ぶそうぐらし!
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第12話「えんそく」
前書き
ようやくショッピングモールに行きます。
本来いないキャラを入れて原作沿いに進ませるって難しいですね。
=遼side=
「じゃあ、まずは俺から...!」
梯子を下りて、一時的な安全確保のため少しいた奴らを叩きのめす。
「胡桃!」
「あいよ!」
胡桃に呼びかけ、胡桃も下りてくる。後は先生だけだ。
「数が少ないな。」
「この前の雨の時に結構倒したからな。」
「....っと、行けるわよ。二人共。」
警戒している俺たちに先生が話しかけてくる。
「よし、それじゃあ....ゴー!」
俺が合図を出して走りだし、先生、胡桃の順についてくる。
もちろん、先生のスピードに合わせているから置いてけぼりとかはない。
「先生!どれだ!?」
「右の方にある赤い車よ!」
「了解!」
進行上にいた奴らを薙ぎ倒し、そちらへと向かう。
「行けるぞ、先生!」
「分かったわ!胡桃さん!」
「おう!遼!気を付けろよ!」
「分かってるって!」
車に辿り着いたので、先生と胡桃が急いで乗ってエンジンをかける。
「よし、俺も....!」
俺が先行して奴らがいない進路を作りだしながら俺も車へと向かう。
「っ....よし!」
車のエンジンをかけ、俺も玄関へ向かう。
「お待たせ!」
「もう!遅いよ!」
「ははは...すまんすまん。」
玄関に辿り着くと、先に着いていた先生の車に全員乗り込んだ後だった。
窓から由紀がそう言ってくるのに苦笑いする。
「じゃ、俺が先行するから、ついてきてください。」
「分かったわ。」
先生にそう言って、門に向けてアクセルを踏む。
途中にいるゾンビ?轢くけどなにか?
「それじゃあ、遠足に」
「「「「「しゅっぱぁつ!!」」」」」
由紀の元気な声と共に、俺たちも声を上げる。
名目上は遠足だから、楽しまないとな!
「...っとと....。」
車が電柱に潰されていて、通れない場所に突き当たった。
「すみません、またバックお願いします。」
「分かったわ。」
後ろに気を付けつつ、Uターンする。
「(...相変わらずの惨状だ....。)」
何度か見た、街の惨状。そこらじゅうの家の窓は割れ、車の爆発もあったからか、家の塀や電柱も壊れていた。
「(....街中に生存者は皆無...か。)」
誰かがいるのなら、ある程度バリケードが張られていたりするはずだ。だが、それが一切ない。つまり、生存者はいないと言う事になる。
「っ.....。」
街の様子を見ると、毎回思う。俺がもっと積極的に動けば、誰か助けられたかもしれない...と。いくらパンデミックだからって、保守的に動かず、動いていれば...と。何度も、そう思った。
「(まだだ....まだ、モールにきっと....。)」
モールにまだ生き残りはいるはずだと、俺はそう思って車を運転し続ける。
「....!ストップ!!」
「えっ!?」
「わわっ!?」
キキーッ!と、後ろで車が停まる。気になったので、俺も車を停めて、後ろを見てみる。
「(....なんだ....?)」
車内で何か会話しているようだが、よく聞こえない。しばらくすると、胡桃だけ車から出てきた。...俺も気になるので、一度車を降りる。
「胡桃、どうしたんだ?」
「あ、遼。...ちょっとな...。」
胡桃はそう言って視線を逸らす。
その視線の先には....。
「“恵飛須沢”....なるほどな。」
一つの一軒家の表札を見て、納得する。
「....ほら。」
「ん..?ライト?」
「中を見てくるんだろ?外は明るくても、中は暗いかもしれないからな。念のためだ。」
「....サンキュ。」
胡桃も色々思う事があるのだろう。危険だけど、一人で行かせる。
俺は待ってる間に奴らが来ないか見張っておこう。
「....っと、出て来たか。」
家から胡桃が出てくる。...あまり元気なさそうだな。
「お帰りー。」
「おうー。」
「あ、お帰りって変かな?家からお帰りって。」
「いんじゃね?...ただいま。」
由紀と胡桃のそんな会話を聞きながら、俺も運転席に戻る。
「よし、再出発だ。」
エンジンをかけ、再び俺たちはモールへと向かった。
「....見えた。」
モールが見えてきた。あまり奴らも見当たらなくて助かった。
「移動にそこまで手こずらなくてよかった。」
奴らの数が多かったら一日で辿り着けなかったかもしれないしな。
「どうだろ?誰かいるかな?」
「避難するならここよね...。でも....。」
車を停め、降りてきた胡桃と悠里がそんな会話をする。
「由紀ちゃん、先に行っちゃダメよ。」
「あ、はーい。」
先に行こうとした由紀を先生が停める。
「わ、暗い。...休みかな?」
「ドアは開いてるな。」
本当は電気が止まったから暗いのだが、胡桃が話を合わせる。
「...ん?悠里、なんだそれ?」
「そこに落ちてたの。」
「館内案内か....。」
悠里が拾った紙切れを覗いてみると、ただの館内案内だった。
「...今日はイベントみたいね。」
「イベント?お祭りみたいなの?」
「へー、入ってみようぜ?」
悠里が一番誤魔化しやすい嘘を言う。胡桃もすぐさま話を合わせる。
「飛び込みで大丈夫かしら?」
「邪魔しなきゃ大丈夫だろ。」
「じゃ、怪しまれないようにそーっとだね。」
そう言って由紀はゆっくりと歩き出す。
「...ええ。そーっと...そーっとね...。」
皆でゆっくりと中に入っていく。
「...悠里、先生。」
「あら、ありがとう。」
先生と悠里にライトを渡しておく。ライトがあった方がいいしな。胡桃は既に貸してあるし、俺ももう一つ持っている。由紀のは...ライトで遊びそうだからない。
「こっちだ...。」
俺が先頭、胡桃が最後尾という配置で進んでいく。
まずは、シャッターがあった店の中に一時的に避難する。
「....ちょっと待ってろ。」
「ああ...。」
シャッターを閉めて、中に奴らがいないか探す。
探してみると、数体いたので仕留めておく。
「.....よし、オーケーだ。適当に見て回ってもいいぞ。」
「サンキュ。....どこに行く気だ?」
「...地下だ。別に、食料を漁ってくるだけだからすぐ戻る。」
シャッターを抜け、地下へと直行する。
もちろん、奴らとは距離を取っているから気付かれることもない。
「....って、うわ...。」
地下に行くと、結構な数の奴らがいた。異臭もやばい。
「しかもここ、生鮮食品ばっかかよ...。」
どう考えても腐ってる。....缶詰とかはないのか?
「...っと、あったあった。」
適度に奴らを薙ぎ倒しながら缶詰コーナーに辿り着き、入れれるだけ入れて行く。
「...予備の鞄、持ってきてよかったな。」
相当な数を入れたので、既に鞄の容量がきつくなってきていた。
なので、一度地下を後にし、車まで戻り、違う鞄に缶詰を入れておく。
「...よし、皆の下に戻るか。」
皆のいるはずの店の方へと走る。
少しすると、シャッターが閉まっている場所を見つける。...ここだな。
「皆、いるか?」
軽くシャッターを叩き、声を掛ける。
「....戻って来たか。」
「ああ。」
胡桃がシャッターを開け、俺は中に入る。
「地下はどうなっていた?」
「奴らで溢れかえっていたよ。臭いもヤバかったし、缶詰以外の食料はダメだろう。」
「そうか....その缶詰は?」
「車に置いてきた。」
この短時間でか...。と驚く胡桃。
「あまり一階にはめぼしいものはないから、上に行きましょ?」
「そうだな。...行くぞ。」
悠里の言葉に、俺は同意してシャッターを開けて外に出る。
もちろん、出る際に俺が様子見をして大丈夫かどうか確認している。
「よし...行けるぞ。」
大丈夫だったので、シャッターをできるだけ音を立てずに開け、皆を外に出す。
「...ん?悠里、それなんだ?」
悠里が手に持ってる物がつい気になる。
「これ?これはね....。」
棒状の物をシャカシャカと振り、ボヤッと光った後に奴らの注意が向くように投げる。
「....ほう。」
「便利でしょ?」
奴らはその棒...サイリウムに引き付けられ、俺たちはその間にすんなりと二階に上がる。
「学校でも使えるな。」
「そうだな。」
ちなみに、明らかに由紀を誤魔化せないような会話をしているが、肝心の由紀はさっきの店で手に入れたらしいヘッドホンとCDプレイヤーを使っているため、聞こえていない。。...CDプレイヤーは動いてないが。
「...やはり、上の階ほど奴らの数が少ないな...。」
「足が弱いのは助かる。動きも遅いからすぐに対処できるし。」
胡桃とそんな会話をしながら、二階を見て回る。...が、特に収穫はなし。
「さらに上か...誰かいるといいな。」
「そうね...。」
モールは五階建てで。珍しく屋上に駐車場はないため、五階まで全て店などがある。
...つまり、その分物資も豊富なため、生き残る事は可能...なはず。
「人、少ないね。」
「...イベントで皆地下に行ってるからかもな。」
「へー。」
由紀と適当に会話しつつ、三階に上がる。
「かわいー!なにこれ、ストラップ?」
三階のとある店で、由紀が何かを手に取る。
「ちげーよ。防犯ブザーだろ?」
「あ、これ、アルノー・鳩錦みたい。」
防犯ブザーか...。その音で奴らを引き付けたりできそうだな。
「んーと、これとこれと...あとこれも。」
「付けすぎだろ!?」
「皆の分だよ?これ、胡桃ちゃんの。」
「いらねーよ!?」
いや、結構使えるかもしれんぞ?元々の使い方ではないが。
「も~、しょうがないなぁ...。」
「...由紀ちゃん、なにしてるの?」
由紀はブザーを持って鞄で何かごそごそしている。
「じゃーん!」
「って、ブザーを五つも!?」
俺たち全員の分を全部鞄に付けたみたいだ。
「それ、ここじゃ絶対鳴らしちゃだめよ?」
「そうね。警備員さんが飛んでくるわよ。」
「はーい!」
悠里と先生の言葉に、元気よく返事する由紀。
「.....ん?」
「どうした?」
「いや...。」
何か、今走って行ったような...。
「(....ここはペットショップもあったな。....だとすると...。)」
ペットがゾンビ化していたら危険すぎる。
...俺なら対処もできるし危険性が低いから、一度見に行っておくか。
「すまん、俺、ちょっと用ができたから行ってくる。皆は階段付近で待っててくれ。」
「えっ、遼君.....分かったわ。」
「めぐねえ!?いいのか!?」
先生は俺の表情を見て何か察したのか、皆を連れて行く。
「な~に、すぐ戻るさ。」
「おい、よりによってよくある死亡フラグなセリフを言うな。」
「ははは。すまんすまん。」
ともかく、さっさと確認しておいた方がいい。
「...ここか...。」
ペットショップに入る。...ここに来るまで、微かに人間でも奴らでもない足音が聞こえた。何かいるのは確定だろう。
「....死んでいる....。」
ペットのいる檻を見ると、何匹もの動物が死んでいた。...パンデミックが起きてからしばらく経っているからな。餌がなくて死んでしまったのか。
「....だが...。」
一部のペットの檻が壊されている。...音に反応する奴らの事だ。吠えていた犬などに噛みつきにいった際、壊したのだろう。
「..........。」
ガァアン!
そこら辺にあった柱に同じくそこら辺にあった鉄の棒を思いっきりぶつける。
....危険な事だが、これでゾンビ化したペットがここにいるのかが分かる。
「.....いない、か。」
現れたのはほんの数体の奴らだけ、ペットはいなかった。
「モール外に行ったのか、遠い所を徘徊しているのか...まぁ、こいつらは倒しておくか。」
さくっと倒す。足払いでこかして血で汚れないようにそこら辺の物を乗せてその上から踏みつぶす。...グロイ。
「....うん?」
またさっきの足音が聞こえる。
「...こっちか。」
ペット用の食料がある場所へと向かう。
「...いた....。」
小さな動物が何か...ペット用の食料を漁っている。...ゾンビはあんな動きしないしまだ生きているみたいだな。
「...ほっ。」
「わうっ!?」
後ろから抱えるように捕まえる。...子犬か。
「わん!わん!」
「ちょっと大人しくしてろ...!」
すかさず全身を確認する。傷は....ない、な。
「...よし、もういいぞ。」
「わうぅ.....。」
俺を警戒する子犬。...まぁ、後ろからいきなり抱えられたら警戒するわな。
「首輪があった所を見るに、誰かの飼い犬か。....犬だけってことは、飼い主は...。」
首輪に名前が刻まれている。...“太郎丸”か...。
「...ほれ、食うか?」
「わぅ....わん!」
そこら辺にあったペット用の缶詰を開け、差し出す。
警戒していた太郎丸だが、食欲には勝てなかったらしい。勢いよく食べる。
「...連れて行っておいた方がいいよな...?」
「わうぅ....。」
撫でながらそんな事を呟く。...警戒も解いてくれたようだ。
「....ついてくるか?」
「わん!」
「よし。」
ついてくるみたいだ。なら早速と言う訳で、ペット用の食料といくつかの道具を鞄に詰め込む。....これだけでも一ヶ月は持つだろう。
「じゃ、行くぞ。」
「わん!」
さっさと皆の下へと戻るか。
「戻ったぞ。」
「遼!ようやく戻ってきたか...。」
俺が戻ると、皆ホッとしたような顔をする。
「迷子になったかと思ったよー。」
「いやいや、由紀じゃあるまいし。」
「私だって迷子にはならないよー。」
由紀もホッとしてると思ったら、そんな理由かよ。
「あれ?その子は?」
「あぁ、さっき拾った。太郎丸って言うんだ。」
「わん!」
由紀が案の定太郎丸に気付いたので、抱かせてみる。
「かわいー!」
「わん!」
「おお、もう意気投合したのか。」
明るい性格の波長が合うのか?
「...傷はないのは確認した。ゾンビ化はないだろう。」
「名前があるって事は、飼い犬だよな?....飼い主はやっぱり...。」
「....そう言う事だ。」
太郎丸とじゃれ合っている由紀に聞こえないように会話をする。
「他に生きてる動物、もしくはゾンビ化した動物は確認できなかった。ゾンビ化したのは外に出て行ったかもしくは....。」
「この中のどこかにいる....か。」
「ああ。まぁ、その時は俺に任せてくれ。」
一番戦い慣れているのは俺だからな。
「生きているのを見つけたからには、放置するのもまずい。連れて帰るつもりだ。」
「え?この子連れて帰るの!?やったぁ!」
一部を由紀に聞かれていたのか、由紀が喜ぶ。
「喜ぶのは分かったから次の階に行くぞ。」
「はーい!」
次の階には確か家電とかあったな。色々と使える物がありそうだ。
「コンロにガスボンベ....乾電池とかもいるな。」
必要な物をカゴに入れて行く。...まぁ、由紀を誤魔化すためにカゴに入れてるだけだから実質意味はないけどな。
「...うん。これだけあればいいだろう。」
「ねえねえ!服も見に行こうよ!」
今いる場所に行くまでに通りかかったあそこか?
「まぁ、いいだろう。...いいよな?」
「ええ、いいわよ。」
他の皆も賛成のようだ。...ま、女性って服には目がないからな。
「...俺もいくつか貰うか。」
服にもバリエーションがあった方がいいしな。
「ふぃ~、買った買った。」
胡桃が満足そうにそう言う。あまり多くは買う事ができなかったが、それぞれ一着ぐらいは買ったようだ。...なぜか水着も買ったけど。
「...で、お前はそこが定位置か。」
「わん!」
太郎丸はと言うと、由紀のバッグから顔出すようにすっぽりと収まっている。
「さて、次が最上階だな。」
「...誰かいるといいのだけど...。」
覚悟を決めて、最上階への階段に踏み出す。
「....これは....。」
「荒れてるな...。」
五階に着いた途端散乱しているダンボール箱を見つけてしまう。...おそらく、バリケードに使われていたのだろう。
「...とりあえず、行こう。」
とにかく探索に入る。....五階と言うだけあって、奴らの数も相当少ない。...が、心なしか四階より多く感じる...。
「わん!わん!」
「わわっ、太郎丸、どうしたの?」
突然ある方向に向かって太郎丸が吠える。
「ちょ、黙っててくれ...!」
「わん!わん!」
奴らに気付かれ、何体かが接近してくる。
「...なにかいるのか?」
「おいおい...不吉な事言うなよ...。」
動物の本能は凄まじいからな。吉と出ればいいが...。
「とにかく、ここから離れよう。」
「わかったわ。」
その場からダッシュで離れる。
「わぁ!映画館だぁ!」
探索中、映画館を見つけ、由紀が歓喜の声を上げる。
「...中に誰かいるか?」
「いや、望みは薄いだろう。...まぁ、確認してくる。」
はしゃぐ由紀を窘める悠里と先生を余所に、胡桃と相談し、俺が様子を見に行く。
「....ここもダメか。」
どこもかしこも奴らに襲撃を受けたのか、扉が放置された状態になっている。
中を音を立てないように覗くと、中にも奴らがいたので、生存者はいないだろう。
「...ここだけロックが掛かってるな。」
一つだけ棒でロックされていた。...しかし、外側からだ。
「....だろうな....。」
音を立てずに覗くと、他の場所より圧倒的に多いが、奴らが徘徊しているだけだった。
「...これだけの量、気づかれるのは危険すぎるな。」
早々にここを離れた方がいいだろう。
棒を再びかけて、皆の所に戻る。
「遼君!中、どうだった?」
「えっ、ああ....結構人がいたよ。入れそうにない。」
「そっかー...残念。」
戻って早々由紀に話しかけられたので、咄嗟に誤魔化す。
「....どうだったんだ?」
「...どこもかしこもダメだった。中には外からロックを掛けられた場所もあった。」
「だよな...。」
こんな状況で生きてる方が珍しい。
「次、行こうか。」
念のため映画館の方を警戒しつつも、俺たちは歩き出した。
「ここは.....。」
重いダンボール箱が積み上げられたのを見上げながら俺はそう呟く。
「わぅぅ....。」
「太郎丸、ここに来たことあるの?」
「わん!」
...よく見れば上の方にある小窓が開いている。あそこから出てきたのだろう。
「...外に積まれてるって事はおそらく....。」
中は悲惨な事になってるだろう。しかし、念のため確認しておこう。
「少し荷物を頼む。」
「ええ。分かったわ。」
「気を付けろよ。」
鞄を悠里に預け、ダンボール箱の壁をよじ登る。
上りきると、ドアとダンボール箱の間に僅かに隙間あったので、そこに入り込み、ドアを開けて中を覗く。
「こいつは....。」
中にはやはり奴らが徘徊していた。...しかし、相当広い。
「(ここから確認できるだけでも部屋がいくつもある...。おまけに、避難生活の形跡も見えた。....と言う事は、生存者がいたって事か....。)」
しかし、見るも無惨な状況になっている。
「.....ん?」
「どうしたー?」
疑問の声を上げた俺に、胡桃が聞いてくる。
「...いや、中は悲惨なんだが、一つだけ無事なドアがあってな...。ちょっと見てくる。」
「あっ、おい!」
上手い事ドアを抜け、中に入る。
...やはり、あまり気づかれていないな。刀とハンドガンは持っているし、大丈夫だろう。
「...ここか。」
ドアの窓には血の手形が付いており、中にはダンボール箱が積まれていた。
「奴らは....いないな。」
辺りの様子を伺ってからノックをする。
「誰か!中にいるのか!?」
できるだけ響かないような声でそう言う。
「―――っ!?」
「(誰かいる...!)」
誰かが跳ね起きた気配がし、ドアの前まで誰かが来る。
「無事か!?」
「あ、あなたは!?助けに来てくれたんですか!?」
窓からパールホワイトのショートカットに青色の瞳を持った学校の制服を着た少女がそう言う。...うちの学校の生徒か...!
「ああ!君一人か...?」
「は、はい....。」
「ちょっと待ってくれ...。...よし、大丈夫だ。今なら外に出れる。」
まだ辺りに奴らがいない事を確認し、そう言う。
「外はまだまだ奴らで溢れている。音は立てないようにな。」
「は、はい。」
そぉっとダンボール箱をどけていき、ドアが開かれる。
「向こうに仲間がいる。早く合流しよう。」
「わかりました。」
急いでその場を離れる。
「(よかった。生存者がいた....!)」
誰かを助けれた事に、俺は内心結構喜んでいた。
「(だが、一人だけか...。)」
避難生活の形跡があった事から、それなりの人数が生活していたのだろう。
...それだけが気がかりだった。
後書き
原作と違い、奴らに気付かれにくい遼が様子見をしたので、大群に襲われることもなくそのままみーくんの下へと辿り着きました。まぁ、みーくんを連れてる時は襲われまくるんですけどね。
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