魔法少女まどか☆マギカ こころのたまごと魂の宝石
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第19話
星の道に飛び込んだあたし達は再びゆりかごを目指して進んだ。
「見えた!!」
そして、ついに辿り着いた。ゆりかごの見た目は巨大なたまご。その周りを無数のこころのたまごが土星の輪のように回っている。
「あむちゃん、久しぶり。」
「今日はどうしたの?」
すると、ここに居るしゅごキャラ達が寄って来た。二階堂先生のしゅごキャラに、鳩羽由紀ちゃんのしゅごキャラ、それにマイティーのしゅごキャラも。
「この子達を持ち主の所に返したいの。」
あたしはケースを開けてソウルジェムをしゅごキャラ達に見せた。
「これって!?」
「もしかして、こころのたまご!?」
「うん。しかも、持ち主の魂まで一緒に加工されちゃってるの。」
「誰が、こんな事を・・・」
「キュウべえって言う、よく分からない生き物なんだけど・・・」
ここで、ようやくあたしはキュウべえが何者なのかを知らない事に気が着いた。
「あいつ、一体何なの?」
「あむちゃん?」
「あ、ごめん。それで、ゆりかごに持って来れば何とかなると思ったんだけど。」
「う〜ん。こんな状態になったこころのたまごを見るのは初めてだからなあ・・・でも、もしかしたらこれって・・・」
「何か心当たりがあるの?」
「前からなんだけど、まだ生まれる時期じゃないのにここから居なくなって、それからずっと戻って来ないしゅごキャラが結構居るんだ。」
「戻って来ない?」
さらに、あたしは気付いた。しゅごキャラは持ち主が大人になる。つまり、しゅごキャラの力が必要無くなると持ち主の前から姿を消す。でも、それなら魔法少女が大人になったらどうなるの?
「・・・キュウべえに聞かなきゃいけない事が増えたね。でも、今は・・・」
あたしは試しにソウルジェムの1つをゆりかごの中に浮かべた。でも、何も起こらなかった。
「そんな・・・」
「あむちゃん、落ち込まないで。」
「ダメで元々なんだから。」
ランとミキがあたしを励ましてくれる。でも、これでダメならあたしにはどうする事も・・・
「あむちゃん。一つだけ方法がありますよぉ。」
その時、スゥがあたしに言った。
「本当!?」
「はい。二階堂先生に頼めばいいんですぅ。」
「そっか、先生なら・・・」
二階堂先生はイースター時代、こころのたまごの研究をしていて、しゅごたまに✖️たまのエネルギーを注入してエンブリオを作る実験をしようとしていたりした。そんな先生なら、ソウルジェムについて何か分かるかもしれない。
「ありがとう、スゥ。」
「お礼はいいですよ。だから先生の所にいきましょう。」
「うん。皆、またね!」
あたしはここのしゅごキャラ達に別れを告げると、星の道経由で二階堂先生の所に向かった。
-------------------------------------------
結木さんと真城さんを家に送った後、僕は妻のゆかりに呼ばれて彼女の事務所まで向かった。
「ゆかり、来たよ。」
僕は笑顔で事務所に入る。でも、そこでは何故かゆかりと歌唄ちゃんが難しい顔をしていた。
「どうしたの、2人とも?」
「実はね、歌唄がファンの子からサインを頼まれた時、色紙と一緒にこのメモを渡されたの。」
僕はゆかりが広げたメモを見た。そして、その内容を見て驚愕する。
「『エンブリオの事が聞きたい』ね・・・2人とも、どうする積もりだい?」
「正体を確かめるために会いに行く事にしたわ。ボディーガード付きで。」
「海里君と相馬君だね。それで、僕はどうすればいい?」
「何もしなくていいわ。ただ、あなたも無関係じゃないから伝えただけよ。」
「それなら電話で済むと思うんだけど・・・」
そう僕が言った時だった。僕らの頭上の空間が歪んだとしか表現出来ない現象が起きたのは。そして、僕らはそれに見覚えがあった。
「キャア!?」
そして、そこから1人の女の子が落ちてくる。それを見て、僕らはやっぱりと言った感じの気持ちになった。
「ヒマ森さん。こんな所で何をしているの?」
歪みから出てきたのは僕の元生徒のヒマ森さんこと日奈森あむさんだった。
「二階堂先生!よかった、ちゃんと会えた。」
「え?ちょっと待って。その口ぶりからして僕に会いに来たみたいだけど、どうして?」
「実は・・・」
ヒマ森さんは見滝原で出会った魔法少女と、その真実について話してくれた。
「それで、スゥが先生なら何とか出来るんじゃないかって。」
「成る程ね。しかし、体内のこころのたまごを加工するなんて、どんな方法を使っているんだ?」
僕達イースターの技術者が手を加えられたのは、しゅごたまや✖️たまといった人間の体外に出たものばかりだ。しかも、特別な機器を使った上で。
「ヒマ森さん。そのキュウべえって言うのは契約するのに何か特別な装置を使うのかい?」
「え?どうだろ?契約した所を見た事は無いけど、それっぽいのを持ち歩いているのは見た事ないかな?」
「成る程。でも、あとで魔法少女にその事を聞いて連絡して。」
「分かった。あれ?って事は・・・」
「うん、引き受けるよ。」
「先生!ありがとうなのですぅ!!」
ヒマ森さんより先にスゥがお礼を言ってくれた。
「それじゃあ、先生。お願いします。」
そう言ってヒマ森さんはそのソウルジェムと言う物が入ったケースを僕に渡した。やれやれ、まさかイースターをクビになった時にコッソリ持ち出した古い機器が役に立つ時が来るとはね。
------------------------------------------
ソウルジェムを二階堂先生に任せた後、再び星の道経由で見滝原に戻ったあたしは皆にソウルジェムと二階堂先生の事について説明した。
「ホントにソウルジェムなんてオカルトな物を科学で解明出来るの?」
さやかが疑わしげに聞いて来た。
「多分出来るよ。イースターの科学力には私も何度も苦しめられたから。」
「へ〜。」
「でも、本当にその人、信用出来るのかしら?」
今度はマミさんが疑うように言った。
「大丈夫。昔はともかく、今の二階堂先生は夢を追いかける子どもの味方なんだから。その証拠に生徒はもちろん、親からの評判もいいし。」
「日奈森さんがそう言うならいいけど・・・」
「そう言う訳だから、後は結果待ちなの。それと、マミさんとさやかには聞きたい事があるの。」
「何かしら?」
「キュウべえと契約した時、キュウべえは何か道具を使った?」
「よく覚えて無いけど、多分何も使って無かったと思うわ。」
「あたしの時もそうだよ。何か、キュウべえが契約成立とか言ったらパッてソウルジェムが出てきたの。でも、何でそんな事聞いたの?」
「二階堂先生に聞いておいてって頼まれたの。」
-------------------------------------------
夜8時、私と三条さんは空海と海里を連れて公園に来ていた。
「ホント、何者なんだそいつら?」
「分からないわ。エンブリオをさがしているも個人としてなのか、それとも組織だってなのか・・・」
空海の疑問に私が答えていると、公園の奥から3つの人影が現れた。私達はそれを確認すると身構える。やがて、月明かりがその3人を照らした。それは間違い無く、昼にラーメン屋で色紙とメモを渡して来た少女達だった。
「おいおい。本当に馬鹿正直に来ちまったよ。」
赤毛をポニーテールにした少女が呆れたように言った。一方、メガネの少女はドヤ顔だ。そして、私に話しかけてきた。
「来てくれたと言う事は、エンブリオについて教えてくれるんですか?」
「もちろんよ。」
「ありがたい。だが、その前に一つ質問させてもらっていいですか?」
「何?」
「そちらの女性が三条社長なのはしっていますが、他の2人は誰ですか?」
メガネの少女はあからさまに空海と海里に敵意をぶつける。両脇に居る少女達はそれを見てため息をついていた。
「ただのボディーガードよ。夜中に女だけで怪しい奴に会いに行くほど、私達は無用心じゃないわ。」
「そうですか・・・」
私の説明を聞いてメガネの少女は一応納得した。
「でも、エンブリオについて教える前に答えて頂戴。あなた達が何者なのかをね。」
「・・・生憎ですが、それには答えられません。」
「そう。なら、質問を変えるわ。あなた達は何の為にエンブリオを捜しているのかしら?」
「死んだ友人を生き返らせる為です。」
「死んだ友人を?」
「はい。その為にはエンブリオが必要なんです!」
「そう。でも、何で私がエンブリオについて知っていると思ったのかしら?」
「昔、イースターがエンブリオを探していたと言う噂を聞いて、イースターに潜入したらあなた達に行き着きました。」
「それはご苦労な事ね。でも、あなた達の為になるような情報は持って無いわ。」
「どう言う意味ですか?」
「確かに、私達とイースターはエンブリオを探していたわ。でも、結局見つける事は叶わなかった。」
「だから、イースターはもうエンブリオを諦めたんですか?」
「そうじゃないわ。エンブリオよりも大事なモノを見つけたの。」
「エンブリオよりも、ですか?」
「そうよ。あなた達も見つけなさい。自分達にとってエンブリオよりも大切なモノを。」
そう言うと、私は皆を連れて公園を去った。
-------------------------------------------
「結局、手掛かりは無しか。どうすんだ?」
佐倉杏子が聞いて来た。
「仕方が無い。今まで通り地道にやって行くさ。」
「そうか。これで、あたしもお役ご免だな。」
佐倉杏子がそう言って手を出してくる。おそらく、報酬をよこせと言う意味だろう。確かに、彼女はもう用済みだ。なら・・・
♪〜
その時、私のケータイの着メロが鳴った。因みに、設定してあるのはほしな歌唄の“迷宮バタフライ”だ。そして、相手を確認すると里美だった。
「ケータイ、鳴ってるぜ。先にそっちを済ませよ。」
佐倉杏子がそう言ったので、私はケータイに出た。
「私だ。何かあったか?」
『サキちゃん。何とかカオルちゃんと海香ちゃんの口を割らせる事に成功したわ。』
「能力を使ったのか?」
『ええ。2人とも結構意思が強くて抵抗するから大変だったわ。』
「そうか。では、かずみは何処に居るんだ?」
『サキちゃんが今居る所よ。』
「何?と言う事は・・・」
『ええ。かずみちゃんは聖夜市に居るわ。』
続く
ページ上へ戻る