がっこうぐらし!The world in confusion
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chapter18
部屋から離脱して安全な場所まで退避したのを確認してから俺は圭のバックからウイルスのワクチンを取り出す。
「ごめん!」
そういって圭の服をたくしあげて胸元にワクチンを打ち込む。
奴等に噛まれていれば噛まれた箇所の近くに打てば良いのだが、今回は空気感染であるために心臓に近い部分に打ち込むのが良いと思い打ち込んだ…けしてやましい気持ちではない
すると先ほどまで荒々しい呼吸だった圭が落ち着いた呼吸に戻る。どうやらワクチンが効いてきたようだ。
「雄也先輩…わ、たし…」
「意識がはっきりしてきたか?今ワクチンを打ったこれで問題ないはずだ」
といっても危機なのは変わりないのだが…
そう思っているといきなりこの基地全体がゆれはじめた。
「なんだ!?」
いきなりのことに戸惑っているとやつの声がこの基地全体に響き渡る。
「やあやあ、聞こえているかい?ユウヤ・ツキミヤ、今のはこの基地を完全放棄するということでね、今自爆装置を押したんだ、後数三十分もすれば基地は崩壊する、さあ、急がないと死んじゃうぞ~」
「あのやろう!」
このままでは危険だと判断するが咄嗟にベヒモスのことを視野にいれると出口に向かう前に先回りされている確率が有ると考えて圭に向かって話した。
「…圭、直ぐに脱出しろ、崩落はあの連絡道まではいかないはずだ、十分間に合う」
「それじゃあ雄也先輩は!?」
「ベヒモスを足止めする奴が先回りしたいたらそれこそ厄介だ…」
俺は行動の主旨を伝えて圭は納得したのか黙りこむ。
「…何か目的があったんだろ?」
「え?」
図星だったのか言い当てられたことに驚いている。
「ここでくたばったら、目的を果たせないだろ?」
「それは…」
「……巡ヶ丘中学校に俺と同じ生存者がいるはずだ…出来ればあいつらのことも頼む」
「…はい」
圭は小さく頷いて俺の荷物も持たせて出口へと走り去る。
曲がり角を曲がるところでこちらを向くが俺は小さく頷くと意思が伝わったのか出口へと向かっていった。
「さてと…」
見届けたあと俺は逆の通路を見据える。
そしてその角の先からは重い音を響かせる…ベヒモスの足音が聞こえてくる…もう奴が近くに来ているということだ。
そして角からベヒモスが現れてこちらを視認すると雄叫びをあげる。
「漸く見つけたよ…もう一人はどうしたのかな?」
「あいつなら逃がした…これ以上巻き込めないからな」
そういってアークを構えるが既に左肩をやられて動かす度に苦痛で顔を歪ませる。
「うっ!」
「怪我を負い、しかも、仲間もいないこの状況…今の君に何が出来るかな?」
「何が…出来るかか……勿論、ベヒモスを倒す…今ならあれを使うのにもってこいだろ」
「あれ?」
通信越しのウェルは俺のあれを聞いて不思議に思うまあ知ってるのは俺とアークだけでやったこともない架空の存在だからな。
だが、アークはあれに気づいて焦る声で俺に警告した。
[マスター!あれは検証段階で危険だと確認されて封印したじゃないですか!それを使うなんてマスターの体が壊れますよ!]
「わかってる…けどよ、こいつを倒さないと…後々他のやつらが危険にさらされる確率がある、だから今回だけは体の負担なんか気にしていられない!頼む!」
[わかりました、そこまでなら私も何も言いません]
ありがとよ、さてと…
「行くぜ…ダークフォース…発動!」
俺は切り札ダークフォースを発動するといつものアークに纏う暗黒をその身に纏う。
「ぐっぅ!」
先ほど以上の激痛が体を蝕む。
暗黒、闇属性はその性質が異様で今のところ所持者は俺以外にいない、そのうえ闇属性は攻撃的な属性であり攻撃以外はあまり使えないという結果になった。
だが1つだけ、体に闇属性を纏い自己ブーストした場合は本来の全快を越える力を振るうことができるが代償として闇属性の性質である攻撃…つまり、それを維持する代償で体にはダメージを負っていくという仮にも正気のさとではない方法であった。
「いくぞぉ!」
足に力をいれてベヒモスの懐に飛び込む
その速度は先ほどとは比べ物にならないほどの早さで懐に入りアークを切り上げて腸を切り裂く。
それでも奴は倒れないのは想定内だ。
ベヒモスの怒りの目線とともに繰り出される爪を振り落とすが容易に避けれる範囲なので前右足の切り裂く。
「ば、バかな…こんなことが」
今の現状を認められないと言わんばかりに戸惑いを見せるなかでも俺の代償を支払いながらも俺は攻め続ける。
「もっとだ!もっと早く!!」
さらに速度を高め音速の領域の剣速でベヒモスのからだ全体を切り刻んでいく。
そして最後の一撃で決めるためベヒモスの上空で止まりアークに渾身の魔力を籠める。
「こいつで!止めだぁ!!」
俺はベヒモス目掛けてアークを構えながら突撃する。
「暗黒闘…っ!!?」
ベヒモス目の前で突然俺の体に異変が始まり比べ物にならないような激痛が体を蝕みベヒモスに届くことなく手前で地面に落ちて踞る。
「ぐっ!ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
まさか、止めを刺せる手前で時間切れとはまさに最悪と言える…
そして先ほどまで劣性だったベヒモスは動きは鈍くなってはいるが前右足で俺を叩きなすすべもなく吹き飛ばされて壁に激突する。
「そうか、先ほどの魔法は自らの体を無理矢理限界以上に引き出す自己ブースト…そしてそれもあと少しといったところで切れてしまったようだね…いやあ、危なかったよ…こんなところで貴重な僕のサンプルを失うところだったよ」
くそ、体が悲鳴をあげてて動かせない…それに意識も段々と薄れて…
ちくしょう…!
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