指切りげんまん

「やっぱり」
「そうよね」
「その人こういうことするらしいから」
「それじゃあ」
「有り得るわ。けれどね」
「けれど？」
「確かなことはわからないし」
　それにとだ、良美は十和子に言うのだった。
「しかもね」
「しかもなの」
「そう、その人に言ってもね」
「知らないって言うわよね」
「そうしたことする人が自分がやったとかは言わないわよ」
　こうした卑劣な行いをする人物ならというのだ。
「絶対にね」
「そうなのね」
「そう、だからね」
　それでというのだ。
「その人に何かしても意味がないわよ」
「効果がないのね」
「そう、だからね」
「だから？」
「今私達が出来ることは」
　それはというと。
「私達自身で何とかするしかないのよ」
「私達で」
「そうよ」
　こう十和子に言うのだった。
「二人でね」
「私達二人で」
「噂を一つ一つ自分達の口で証拠を出して否定していくのよ」
「一つ一つなのね」
「根も葉もない噂はね」
　そうした類のものはというのだ。
「証拠を出して反論していけば消せるから」
「だからなのね」
「そう、消していきましょう」
「それじゃあ」
「ただね」
　ここでだ、良美は十和子に一際強い声で言った。
「気をつけないといけないことがあるわよ」
「それは何なの？」
「今回のことは随分沢山の噂が広まってるから」
　だからだというのだ。
「二人でやっていかないと駄目みたいよ」
「一人じゃ駄目なのね」
「そう、多分だけれど」
「じゃあ私と良美ちゃんが」
「一人一人でやってもね」
「駄目なのね」
「だから、噂を否定するにもね」
　そうしたらゆるだ、今現在広まっている噂をというのだ。
「一人で言うんじゃなくて二人で一つ一つ話して」
「それからその噂を消していくべきなのね」
「証拠を出してね」
「そうしないと駄目なのね」
「ええ、だから」
　それでというのだ。
「私達小さい時に約束したわね」
「指切りしてね」
　強い声でだ、十和子も答えた。
「それでね」
「そうでしょ、お互いに助け合おうって」
「これまでもそうしてきたけれど」
「今回はね」
「特になのね」
「お互いに助け合わないと」
　それこそというのだ。