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ロックマンゼロ~救世主達~

作者:setuna
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第22話 氷の神殿

 
前書き
氷の神殿 

 
簡単なメンテナンスとエネルギー補給を終えたゼロとルインは司令室に向かい、シエルに話し掛けた。

「ネオ・アルカディアの第二エリア…氷の神殿ね…ゼロ…ルイン…二人共、大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ」

「問題ない。行くぞ」

二人が司令室のトランスサーバーに乗り込むと、二人のオペレーターが作業を開始した。

「ゼロさんとルインさんが、出撃されます。各員、転送準備にかかれ」

「転送準備完了…転送!!」

転送の光に包まれたゼロとルインはネオ・アルカディアの氷の神殿に向かうのだった。

シエル「無理…しないでね…二人共」

氷の神殿に向かった二人を案じながら、シエルは二人の帰りを待つ。

氷の神殿の入り口付近に転送されたゼロとルインは周囲に敵がいないことを確認すると、シャッターの前に立つ。

シャッターが開いたので、先に進もうとして足に違和感を感じた。

「むっ?」

「うわっ、何これ?地面が凍結してる」

地面が凍結しているため、とても滑りやすくなっており、これではいつもより戦いにくい。

「慣れれば問題ない。行くぞ。」

既にゼロはこういう足場に慣れているのか、とても滑りやすい足場とは思えないくらいに普通に進んでいく。

そして、そのまま水の中に飛び込んだ。

「あ、ゼロ!待ってよ!置いてかないでよーっ!!」

すぐさま、こういう場所に適しているLXアーマーに換装する。

LXアーマーは水中で高速移動出来るだけでなく、氷上でも安定して戦える特徴がある。

ルインも水中に飛び込み、ゼロを追い掛けた。

頭部に装備されたウォータージェットの恩恵で、ルインは水中戦に特化したレプリロイドと同等の機動力を誇っているために、すぐにゼロに追い付いて周囲のメカニロイドをハルバードで叩き斬る。

ヤドカリ型のメカニロイドは、殻が無くなった後が厄介なので、率先して破壊した。

水の中から出ると、近くのシャッターを潜って、少し先のシャッターを開くと次の部屋も地面が凍結しており、部屋の所々に鋭利なトゲがある。

「これは…ゼロには少し危険かもね。ゼロ、私が先に進んでメカニロイドを潰していくから、ゼロは私の後について来てね」

「すまん。頼んだぞルイン。」

無理をして進むより、ここはルインに任せた方が得策だろう。

「それじゃあ、先に行くね!!」

ダッシュジャンプでトゲが敷き詰められた地面の上にある梯子に捕まり、ルインは梯子を駆け登る。

途中でメカニロイドとパンテオンが襲い掛かってくる。

「出て来て、フリージングドラゴン!!」

チャージを終えたハルバードを振るって氷龍を繰り出し、氷龍は周囲のメカニロイドを薙ぎ倒していく。

倒しきれなかったメカニロイドはハルバードで直接斬り裂き、先に進んでいくルインを追い掛けるようにゼロも進んでいく。

そして梯子を降っていき、シャッターを見つけて二人は先に進むと、次の部屋には水の上に巨大な氷の塊が浮かんでいた。

ゼロとルインがそれに乗り込んだ瞬間、水嵩が増し、二人を上に運んでいく。

途中でメカニロイドが現れたが、ゼロとルインはZセイバーとハルバードで応戦した。

しばらくそれを続けていると、何時の間にか一番上まで来ていた。
そして奥にあるシャッターを抉じ開けると、また凍結した地面と水で満たされた場所が存在する部屋に出た。

「ゼロ、一気に行くから、私の手を掴んでて」

同時に水中に入ると、ゼロに手を差し出す。

ルインの手をゼロが握ると、ルインはウォータージェットを噴かして一気に奥へと進んでいく。

時折現れるメカニロイドはゼロがバスターショットを引き抜き、ショットを撃つことで迎撃した。

奥のシャッターを抉じ開けると、今までで一番広い部屋に出た。

周囲を見渡したが、誰もいない。

「誰もいないね」

「ああ、だが…油断はするなルイン」

「大丈夫だよ、心配しないで」

二人が警戒しながら武器を強く握り締めた時である。

この部屋に強いエネルギー反応が現れたのは。

「フフッ…ゼロ、待ってたわ…それにルインもね…」

「レヴィアタン…」

ルインは自分達を見下ろすレヴィアタンを見上げると、レヴィアタンもルインを見つめ返して笑みを浮かべた。

「あら?私の名前、覚えてくれてたの?嬉しいわ。それにしても私もファーブニルの馬鹿が移ったみたい。ゼロ、あなたのことを考えると…ダークエルフなんて、どうでもよくなっちゃう…例え、世界が滅びても、あなたさえ倒すことが出来れば、私…幸せなの…」

「レヴィアタン…お前も、ファーブニルのように無駄な戦いを仕掛けるつもりか?」

「あら?一応これは仕事でもあるのよ?エックス様がいるユグドラシルに向かう者は誰であろうと倒せって、キザ坊やから命令されてるの。同じ四天王とは言え、一応向こうは統治者代行様だからね。命令には逆らえないのよ。」

ゼロの問いに、レヴィアタンは肩を竦めて溜め息を吐きながら答えた。

「お願いだよレヴィアタン。私達はエックスを助けたいの…そこを通して…」

ルインは懇願するように言うが、レヴィアタンは首を縦には振らない。

「大丈夫よ。ダークエルフだか、ベビーエルフだか何だか知らないけど、どうせあんなエルピスとか言う落ちこぼれ、大したことないわ。エックス様命のキザ坊やが返り討ちにするでしょ。私はね…ルイン。あなたにも興味があるの…エックス様と同じように私達の基になったレプリロイドであるあなたにね」

「………」

ルインとレヴィアタンの、同じ顔立ちをした二人の視線が再び交わる。

「私はエックス様と違って優しくないし、諦めも悪いの。世界のためだって割り切れない。今目の前にあることを優先させたい。いけないことだと分かっている。でも、この気持ちは偽れないから。ゼロ、ルイン…悪いけど、私の相手になってもらうわよ」

レヴィアタンがフロストジャベリンを構え、同時にゼロとルインがセイバーとハルバードを構える。

「レヴィアタン…君は本当にエックスにそっくりだね。アーマーの色もそうだけど、君のそういう一途なところは本当にエックスにそっくりだよ」

「あら?一途なのは、あなたもじゃない?エックス様を助けるためとは言え、敵の本拠地であるネオ・アルカディアに殴り込みを仕掛けるくらいだもの。私達四天王のこういうところはあなた似なのかもしれないわよ?お・か・あ・さ・ん?」

「お、お母さん…」

母親呼ばわりにルインはハルバードを握り締めて赤面してしまう。

レヴィアタンはそんなルインを見て、よくもまあ、今時こんなウブなレプリロイドがいるなと感心した。

何となくだが、エックスが彼女に惚れた理由が分かったような気がした。

「さあ、お話はここまで!本気で行くわよ!!」

レヴィアタンが自身の力を解放したことで、全身が光に包み込まれていく。

「これは…」

「ファーブニルと同じ現象…まさか、アームドフェノメノン!?」

「正解。でも、私のアームドフェノメノンは戦闘馬鹿とはひと味もふた味も違うわよ」

光が収まると、レヴィアタンは今までとは違う、まるで潜水艦のような姿になる。

「これが、レヴィアタンのアームドフェノメノン…」

「さあ、パワーアップした私のスピードについて来れるかしら?」

ウォータージェットを吹かし、凄まじいスピードでレヴィアタンはこちらに突撃してくる。

あまりのスピードに一瞬だけ目を見開いたが、すぐさま回避行動を取り、何とか突撃を回避する。

そしてルインはZXアーマーに換装し、ゼロはフレイムチップを起動させた。

「喰らえっ!!」

チャージを終えたZXバスターをレヴィアタンに向けてチャージショットを放つが、あまりのスピードに掠ることさえ出来ない。

「そんなスピードじゃあ、私に当てられないわよ!出ておいで!!ダブル・スピリッツ・ジ・オーシャン!!」

反撃にレヴィアタンはゼロとルインに二体の氷龍を繰り出す。

「はあっ!!」

ZXセイバーで一体の氷龍を斬り裂くが、もう一体の氷龍がルインに迫る。

「ふっ!!」

シールドブーメランを投擲し、氷龍を真っ二つにすると、セイバーのエネルギーチャージを終えたゼロはレヴィアタンにチャージセイバーを繰り出そうとする。

「やらせないわよ、アイスアロー!!」

氷の矢を三発放ち、放たれた氷の矢は地面に当たると、反射した。

流石のゼロも反射の軌道は読みにくく、氷の矢が肩に掠る。

「っ…」

「このっ!!」

ルインがセイバーで氷の矢を砕いていくと、レヴィアタンの額にエネルギーが収束していく。

「まだまだ!アイスレーザー!!」

額から放たれたレーザーは二人の真上を通り過ぎたが、レーザーが通りすぎた所に氷塊が発生した。

ゼロとルインはそれぞれのバスターを構えてショットを連射することで氷塊を破壊したが、気付くとレヴィアタンの姿が何時の間にか無くなっていた。

「え!?どこに…」

「ここよ!クレイジーダンス!!」

レヴィアタンは誘導魚雷を伴って突進してきた。

突進は回避出来ても、魚雷の直撃を受ける。

「っ!これ以上はやらせないよ!!」

何とか体勢を立て直してFXアーマーに換装し、二丁のナックルバスターを構える。

「攻撃する暇なんてやらないわよ!アイスケイジ!!」

再び繰り出された二体の氷龍だが、先程とは軌道が全く違い、二体はゼロとルインを覆うように動き、次の瞬間には氷龍は二人の動きを止める檻へと変化した。

「逃げ場はないわよ!ヴォルティックダッシュ!!」

檻に閉じ込められて動けない二人に向かってレヴィアタンは猛スピードで突進する。

「させないよ!ダブルメガトンクラッシュ!!」

まずは一撃で前方の氷を砕くと、残りのもう一撃をレヴィアタンに繰り出して放たれた火炎弾がレヴィアタンに炸裂する。

「きゃあっ!?」

不意を突かれて弱点の炎属性をまともに喰らったレヴィアタンが悲鳴を上げる。

動きが遅くなったのを見て、ゼロも今度こそチャージセイバーを叩き込んだ。

「くっ!ダブル・スピリッツ・ジ・オーシャン!!」

再び二体の氷龍を繰り出してきたレヴィアタンに対して、ルインはナックルバスターを構えて二体の氷龍にショットを当てる。

一発の威力が高いために、数発喰らわせると破壊出来た。

「今度はこっちから行くよ!オーバードライブ!!当たれっ!!」

オーラを纏って攻撃力を上げて武器に属性を付加させると、ルインはナックルバスターをレヴィアタンに向けてショットを連射した。

「そんな攻撃、避けてみせるわ!!」

ウォータージェットを噴かして、ショットを回避しようとするレヴィアタンだが、ショットは軌道を変えてレヴィアタンを追跡する。

「何ですって!?」

どれだけ避けようとしても、ショットはレヴィアタンを追跡していく。

「遠隔操作も出来るの…?」

「ゼロ!今だよ!!」

「え!?」

前方を見遣ると、先回りしていたゼロがレヴィアタンにバスターを構えていた。

「喰らえっ!」

前方からチャージショットが放たれ、前方のチャージショットと、後方の無数の炎属性のショット。

小回りが利かないレヴィアタンに回避する暇はなかった。

「きゃああああああ!!?」

まともに喰らったレヴィアタンが悲鳴を上げた。

何とか耐えきってゼロとルイン目掛けて突進するが、確実に速度が低下している。

二人は難なくそれをかわし、ゼロはチェーンロッドの鎖をレヴィアタンの体に巻き付け、すぐさま鎖を戻していく。

同時にゼロとレヴィアタンの距離が縮まり、レヴィアタンに向けてエネルギーチャージを終えたセイバーを叩きつけた。

「はあっ!!」

「ああああああっ!!?」

チャージセイバーを喰らったレヴィアタンの体が爆発し、煙が晴れるといつもの姿に戻っていた。

「ハァ、ハァ…私は、どんどん愚かな女になっていく…あなたと戦うこと以外…考えられなくなっていく…でも…幸せよ。あなたをいつか…この手で、引き裂くことを夢見ながら…しばらくは、生きていくとするわ。それからルイン、あなたとの戦いもとても楽しかったわ…。じゃ…また…ね」

レヴィアタンは転送の光に包まれ、この場を去った。

『座標軸セット完了…。これでいつでも、ここへ戻れるようになったわ…一度ベースに戻ってきて…お願い…二人共』

「「了解」」

ゼロとルインもエネルギー補給などのためにレジスタンスベースに一時帰還するのであった。

「ゼロさん、ルインさん。帰還します」

「転送完了まで…2…1…転送!!」

司令室のトランスサーバーにゼロとルインが出現し、シエルが二人を出迎えた。

「転送終了しました」

「二人共!大丈夫?危険な目に遭わせて…ごめんね…ゼロ…ルイン…」

自分はゼロやルインと違って戦うことが出来ず、二人の無事を祈りながら帰りを待つことしか出来ない。

しかし、自分の帰りを待っていてくれる存在がいて、帰る場所があるからこそ、ゼロとルインは安心して戦うことが出来るのだ。 
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