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魔法少女リリカルなのは ~優しき仮面をつけし破壊者~

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StrikerS編
  107話:終わりから始まりへ

 
前書き
 
大学の試験も終わって、春休みに入ってます。作者です。
一日休み(バイトはあれど)な日が続いているので、暇あれば書いてました。一カ月ぶりなのは変わりませんが。

とりあえず事件の谷間の時間と、盛大なフラグを。
ではどうぞ。
  

 
 





 大破した六課。上空からはヘリがその光景を中継している。
 周囲にガジェットの残骸が転がる中、それらを検分する本部の調査員達。

 そんな彼らの中に、ティアナは一人検分に参加していた。彼女は六課前衛(フォワード)の中で唯一、大きな怪我もなく前日の襲撃を終えた。
 自身が無事だったとはいえ、他もそうとは限らない。襲撃によって動員されている調査員が足りないということで、彼女も検分に参加することになったのだ。

 はぁ、と深いため息がこぼれる。当然だ、公開意見陳述会の為に一日程離れただけで、自らの部隊が見るも無残なものとなっていたのだから。


「酷いことになってしまったな…」
「シグナム副隊長」


 そんな彼女へ声をかけたのは、同じく特に酷い怪我―――というより戦闘のなかったシグナムだった。
 六課から視線を移したティアナは、シグナムに「病院の方は?」と問いかけた。シグナムはここに来る前、六課の負傷者が多く収容されている病院―――聖王医療院にいた。収容された六課メンバーの容体を見てきたのだ。


「重症だった隊員も、峠は越えたそうだ」
「そう、ですか…」
「―――だが、やはり…」


 そこまで言って、シグナムは暗い表情を浮かべる。いつも凛とし、騎士として悠然とした表情をしている彼女には、非常に珍しい表情だ。
 対しそれを不思議とも思わないティアナ。逆に彼女も同じような表情を浮かべた。わかっているからだ、彼女がそんな表情を浮かべる理由を。


「高町隊長は?」
「隊舎の中です。見たところいつも通りです、しっかりお仕事されてます。さらわれたヴィヴィオのこととか、負傷した隊員達のことを確認したら、後は少しも」
「……アイツのことも、か?」
「…はい」
「……そうか」


 高町隊長―――なのはも、ティアナと行動していたので、当然怪我はない。ティアナと同じように、検分に参加している。
 その様子は、ティアナの見た通り。受けた報告をしっかり受け止め、今自分のできることをやっている。そんな感じだ。

 少し不安そうに語るティアナを見て、シグナムは彼女が持つ端末(ファイル)を取り上げる。


「こちらは私が引き継ぐ、お前も病院に顔を出してくるといい」
「あ、ですが…!」
「―――行ってやれ」


 視線はデータに向けたままの一言だったが、ティアナは少し考えた後「はい」と言って駆け出した。
 襲撃が終わった後すぐになのはと共に検分に参加した彼女。やはり心配だったのだろう、負傷したフォワードチームや六課の仲間の事も…自らの相棒の事も。

 病院へ向かう間に、ティアナはなのはへ念話を送った。これは勿論、これから病院の方へ向かうという旨の報告の為だ。


[現場は?]
[シグナム副隊長に代わっていただきました]
[そう…フェイト隊長も向かっている筈だから]
[はい。……あの、さっき伺った話ってスバルやシャーリーさんに伝えても?]
[そうだね、伝えて元気が出るようなら教えてあげて。判断は任せるよ]


 なのはの言葉に[了解しました]と返し念話を終わらせる。
 会話の間にも、隊舎の中を歩き回っていたなのは。その時、別の隊員から声を掛けられ足を止めた。

 その隊員が手に持っていたのは―――煤まみれになっているウサギの人形。なのはがヴィヴィオに渡した、ヴィヴィオが大事に抱えていた人形だった。

 それを受け取ったなのは、拾ったのは隊舎(ここ)から少し離れた、戦闘の跡があった場所。
 おそらくシャマルが証言していた場所だろうと判断した彼女は、報告に来た隊員に礼を言って指示を出し、そのまま歩みを進めた。


 ―――しかし途中で、足が止まる。
 肩が、人形を持つ手が、震える。崩落した瓦礫と火災によって煤まみれになった床に、染みが。なのは以外誰もいない空間に、小さな嗚咽が響いた。
























 ―――何もない空間が広がる。

 空は灰色、下は濁った水。水底は見えず、水面上にある足から波紋が広がる。
 ただ、色がない世界。カラーがなく、白と黒と灰色だけで構成された世界。そこに一人だけ、立っていた。灰色の水の上に、ただ茫然と……


「―――よう、久しぶりだな」


 いや、一人ではなかった。唐突に現れた人物を、もう一人はジッと見つめる。
 ニヤニヤと笑う一人。対しただ佇む一人。それはあまりに対照的で……

 しかし、可笑しいのが―――二人共〝同じ顔〟なことだろうか。


「……〝起きてた〟のか?」
「あぁ、ふとした拍子にな」


 なんともまぁ派手にやられたもんだな、と言いつつ笑みを絶やさない。
 それを見たもう一人は、更に険しい表情―――というより、少し不機嫌といった感情も混じっているだろうか。そんな表情に変わった。


「…〝アイツ〟は何者だ? お前なら知ってるんじゃないのか?」
「さぁね~、どうでしょう? 知りたかったら無理矢理吐かせればいいんじゃない?」


 問いかけられても、笑ったままお道化るように、小馬鹿にしたような態度で返す。もう一人は余計に機嫌を悪くした。
 はぁ…と深いため息の後、右腕を掲げた。そこには、赤い宝石がはめ込まれた白いブレスレットが。


「なら、そうさせてもらおう」
〈 KAMEN RIDE ――― 〉


 ブレスレットが光り、視界が遮られるのと同時に、音声が響く。視界が元に戻った頃には、仮面の男がそこに立っていた。


「……来いよ、ただの〝偽善者(よわいやつ)〟♪」
「―――おおおおぉぉぉぉぉぉ!!」


 両手を広げ、まるで誰かを受け止めるような仕草を見せる。が、その表情は笑み―――いや、まさに邪悪だった。
 そこへ向かって、仮面の男が駆け出した。
























「シャーリーさん達、どうでした?」
「…『六課を守れなかった』って、ずっと泣いて謝られた。皆、悔しがってたよ」
「シャマルも同じ感じだったが、体の方は大丈夫だった。ただ、やっぱりザフィーラは…」


 フェイトとヴィータの言葉に、ティアナは「そうですか…」と返す。いや、そう返すしかなかった。
 守れなかった、それは自分も同じなのだ。六課の事も、地上本部のことも……その他のことも。



 ―――今回の、地上本部襲撃事件の被害は、以下の通りだ。

 まずは連絡系統。戦闘機人のクラッキングや襲撃で、その機能は未だ回復していない。
 本部の戦力面については、かつてなのはが教導した隊員や、AMF空間下での十分な戦闘経験のある戦闘員は、この戦況を切り抜けていた。が、やはり大部分の隊員が負傷し大幅な戦力ダウンとなった。

 次に襲撃されても迎撃できるよう準備はされているが、やはり襲撃前程の戦力には程遠い。
 本部の重役達には怪我などはなかったが、内部に不穏な気配があることは全員が気付いていた。おそらくスカリエッティが述べていた〝クライアント〟というのが、陳述会に参加していた誰かだろうというのを。


 そして六課。本部隊舎は前述の通り、黒い戦士―――ダークディケイドによって崩壊。
 だがしかし六課の隊員はというと、本部程大きな被害ではなかった。隊員達による迅速な非難と、長時間の防衛と足止めがあったからこそだ。

 フェイトが言ったシャーリーや同室だったアルトも、実際にはそこまで酷い怪我をしている訳ではない。大事を見ての入院だ。彼女達もすぐに現場復帰すると言っていたそうだ。
 敵の足止めをしていたシャマルも、直接的な攻撃を受けなかった分怪我も少なく、比較的早い退院が見込まれている。


 ただ、重症者がいない訳でもない。
 フォワードチームの中では、エリオやキャロは大きな怪我を負うことはなかったが、本部地下でギンガ捜索の為に先行していた―――いや、し過ぎていたスバルは、ギンガを捕獲したナンバーズの迎撃を受け負傷。仲間達に自らとギンガが〝戦闘機人〟であることを打ち明けることになった。
 しかしその負傷も数日の内に回復でき、現場復帰も見込まれていた。

 また、六課ではヘリパイロットとして活躍していた―――ヴァイス陸曹。
 彼は避難する隊員達の最後尾で、ガジェット達の迎撃をし隊員達を守っていた。が、ヴィヴィオを探しに来た紫の髪の少女―――ルーテシアの攻撃を受け負傷、その後建物の崩落にも巻き込まれたことにより重症を負った。
 峠を越えたそうだが、それでも当分は目を覚まさないらしい。

 そんな二人よりも酷いのが、ヴィヴィオとアイナを連れて非難していた守護獣―――ザフィーラ。
 唐突に現れ、ヴィヴィオを連れ去ろうとしたダークディケイドと一対一で戦い、一方的な激戦の末に負傷。手術は負えたが、未だ峠を越えていないらしい。まだ予断を許さない状態だと。


 ―――そして、一番の重傷者が……門寺士。
 戦闘機人のオットーとディードとの戦闘、エクストラ―――ディエンドとの戦闘、更には突如襲い掛かってきたダークディケイドとの戦闘。たった数時間でこれ程濃密な戦闘を行い、そして……敗北した。

 激闘による疲労、ダークディケイドの攻撃のダメージ、そして士が変身した姿―――オーズ・ガタキリバコンボの反動。それらが相まって普通では考えられない程のダメージになっていた。
 担当している医者が言うには「生きているのが不思議なぐらい」の体だそうだ。それ程のダメージの蓄積があった、と。


「……それで、あの話は」
「あぁ、これからはレリックじゃなくて、スカリエッティを追うことになる筈だ」
「そうなるように、はやてが動いてる」


 今までの六課の任務は、基本的に『レリックの捜索』だった。それが今回の件でより大きい事件―――『スカリエッティの追跡』へと変わるよう、はやてが動いている。
 更には崩壊した六課隊舎の代わりとなる本部が必要ということで、はやては次元航行艦〝アースラ〟を本部の代わりにしようと考えているようだ。


「アースラ、ですか…?」
「うん、私達がだいぶお世話になった船だよ。丁度廃艦になる筈だったのを、改修して使うんだって」


 PT事件や闇の書事件でクロノやリンディが提督として乗っていた、時空管理局本局次元航行部隊に所属する歴戦の老艦。
 既に経年劣化などの理由で『長期任務には耐えられない』と判断され、もう少ししたら退役として廃艦処分される筈だったのだが…そこをはやてが、クロノと共に機動六課の新本部兼新司令部としての投入を要請したのだ。

 劣化があるので流石に〝次元の海を渡る〟ことはできないが、ミッドチルダの上空を飛行するぐらいなら可能だ。その為の改修が今行われている最中だ。


「―――フェイト執務官」
「あ、はい」


 そんな会話をしながら、とある場所へ向かっていた三人。そんな彼女達に白衣を着た男性が声をかけた。
 フェイトと一言二言話すと、三人を促しある場所へ案内し始めた。先程男性と話したフェイトの表情は、先程と違って険しいものになっていることにティアナは気づいていた。

 やはり思うところがあるのだろう、そう判断したところで、男性の足を止め三人を促した。
 男性が促した先には、ベットがあった。ガラスの向こうのそのベットの上には―――色々な医療器具が付けられ、全身の所々には複数の包帯が巻かれて、寝かせられている人物がいた。


「…つかさ、さん……」


 それをしばらく見ていたティアナが、小さく呟いた。
 ベットに横たわっているのは、ティアナの言う通り―――今回の事件で一番の重傷者となった、門寺士だ。

 先程手術を終えたという連絡が入り、病院にいた三人は士がいる部屋へとやってきた訳だが……


「―――く…ッ!」
「…………」


 険しい表情で数秒部屋を覗いたヴィータは振り返った先の壁に拳を打ち付ける。
 隣にいるフェイトも、ガラスに触れながら痛々しい姿になってしまった士を眺め、唇をかみしめていた。


「…手術はとりあえず、成功です。ただ…もう大丈夫だとは、言い切れません。
 今回の戦いでのダメージが、回復したとしても抜けきるとは限りませんし…特に胸部にできた切り傷は、おそらくこれから先も残るかもしれません」
「そう…ですか…」
「現状では…意識を取り戻しても、1、2ヵ月の安静が必要かと」


 それはつまり、今回の事件における士の復帰は……期待できない、と。


「なら…あたし達でなんとかしねぇとな。コイツが出しゃばらなくてもいいように…」
「そうだね」
「「え…?」」


 しかし医師の見解を聞きつつも、険しい表情を崩さぬままフェイトとヴィータはそう言った。
 今、二人は何と言った? 出しゃばる? こんな重症を負ったこの人が…?


「そんな馬鹿な…門寺三佐は、これ程の重症者なのですよ!? それなのに…!」
「―――動くさ、コイツはきっと」


 だからイラつくんだよ、そうヴィータは呟く。
 コイツはそういう奴なんだよ、自分の身も顧みないで、他人の事ばかりを気に掛けて。全部守ろうとするんだ、自分がどれだけ傷つこうとも、どれだけ倒れようとも。

 何度でも立ち上がって、自分の大切なものを守ろうとする。いつだってそうして来た男だ。


「だから今度はアイツが動かなくてもいいように…」
「士に心配させないようにしないと、ね?」
「は、はい…!」


 未だ険しい表情のヴィータ。ティアナに言うフェイトは、少し笑みを浮かべていた。ティアナに心配をかけないようにする為だろうか。
 確かに、あの人がここまでやられるなんて、想像していなかった。が、再び立ち上がると言われると……逆に想像できた。あの、あんなに強い人が再び立ち上がる姿を。

 しかしそれが想像できるからといって、目が覚めたら戦線に立たせる、とは考えない。


「私達だけで、戦うんだ」
「はい…!」


 フェイトの言葉にティアナは頷いた。
























「―――はぁ…はぁ…はぁ……」


 膝をつき、荒い息がこぼれる。
 対し正面には…やはり両手を広げて笑う人物が一人。


「どうした? 力ずくで聞きだすんじゃないのか?」
「はぁ…うる、せぇ……」


 ゆっくりと立ち上がる。痛みの酷い腹部を抑えながら、足をふらつかせながらもしっかり構える。
 そうでなくては、笑みを消さないままに言い放つ。言われた方は舌打ちをすると、腰に取り付けられたものから、カードを取り出す。


〈 KAMEN RIDE ――― 〉


 カードを使って、姿を変えようと……


「〝始まり〟は突然だった、しかし力を得た。―――その得た筈の力が、突然消えたら…人はどう思うんだろうな?」


 その言葉が響いた瞬間、仮面の男の姿が変わる―――筈だったのに、


「―――なん、で…変わらない…!?」


 自らの変わらぬ姿を見て、驚いた。確かに行動した、なのに変わらない。


「クハ…力を失って、どんな気分だ?」
「てめぇ…!」
「守れる筈ないだろ? あんな雑魚に苦戦して、あんな小僧に負けて、終いにはあんな〝空っぽの人形〟に殺されかけた。そんなお前が、誰かを守れる筈が…誰かの〝笑顔〟を守れる筈がない。違うか?」


 笑みを浮かべる一人、睨め付ける仮面の男。感情に任せ跳びかかるも、簡単に避けられカウンターで膝蹴り、そして横っ面に拳を受ける。
 倒れる男、対し笑みを消さないもう一人は、左腰から反対側へ向かって、腰に沿って右手をスライドさせる。

 するとどうだろう。先程まで何もなかった筈のそこに、男と同じベルトが出現したのだ。


「なッ…!?」
「―――〝変身〟♪」


 驚く男を他所に、もう一人は一言だけ告げる。すると突然、赤い身体へと姿を変えた。頭部には二本の角、大きくなった双眸は紅く染まる。
 彼の腰に巻かれたベルト、その中央にある赤い宝石。その側に一つ、何もなかった場所に、彼の姿を証明する〝紋章〟が刻み込まれる。

 そして逆に、倒れた男の方のベルト。そこに刻み込まれていた筈の、同じ紋章が―――霧散した。


「力っていうのは、こう使うんだよッ♪」
「がッ!?」


 すぐさま立ち上がろうとした男の腹に、鋭い蹴りが打ち込まれる。肺にあった空気が吐き出され、男は転がる。


「どうだ? 自分の憧れだった姿を目の前にして、嬉しいかい?」


 クハハハ、と。仮面で隠されても分かる、彼の笑い声。仮面の奥では、どんな表情を浮かべているのだろうか。


「…誰が、嬉しいもんかよ…!」
「クハ、そうだろうさ」


 だが、もうわかってるんだろ? 自分が変われなかった理由。


「なにが…ッ!」
「お前にはもう守れない、そう判断されたんだ。見限られたんだよ、お前自身の〝力〟に」


 違う、そんな筈がない! そう叫んだ男は、再びカードを取り出し発動しようと…


「お前は皆の〝笑顔〟を守れないように―――人々の〝未来〟を、守ることさえできない」
「なんで…なんでッ…!」
「当然〝命〟さえも。だから〝こいつら〟はお前の下から消えていく」


 だが変わらない。姿形は最初のまま、対し笑う男のベルトに二つの紋章が輝き、動揺している男から同じ二つの紋章が消える。
 再びあのキーワードを口にする。男の姿は赤から黄色へ。目を見開く男に反応させる暇さえなく、拳が胸部に吸い込まれる。

 先程よりも重い一撃に、いとも簡単に吹き飛ぶ。痛みに耐えつつも立ち上がる間に、木霊する龍の咆哮。
 放たれた火炎は、男の周りに着弾すると盛大に爆ぜ、男は巻き込まれる。爆音の中で、男の苦痛の叫びが聞こえてくる。

 煙が晴れたそこには、男が呻きながら倒れていた。


「お前は…いったい…ッ!」
「それももう、わかってんだろ? ―――〝俺〟は〝お前〟なんだから」


 黄色い姿から再び赤い姿に、しかし先程とはまた違った姿になった男。
 男の笑みは何を意味し―――言葉は、何を語るのか。
























 地上本部襲撃から、一週間が経っていた。
 六課本部はアースラへ移り、捜査方針は相変わらずレリック―――その捜査線上にいるスカリエッティ達を追う。

 重症だった隊員以外の殆どが現場へ復帰し、これから万全な準備を。
 そう考えていた矢先だった。


 地上本部が用意していた、迎撃兵器―――アインヘリアル。その三機の全てに、戦闘機人が襲撃して来た。
 現地の魔導士が迎撃に当たるも、アインヘリアル全機が破壊されるという結果に終わった。

 それと同時に、スカリエッティのアジトを捜索していたアコース査察官が、遂にアジトを発見したという報告が。
 同時に、アインヘリアルを襲撃した戦闘機人と、更には先日ヴィータが迎撃した騎士、拉致された筈のギンガ捜査官。彼らが移動を開始し、内数人は地上本部へと向かい始めた。


 そして、スカリエッティのアジト周辺にて。〝それ〟が遂に動き出す。
 一度は旧暦の時代を席巻し破壊した、古代ベルカの悪夢の叡知―――〝聖王のゆりかご〟。
 待ち望んだ主を得て、ゆりかごは空へ上がりその力を発揮する。

 ゆりかごの主―――それは、なのはが保護していた、ヴィヴィオだった。
 『聖王の器』として、または『鍵』として。ゆりかごの力を引き出していた。



 磨きに磨いた牙をむき出しにし、遂に―――〝無限の欲望〟が、その野望を果たさんと動き出した。





  
 

 
後書き
 
こんな感じになりました。
これからは遂に、JS事件のクライマックス。ほとんどの場面が原作通りになりそうですが、ちょくちょくカッコいい場面を書こうかと思ってます。

小説内での誤字脱字などのご指摘、小説のご感想など、お待ちしいます。
それではまた次回、さようなら~ノシ
  
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