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歌集「春雪花」

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 来ぬ君を

  来ぬと知りつつ

   待つことの

 淋しさうつす

    夜の狭霧は



 彼は会いに来てはくれない…そう、分かってはいる…。

 しかし、もし…もしも、彼が顔を見せてくれたなら…どんなに嬉しいだろう…。

 そんな想いは届くはずもなく…彼は来てはくれなかった…。
 外へ出ると、その淋しさを映し出すように…辺りに白い霧が立ち込めていた。

 まるで…私から彼を隠すかのように…。



 君去りて

  心届かぬ

    冬空の

  晴れ間も虚し

    年端月かな



 彼は帰ってしまった…。結局はまた何一つ言えず…他愛ない話が少し出来ただけ…。

 寂しい…とは言えず、恋しい…とも言えず…。

 見上げれば…光り注ぐ青空が覗いていたが、そんな貴重な冬の晴れ間さえ…どうにも虚しくてたまらない一月の始め…。

 また…溜め息ばかりの日々を彷徨う…。



 
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