がっこうぐらし!The world in confusion
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chapter27
side悠里
めぐねえの言われた通り地下では何が起きるかわからないから矢の補給や弓のメンテナンスを済ませて十分の準備を整え、今地下への入り口とされている、一階にある保健室に来ていた。
「こんなところに地下にいる入り口があったなんてな」
胡桃が隠された地下への入り口がまさか、よく人が行き来する保健室にあったことに驚いている様子だ。
「ここを知ってるのはランダルコーポレーションの関係者か局員しか知らされていませんし、ここのパスワードは兄さんが残した手帳に書かれてました」
そういうとジュードくんが保健室の奥に隠されている扉の電子ロックにパスワードを打ち込んでいきenterを押すとlockと映されていた表示がopenと変わり、扉のノブを引いて中は下へと階段が続いていた。
前衛に胡桃とジュードくん、中央に戦えないめぐねえ、音姫さん、由紀ちゃん、そして後衛に私と桜崎さんという隊列で地下へと進んでいく。
階段が終わり先は広い通路が広がっていて幾つにも分かれ道が別れていた。
「ここが地下区画か…」
たどり着いた地下区画に緊張から胡桃は槍を持つ手を強くし辺りを見渡す。
[嬢ちゃん、力みすぎだぜ、そんなんじゃ力がうまく使えねえ、リラックスしな]
「あ、ああ、ありがとう」
胡桃が持つ槍が緊張で力を入れている胡桃にリラックスするように助言で少し肩の力を抜いたようだ。
「それじゃあ、二手に別れましょうか、私と丈槍さん、恵飛須沢さん、桜崎くんは左側、若狭さん、朝倉さん、ジュードくんは右側、中央の通路は地下2階に続いてるから合流してから行きましょう、物資はここに来れば手に入れられるから必要最低限でいいでしょう」
めぐねえの指示で二手に別れることになり私や音姫さん達は右の通路を進むことになった。
一定間隔で部屋があり中はどうやら避難できるように就寝スペースが施されていた。
「パンデミックで地上は危険だからね、ランダルコーポレーションがいざってときのために地下に生活スペースを築いていたんだって」
資料で知ったのだろうか、ジュードくんがそう説明し次の部屋へと手をかける。
「此処は…」
次の部屋は住む部屋とは違いズラリと収納しているケースが並んでいる、恐らくここは倉庫なのだろう。
「鉛筆に物差し、消ゴムケースにこんなに」
ケースのなかには消耗品がぎっしりと入っており、これもパンデミック対策なのだろうか音姫さんもケースの中を見て驚いている。
「多分、何か必要になるかもしれないからだと思いますよ…取り合えず必要最低限のものをもって積めて次に行きましょう」
そういって私も鉛筆や消ゴム、今は圏外で使えないかもしれないがいざとなったら使えるかもしれない携帯の充電器等をバックに積めて次の部屋へと移動する。
「今度の場所は…」
「うわ…これを見ると武器庫だね」
次の部屋は重火器…等のものはなく、木刀やパール、弓や矢など使いようでは武器になるものが大量に存在した。
「パンデミックに、生き残るための装備だったのかしら」
「そうだろうね、若狭さん、矢を持っていくの」
「はい、やっぱり、切れると困るので」
矢を手にもって筒に入れていく、これだけあれば充分かな?…そういえば
「あのジュードくん、聞きたいことがあるんだけどいいかしら?」
「なんでしょうか?」
「見てもらったほうがいいわね、少し見ていてね」
そういって矢を弓につがえ弦を引き、狙いを防弾チョッキに定めて放つと矢は空気を震わせて防弾チョッキを貫通した。
「こういうことなんだけど…何かわかる?」
「なるほど、恐らく無意識に魔力による武器強化を行っているんです」
「武器強化?」
「はい、普通の矢ならあれほど威力はありません、ですが魔力を通した矢なら説明がつきます、恐らくこのパンデミックの騒動で魔力の源リンカーコアが開花したんじゃないかな?」
魔力…これがゆうくんが使っていた力…なんか不思議な気持ちになる。
「ありがとうね、それじゃあ、次のところ行きましょうか」
もうここにも用が無くなったから次の部屋に向かった。
それからの調べた部屋は前と変わらず倉庫であり色々と物質を調達することに成功した。
そして突き当たりまできたので引き返し合流地点まで戻る。
辿り着いたがまだ胡桃達は着いておらず少し待っていると胡桃達が向かった左側の通路から胡桃達が帰ってきた。
「りーさん、ただいま!」
私達を捉えた由紀ちゃんは笑顔でこっちに駆け出して近づいてくる。
「おかえり、由紀ちゃん、それでそっちはどうだった?」
「すごいんだよ!物が一杯あった!」
由紀ちゃんは、向こうにも倉庫があったのだろう、そこで見た物資を見てはしゃいでる。
「りーさん、そっちはどうだったんだ?」
由紀ちゃんの後ろからやって来た胡桃達が私達の成果を聞いてくる。
「そうね、こっちにも物資が豊富にあったわ、文房具に日用品、それと武器なんかも」
「ってことはこっちとあんま変わらないな、っにしてもすごい数だったな」
あっちも種類は変わらなかったようだ、それに胡桃もあの量を見て驚いていた様子。
[後、嬢ちゃんがゲームがあるんじゃねえか?ってはしゃいでたな]
「ガングニール!それは言わなくていいって!」
胡桃が持つ槍が胡桃もはしゃいでいたことを口を漏らすと胡桃は聞かれたくなかったのか慌てる。
それ以上に気になったのは…
「あらあら、いつのまに名前をつけたの?」
ここに来る前は名前もつけてなかったはずだけど
「いや、誠に言われてなデバイスに名前が無いのも…悪いし、かっこいい名前を考えたらガングニールにしたんだ」
なるほどね、確かにガングニールは強そうだしかっこいいしね
「あれ?恵飛須沢さん、誠くんの名前で読んでるけど…」
「あ、ああほら、名字だと呼びにくいだろ?だから名前で読んでくれって言ったんだ、なあ、誠?」
「ああ、胡桃」
そうだったのね、まあ、確かにそっちのほうが仲良くなれるだろうしいいかしら
「あらあら、それじゃあ私のことも悠里で良いわよ」
「そうか、それじゃあそうさせてもらう悠里」
さてと、そんなこんなで合流できたわけだしいよいよ地下2階ね
「それじゃあ2階に行きましょうか」
話を終わったのを見越してめぐねえがみんなに声を掛けて中央の通路へと進み更に地下へと降りていく。
「2階は部屋が二つしかないから別れることもないはずよ」
そういって階段が終わり左右には扉と目の前は壁のはずなのだが
「これは…!」
ジュードが言葉をつまらせる。
目の前の惨状は通路には細かく砕けた瓦礫が散らばり目の前の壁があるはずの場所は穴が開いていた。
私達は穴に近づきその穴はさらに地下へと続いているのがわかった。
「もしかしてこの先って」
胡桃が頭のなかでこの先に何があるのかを予想がまとまる、私も胡桃と同意見の考えをしていた。
「多分、地下施設…もしかしたら何かが出てきたのかも」
例えばゆうくんが戦っていたあの怪物とか
そう考えると身震いで震えてしまう。
「取り合えずここの二つの部屋を調べて地上に帰りましょう」
めぐねえも長居は無用とおもったのか直ぐに調べることに賛成した。
そしてまずは左の部屋を入る。
中は薬や包帯…医療品等の物がズラリと並んでおり、取り合えず風邪薬や、一通りの病気に聞く薬を詰め込む。
「りーさん!こっち来てくれ!」
詰め込んで他の場所にいこうとしたとき胡桃の声に呼ばれて胡桃のもとに行くと胡桃の目の前にはなんやらの薬が入っていた。
「これ、感染者用のワクチンだ」
ワクチンだと聞いて私は驚く。
存在は前の放送で知っていたけどまさかあったなんて
「取り合えず、何個か持っていきましょう」
「そうだな」
そういって3つほどワクチンを詰めるとこの部屋にはもう用はないかな?
そして次は反対の部屋へと向かう、勿論辺りを警戒してだ。
あんな穴があったのだ、もしかしたら抜け出したものがいるかもしれない。
そうして反対の部屋に入ると中はひんやりと冷えており、どうやらここは食料庫で部屋全体が冷蔵庫になっているようだ。
「さ、さぶ」
夏服の私たちにはかなり堪える冷たさだ、早々に食料を調達しよう。
だがこの食料庫だけ、明らかに可笑しい点がある、それは
「これ…荒らされてる?」
音姫さんが呟く、食料庫はケースが引いてあったり乾パンやカロリーメイトなどが地面に散乱している。
「もしかして…あの穴から出たやつが?」
そう考えると妥当思える。
取り合えず食料を…
「めぐねえ!みんな!これ!」
ふと、由紀ちゃんの大声でこの部屋にいる私達は由紀ちゃんの元へ向かうと由紀ちゃんの目の前の引き出しの中にあるものに気が引いた。
「こ、これは…」
「お肉…」
中にあるのはこのパンデミックが起きてから一度も目にすることがなかった肉類…しかも牛肉でぶ厚いステーキにつかうものだ。
「りーさん!音姉!今日はステーキだよ!」
由紀ちゃんは口からよだれを滴ながらステーキを食べたいと懇願する。
「そ、そうね、そうしましょうか」
私も久しぶりに食べたいしね、と心で思い人数分のお肉を取り出して、早めにここから立ち去りたいために地上を目指して戻りの道を戻った。
地上にもどって来ると既に夕方で日が傾き沈んでいく、奴等もこの学校から帰宅するようにぞろぞろと敷地外に出ていっていくのを確認する。
「それじゃあ各自、持ってきた荷物を纏めたら夕食にしましょうか」
安全圏に戻って荷物を部屋に整理して入れてから私は部室にいくと音姫さんも整理が終わっていたようで既に地下で手にいれた野菜などを切ってサラダを盛り付けている
「あ、若狭さん」
「手伝います、音姫さん」
「ありがとうね、それじゃあそろそろお肉焼いてほしいな、私はステーキのタレを作るから」
そういってステーキの焼きは私に任せると音姫さんはステーキにあうソースを作るのにとりかかえる。
私もフライパンにサラダ油を敷いてその上に牛肉のステーキを乗せる。
乗せた瞬間ジューという焼いている音と肉の言い匂いが部屋の全体へと漂わせる。
焼いている私だけど本当に美味しそうで唾を飲みこむ。
「りーさん!お肉焼けた!?」
すると部屋の外から駆け足でこちらに近づく足音部屋の扉を開けて入ってきたのは由紀ちゃんだ、どうやら片付けが終わった後、走ってこっちに来ちゃったみたい。
「もう、廊下は走ったら駄目よ」
「ご、ごみん」
廊下を走ってきたことをしかると由紀ちゃんはしゅんっと落ち込む。
「もう少しで出来上がるから少し待っていてね」
「う、うん!」
そういうと由紀ちゃんは椅子に座ってニコニコといまかいまかと待ちわびている。
それからしばらくして胡桃達も来てソースを作り終えた音姫さんと一緒にお肉を焼き、みんなの人数分のステーキを焼き上げ机の上に並んだ。
それは見るからに家では見られない、ファミレスなどでよく見られる光景を学校で見られるとは少し驚く所かしら
「それじゃあ、いただきます」
『いただきます』
めぐねえの声が合図にみんないただきますと言うと私はフォークとナイフでステーキを小さく切り取り切り取った部分のステーキを音姫さんが作り上げたソースに付けて口に入れる。
すると口のなかでステーキを噛むと肉汁が溢れだしあまりの美味しさに頬を笑んでしまう。
このステーキの味をじっくりと堪能し続けそれから数十分もしたら机にある料理はひとつ残らず完食した。
「ごちそうさまでした!」
「お粗末様でした、本当に美味しかったわね」
私がいった言葉にみんながうなずく、こんなの二度と食べられないと思うぐらいだ。
「けど、まあ、食べたいと思えばまた食べられるしな」
胡桃の言葉に頷く。
「そんな頻繁に食べてたら太るぞ」
誠くんの一言で空気が一変した。
「「誠くん?」」
「え?音姉?悠里?何でそんなににこにこした顔なのに、笑ってないの!?」
だって…ねえ?女の子が気にしてることをずばっと言うなんてデリカシーがない。
「少しお話しましょうか」
このとき、漸くこの威圧感を受けたのか完全に冷や汗を垂れ流している
「お、音姉…が…一人のはずなのに…ふ、二人いる」
「あ~私達まだ整理終わってなかったわ由紀、ジュード、めぐねえ、早速取りかかろう」
「そ、そうね、それじゃあ私達は荷物整理しにいくから…そのほどほどにね」
「「はい、勿論です」」
めぐねえの言葉に同時に同じことをいって返答しめぐねえ達はさっさと部屋から出ていった。
「ちょっ!俺も!」
そういって誠くんも出ていこうとしたが、出ていく前に肩に手を掴んで逃がさないようにする。
「どこにいこうとしているのかしら?」
「は、はは」
もう誠くんはこの状況で苦笑いをするしかなかった。
「「誠くん?」」
「は、はい!」
完全に怯えた表情で私達に返答する。
「そこで正座しなさい!」
「じっくりとOHANASIしましょうか」
「……」
そしてOHANASIが終わって時計を見ると約3時間も過ぎていたのは余談である。
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