相良絵梨の聖杯戦争報告書
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事の始まり
前書き
絵梨とぽちのキャラデータはオウガバトル帰還後なので、レベル50のプリンセスという事で。
あれ、小聖杯キャスターぐらいならガチでボコれね?
「聖杯戦争?」
私の言葉に、神奈水樹姉弟子様は投げなりに説明する。
オカルト系の世界的互助会組織魔術協会。
そこが主導し、日本で行われた魔術儀式の失敗談に私の顔が見る見る暗くなる。
「まさか、それに参加しろと?」
私のジト声を感じたのかドラゴンのぽちがポケットから這い出る。
私の剣呑な声に姉弟子様は手を振りながらあっさりとそれを否定した。
「馬鹿を言わないでちょうだい。
第二魔法体験者の封印指定確定の妹弟子をそんな危ない所に近づけてたまりますか」
そう。
私は運が悪いことに、ちょっと異世界帰りの女子高生だったりする。
ついでに色々な力やら何やらを得たおかげて、この世界で身バレしたら色々とまずい事になる。
なお、亡くなった私の師匠がそっちの世界の出身だというのは、この異世界旅行の果てに知ったことである。
「うちの顧客に冬木市を地盤にする先生が居るのよ。
で、冬木大災害を師匠の占いで難を逃れたらしくて、こっちに情報を回してくれているの。
もちろん、魔術の事なんてその人は知らないんだけど、その結果どうなっていると思う?」
私や姉弟子様が師と仰ぐ神奈世羅は有名な占い師だった。
魔術協会との縁もこの占いによって繋がっているが、魔術というには歴史が無く、オカルトと茶化すには精度があり過ぎた私達の一門は、中立的かつ無害な家としてこの国に根ざしている。
「もったいぶらずに教えて下さいよ。
私、そのころはまだ小学生だったんですから」
私の声に師匠が何かを投げてそれを空中で受け取る。
受け取ったのは、私の高校の世界史の教科書だった。
「冬木大災害。正確には第四次聖杯戦争が勃発したのが95年。
ちなみに、第四次聖杯戦争の参加者の一人は、東海岸で航空機撃墜のテロ容疑がかかっているとか。
その先生、警察族なんだけど、その時米国が執拗に冬木大災害の資料を欲しがっていたのを不思議がって私の方に話がやってきたという訳。
で、9.11。
世界は非対称との戦争に突入した」
うわ。
何かすごく嫌な予感がするのですが。
「協会は全力でそれを隠蔽した。
神秘は秘蔵されるべきだからね。
だから彼らは墓穴を掘った。
やり過ぎちゃったのよ。
F-15が墜落するような騒動の後で発生した大災害。
超大国が『大量破壊兵器を用いたテロ』と断定して当然でしょ?」
頬に汗が浮かぶのが分かる。
熱いわけではない。悪寒が走るのだから。
「科学の守護者。
冷戦の勝利者して、世界の超大国アメリカ合衆国。
まあ、協会はそっちにも手を打ったけど、納得してないという訳。
だってねぇ……」
姉弟子様はテレビをつける。
CNNの中継は中東某所。
独裁者の銅像が引きずり降ろされる生中継が映っていた。
日本は米国と同盟を結んでいる。
そして、現在の対米関係は良好だ。
どどめに、魔術協会がやらかした内政干渉を日本政府は忘れていない。
いくら国内で震災と新興宗教のテロがあったとはいえ、こっちで暮らす我々のような魔術師ですら思う所はあったのだ。
「『友好的な』同盟国による信頼できる情報によると、反米テログループのいくつかがこの国に入り込もうとしている兆候があるらしいわよ。
公安や内調をはじめとするお役所は現在、対策の真っ只中。
米国は協会だけでなく聖堂教会にも圧力をかけてきているわ。
反米テロ組織の跳梁を抑えこみたい時に、聖杯の活動が活発化するなんてね……」
神秘は秘蔵されている。
その結果、日本の冬木市で大量破壊テロが発生したというカバーストーリーが作られ、実際にテロを行っていた新興宗教にその罪がなすりつけられたのである。
そして、そのカバーストーリーに引きずられて、また冬木市でテロが起きるという隠蔽の精算が発生しようとしていた。
「で、私に何をしろと?」
「オブザーバーとして県警に入って頂戴。
私は先生の方のアドバイザーとしてつくから、現地の情報収拾をお願いするわ。
あと、冬木に近づいちゃ駄目よ。
令呪つけられて参加させられたなんて目も当てられないから」
「入らなくてどうやって現地指揮を取れと?」
私の呆れ顔に姉弟子様が苦笑する。
魔術師なんて現世から全力疾走で逆走している連中なのだ。
わざわざそれに関わるとろくな目に遭わない。
「京都があるじゃない」
京都。
日本における大霊地都市であり、陰陽師等を祖とする魔術組織の本部がある。
なお、神奈はタロットカードを使う占い師系統なのでこの国のオカルトにおける外様である。
「冬木がらみの現地対策の連絡室は京都に置く事になるわ。
県警、公安、内調、魔術組織の中に入って顔を売ってきなさいな」
姉弟子様は神奈の次期後継者を私にと指名している。
ようするにそのお披露目も兼ねているという訳だ。
「わかりましたよ。
本部に顔を出してきますよ」
こうして、聖杯戦争の外側で行われた、聖杯戦争以上の戦争を私は体験することになる。
まあ、この戦争すら生ぬるい戦争を私は体験してきたのたが。
後書き
絵梨「サーヴァント?ガチで殴れるからいらない」
ここで気づく。
絵梨、第二魔法体験者でガチの封印指定になりかねん。
このあたりで、ツエーを投げ捨てる羽目にorz
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