれ、光が消えるとサボテンを思わせるレプリロイド。
モニターで見たグラチャー・レ・カクタンクだ。
「(グラチャー・レ・カクタンク…サボテン型レプリロイド。機体内に大型給水タンクと化学プラントを内蔵、ネオ・アルカディアの庇護の及ばぬ遠隔地での防疫・給水を行なう。戦闘時では耐寒二重装甲に覆われた巨体の内部で生み出した氷棘や、腕部に当たる分離型貯水タンクを振り回しての重撃。 向けられた相手の意志をその機体ごと粉砕する。属性は氷属性、なら弱点は炎属性)」
HXアーマーに換装し、エネミーアナライジングを発動して解析結果をゼロに送るとゼロはセイバーを構えた。
「気高き、バイル・ナンバーズ。グラチャー・レ・カクタンクの名において…判決を下す。泥棒の罪は…死刑であーる!!」
カクタンクがこちらに向かって歩いてくる。
歩く度に地響きが起こるが、動くのには支障はない。
「カクタスプレス!!」
こちらに向かってジャンプし、のし掛かろうとするカクタンクに対し、FXアーマーに再換装したルインがナックルバスターを地面に叩き込んだ。
「グラウンドブレイク!!」
火柱が発生し、カクタンクが炎に包まれる。
「吹き飛べ!!」
炎属性を付加したロッドのチャージ攻撃を喰らわせ、吹き飛んだカクタンクに向けて追撃のバーストショットの火炎弾を喰らわせる。
「ぬううっ!!な、ならこれならどうであーる!!」
両腕の鉄球をゼロに向けて伸ばしてくるカクタンク。
しかし、ゼロはシャドウダッシュで攻撃をすり抜けると、ダッシュ突きを繰り出す。
「烈風撃!!」
「オーバードライブ!かわせるかな!?」
烈風撃を喰らい、仰け反ったカクタンクに追撃を仕掛けるようにオーバードライブで攻撃力を上げたショットを連射した。
一発一発が強力なショットの連射を浴びるカクタンクの表情には苦悶の表情が浮かんでいる。
片腕の鉄球を振り回して、ショットを防ごうとしても防ぎきれない。
「ハンマーパンチ!!」
鉄球をルインに向けて繰り出すが、ダッシュジャンプでかわされ、逆にメガトンクラッシュで吹き飛ばされてしまう。
「ゼロ!!」
「天烈刃!!」
セイバーに炎を纏わせた跳躍斬りを繰り出し、カクタンクの胴体に裂傷を刻む。
「ぬうっ!お、己…アイスレイン!!」
天井に掴まって腕を振ることでこちらに氷の弾を飛ばしてくる。
再びシャドウダッシュで距離を詰めるゼロはロッドを真上に構えて繰り出す。
「ソウルランチャー!!」
アッパーカットの要領でカクタンクの顎先にロッドによる必殺技が炸裂。
同じく氷の弾をPXアーマーに換装し、オーバードライブを発動してシャドウダッシュでかわしていたルインも腕に十字手裏剣を発現させた。
「とどめ!十字手裏剣!!」
オーバードライブで破壊力が増した十字手裏剣を喰らい、横一文字に両断された。
「お…おお…泥棒だけに飽き足らず…バイル様への抵抗までも…!裁かれるがいいであーる…バイル様の新しき秩序の元に…!グッ…オオオオッ!!」
カクタンクが爆散し、それと同時に派遣された捜索隊が突入してきたため、ゼロとルインもコンテナの元に向かう。
しばらくコンテナの中を探ると、一人のレジスタンス兵がこちらにやって来た。
「コンテナの中からデータを発見!ゼロさん!ルインさん!データの回収…完了しました!私は引き続き、データを探します。」
『ミッション終了。転送を開始します』
転送の光に包まれた二人はレジスタンスベースに転送された。
「転送終了まで…2…1…転送!!」
ゼロとルインが司令室のトランスサーバーに出現した。
「お疲れ様でした」
ゼロとルインがトランスサーバーから出ると、シエルが駆け寄ってくる。
「二人共…ありがとう…。回収してくれたデータは今、全力で分析しているわ…。過去のデータを分析することで…バイルが今、何をしようとしているか分かるかもしれない。私も…頑張るから…ね。」
「お二人が今まで回収されたデータの入力……今、終わりました。解析に移りました。」
「二人のおかげで、色々な情報が集まったわ……。解析が終わるまで少し時間がかかりそうだから…あっ、そうだ。そう言えばセルヴォが……ハルピュイアの体…大分良くなったって言ってたわ…。ルイン、お見舞いに……行ってあげたら…どうかしら?」
「うん、そうする。それじゃあ」
司令室を後にして、ハルピュイアがいるメンテナンスルームにルインは足を運ぶのであった。
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